【獣医師監修】犬のおしっこ(尿)が臭い。この症状から考えられる原因や病気は?
人間の場合と同様に、犬の尿の匂いは健康のバロメーターです。いつもと違う匂いがする、甘い匂いがすると思ったら要注意。病気のサインであることもあります。今回は、犬の尿が臭くなる原因や症状、病気などを解説していきます。
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日本獣医畜産大学(現:日本獣医生命科学大学)獣医学部獣医学科卒業。
2010年に日本獣医生命科学大学大学院で犬および猫の慢性腎臓病の早期診断の研究で博士(獣医学)号を取得。
2011年から日本獣医生命科学大学に着任し、同時に付属動物医療センター腎臓科を担当。
【資格】
◇獣医師
犬および猫の腎臓病・泌尿器疾患、体液・酸塩基平衡を中心に診療、研究を行っている。
自宅で、自己主張が苦手なシェルティ(オス5歳)と、走り回るのが大好きなミックス猫(メス7歳)と暮らす。
【翻訳書】
「イヌとネコの腎臓病・泌尿器病-丁寧な診断・治療を目指して」Canine and Feline Nephroligy著 ファームプレス
犬のおしっこ(尿)が臭い【考えられる原因】
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水分の不足
水分が不足すると尿が濃くなるため、アンモニア臭がきつくなります。
尿が少なくなり、排尿回数が少なくなると膀胱炎にもなりやすくなるので、水分をしっかり与えましょう。
フードの変化、投薬の影響
与えているフードの変更や薬剤の投与によって尿の匂いが変化する場合があります。
これも病気ではありません。
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尿糖
尿糖とは、血液中の糖が異常に増え尿中に排出される尿のことで、糖尿病の場合は尿糖が出ます。
一般的に尿糖は「甘い匂い」と言われています。
重症の糖尿病で低血糖(体内のエネルギーとなる糖分が不足している状態)になると、体内にケトンが増え、それが尿にも排出され、「ケトン臭※」がする場合があります。
また、腎臓の機能低下によって糖分の回収ができなくなる場合も、尿糖が出ます。
※ケトン臭:個体差があり、嗅ぐ人によっても捉え方が異なりますが、一般的には「甘酸っぱい」と言われています。
ただし、大量のケトン体が排泄されないと匂いがすることはまずありません。
犬のおしっこ(尿)が臭い【こんな場合は要注意!】
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犬の尿の匂いが気になった際に、以下の症状が見られる場合は、病気の恐れがあるので病院で診てもらいましょう。
甘い・甘酸っぱい匂いの尿が出ている
血尿が出ている
.
犬のおしっこ(尿)が臭い【この症状で考えられるおもな病気】
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犬の細菌性膀胱炎
犬の細菌性膀胱炎(さいきんせいぼうこうえん)とは、大腸菌などの細菌が尿道から入り、膀胱に炎症が起きる病気です。
感染症以外に、膀胱結石や腫瘍、外傷なども原因になります。
症状としては、頻尿や排尿時痛、血尿などが現れます。
細菌が腎臓にも入り込んでしまうと、腎盂腎炎になり、発熱、食欲低下といった症状を示すことがあります。
犬の糖尿病
犬の糖尿病(とうにょうびょう)とは、インスリンというホルモンがきちんと働かなくなったり、膵臓からの分泌量が減ることで、糖をエネルギーとしてうまく利用できなくなる病気です。
多飲多尿、体重減少のほか、重度になると脂肪の分解が増えるためにケトン体が増え、血液が酸性化し、食欲低下、元気消失、下痢や嘔吐を示します。
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犬の腎性尿糖
犬の腎性尿糖(じんせいにょうとう)は、尿の中にろ過されたブドウ糖を回収する機能の低下が原因です。
高血糖がなく、尿細管という器官で尿からブドウ糖を回収する能力のみが低下している場合に腎性尿糖と診断されます。
多飲多尿、尿糖以外の所見は基本的には認められません。
腎臓を傷害する明らかな原因が見つからない場合、とくに治療法はありません。
ただし、細菌性膀胱炎になりやすいので、定期的な尿検査を受ける必要があります。
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犬のファンコニー症候群(シスチン尿症)
腎臓の尿細管という器官は、尿の中にろ過された物質のうち、生体にとって必要な成分(栄養素やミネラル)を回収していますが、ブドウ糖、アミノ酸、カリウムなどのミネラルをうまく回収できなくなったのが、ファンコニー症候群という病気です。
とくにバセンジーでは、遺伝性の疾患として知られています。
遺伝的素因がなくとも、腎臓を傷害する病気(特に急性腎不全)が生じると、ファンコニー症候群を合併することもあります(後天性ファンコニー症候群)。
おもな症状としては、多飲多尿、体重減少ですが、症状を示さないこともあります。
この病気が慢性腎不全を引き起こすことはほとんどありませんが、細菌性膀胱炎から慢性腎盂腎炎になると腎不全に至ることもあります。
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