【獣医師監修】人間とは違う!?「犬の食性」「食習慣」とは?フードを与える前の知識!

犬には人とは違う食性や食習慣があります。犬の健やかな成長と健康を保つために、犬にとっての食事の意味や役割を知ることはとても大切です。これから犬を飼い始める人はもちろん、すでに愛犬と暮らしている飼い主にもぜひ知っておいてほしい基礎知識を紹介します。

【獣医師監修】人間とは違う!?「犬の食性」「食習慣」とは?フードを与える前の知識!
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先生にお聞きしました
徳本 一義 先生
ペット栄養学会理事。小動物の臨床栄養学に関するスペシャリスト。
獣医師 MBA(経営学修士)

ヘリックス株式会社 代表取締役社長

【資格】
獣医師

【所属】
ペット栄養学会 理事
一般社団法人ペットフード協会 新資格検定制度実行委員会 委員長
日本獣医生命科学大学 非常勤講師
帝京科学大学 非常勤講師
など

大学卒業後、小動物臨床に従事。

その後、ペットフードメーカーに入社し、小動物臨床栄養学に関する研究、情報発信を中心とした活動を行う。

現在は、獣医療・教育関連のコンサルタントとしての活動。ペットの栄養に関する団体の要職を務める。

自宅で9頭の猫と暮らす愛猫家。
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犬の食習慣

犬の先祖はオオカミやコヨーテ

Byrdyak / PIXTA(ピクスタ)

犬の先祖はオオカミやコヨーテ

犬の食性を理解するうえでまず知っておきたいのが、犬の先祖は?ということです。

犬の先祖は、集団で狩りをするオオカミやコヨーテといった野生動物であると言われています。

オオカミは、馬や鹿など自分たちより大きな動物を、群れになって狩りをし、とくに内臓を好んで食べる習性があります。

一方、コヨーテは、小型の哺乳類や両生類、鳥類なども捕食します。

犬は雑食性の動物

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犬は雑食性の動物

オオカミもコヨーテも、狩りによって捕らえた動物を食べる「腐肉食動物」ですが、肉しか食べないわけではありません。

馬や鹿などの内臓には、一部消化された植物の成分が含まれていて、それらも彼らの大切な栄養になっています。

また、草食動物の糞便や果物、ベリー類、きのこなども食べたりしていたことがわかっています。

そうした先祖を持つ犬も、雑食性の動物であると言えます。

人間に比べると肉類を多く摂取するものの、野菜なども含めた食事をバランスよく摂る必要があるのです。

犬が「溜め食い」「早食い」をする理由

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犬が「溜め食い」「早食い」をする理由

また、犬には「溜め食い」「早食い」という習性があります。

これは、犬の先祖があまり狩りを得意としないことと関係があるようです。

オオカミなどの犬の先祖は、食事にありつけるのは不定期で、群れ全体が満足できる量を確保できる保証はありません。

そこで、獲物が手に入った時に、体重の1/5から1/4も食い溜めし、しかも仲間に取られないうちに早く食べてしまおうとするわけです。

餌を掘り起こすオオカミ

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ちなみにオオカミは、獲物が余ったら地中に埋めておき、後で掘り起こして食べる習性もあるようです。

こうした「溜め食い」と「早食い」、「余った獲物を隠しておく」習性が、現代の犬にも引き継がれているのです。

犬の食生活を左右する犬のカラダの特徴

犬の食生活を左右する犬のカラダの特徴

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犬にどんな食事を与えたらよいのか。

それを知るには、まず犬のカラダの特徴を理解することが必要です。

犬の消化器官の特徴

小腸と大腸で栄養と水分を吸収

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小腸と大腸で栄養と水分を吸収

食べ物に含まれる栄養素を吸収できる形に分解し、それを無駄なく体内に取り込む働きを担うのが消化器官です。

食べ物は、口の中で噛み砕かれ、唾液と混ざり合い、飲み込まれることによって胃に入り、十二指腸から小腸へと送られます。

その過程で、胃液や膵液(すいえき)、胆汁、腸液に含まれる酵素によって、カラダに吸収できる形にまで分解され、小腸と大腸とで栄養と水分が吸収されます。

そして、吸収されなかったものが便として体外に排出されることになります。

犬と人間で異なる唾液の成分

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犬と人間で異なる唾液の成分

犬は人間と同じ雑食動物なので、こうした消化器官の構造と役割も人間とほぼ同じ。

人間と同じように発達した小腸・大腸を持っています。

ひとつ人間と異なるのは、人間には唾液の中に炭水化物を分解する「アミラーゼ」という消化酵素がありますが、犬にはないということ。

つまり、人間は口の中で炭水化物の消化が始まりますが、犬は小腸から消化が始まることになります。

ですから、犬は咀嚼(そしゃく)する意味がほとんどないのです。

犬にも食物繊維が必要

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犬にも食物繊維が必要

また、犬の大腸の中には微生物(腸内細菌)が生育しているのですが、腸内細菌は消化吸収を助けるだけでなく、免疫系に影響を与えるなどさまざまな働きをしていることがわかってきました。

