【獣医師監修】犬がナス(生)を食べても大丈夫!?「葉」や「茎」には注意が必要!
「煮る」「焼く」「蒸す」「炒める」「揚げる」「漬物」にするなど、様々な調理法で登場する、夏野菜の代表格ナス。ナスは犬が食べても大丈夫な野菜なのでしょうか?犬にナス与える際の注意点や栄養素、適量などについて解説していきます。
更新日:

獣医師 MBA(経営学修士)
ヘリックス株式会社 代表取締役社長
【資格】
◇獣医師
【所属】
◆ペット栄養学会 理事
◆一般社団法人ペットフード協会 新資格検定制度実行委員会 委員長
◆日本獣医生命科学大学 非常勤講師
◆帝京科学大学 非常勤講師
など
大学卒業後、小動物臨床に従事。
その後、ペットフードメーカーに入社し、小動物臨床栄養学に関する研究、情報発信を中心とした活動を行う。
現在は、獣医療・教育関連のコンサルタントとしての活動。ペットの栄養に関する団体の要職を務める。
自宅で9頭の猫と暮らす愛猫家。
犬はナスを食べても大丈夫。ただし「葉」や「茎」には注意!

shimanto / PIXTA(ピクスタ)
ナスは犬が食べても大丈夫な野菜です。
生でも加熱でも、どちらで食べても問題ありません。
ただし、ナスには「アルカロイド」というナス科の野菜特有の天然の毒素が含まれているので注意が必要です。
「アルカロイド」はジャガイモにも含まれ、ジャガイモの芽や緑色に変色した皮の部分には「ソラニン」というアルカロイド系の毒素が含まれています。

iStock.com/Hartmut Kosig
犬がアルカロイドを摂取すると、下痢(げり)や嘔吐(おうと)などの中毒症状を引き起こすことがあります。
ナスの場合は、じゃがいもほど実の部分に毒素が含まれていませんが、「葉」や「茎」にはアルカロイドが含まれていると考えられます。
庭や畑でナスを栽培している場合は、犬がナスの「葉」や「茎」をかじらないように注意し、犬にナスを食べさせる時は実の部分だけあげましょう。
犬がナスを食べるメリットや栄養素!

mahirart / PIXTA(ピクスタ)
ナスのおもな栄養素
ナスは成分の93%が水分であり、ビタミン類はあまり含まれていません。
ナスのおもな栄養素(生100gあたり)
- | ナス |
---|---|
エネルギー | 22.0kcal |
水分 | 93.2g |
タンパク質 | 1.1g |
脂質 | 0.1g |
炭水化物 | 5.1g |
【参照元】文部科学省「食品成分データベース」

iStock.com/Jiwoon Rim
ナスニンが犬のカラダの酸化防止
ナスの栄養素として特徴的なのが、紫色の皮に多く含まれる「ナスニン」というアントシアニン系の色素です。
「ナスニン」にはカラダの活性酸素を除去する抗酸化作用があり、加熱してもその働きは衰えません。
犬にナスを食べさせる時は、「ナスニン」を多く含む皮を剥かずにあげることをおすすめします。

iStock.com/Kuzmik_A
カリウムが犬の血圧を低下
ナスにはカラダの中に摂りすぎた塩分を外に排出し、血圧を下げる働きをするカリウムが多く含まれています。
血圧が高めの犬にはナスを食べるメリットがありますが、腎臓病を患っている犬は、カリウム制限が必要な場合があります。
腎臓の機能に心配がある犬は、ナスをあげる前にかかりつけの獣医師に相談しましょう。
犬がナスを食べる時の与え方や適量は?

Graphs / PIXTA(ピクスタ)
ナスの皮は付けたまま細かく刻む
愛犬にナスを食べさせる際は、「ナスニン」が含まれている皮は剥かないで、細かく刻んであげましょう。
ナスは油との相性がよいので、油で「揚げたり」「炒めたり」して食べることも多いですが、犬に与えるときは、カロリーオーバーに注意が必要です。
「茹でたり」「蒸したり」、「電子レンジで加熱」することをおすすめします。

Backyard-Photography.com / PIXTA(ピクスタ)
犬がナスを食べる時の適量は?
ナスは、栄養成分に脂質や炭水化物が少なく、カロリーが低いので、主食にプラスしたり、おやつに活用しやすい野菜と言えます。
また、主成分が水なので、高温多湿な日に愛犬が水をあまり飲まない時は、水分補給の意味で活用するのもよいでしょう。
犬がナス(生)を食べる時の適量
犬のサイズ(体重目安) | 1日あたりの摂取可能目安量 |
---|---|
超小型(2kg程度) | 198g(大1本) |
小型(3-5kg程度) | 268g~394g(大1.5本) |
中型(6-15kg程度) | 452g~899g(大2-4.5本) |
大型(20-30kg程度) | 1115g~1512g(大6-8本) |
超大型(30-50㎏程度) | 1512g~2217g(大8-11本) |
おやつは、犬の1日の摂取カロリーの20%までとされています。
また、愛犬が適正体重を上回っている場合は、現体重ではなく、適正体重に基づいた量を食べさせることも大切です。
愛犬に与える「ナス」のまとめ

KY / PIXTA(ピクスタ)
犬はナスを食べられますが、ナスの食べさせ方には注意が必要です。
愛犬と楽しい毎日を過ごすためにも、愛犬が食べられる野菜を知り、健康的な生活を送りましょう。

【獣医師監修】犬がピーマンを食べても大丈夫?生や種、肉詰めは?口臭効果がある?適量や注意点も!
代表的な夏野菜の一つであるピーマン。人間用ではサラダや炒め物、煮込み、肉詰めなどの料理にも使われますね。犬はピーマンを食べても大丈夫なのでしょうか? 生のピーマンや種は? 口臭効果があるって本当? ピーマンの食材としての特長や注意点、適量などを詳しく解説します。

【獣医師監修】犬が食べてもいい野菜!犬にあげてはいけない中毒の危険(ダメ)がある野菜!
普段、ドッグフードを与えている人でも、自分の食事のおすそ分けや、フードへのトッピングとして野菜をあげる機会があるのではないでしょうか? 体に良いと考えられている野菜の中でも「犬が食べてもいい野菜」と犬にあたえると中毒症状を引き起こす「危険な野菜」について解説していきます。

【獣医師監修】犬がトマト(生)を食べても大丈夫?トマチン中毒「花・葉・茎」に要注意!適量は?
スープやソース、ジュース、缶詰、ケチャップと、様々な製品に使用されている人気の野菜トマト。トマトが大好きな犬もいるかもしれませんが、犬がトマトを食べても大丈夫なのでしょうか?トマトの花・葉・茎には中毒を引き起こす毒素が含まれているため注意が必要です。今回は、犬にトマトを与える際の注意点やメリットについて解説します。
あなたも一言どうぞ
コメントする