【プロドッグトレーナー監修】ジャーマン・シェパード・ドッグを飼うのは危険?断耳や性格、飼い方は?

万能犬と言われるジャーマン・シェパード・ドッグ。警察犬から盲導犬まで広く活躍できるだけの高い訓練性能を誇る犬種です。「訓練しないシェパードはシェパードにあらず」という言葉があるほど、十分なしつけ・トレーニングを施してこそ彼らの良さが引き出せます。そのジャーマン・シェパード・ドッグの魅力を探ってみましょう。

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【プロドッグトレーナー監修】ジャーマン・シェパード・ドッグを飼うのは危険?断耳や性格、飼い方は?
先生にお聞きしました
鹿野(かの) 正顕 先生
「スタディ・ドッグ・スクール」(神奈川県相模原市)代表。
麻布大学介在動物学研究室(旧動物人間関係学研究室)で、人と犬の関係学を研究。
この分野では日本で初めての博士号を取得。
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ジャーマン・シェパード・ドッグ【初心者が飼っても大丈夫?飼うのは危険?】【断耳・断尾は必要?】

ジャーマン・シェパード・ドッグ【初心者が飼っても大丈夫?飼うのは危険?】【断耳・断尾は必要?】

ジャーマン・シェパード・ドッグ【初心者が飼っても大丈夫?飼うのは危険?】

ジャーマン・シェパード・ドッグ(German Shepherd Dog)は訓練して何かを覚えることに非常に長けている犬種ですが、護衛犬としても活躍していたため、警戒心や縄張り意識が強く、時には不審に感じた人に対して攻撃をしてしまうこともあります。

そのため、犬の飼育に慣れていない初心者が飼うのは難しく、積極的にしつけやトレーニングを行わないとコントロール不能の犬にしてしまう可能性もあります。

体が大きく、力もある分、事故が起きないよう十分な配慮が必要です。

ジャーマン・シェパード・ドッグと言えば品行方正な警察犬というイメージですが、咬傷(こうしょう)事故の調査研究では意外なほどリスクのある犬種として名前が挙がることがあります。

たとえば、アメリカのコロラドでの5年間にわたる調査では、重大な咬傷事故においてピット・ブルに次いでジャーマン・シェパード・ドッグが多かったことを報告していました。

ジャーマン・シェパード・ドッグ【初心者が飼っても大丈夫?飼うのは危険?】

Ryhor Bruyeu / PIXTA(ピクスタ)

こうした調査は条件や調査法によって結果には差が見られることがあるので一概には言えませんが、少なくとも使役犬としての攻撃能力、そして、万一咬傷(こうしょう)事故が起きた場合には大きなダメージを与え得るということは念頭に置いて飼育すべきでしょう。

参考までに、茨城県や札幌市などでは県や市の条例の中で「人に危害を加えるおそれのある犬」として「特定犬」を指定しており、その中にジャーマン・シェパード・ドッグが含まれています。

これは飼育不可というような意味ではなく、条例により特定犬は脱走や事故が起こらないような囲われた場所で飼育するよう定められていることを意味します。

例:【茨城県が定める「特定犬」】

✓秋田犬
✓紀州犬
土佐犬
ジャーマン・シェパード・ドッグ
ドーベルマン
✓グレート・デーン
セント・バーナード
アメリカン・スタッフォードシャー・テリア/アメリカン・ピット・ブル・テリア
✓体高60cmおよび体長70cm以上の犬
✓危険性があると判断され、知事が指定した犬

詳しくはそれぞれ居住地域の自治体で確認を。

【参照元】
Coalition for Living Safety with Dogs「Key Findings from a Five-Year Study of Reported Dog Bite Incidents in Colorado July 2007-June 2012」
茨城県「特定犬について」
茨城県「茨城県動物の愛護及び管理に関する条例」
札幌市「札幌市動物の愛護及び管理に関する条例」

ジャーマン・シェパード・ドッグ【断耳・断尾は必要?】

中には慣例的に断耳や断尾が行なわれてきた犬種もありますが、ジャーマン・シェパード・ドッグではその歴史も必要もありません

ジャーマン・シェパード・ドッグ【原産国・歴史・寿命は?】

ジャーマン・シェパード・ドッグ【原産国・歴史・寿命は?】

アオサン / PIXTA(ピクスタ)

【原産国】

原産国:ドイツ

ヨーロッパではジャーマン・シェパード・ドッグを「アルサシアン(Alsatian)」とも呼びますが、これはフランス、ドイツ、スイスの国境が接する「アルザス地方」、または「アルザス地方の」を意味する言葉であり、歴史的にドイツ領にもなり、フランス領にもなったアルザス地方だけに、この犬種の起源はフランスの犬であると信じている人がいるのも頷ける気がします。

