【獣医師監修】ドーベルマンの歴史・性格、寿命や飼い方「警戒心の強い最強のガードマン」
筋肉質で美しい体つきや、精悍(せいかん)で気高い印象から「犬のサラブレッド」と呼ばれることもある、ドーベルマン。体の大きさだけでなく番犬気質があることからも、小さな頃からしっかりとしたトレーニングが必要な犬種です。

目次
ドーベルマン【歴史】~ドイツ原産「軍用犬・警察犬」として活躍!

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ドーベルマンの原産は、ドイツのチューリンゲン地方です。
その歴史の始まりは、1834年にガードマンや税金徴収であらゆる場所をまわる仕事をしていたルイス・ドーベルマンという人物がロットワイラーやジャーマン・ピンシャー、ワイマラナー、マンチェスター・テリアなどを交配してつくり出したことだといわれています。
第一次世界大戦中には軍用犬として働き、その後も優れた能力を活かして警備犬や護衛犬、警察犬として活躍してきました。
警察犬として正式に認められたのは、20世紀初め頃とされています。
ドーベルマン【外見】その①~胸は広く深く、全体的に筋肉質!

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ドーベルマンは小さな顔に細めの首ですっきりとした印象を与えながらも、胸は広く深く、全体的に筋肉質な部分が特徴です。
大柄ながら引き締まって均整の取れた美しいスタイルで、欧米では非常に高い人気を誇っています。
猫型の小さな足先は立っている状態では完璧なアーチ形で力強く土を踏むことができます。
ドーベルマン【外見】その③~断耳(だんじ)・断尾(だんび)は必要!?

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多くの人はドーベルマンといえばキリッと尖った耳が特徴だと思っているのではないでしょうか?
ドーベルマンの耳は本来垂れていますが、生後2~3か月頃に耳形成手術を行い、立たせています。
これを断耳(だんじ)といいますが、本来は軍用犬としての実用性から行われていたものの、最近では「必要性のない断耳(だんじ)」に対して疑問の声が多く上がり、断耳(だんじ)をしていないドーベルマンも見られるようになってきました。
ヨーロッパでは「ペット動物の保護に関する欧州協定(European Convention for the Protection of Pet Animals)」において断耳(だんじ)の廃止を推奨しており、同協定を批准した多くの国では禁止しています。

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尻尾に関しても耳同様、生後まもなく短くする断尾(だんび)が行われています。
断尾(だんび)は本当に生まれてすぐ行われているため、飼う段階ではすでに手術が済んでいる場合がほとんどでしょう。
ドーベルマン【外見】その③~被毛や毛色は?

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ドーベルマンの被毛は、硬く短い毛が密集しており、手触りはベルベットのようにすべすべとなめらかで、しっかりと手入れをすると、きれいな艶(つや)が出ます。
毛色はブラック、チョコレート、ブルー、フォーンなどがあり、ブラックでも足先や口元、眉部分は茶が入っているものが多く見られます。
ドーベルマンの基礎情報
項目 | ドーベルマンの特徴 |
---|---|
サイズ | 大型犬 |
体高 | オス:68-72cm / メス:63-68cm |
体重 | オス:40-45kg / メス:32-35kg |
平均寿命 | 10-12歳 |
原産国 | ドイツ |
用途 | コンパニオン・警備犬・作業犬 |
参照元:一般社団法人 ジャパン ケネル クラブ 【JKC】「ドーベルマン - DOBERMANN」
アメリカン ケネル クラブ【AKC】「Doberman Pinscher」
ドーベルマン【性格】~見た目と甘えん坊な内面のギャップが魅力!

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ドーベルマンの性格は、多くの人の印象通りかもしれません。
軍用犬、番犬としても働けるほど、ドーベルマンは警戒心や縄張り意識が強いです。
しかし、攻撃性が高いわけではなく、通常は「こういう場合は攻撃をする」という特訓を受けているからこその行動です。
活動性や訓練性が高いのでトレーニングなどもやる気を持って、どんどん吸収していくタイプです。
しかし、犬を飼うのが初めてという人などには、ドーベルマンを扱いきれない部分があるかもしれません。

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また、ドーベルマンは警戒心を解いたときには、意外にもシャイで遊び好きな一面を見せることもあります。
遊びに誘うと、とても嬉しそうにはしゃぐ姿の愛くるしさは他の愛玩犬と何ら変わりがなく、ドーベルマン愛好家の中にはその見た目と甘えん坊な内面のギャップが魅力だと感じる人も少なくありません。
日本でのドーベルマンの登録頭数は、132犬種中40位で277頭です。
参照元:一般社団法人 ジャパン ケネル クラブ【JKC】「2018年度 犬種別犬籍登録頭数」
ドーベルマン【寿命】【気をつける病気】

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ドーベルマンの平均寿命は12年程度と考えられています。
また、ドーベルマンは心臓に関わる病気を起こしやすい犬種だといわれています。
特に拡張型心筋症になりやすいので、7歳を超えたら定期的に動物病院で健康診断を受け、心エコー検査などもおこなうと安心でしょう。

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ドーベルマンは、拡張型心筋症以外にも、胸が深いことから胃捻転(いねんてん)や胃拡張を引き起こしやすいともいわれています。
「勢いよくたくさんの食事を食べる」「大量の水を飲む」「食後すぐに運動をする」などが原因になります。
胃が拡張したりねじれたりすると、低血圧性ショックや敗血症性ショックを起こすため、ただちに胃を減圧される処置が必要です。
食後は最低でも30分はゆっくりと休ませて、走り回ったり激しい遊びをしないよう意識してください。
他には「慢性肝炎」「ナルコレプシー」「脱毛」などが挙げられます。
ドーベルマン【飼い方】向いている家庭

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ドーベルマンを飼う場合には、十分なスペースとトレーニング、散歩にしっかりと時間をさけることが必須です。
家の中で走り回るほどのスペースは必要はありませんが、小さなワンルームマンションのようにドーベルマンのサイズに見合わない場所では、ストレスが溜まってしまうことも。
散歩についても、ただ漫然と歩くだけでなく知力を引き出すような遊びを取り入れたり、大型犬用のドッグランで走らせたりと、十分な運動量が必要です。

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また、力が強い犬なので、子犬の頃から家族の一員として、よくスキンシップを取り愛情を注ぎながらしつけや社会化を行うことがなにより大切です。
信頼関係を築くためには、飼い主がドーベルマンにとって魅力的なパートナーになることを心がけましょう。
同じ犬種でも、その性格や気質はさまざま。
攻撃性が高い、警戒心が強い、比較的温和、などその個性に合わせたしつけをしていくことで素晴らしいパートナーシップが結べるはずです。
ドーベルマン【魅力】【特徴】まとめ

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ドーベルマンは見た目の勇ましさ同様、他人や周囲の状況に対して警戒を怠らないガードマン気質の犬種です。
気軽に飼える犬種ではありませんが、しっかりと関わる時間を取って共にトレーニングを重ねることで、最強のパートナーになれることでしょう。
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