【プロドッグトレーナー監修】バセット・ハウンドは初心者が飼って大丈夫?飼い方、寿命、病気は?

バセット・ハウンドの特長と言えば、のんびりした顔つきと地面に着くほどの長い耳、そしてダックスフンドにも負けない短脚長胴の体型でしょう。映画やドラマ、アニメ、企業のイメージキャラクターなどで起用されることも多く、独特の味わいがある犬種です。イギリス原産とされながら、ルーツはフランス。そんなバセット・ハウンドの魅力とは?

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【プロドッグトレーナー監修】バセット・ハウンドは初心者が飼って大丈夫?飼い方、寿命、病気は?
出典 : Petrut Romeo Paul/Shutterstock.com
先生にお聞きしました
鹿野(かの) 正顕 先生
「スタディ・ドッグ・スクール」(神奈川県相模原市)代表。
麻布大学介在動物学研究室(旧動物人間関係学研究室)で、人と犬の関係学を研究。
この分野では日本で初めての博士号を取得。
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バセット・ハウンド【初心者が飼っても大丈夫?飼いやすい?】【断耳・断尾は必要?】

バセット・ハウンド【初心者が飼っても大丈夫?飼いやすい?】【断耳・断尾は必要?】

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バセット・ハウンド【初心者が飼っても大丈夫?飼いやすい?】

バセット・ハウンド(Basset Hound)は温厚で、それほど多くの運動量を必要としない点においては初心者でも飼育は可能でしょう。

しかし、その反面、見た目より体重があること、皮膚の皺(しわ)や耳のこまめなお手入れは必須で、吠え声が大きく、体型からも椎間板ヘルニアには注意が必要であり、その他気をつけたい遺伝性疾患もあることなどを考えると、やはり犬の飼育経験がある人により向く犬種と言えるでしょう。

何より、集中すると周囲のことはお構いなしに没頭してしまうようなところもあり、そうした気質を理解しつつしつけに取り組まなければなりません

つまり、時に飼い主さんには根気を求められるシチュエーションもあるだろうということ。

もとより、犬と暮らすには、単に「ユニークだから」「珍しいから」ではなく、犬の特性や気質、歴史を理解するのはもちろん、自分の性格や年齢、体力、生活スタイル、環境、飼育スペース、経済力、家族の協力など諸々の要素を熟考した上で犬をお選びください。

その結果、バセット・ハウンドを迎えるのならば、愛情深い犬なだけに、付き合い方次第でかけがえのないパートナー・家族となれることでしょう。

バセット・ハウンド【断耳・断尾は必要?】

バセット・ハウンド【初心者が飼っても大丈夫?飼いやすい?】【断耳・断尾は必要?】

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バセット・ハウンドでは断耳・断尾は行なわれません

バセット・ハウンド【ビーグル】の違いは?

バセット・ハウンドとビーグルとが比較されることがありますが、確かに耳が垂れ、短毛であること、毛色、尻尾の形など似ています。

かつて徒歩で狩りをするハンターたちと同行できる程度のスピードを求められた犬種であることも共通しています。

体高もほぼ同じくらい。

しかし、圧倒的に違うのが脚の長さと体重で、バセット・ハウンドの脚は短く、体重は大柄な中型犬、もしくは小柄な大型犬並みの重さになることがあります。

それに対し、ビーグルの脚の長さは中庸で、体重もほどほどです。

耳の長さはバセット・ハウンドのほうがより長く、皮膚のたるみもバセット・ハウンドでは目立ちます。

バセット・ハウンド【ビーグル】の違いは?

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しかし、バセット・ハウンドと比較するならば、他にも似たような犬たちがおり、同じ「バセット(Basset:フランス語読みではバセー)」が犬種名に付く犬には、

【バセット】がつく犬種一覧

▪グランド・バセット・グリフォン・ヴァンデーン(Grand Basset Griffon Vendeen/フランス)
▪プチ・バセット・グリフォン・ヴァンデーン(Petit Basset Griffon Vendeen/フランス)
▪バセー・アルティジャン・ノルマン(Basset Artésian Norman/フランス)
▪バセー・ブルー・ド・ガスコーニュ(Basset Bleu de Gascogne/フランス)
▪バセー・フォーヴ・ド・ブルターニュ(Basset Fauve de Bretagne/フランス)
▪バーニーズ・バセット(Bernese Basset/スイス)
▪ジュラ・バセット(Jura Basset/スイス)
▪ルツェルン・バセット(Lucerne Basset/スイス)
▪シュヴィーツ・バセット(Schwyz Basset/スイス)
▪ウェエストファリアン・バセット(Westphalian Basset/ドイツ)
▪アルパイン・バセット(Alpine Basset/オーストリア)
▪ダニッシュ・バセット(Danish Basset/デンマーク)

などがいます。

「Basset」とはフランス語で「低い」「短い」「矮小(わいしょう)」などを意味しますが、これらの犬はバセット・ハウンドほどとは言わずとも、脚が短めで体高が低い傾向にあります。

バセット・ハウンド【ビーグル】の違いは?

