Professionalインタビュー Vol.1【成城こばやし動物病院代表 小林元郎先生】

hottoの記事を監修していただいている獣医師先生に専門領域や医療方針、動物医療への想いなどを伺うインタビューシリーズ。第1回は成城こばやし動物病院の前院長で現在は代表を務める小林元郎先生にお話を伺いました。病院の代表・東京都獣医師会の副会長・動物病院経営や動物関連商品に関するコンサルタントとして活躍されています。

  • 更新日:
Professionalインタビュー Vol.1【成城こばやし動物病院代表 小林元郎先生】
先生にお聞きしました
小林 元郎 先生
成城こばやし動物病院 代表
(公社)東京都獣医師会 副会長
東京城南地域獣医療推進協会 理事

【経歴】
◇1986年 北里大学獣医畜産学部獣医学科 卒業
◇1990年~1991年 New York州Animal Medical Centerにて研修
◇1993年 成城こばやし動物病院 開業

【資格】
獣医師

【所属】
◆先制動物医療研究会 副会長
◆一般社団法人 東京城南地域獣医療推進協会 理事
一般社団法人 日本獣医皮膚科学会 所属
◆アジア小動物獣医学会(FASAVA) 所属

【メディア】
◇Webメディア
「オトナンサー」アドバイザー

【hotto Professionalインタビュー】
Professionalインタビュー Vol.1【成城こばやし動物病院代表 小林元郎先生】
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「ペットと飼い主さんの安全地帯」を目指す【成城こばやし動物病院代表 小林元郎先生】

「ペットと飼い主さんの安全地帯」を目指す【成城こばやし動物病院代表 小林元郎先生】

東京・世田谷の成城こばやし動物病院

東京・世田谷の成城こばやし動物病院

― 成城こばやし動物病院は、今年で開院28周年を迎えられました。すっかり地域に溶け込んでいますね。

小林:ありがとうございます。ここは小田急小田原線「成城学園前」駅から近くて通勤・通学時に病院の前を通る方も多いので、「地元の動物病院」として覚えていただけるよう努力しています。

私自身、生まれ育ったこの地域にはとても愛着がありますから、ご近所のみなさんに良い印象を持っていただきたいという想いが強く、病院の敷地内の花壇には常に季節の花を植え、病院を利用する人はもちろん、そうでない人にも見て楽しんでいただくようにしています。

花壇の作業をしていると「きれいですね」と声をかけてくださる方も多くて、地域の方々との交流のきっかけづくりにも役立っています。

地域の方々との交流のきっかけづくりにも役立っています。

― 小林元郎先生はなぜ獣医師を志したのですか?

お恥ずかしい話なのですが、実は「獣医師になりたい」と心から願ったのは、実際に獣医師として働き始めて数年が経ったころだったんですよ。

開業医の長男だった私は、幼い頃から何となく「医者になって父の病院を継がなくてはならない」と思い込んでいて、大学受験でも特に深く考えることなく医学部を受験しました。

ところが受験はあえなく失敗。この先どうしようかと思っていたところに父から「獣医師はどうだ?」と提案されて、これまた何となく北里大学の獣医学部を受験したところ、無事合格。

獣医師の仕事の内容もよくわからないままに獣医学部に進学して獣医師になり、都内の動物病院で働き始めました。

仕事はそれなりに充実していたのですが、正直言って、そこまで熱意を持つことができませんでした。

当時の私は獣医師の仕事の本質を理解できていなかったんですね。

個室の待合室を設けるなど細かな配慮も

個室の待合室を設けるなど細かな配慮も

転機となったのは、30歳直前で心機一転、挑戦したアメリカ留学でした。

マンハッタンにあるAnimal Medical Centerという全米最先端の総合医療施設で研修をしたのですが、そこで目の当たりにしたアメリカの動物医療は当時の日本の動物医療とはまったく違うものでした。

日本では獣医師というと「動物のケガや病気を治す医者」という認識ですが、アメリカにおける獣医師は「飼い主さんと二人三脚で動物の健康維持に取り組むパートナー」のような存在

彼らは高いプロ意識をもって、飼い主さんの心に寄り添い、強い信頼を勝ち得ていました。

そう、彼らは、「ペットの健康を守ることを通じて、人々を幸せにする役割を担っていた」のです。

「よし、自分もこんな獣医師になろう!」

そう心に誓って帰国し、飼い主さんの心に寄り添う動物医療を実践すべく、成城こばやし動物病院を開業しました。

チームワークに重点を置く成城こばやし動物病院のメンバー

チームワークに重点を置く成城こばやし動物病院のメンバー

― 成城こばやし動物病院の特色を教えてください。

まず、獣医師を中心とした「チームワーク」で診療にあたっている点ですね。

皮膚科や歯科など高い専門分野をもつ獣医師が複数在籍しており、必要に応じて専門的な診察・治療を行いますが、原則として属人的な診療は行わず、どの獣医師が担当しても一定の水準の医療をうけていただける環境を整えています。

