【獣医師監修】犬の眼振(がんしん)・目が揺れている。この症状から考えられる原因や病気は?

ある日突然、愛犬の目が小刻みに揺れていたら、飼い主としてはびっくりしてしまいますよね。同時に、同じ場所をぐるぐる回ったり、歩こうとするとフラフラして倒れてしまう、吐いてしまうという症状が見られることも。一体、どんな病気の可能性があるのでしょうか。

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先生にお聞きしました
濱本 裕仁 先生
日本獣医生命科学大学 付属動物医療センター 放射線科 獣医師 (獣医学博士)

【資格】
獣医師

日本獣医生命科学大学獣医学科を卒業後、同大学大学院獣医生命科学研究科にて博士(獣医学)の学位を取得。

2018年より日本獣医生命科学大学附属動物医療センターの放射線科を担当。伴侶動物におけるCTやMRIを用いた画像診断や放射線治療に従事。
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犬の眼振(がんしん)・目が揺れている【考えられる原因】

犬の眼振・目が揺れている【考えられる原因】

Michelle D. Milliman/ Shutterstock.com

犬の眼振(がんしん)の原因として、前庭系の異常が考えられます。「前庭」とは身体の平衡感覚を司る器官で、身体内の耳と脳にあります。

耳にある前庭の異常

耳の中の内耳(耳のいちばん奥にある部位)にある前庭が炎症を起こしたり損傷したりすると、正常な平衡感覚が保てなくなり、目が揺れたりふらつくという症状が現れます。

原因として多いのは、前庭の近くにある中耳や内耳などの炎症から広がることや、まれに内耳の傷害や腫瘍によることもあります。

耳が垂れている犬種は、耳の中に汚れが溜まりやすく、蒸れてバイ菌も繁殖しやすいので、時々耳をめくって異常がないかチェックしてあげましょう。

耳にある前庭器官

耳にある前庭器官

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脳にある前庭の異常

脳の中で重要な役割を果たす「脳幹(のうかん)」という部分にある前庭の異常も考えられます。

耳にある前庭と比べて発症率は低いものの、炎症などが起きると命にかかわるので、早急な対応が必要です。

老犬では原因が分からないまま、平衡感覚の異常をきたすことがあります。

愛犬に目の揺れやふらつきなどが現れた場合、飼い主が耳にある前庭、脳にある前庭どちらの異常なのかを判断するのは困難です。

速やかに獣医師の診察を受けましょう。

脳にある前庭器官

脳にある前庭器官

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犬の眼振(がんしん)・目が揺れている【こんな症状は要注意!】

犬の眼振・目が揺れている【こんな症状は要注意!】

GCapture/ Shutterstock.com

眼球が小刻みに揺れる場合は、以下のような症状が見られます。

病気の恐れがあるのですぐに病院で診てもらいましょう。

眼球が左右に揺れている

前庭の異常が考えられます。まずは、耳の病気ではないか診察してもらいましょう。

眼球が上下に揺れている

脳にある前庭の異常が強く疑われます。

脳にある前庭に異常が見られる場合は、脳腫瘍や脳出血、髄膜炎など深刻な病気かもしれません。

まずはかかりつけの獣医師の診察を受け、適宜、神経科のある専門医を紹介してもらいましょう。

犬の眼振(がんしん)・目が揺れている【この症状で考えられるおもな病気】

犬の眼振・目が揺れている【この症状で考えられるおもな病気】

chaoss/ Shutterstock.com

犬の中耳炎(ちゅうじえん)

犬の中耳炎(ちゅうじえん)とは、中耳に炎症がひろがる病気です。

耳をかゆがったり、耳だれが出たり、耳を触るのを嫌がるほか、難聴になる可能性があります。

また、外耳炎が重症化すると、鼓膜に穴が開いてしまう中耳炎になる恐れもあります。

犬の内耳炎(ないじえん)

犬の内耳炎(ないじえん)とは、耳の奥の内耳に炎症が起こる病気です。

内耳にある聴覚神経やバランスを保つ前庭神経に障害が起きると、難聴や同じ方向に回ったり、頭を傾けたりします。

重症の場合、平衡感覚が麻痺し、歩けなくなることもあります。

犬の眼振・目が揺れている【この症状で考えられるおもな病気】

Boy_Phawat/ Shutterstock.com

犬の脳卒中(のうそっちゅう)