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また、バセット・ハウンドの発展段階において、ブリーダーでもあったイギリス人のエヴァレット・ミレー卿(Everett Millais:ラファエル前派の画家ジョン・エヴァレット・ミレー卿の息子)が1874年にフランスのパリでオスのバセット・ハウンドを手に入れ、繁殖を開始しますが、後にブラッドハウンド(Bloodhound)と交配をしたと伝えられており、以降の犬はフランスの犬より大柄で、頭部が長く、胴は重たくて、皺(しわ)の多い犬になったと言われています。

それを知った上でバセット・ハウンドとブラッドハウンドとを比べると、やはり顔の表情や重厚感、秀でた嗅覚などよく似ています。

【バセット・ハウンドとビーグルの相違点】

【原産国】【サイズ】【被毛と毛色】【体】
バセット・ハウンドイギリス33cm~38cm
18kg~29kg
中型
短毛
トライカラー、
バイカラー(レモン&ホワイト、レッド&ホワイト、タン&ホワイトなど)他、許容される
ハウンド・カラー
短脚長胴
耳が長い
皮膚にたるみがある
ビーグルイギリス33~40cm
9kg~14kg
小柄な中型
短毛
レバー以外のハウンド・カラー
脚の長さは中庸
耳は中庸の長さ
喉元にわずかな皮膚のたるみがある

ハウンド・カラー=ホワイトを基調にブラックやタンの不規則で大きめな斑模様(パッチ)がある毛色で、ハウンド系の犬によく見られることからハウンド・カラーと呼ばれる。または、ハウンド・マーキングとも言う。

バセット・ハウンド【原産国・歴史・寿命は?】

バセット・ハウンド【原産国・歴史・寿命は?】

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バセット・ハウンド【原産国】

原産国:イギリス

バセット・ハウンドは1866年にイギリスへ渡った後に発展したため、スタンダード上はイギリスが原産国とされていますが、もともとのルーツはフランスやベルギーにあると言われています。

バセット・ハウンド【歴史(種類)】

バセット・ハウンドの歴史を辿ると、まずはバセー・アルティジャン・ノルマン(Basset Artésian Norman/ノルマン・アルティジャン・バセーNorman Artesian Basset/ノルマンディ・バセーNormandy Basset)に突き当たります。

この犬はフランスのバセットタイプの猟犬で、同じくバセットタイプのバセー・アルトワ(Basset d’Artois)とバセー・ノルマン(Basset de Normandie)との交配により誕生しました。

一見して脚の短いフォックス・ハウンドといった感じですが、現代のバセット・ハウンドの基礎となった犬であるという記述を目にすると、皺(しわ)のたるみ以外、確かにバセット・ハウンドの面影があるように思えます。

フランスには古くからこのような脚が短めで体高の低いハウンド(獣猟犬)があちらこちらに存在していましたが、興味深いことに、多くの場合、同じハウンドの中に脚が長いタイプと短いタイプの犬がいたというのです。

なぜ、「短脚の犬がいたのか?」という点については、

【短脚の犬がいたのか?】

1.突然変異によるものであり、そうした犬を選択繁殖することで固定した

2.脚が短めの犬同士を交配して、徐々に脚を短くしていった

という説がありますが、前者が広く受け入れられているようです。

バセット・ハウンド【原産国・歴史・寿命は?】

Reha Mark/ Shutterstock.com

ここで突き当たるのが、今では姿が見られなくなったベルギー原産の猟犬セント・ヒューバート・ハウンド(St. Hubert Hound/セント・ヒューバート・ブラッドハウンドSt. Hurbert Bloodhound/シァン・ド・サン・ユベールChien de St. Hubert)です。

この犬はたいへん古い犬種で、現在のセントハウンド(嗅覚に秀でた獣猟犬)たちの祖とされ、ブラッドハウンドの生みの親でもあると言われています。

当然、フランスの各地にいたハウンドたちもその影響を受けていたと考えられますが、このセント・ヒューバート・ハウンドに骨の発育異常が出る遺伝子があったのではないかとする話もあるものの、事の真相はわかりません。

では、セント・ヒューバート・ハウンドとはどんな犬なのか、さらに歴史を遡(さかのぼ)っていくと、ゆかりの深い場所として、687年に建立されたというセント・ヒューバート修道院(Abbey of Saint-Hubert/Abbey of St Peter in the Ardennes/フランス語読みではサン・ユベール)が出てきます。

この修道院はベルギーとフランスをまたぐアルデンヌ地方にあり、ここの修道士(司祭との表記もある)であったセント・ヒューバートは狩りと猟犬に熱心で、複数のハウンドを飼育および繁殖し(その多くは脚が短めの犬だったという話もある)、セント・ヒューバート・ハウンドを作出したと言われています。

人と犬に加え修道院も同名なため、少々混乱してきますが、「狩猟の守護聖人」として知られるようになったセント・ヒューバート亡き後(727年)、仲間の修道士たちによって彼の名前が犬たちに冠せられたというのですから致し方ありません。

バセット・ハウンド【原産国・歴史・寿命は?】

Zuzule / PIXTA(ピクスタ)

そもそも、セント・ヒューバートは何を目標に繁殖をしていたのか?

