【獣医師監修】シェットランド・シープドッグの性格と特徴「小型で優雅な牧畜犬!」
シェットランド・シープドッグは、とても優しくて飼い主に従順な犬種です。小型犬ですが、愛玩犬ではなく、家畜を管理する牧畜・牧羊犬のグループに分けられています。イギリス最北端のシェットランド諸島という、寒い気候と荒涼とした島にルーツを持っているので、辛抱強さも兼ね備えた犬種です。
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目次
シェットランド・シープードッグの「歴史」イギリス最北端の島がルーツ
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シェットランド・シープドッグは、イギリスのスコットランドのさらに上部に位置する、シェットランド諸島が原産です。
島に生息していた、小さなコリータイプの牧畜犬と輸入したラフ・コリーをかけあわせたといわれています。
ワンワンと吠えて、家畜を追うことを得意としていました。
亜寒帯に属するシェットランド諸島は、北海に浮かぶ岩が多くやせた島々で、牧草地も狭かったことから、食物が育ちにくい環境でした。
iStock.com/CasarsaGuru
1960年代に名犬ラッシーのブームで流行ったラフ・コリーに引き続き、1970年代には、さらに小さくて飼いやすいシェットランド・コリーが大ブレイクします。
21世紀の現在では大ブレイクはおさまり、アジリティーのミディアムクラスで活躍したり、ドッグショーで高評価を受けたり、品質の高いシェットランド・コリーが家庭犬として飼育されています。
日本でのシェットランド・シープドッグの登録頭数は、132犬種中26位で1,902頭。
今でもシェットランド・シープードッグが人気の犬種であることが分かります。
参照元:一般社団法人 ジャパン ケネル クラブ【JKC】「2018年度 犬種別犬籍登録頭数」
シェットランド・シープドッグの「特徴」コリーにそっくり
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シェットランド・シープドッグは、通称シェルティと呼ばれています。
シェットランド・シープドッグの外見は、一見するとラフ・コリーにそっくりで、被毛はダブルコートの長毛です。
アンダーコート(下毛)は密集していて、オーバーコート(上毛)はまっすぐでサラサラした手触りの毛質です。
毛色は、セーブル、トライ、ブルーマール、ブラック&ホワイト、ブラック&タンです。
iStock.com/happyborder
ラフ・コリー同様に、首周りと胸元には、豊かな被毛がたなびき、前脚の後ろ側や尾の裏側にも飾り毛があるのが特徴です。
耳は体に比べて小さく、普段はやや後ろに倒れています。聞き取る能力が高く、警戒時には、先端が垂れた状態の半立ち耳で物音を拾います。
牧畜犬らしく、脚の筋肉はよく発達していて柔軟です。
シェットランド・シープードッグの基礎情報
項目 | シェットランド・シープードッグの特徴 |
---|---|
サイズ | 小型犬 |
体高 | オス:37cm / メス:35.5cm |
体重 | 6.8-11.3kg |
平均寿命 | 12-14歳 |
原産国 | イギリス |
用途 | 牧羊犬 |
参照元:一般社団法人 ジャパン ケネル クラブ 【JKC】「シェットランド・シープドッグ - SHETLAND SHEEPDOG」
アメリカン ケネル クラブ【AKC】「Shetland Sheepdog」
シェットランド・シープドッグの「性格」明るく愛情深い
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シェットランド・シープドッグの性格は、明るい性格で家族を喜ばせたくて仕方がないという愛情深い性格です。
ルーツが過酷な環境だったせいか、とても辛抱強い性格も兼ね備えています。
子どもが少々イタズラをしても、我慢強く対応することができます。
家族に従順で物覚えがよく、攻撃性もありません。
神経質な性格ではないものの繊細な面もあり、家族といつも一緒にいたがります。
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家族以外の人間には、若干警戒して知らんぷりしているようなしぐさもみせます。
牧畜犬の気質上、警戒心は強い性格ですので、番犬としての役割も果たします。
また、動くものを見ると追いかける習性を持っています。
遊び好きな性格も持ち合わせている愛らしい性格の持ち主です。
シェットランド・シープドッグの「平均寿命」かかりやすい病気は?