そこで、必要なのが腸内細菌の栄養素となる食物繊維です。

人間が腸内環境を健全に保つために食物繊維を必要とするように、犬もまた肉だけでなく植物性の食べ物を必要としているのです。

犬の歯の特徴

噛み切ったらすぐに飲み込む

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噛み切ったらすぐに飲み込む

食べ物の消化は、口の中で噛むことから始まるので、歯も消化器官のひとつであると言えます。

ただし、犬は人間とは違い、口の中で丹念に咀嚼(そしゃく)することなく、噛み切ったらすぐに飲み込んでしまいます。

犬の歯は、生後3〜5週間で乳歯が生え始め、6〜7カ月後くらいに永久歯に生え変わります。

永久歯の種類と本数は以下の通りです。

犬の永久歯の種類と本数

種類役割本数
切歯食べ物を切り裂く上顎3/下顎3
犬歯食べ物をしっかりくわえる上顎1/下顎1
前臼歯食べ物を噛み切る上顎4/下顎4
後臼歯食べ物を噛み砕く上顎2/下顎3

※歯は左右対称に生えるため、歯式は片側で示されます

「塩辛い」は感じない!?

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犬の味覚の特徴

「塩辛い」は感じない!?

食べ物の味は、舌にある「味蕾(みらい)」という器官で感じ取り、脳に送られることによって認識されます。

味を感じる仕組みは人間も犬も同じですが、犬の味蕾の数は2000個程度で、人間の1/5程度にすぎません。

人間にとっての味の基本は「甘味」「酸味」「塩辛さ」「苦味」「旨味」の5つですが、人間より味蕾が発達していない犬は、「甘味」や「酸味」は感じるものの、「塩辛さ」を感じる味蕾がないのではと考えられています。

犬が感じる味は本能に基づいている

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犬が感じる味は本能に基づいている

犬が塩辛さを認識しないのは、先祖が狩りをしていた名残りではないかと考えられています。

動物の肉や血には塩分が含まれているため、あえて塩分を意識しなくても、生きていくうえで必要な塩分を摂取できていたからです。

また、犬は苦味を嫌い、甘味を好みます。自然界にある苦味を含む食物は動物に対して害があるものが多いため、苦味を嫌うという本能は生存に役立つものなのです。

甘味を含む食物は良質のエネルギー源である糖を含む可能性が高いため、甘味を好む本能が生存に役立ってきたのだと考えられます。

犬の視覚の特徴

近くにあるものはよく見えていない!?

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近くにあるものはよく見えていない!?