ジャーマン・シェパード・ドッグ【歴史(種類)】

ジャーマン・シェパード・ドッグを直訳すれば、「ドイツの羊飼いの犬=ドイツの牧羊犬」になります。

犬種標準を基盤に本格的な繁殖がスタートしたのは1899年のこと。

略称SVで知られるジャーマン・シェパード・ドッグ(ドイツ・シェパード犬)協会(Verein für Deutsche Schäferhunde (SV) e.V.)が設立されてからのことでした。

この犬種の作出に大きく貢献したのは軍人であり、獣医学も学んだというマックス・フォン・シュテファニッツとその同士たちで、彼らが求めたのは、知性があり、忍耐強く、より作業能力の高い犬でした。

そのために基礎となったのが古くからドイツで牧羊犬として活躍していた犬たちです。

その中で、ホーランド・フォン・グラフラストゥ(Horand von Grafrath)という名の犬を基に、チューリンゲンやヴュルテンベルクなどドイツ中央部から南部にかけてのめぼしい犬を配し、現在の姿の原型が作り出されたと伝えられています。

やがてその類(たぐ)い稀(まれ)なる能力は世界の知るところとなり、警察犬や軍用犬として起用され、時とともに幅広いジャンルで活躍できる犬に成長したのです。

日本においては国産盲導犬第1号も、障がい者に関わる法改正のきっかけとなった盲導犬もジャーマン・シェパード・ドッグでした。

かつての名にはアルサシアン・シェパード、アルサシアン・ウルフドッグ、アルサシアン・ハウンドなどの記述が見られます。

現在、ドイツでの呼び名はドイチェ・シェファーフント(Deutscher Schäferhund/ドイツの牧羊犬)。

しかし、世界大戦の苦い経験以降、イギリスやフランスなどヨーロッパではアルサシアン(Alsatian)と呼ぶ人が多いといいます。

※時代とともに変貌していくこの犬種を憂え、往時の姿に戻したいと考えたニューヨークのブリーダーにより、新たにシャイロ・シェパード・ドッグという犬種も登場しています(アメリカンケネルクラブ/AKC未公認)。

【参照元】
Verband für das Deutsche Hundewesen「Deutscher Schäferhund 」
・Bruce Fogle, D, V, M.「The ENCYCLOPEDIA of the DOG」(DK PUBLISHING, INC.)
・デズモンド・モリス「デズモンド・モリスの犬種事典」(株式会社 誠文堂新光社、2007)他

ジャーマン・シェパード・ドッグ【寿命】

平均寿命:12~14歳

※個体の健康度や国・地域、気候、環境などによって寿命には差が生じます。

【参照元】AMERICAN KENNEL CLIB「German Shepherd Dog」

ジャーマン・シェパード・ドッグ【大きさ・毛色・子犬(赤ちゃん)の販売価格は?】

ジャーマン・シェパード・ドッグ【大きさ・毛色・子犬(赤ちゃん)の販売価格は?】

dobryak839 / PIXTA(ピクスタ)

ジャーマン・シェパード・ドッグ【大きさ(体重・体高・体格)】

【大きさ(体重・体高・体格)】

【体高】【体重】
オス:60~65cmオス:30~40kg
メス:55~60cmメス:22~32kg

体長に関しては体高よりおよそ10~17%長いとされています。

全体的にはがっしりとして筋肉質

しかし、重たさは感じさせず、十分な瞬発力があり、スピード感があります。

それはジャーマン・シェパード・ドッグ独特の姿勢からくる印象もあるのかもしれません。

ジャーマン・シェパード・ドッグ【大きさ(体重・体高・体格)】

gurinaleksandr / PIXTA(ピクスタ)

今にもダッシュしそうなこのポーズには、ジャーマン・シェパード・ドッグの優秀さを示す意図があったのだろう。

【参照元】
ジャパン・ケネル・クラブ「世界の犬/ジャーマン・シェパード・ドッグ」
Verein für Deutsche Schäferhunde e.V.「Deutscher Schäferhund」
FEDERATION CYNOLOGIQUE INTERNATIONALE 「DEUTSCHER SCHÄFERHUND 」

ジャーマン・シェパード・ドッグ【毛色の種類】

ジャーマン・シェパード・ドッグの毛色は「黒」「赤褐色」「茶色」「黄色」「明るい灰色」などを基調とし、「ブラック&タン」「ウルフ(ウルフグレー)」「ブラック」などがあり、ブラックマスクおよび鞍掛け(口吻や背中に黒い色が入る)になる犬が多くいます。