また、当院での診療のみにこだわらず、「治癒に向けて最短の選択肢を提案する」ことも特色の1つです。

当院での一次診療が難しい場合に備えて、大学病院をはじめとした二次専門医療施設との充実した連携体制を整えています。

さらに、動物病院を「病気になってから来る場所」ではなく、「病気にならないために通う場所」として飼い主さんに認識していただけるよう、定期健診などの予防医療にも力を入れています。

その一環として、動物病院にはめずらしい東洋医学外来を有し、専門医による鍼灸や漢方薬による診療や健康指導を実施、西洋医学と東洋医学を組み合わせた健康管理を行っています。

また、ペットの長寿高齢化に伴って需要が増えている介護や看取りの領域にも対応しています。

一般的な診療に比べて非常に時間とマンパワーが必要な分野ですが、当院では経験豊富なスタッフを多く配して、万全の体制でケアに当たっています。

経験豊富なスタッフを多く配して、万全の体制でケアに当たっています

― 動物の腫瘍の治療にも力を入れていますね。

小林:「活性化Tリンパ球療法」という、敢えてがんと戦わない抗がん治療を行っています。

動物自身のリンパ球(免疫細胞の一種)を一旦体の外に取り出して培養・刺激し、点滴で体に戻すことによって免疫力や体力を高め、がんの進行を抑えてQOLを改善することを目指す治療法で、体への負担が少ない治療法として知られています。

「がんと戦って治す」というよりも進行を押さえながらがんと共生し、「QOLを最優先してできる限り長く日常生活を送ることを目指す」療法です。

具体的な治療法について説明する動画を作成していますので、ご興味のある方はご覧になってください。

院内には療法食から厳選フードまで取り揃える物販コーナーも

院内には療法食から厳選フードまで取り揃える物販コーナーも

― 小林元郎先生ご自身は、現在は診療を担当していないと伺いました。

小林:はい、数年前に私は院長を現院長に引継ぎましたので、原則として診療は行っていません。

今は病院の代表という立場で皆様により良い動物医療を届けるための活動に取り組んでいます。

たとえば東京都獣医師会の副会長としてロビー活動を行ったり、学会で最新の獣医学を学んだり、異業種の専門家と意見交換をしたり・・・と様々な活動をしています。

一見、動物医療とは関係のなさそうな勉強会に参加していたりもします。

なぜかというと、長年の動物病院経営の経験から、動物病院に必要な知識は動物医療に関するものだけではないことを身をもって知っているからです。

動物病院には実にいろいろな相談が寄せられるので、動物医療の知識だけでは対応しきれませんし、世の中の流れやトレンドを知らないと、飼い主さんのニーズにも気づくことができません。

矛盾しているように聞こえるかもしれませんが、今や動物医療しか知らない獣医師には飼い主さんの求める医療が届けられない時代になっているのです。

今や動物医療しか知らない獣医師には飼い主さんの求める医療が届けられない時代になっているのです

たとえば先日は「親が犬を飼っていたが、高齢者施設に入ることになって飼えなくなったので、犬を保健所に引き取ってもらうにはどうしたら良いか」という相談を受けました。

難しい問題ですが、日ごろから動物愛護管理法の改正に目を配り、シニア犬に関する新ビジネスについて情報収集していたことが功を奏して、その犬と飼い主さんにとってベストと思われる解決策を提案でき、結果としてとても喜んでいただくことができました。

「そんなこと、動物病院の仕事ではない」と断ってしまえばそれまでですが、当院が目指すのは「ペットの飼い主さんにとっての安全地帯」です。

ペットと飼い主さんの幸せな生活をサポートできるように、これからも様々な分野の方と交流し、学び続けたいと思っています。

「飼い主の心に寄り添う診療」をモットーに多くの信頼を集める

「飼い主の心に寄り添う診療」をモットーに多くの信頼を集める

― 成城こばやし動物病院の今後の目標を教えてください。

これまで通り、「飼い主さんの心に寄り添う診療を続けていく」こと。

そして、成城こばやし動物病院を「この地で100年続く動物病院にしていくこと」ですね。

当院はおかげさまで、近隣の皆さんにとって「あるのが当たり前」の、いわば地域のインフラ的な存在となっていますから、私の引退後も意欲のある獣医師に引き継いでもらって、100年もその先もずっと、地域の動物医療に貢献できればいいなと思っています。

ただ100年続くということは、100年間同じことをし続けるということではありません。

「時代の変化に柔軟に対応しつつ、飼い主の皆さんのペットとの生活に潤いをもたらせる」ような、新たな動物病院の姿を目指して進化し続けていきたいと思っています。

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