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シェットランド・シープドッグの平均寿命は13年前後と考えられています。
運動やフードに気を配り、愛情深く育てて健康寿命を延ばしてあげましょう。
シェットランド・シープドッグは先天的な病気として、眼の異常が見られることがありますが、かかりやすい病気は次の通りです。
コリー眼異常(コリーアイ症候群)
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「コリー眼異常」とは、眼の網膜、脈絡膜、胸膜に異常が起きる、先天性の病気です。
眼の脈絡膜(みゃくらくまく)という眼底を包む膜が薄くなったり、穴が開きます。
ごくまれに、網膜はく離や眼内出血など重度の症状が発症することがありますが、シェルティーはコリーよりも軽度であると考えられています。
角膜炎
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「角膜炎」とは、黒目の表面を覆う角膜が炎症を起こす病気です。
角膜に色がつく、涙が増える、目がしょぼしょぼするなどの症状がみられます。
眼に痛みが生じるケースと生じないケースがあります。
皮膚疾患
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免疫介在性の「エリテマトーデス」、皮膚の血流障害によって生じる「犬家族性皮膚筋炎」、遺伝性疾患により、ブルー、フォーン、グレーなどの淡色の毛が正常に育たない「淡色被毛脱毛症」などの皮膚病があります。
関節疾患
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免疫介在性の関節炎である「免疫介在性多発性関節炎(関節リウマチ)」や、股関節に痛みが生じる「股関節形成不全」などが起こりやすい傾向にあります。
関節疾患にかかると、歩くときに体重を支え切れず、足を引きずって歩く、跛行(はこう)がみられます。
シェットランド・シープドッグの「飼い方」運動をたっぷり
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シェットランド・シープドッグは、頭も賢く、しつけをすぐ覚えてくれる飼いやすい犬種です。
お子さんがいる家庭や初めて犬を飼うという家庭でも、さほど困ることはありません。
家族と一緒にいたがる犬種なので、室内で飼うことをおすすめします。
唯一、警戒心からの無駄吠えをさせないように、しつけや環境に工夫が必要です。
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警戒からくる吠えを防ぐには、警戒する必要がないということを覚えさせることが有効です。
そのためには、子犬の頃から様々なものに慣れさせることが重要です。
一度ネガティブな印象を持ったものに対して警戒心を解くのはとても大変ですので、ポジティブな気持ちでいられる程度の刺激から少しずつ慣れさせていきましょう。
牧畜犬ですから、動くものに反応しやすいので、散歩中はリードが手から離れないように注意します。
リードをグイグイ引っ張らせないよう、幼犬のうちから、上手にコントロールします。
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若いうちは毎日十分な散歩を行い、運動不足にさせないことが大切です。
走るのが大好きなので、歩くだけでなく、ドッグランなどフリーの状態で運動させ、ストレスを感じさせないようにしましょう。
被毛が長く、よく抜けるため、毎日のブラッシングと月に1~2回程度のシャンプーを行います。
コームで毛先をとかし、ピンブラシで体全体のマッサージを兼ねてとかすことで、皮膚病予防にも効果的です。
シェットランド・シープドッグのまとめ
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シェットランド・シープドッグは、家族で愛情をかければ応えてくれるでしょう。
始終べったりというよりは、メリハリのある構い方を好みます。
また、飼い主が留守の時に、異常な気配があれば、吠えて番犬の役割を果たします。
反面、吠えることでのトラブルが起きないように、しつけをあらかじめ行っておけば安心です。
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警戒心を必要以上に持たせないようにするためにも、幼犬の頃からたくさんの経験をさせることが大切です。
散歩中には、車や人や動物に出会っても怖くない、と話しかけてあげましょう。
家族みんなでシェットランド・シープドッグを愛情豊かに育てて、楽しいドッグライフを送りたいものです。
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