【獣医師監修】犬のフケが多い。この症状から考えられる原因や病気は?
フケとは、皮膚の表皮の角質細胞が剥がれたものです。過剰なフケを形成する疾患を角化異常症とよび、おもな疾患には皮脂の量が増える脂漏症が挙げられます。あまりにもフケの量が多かったり、痒がっていたりする場合は、症状が悪化する前に早めに病院で診てもらいましょう。
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一般社団法人「日本獣医皮膚科学会」認定医
一般社団法人「日本コスメティック協会」 認定指導員(獣医師)
【資格】
◇獣医師
株式会社VDTに所属し、各地の動物病院へ出張して皮膚科診療を行っている。
ペットの皮膚への造詣の深さはもとより、飼い主にわかりやすい説明に定評があり、セミナーやイベントなどでの講師経験も多数。
犬のフケが多い【考えられる原因】
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肌の乾燥とくに冬場など、皮膚が極度に乾燥するとフケが増えることがあります。また、乾燥した皮膚は表面を保護しようとして皮脂を過剰に分泌します。
また、シャンプーが合っていなかったり、シャンプーをし過ぎたりすることで皮膚が乾燥し、フケの要因になることがあります。
ビタミンAの不足
皮膚のターンオーバーや再生を促すビタミンAが不足すると、といわれる皮膚が過剰にはがれ落ちる角化異常症になることがあります。
アレルギーによる皮膚疾患
アレルギーの原因はさまざまですが、アトピー性皮膚炎など病態のひとつに皮膚の乾燥が認められる場合は、とくにフケが出やすくなります。
The Five Aggregates
真菌細菌増殖による皮膚疾患
表皮にはさまざまな真菌や細菌が常在していますが、増殖すると皮膚疾患が起き、フケが増えます。マラセチア(真菌)は、皮脂の分泌が過剰になっている状態の時に増えやすくなります。
ブドウ球菌(細菌)は、皮膚のバリア機能が低下している場合に繁殖しやすくなります。
初期症状としては皮膚が赤くなり、その後に湿疹や膿ができ、それが弾け、フケが見られます。
寄生虫による皮膚疾患
耳の淵(ふち)や膝、肘(ひじ)の辺りにフケが出ると、寄生虫がいる可能性があります。
とくに「ヒゼンダニ」が寄生すると、フケが出やすくなると言われています。
犬のフケが多い【こんな場合は要注意!】
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フケが多い状態に加え、以下の症状が見られる場合は、病気の可能性があるので病院で診てもらいましょう。
カラダをしきりに掻いている
脂漏症(しろうせい)で皮膚が乾燥したりして痒みが生じている可能性があります。
毛穴に赤いブツブツ(発疹)があり、膿も出ている
発疹が環状に広がっている
全身にフケが出ている
表在性膿皮症(ひょうざいせいのうひしょう)の症状です。皮膚のバリア機能が低下し、皮膚の表面のバランスが乱れていることが考えられます。
犬のフケが多い【この症状で考えられるおもな病気】
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犬の角化異常症(かくかいじょうしょう)
犬の角化異常症(かくかいじょうしょう)とは、表皮の代謝異常が起きる病気です。
表皮から角質細胞へ変わるサイクルが異常に早くなるため、皮膚の乾燥やフケが出たり、脂っぽくなったりします。
犬のマラセチア皮膚炎(脂漏性皮膚炎)
犬のマラセチア皮膚炎とは、皮膚に常在するマラセチアが皮脂の過剰分泌等により、増殖して痒みや赤みを引き起こす病気です。
脇や股、指の間に発症しやすく、強い痒みでひっかいたり舐めたりします。
犬の疥癬(ヒゼンダニ症)
犬の疥癬(かいせん)とは、表皮に寄生する、ヒゼンダニによる感染症です。
耳、肘(ひじ)などに起こりやすく、激しい痒みに襲われます。痒みだけでなく、フケが出たり、脱毛が全身に広がることがあります。
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犬の毛包虫症(ニキビダニ症、アカラス症)
犬の毛包虫症(もうほうちゅうしょう)とは、毛包に寄生する毛包虫(ニキビダニ・アカラス)が異常増殖し、炎症が起きる病気です。
目や口の周り、四肢などに脱毛が見られ悪化すると、痒み(かゆみ)やフケ、皮膚のただれが現れます。
犬の表在性膿皮症(ひょうざいせいのうひしょう)
犬の表在性膿皮症(ひょうざいせいのうひしょう)とは、毛穴や皮膚に、細菌が感染して起きる皮膚疾患です。
痒み(かゆみ)を伴う丘疹やかさぶたができ、その後、膿疱や脱毛、フケが現れます。
犬の皮膚糸状菌症(ひふしじょうきんしょう)
犬の皮膚糸状菌症(ひふしじょうきんしょう)とは、真菌が原因で起きる皮膚病です。
円形に毛が抜け、掻いてかさぶたができます。人畜共通感染症のひとつです。
犬のアトピー性皮膚炎
犬のアトピー性皮膚炎とは、ダニや花粉などの環境中のアレルゲンが原因で皮膚炎を起こす病気です。
強い痒み(かゆみ)で体をかいたり、舐めるため、皮膚が傷つき、ただれることもあります。悪化すると、皮膚が厚く硬くなり、色素沈着も起こります。
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