その他、毛色にはホワイトもありますが、国際畜犬連盟(FCI)やアメリカン・ケネル・クラブ(AKC)、ジャパン・ケネル・クラブ(JKC)などでは認められていません

しかし、ホワイトの愛好家たちが衰退しかけたこの毛色のシェパードの保護繁殖に尽力し、アメリカやカナダからスイスに渡った犬が同国で発展したことから2002年にはホワイト・スイス・シェパード・ドッグと名を変えて、暫定ながらFCI公認犬種となりました。

なお、被毛についてはショートタイプとロングタイプがあり、JKCにおいては2011年にジャーマン・シェパード・ドッグの犬種標準改正が行われ、登録の際に、「(S)=シュトックハール(直杖毛)」「(L)=ラングシュトックハール(長直杖毛)」の毛種記号を記載できるようになっています。

【参照元】ジャパン・ケネル・クラブ「犬種標準及びバラエティー区分の変更に伴う犬籍上の取扱いに関する事項/ジャーマン・シェパード・ドッグ」

ジャーマン・シェパード・ドッグ【子犬(赤ちゃん)の販売価格】

20万円~

※価格はあくまでも目安であり、販売者の状況や犬質によって変動します。

ジャーマン・シェパード・ドッグ【特徴・性格(気質)・魅力は?】

ジャーマン・シェパード・ドッグ【特徴・性格(気質)・魅力は?】

ジャーマン・シェパード・ドッグ【容姿・スタイル】

その風貌(ふうぼう)は狼(オオカミ)を彷彿(ほうふつ)とさせ、野性味に溢(あふ)れ、目はアーモンド型で色濃く、緩みのない口唇とともに知性を感じさせますが、たくさんの改良が加えられたジャーマン・シェパードは、遺伝子的には狼とは非常に離れています

尻尾はふさふさと豊かで、低く保持した時の形はセーバー・テイル(剣状尾)と呼ばれます。

また、ジャーマン・シェパードは使役を目的として改良されたフィールドタイプと、ショードッグを目的として改良されたショータイプの2タイプがいます。

多くの人が思い浮かべる腰が下がり、後肢(こうし)が深く沈み込んだスタイルはショータイプのジャーマン・シェパードで求めらえた容姿ですが、この特徴を維持しるためにゆき過ぎた繁殖を行うと、歩行・運動機能の問題が懸念されると指摘する意見もあります。

ジャーマン・シェパード・ドッグ【性格(気質)】

大胆でいながら注意深く状況を判断しようとするあたりは、まさに使役犬に向く資質でしょう。

堂々として自信に満ち、事あらば何事も恐れないほどの勇気で立ち向かい、その一方では愛情深く、群れ意識が強いことから家族に寄り添うことを喜びと感じるようなところがあります。

特に家族の中でも特定の人との絆(きずな)を深める傾向があり、「ワンオーナードッグ」ともいわれています。

飼い主との絆が深まり、安心した生活を送ることができれば、おおむね落ち着きのある安定した気質をもっている犬と言えるでしょう。

ジャーマン・シェパード・ドッグ【魅力】

ジャーマン・シェパード・ドッグは警察犬から探知犬、軍用犬、護衛犬、災害救助犬、盲導犬、介助犬、セラピードッグに至るまで活躍の場を選ばないほどの能力を秘めている一方で、十分家庭犬となり得るというのが最大の魅力ではないでしょうか。

ジャーマン・シェパード・ドッグ【気をつける病気は?】

ジャーマン・シェパード・ドッグ【気をつける病気は?】

気をつける病気①【股関節形成不全(こかんせつけいせいふぜん)】

大型犬に多いこの病気は股関節に緩みが生じ、お尻を左右に振るように歩く、後肢(こうし)を同時に蹴るウサギのような走り方をする、散歩や段差を嫌がる、後肢の幅が狭いなどの様子が見られるようになります。

7割は遺伝的要素、3割は環境的要素が関係するとされ、生後1年未満の若齢で症状が出ることが多いといいます。

肥満や滑りやすい床などは症状を悪化させるため、体重コントロールや環境改善は重要となります。

【参照元】日本動物遺伝病ネットワーク「股関節形成不全とは」

気をつける病気②【胃拡張・胃捻転症候群】

食後すぐの遊び・多量の飲水、加齢による胃周辺の靭帯(じんたい)の緩みなどがきっかけとなって、胃にガスや液体が溜まり、胃が膨れてしまう状態を胃拡張と言います。

これが進行すると胃が捻じれる胃捻転となり、他の臓器への血流が途絶えるなどして緊急を要する状態となってしまいます。

胸の深いタイプの大型犬に多いとされます。

気をつける病気③【皮膚疾患】

アレルギー性皮膚炎をはじめ、皮膚トラブルを意外に起こしやすい傾向にあると言われるので、皮膚のチェックは怠りませんように。

ジャーマン・シェパード・ドッグ【飼い方(しつけ)・散歩の仕方・注意点!】

ジャーマン・シェパード・ドッグ【飼い方(しつけ)・散歩の仕方・注意点!】

Kuzuppa / PIXTA(ピクスタ)