犬の脳卒中(のうそっちゅう)とは、脳の血管が破れたり詰まることで、脳組織に異常が起きる病気です。

血管が破れ、脳卒中には脳出血と脳梗塞の2種類があります。

麻痺や歩行障害、視覚障害等が起こる可能性があります。

犬の脳腫瘍(のうしゅよう)

犬の脳腫瘍(のうしゅよう)とは、脳に腫瘍ができる病気です。

発作や旋回、眼振、運動失調など、腫瘍の部位によって症状が異なります。

また、性格や顔の表情が変わることもあります。

犬の眼振(がんしん)・目が揺れている【この症状で考えられるおもな病気】

Milica011/ Shutterstock.com

犬の特発性前庭障害(とくはつせいぜんていしょうがい)

犬の特発性前庭障害(とくはつせいぜんていしょうがい)とは、加齢などが原因で、平衡感覚に障害が起きる病気です。

眼振や首を傾けたように頭が斜めになったり、円を描くように回る旋回が現れます。

嘔吐や食欲不振が起こり、よろめいて立てない状態になることもあります。

犬の脳炎(のうえん)

犬の脳炎(のうえん)は、細菌や真菌、ウイルス、寄生虫などの感染によって起こる感染性脳炎と、感染以外の原因によって起こる非感染性脳炎があります。

これらの脳炎によって眼振が起こることがありますが、特に耳からの感染が脳にまで及んだ場合に眼振が出る可能性が高いと考えられます。

みんなのコメント

まるちーさん
先日、うっかり愛犬のマルチーズの上に物を落としてしまい、 眼振に近い状況になり大変心配になりました・・ 我が家の犬は大事に至らずにすみましたが、少しでも心配な場合は獣医に診てもらうに限りますね。
竜馬さん
四日前に急に目が左右に動き吐き気をし出して今…は目の左右が止まって自分から水を飲みに行こうとしてます。チョッとヨタヨタしながらですが、この前までは水も飲んでも吐いて居ましたが今は収まっている様です。病院に連れて行くお金がないので何か出来る事があればと思いメールしました。今日は少しですが豚肉半分だけは食べてくれましたが…食欲もないし、犬用の回復期ケアーを買って来ましたが食べる様子もありません。どぅすればいいのか教えて下さい。病院に連れて行くお金があればと自分を責めてます。 竜馬→15年です
竜馬さんへ(もう遅いかな?)さん
うちの子も眼振で6日入院しました。11万円ほどかかりました。 皮下点滴と投薬だけで通院という手もあります。その方が治療費は抑えられるかと思いますが、獣医師さんは嫌がるでしょうね。検査代(血液・エコー等)が結構かかります。ただ適切な治療をするためには必須なので、致し方ないとは思います。 お金がないので眼振と決め込み皮下点滴と投薬のみでお願いします、でやってくれる病院があればいいのですが。 ウチは怖いので預かって貰いました。
なべちゃんさん
私の犬(ビーグルミックス・18歳6か月で他界)が10歳のころだと思いますが眼振になり、かかりつけの獣医で「前庭症」と言われました。その時はステロイド注射で回復しましたが、今度眼振したら命にかかわることが多いと言われました。それから1年くらいたったころ、家内が様子がおかしい(ふらふらしている)のに気づき、見てみると眼振していました。すぐに動物病院に連れていき、前回同様ステロイド注射で復活しました。獣医も、よく気が付いたと驚いていました。通常なら亡くなっていてもおかしくないとのことでしたが、早く気付いたことが幸いしたみたいです。それからは眼振もなく、18歳6か月の天命を全うしてお星さまになりました。やはり、早く獣医に診てもらうことがいいと思います。
レオさん
14歳の愛犬が先日突然歩けなくなり病院に連れて行きました。結果眼振と言われ注射していただきましたら直ぐに歩行が出来目の症状も落ち着きましたが5日後の今朝早く吐いてしまい又フラフラして歩き眼振が再発したようです。 耳の治療もしてるので耳からなのか脳に原因があるのか心配です。今のところ食欲はありますがトイレまで行けなくなったらなど心配です。

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