犬の目には、網膜の裏に「タペタム(輝板)」という反射板があり、目に入った光を40%ほど増量させる機能を持っています。

そのため、人間の1/6程度の光でものを見ることができると考えられています。

ただし、犬の目は人間でいう遠視のように、近くのものに焦点を合わせるのが難しく、1mより手前にあるものをはっきり見ることができないようです。

犬にとって「見た目においしい」はあまり関係ない

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犬にとって「見た目においしい」はあまり関係ない

さらに、色を感知する視細胞の錐状体(すいじょうたい)の数は、人間の1/6以下で、赤色を識別する細胞がほとんどありません。

そのため、赤色は灰色に感じていると考えられています。

細胞学上からの推測になりますが、犬にとっての色の世界は、灰色、青、緑、青と緑の混合色で成り立っているようです。

以上のことから、「食べ物のおいしさについて、見た目から受ける影響は少ないのでは」と考えられています。

犬の嗅覚の特徴

犬は鋭い嗅覚センサーを持っている

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犬は鋭い嗅覚センサーを持っている

人間も犬も匂いを感知するのは、鼻腔の嗅上皮(きゅうじょうひ)にある嗅細胞です。

人間が持っている嗅上皮の面積は5〜10㎠。それに対して、犬は18〜150㎠。

嗅細胞の数は人間の約500万個に対して、犬は約2億2000万個にものぼります。

人間に比べて圧倒的に鋭い嗅覚センサーを持っているのです。

つまり、人間に比べて色彩の判別が少ない犬は、鋭い嗅覚でカラフルに世の中を捉えていると言えるのではないでしょうか。

短頭種は嗅覚の感知能力がやや低い

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短頭種は嗅覚の感知能力がやや低い

犬は訓練によって嗅覚の能力をさらに高めることができます。

五感の中で嗅覚のみが大脳辺縁系を経て大脳皮質へ伝わる経路を持っているのですが、大脳辺縁系は記憶を司る中枢でもあるため、犬は匂いを正確に感知し、覚えることができるからです。

ただし、犬の中でもパグやブルドッグのような短頭種の場合は、嗅細胞のある嗅上皮の総面積が少ないため、鼻の長い犬種に比べると嗅覚の感知能力は低くなります。

犬にとって「おいしい」とは?

「匂い」はおいしさを判断する大切な要素

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「匂い」はおいしさを判断する大切な要素

嗅覚が発達している犬にとって、食べ物のおいしさを判断する要素のひとつが、「匂い」です。

嗅覚が正常な犬は、牛肉豚肉、鶏肉、馬肉などさまざまな肉に対して食べる意欲を示しますが、嗅覚に何らかのトラブルがあると肉の識別ができないどころか、穀類との区別もできないようになります。

ただし、匂いがよい食べ物に対して、味気ない食べ物であっても食べる意欲を示すのですが、口にして味気ないことがわかると、次第に食べなくなってしまいます。

このことから、匂いだけがよくても、味がおいしいと感じないと食が進まないということも理解しておかなければなりません。

「甘いアミノ酸」は好き、人工甘味料は苦手

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「甘いアミノ酸」は好き、人工甘味料は苦手

先祖が動物を捕食していた犬は、アミノ酸の違いを人間より詳しく識別できます。

個体差はありますが、肉は、牛肉豚肉、羊肉、鶏肉、馬肉の順に好むようです。

アミノ酸の種類でみると、アラニン、プロリン、リジン、ヒスチジン、ロイシンなどの「甘いアミノ酸」を好みます。

食べ物の好みは生後6カ月で決まる!?

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また、先述したように、犬は苦味を嫌い、甘い味を好みます。

ステビアのような天然甘味料は好みますが、人工甘味料であるサッカリンは甘味に加えて苦味もあることを感知して嫌います。

さらに、犬は腐敗に気づくための酸味への感度も高く、リン酸やカルボン酸に対して興味を示すこともわかっています。

犬にとっての「好み」とは?

犬の味の好み

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食べ物の好みは生後6カ月で決まる!?

犬は基本的にはお腹が空いていれば、出された食事は何でも食べる動物ですが、ある程度の好みはあります。

好みを左右する要素として考えられるのは、水分含有量、栄養素、材料、調理法、温度などです。

また、犬の食べ物の好みは、母親のお腹の中にいる時から生後6カ月までに決まるということがわかっています。

子宮内で経験した母犬の食事の傾向が、生まれた後の子犬の好みに影響すること、生まれたばかりの子犬でも味覚機能が働いていることなどが、実験結果として報告されています。

「食べ物の好き嫌い」をなくす方法

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「食べ物の好き嫌い」をなくす方法

一般的に、人間の場合は離乳前後に食べたものの味がその後の嗜好性を決めると言われていますが、それは犬も同様だと考えられます。

ある実験では、生後6カ月までに決まったものしか食べていない子犬は、成長しても好き嫌いが多く、いろいろなものを食べて育った子犬は新しい食べ物にも興味を示すという結果が報告されています。

基本的に犬は共感性のある動物なので、信頼している人が与えるものを食べるという性質を持っています。

ドッグフードにはさまざまな種類があるので、小さいうちからいろいろなタイプを食べさせて、好き嫌いのない犬に育てましょう。

「食べ物の好き嫌い」を判断する時は慎重に

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「食べ物の好き嫌い」を判断する時は慎重に

なお、犬の嗜好性をその瞬間に食べた食べなかったという、一時的な結果で判断するのは好ましくありません。

統計的に優位なデータを取るためには、厳密に環境を整備したうえでかなり長期間にわたって調べなければなりません。

人間もその日の体調や気分で好みが変わるように、犬にもその時ただ食べたくなかっただけという可能性も。

あまり早計に好き嫌いを判断しないようにしましょう。

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