ジャーマン・シェパード・ドッグ【飼い方(しつけ)】

犬としての性格形成や行動など子犬の成長に大きく関係するのが生後3週齢~12週齢にあたる「社会化期」の経験です。

これが不十分であると、ストレス耐性も低くなりがちで、不安や恐怖も感じやすい傾向にあります。

この期間に人や物、音などに慣らしながら、たくさんの“良い”経験をさせてあげること。

それがひいてはしつけのしやすさや咬傷(こうしょう)事故の予防にもつながることでしょう。

参考までに、ペンシルバニア大学の研究によると、「望ましくない行動に対して犬を殴ったり蹴ったりする」「犬にがみがみ言う」「犬が咥えている物を力ずくで取ろうとする」「無理に犬のお腹を出させる(アルファ・ロール)」「犬をじっと見つめる、または見下ろす」「犬を無理に横にさせる(ドミナンス・ダウン)」「犬の口吻(こうふん)を手で握って揺らす」など、飼い主のこうした行為は犬の攻撃性を引き出す傾向にあるといいます。

特に、身近な人間に対して攻撃性を示す犬では、飼い主による「アルファ・ロール」と「ノー!と叫ぶ行為」に反応しやすいとしているので、飼い主さん自身のしつけ方も熟考する必要があるでしょう。

【参照元】Meghan E. Herron, Frances S. Shofer, Ilana R. Reisner「Survey of the use and outcome of confrontational and non-confrontational training methods in client-owned dogs showing undesired behaviors」(Applied Animal Behaviour Science, Volume 117, Issues 1–2, 2009, P47-54)

ジャーマン・シェパード・ドッグ【散歩の仕方】

ジャーマン・シェパード・ドッグの散歩の目安は1日2回、各1時間程度

エネルギッシュな犬種なので、時々は全身を使って走れるような環境を作ってあげられると理想的です。

散歩は義務と考えると飼い主さんも辛くなってきます。

天気の悪い日には家でボール遊びや嗅覚を使ったゲームなどをするのもいいでしょう。

脳を刺激するゲームは、意外に疲れるものです。

また、作業能力が高いので、それを満たしてあげられる仕事を与えるのもいいと思います。

ジャーマン・シェパード・ドッグ【散歩の仕方】

AK / PIXTA(ピクスタ)

ジャーマン・シェパード・ドッグ【注意点】

前出のコロラドでの咬傷(こうしょう)事故調査によると、99%の犬は事故を起こさないといいます。

できれば100%にしたいものですが、そのためには事故をできる限り予防する、事故につながりそうな状況を作らないことです。

一つには、どんなに慣れた犬でも、犬と子供だけにはしないこと。

同調査では約60%が自宅内で事故が起きていることを報告しています。

咬傷事故では10歳以下の子供が被害に遭うケースが多く、また、身長が低い分、頭部や首など致命傷になり兼ねない傷を負うことが多いといいます。

犬は人間の行動に触発されて咬むことがあり、特に幼い子供の行動は予測できないので、子供相手の時にはよく観察するようにしましょう。

ジャーマン・シェパード・ドッグ【まとめ】

ジャーマン・シェパード・ドッグ【まとめ】

Kalisson / PIXTA(ピクスタ)

「犬界のキング」と言うにふさわしいジャーマン・シェパード・ドッグ

小説や映画の中でもヒーローとなった犬はたくさんいます。

カッコよくて強いのに、甘えん坊で人といるのが好き

そんな彼らの信頼に応えられる飼い主でいる限り、一生忘れられないパートナーになってくれることでしょう。

※注意:犬は生き物であり、性格やサイズ、運動量、寿命など個体差があります。

みんなのコメント

PSYさん
小学校のときに友達が飼ってたシェパードは、 大人になって、訓練施設に行って警察犬になってました。 飼い犬との別れはつらそうだったけど、 多くの人を助ける警察犬になるってすごいなぁと幼心に思った記憶がよみがえりました。
クマちゃんさん
ブラックの足跡追及のチャンピオン犬の子供を飼っていました。訓練に出しても何一つ覚えないと言われてたのに、一生私の1メートル側から離れた事が無く、身を呈して護ってくれたとても素晴らしいボディーガードでした。精悍な面立ちと優しい性格、私には勿体無い子でした。

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