一つにはブラッドハウンドのような、それまでとは違ったタイプのハウンドを作出しようとしたという説があり、その途中で短脚の犬が産まれたのか、はたまた最初から短脚のハウンドを必要として繁殖していたのか、それは定かではありませんが、いずれにしてもフランス王室にも送られていたというセント・ヒューバート・ハウンドは徐々にフランス全土に広がっていき、あちらこちらで短脚長胴のハウンドが見られるようになったのかもしれません。

さらに歴史を辿れば、古代エジプトの遺物にも短脚長胴の犬の姿を見ることができ、関連性を示唆する意見もありますが、遥か昔のことゆえ、想像するだけに留まります。

本来、こうした短脚のハウンドは猟には使えないと思われるところですが、彼らは違いました。

短脚で体高が低いゆえに、人間と同じスピードで歩けること、地面からの匂いをキャッチしやすく、長い耳も匂いを囲み入れやすいと思われたことなど有利に働き、徒歩で猟をするハンターたちには重宝がられました。

馬を所有できず、徒歩で猟をするしかない庶民のための犬であったという記述も見られますが、その裏では、馬では行けない猟場もあった、フランス革命(1789年~1799年)以後、混乱する社会情勢の中で余裕がなくなり、馬を所有できなくなった貴族もいたなどの話もあり、貴族に限らず、広く万人が使える猟犬だったようです。

いずれにしても、短脚ハウンドに生きる道ができたことに変わりはありません。

バセット・ハウンドの先祖犬たちが、出版物に「Basset」という名前で紹介されたのは1500年代半ばのことだったそうですが、かのシェイクスピア(1564年~1616年)も作品「真夏の夜の夢」の中でバセットタイプの犬について記述しているといいますから、世間に知られた存在になっていたのでしょう。

バセット・ハウンド【原産国・歴史・寿命は?】

Willeecole / PIXTA(ピクスタ)

そして、時は1866年、トゥルノン伯爵からゴールウェイ領主に譲られた犬がイギリスに渡った最初のバセット・ハウンドであると一般的には伝えられています。

この犬は後にオンズロー伯爵に譲られることになりますが、エヴァレット・ミレー卿(「バセット・ハウンド【ビーグル】の違いは?」の段を参照)の犬とともに現代的なバセット・ハウンドの基礎を築くこととなりました。

バセット・ハウンドが独立した犬種として公認されたのは1880年代に入ってからのこと。

バセット・ハウンド・クラブが設立されたのは1884年

以降、第一次世界大戦(1914年~1918年)後は消滅の危機に陥るも、見事に復活を果たし、映画やドラマ、アニメ、企業のイメージキャラクターなどで起用されることが多い独特の魅力ある犬種となりました。

バセット・ハウンド【原産国・歴史・寿命は?】

Zuzule / PIXTA(ピクスタ)

【おまけの話】

2009年、アメリカの国立衛生研究所の研究チームが、バセット・ハウンドやダックスフンド、ウェルシュ・コーギーなど短い脚をもつ19犬種において、共通して線維芽細胞成長因子4(FGF4)というレトロ遺伝子の余分なコピーがあることを突き止めました。

これによって軟骨異形成、つまり脚が短くなるようです。

【参照元】
THE KENNEL CLUB「Basset Hound」
FEDERATION CYNOLOGIQUE INTERNATIONALE (AISBL)「WHIPPET」
・interzoo/監修 社団法人ジャパン ケネル クラブ「最新犬種図鑑」(2008年)
AMERICAN KENNEL CLUB「Basset Hound」
THE BASSET HOUND CLUB
BASSET HOUND CLUB OF AMERICA
・デズモンド・モリス「デズモンド・モリスの犬種事典」(株式会社 誠文堂新光社、2007)
・Bruce Fogle, D, V, M.「The ENCYCLOPEDIA of the DOG」(DK PUBLISHING, INC.)
Basset Hound Owner’s Club「THE BASSET HOUND A SHORT HISTORY」
Parker HG, VonHoldt BM, Quignon P, et al.「An expressed fgf4 retrogene is associated with breed-defining chondrodysplasia in domestic dogs.」(Science. 2009;325(5943):995-998. doi:10.1126/science.1173275)

バセット・ハウンド【平均寿命】

平均寿命:12 歳~13歳

*個体の健康度や国・地域、気候、環境などによって寿命には差が生じます。

バセット・ハウンド【大きさ・毛色・子犬(赤ちゃん)の販売価格は?】

バセット・ハウンド【大きさ・毛色・子犬(赤ちゃん)の販売価格は?】

MirasPictures / PIXTA(ピクスタ)

バセット・ハウンド【オスの大きさ(体重・体高・体格)】

体高:33cm~38cm

体重:18kg~29kg

バセット・ハウンドは体高だけを見ると小柄な中型犬といったところですが、その実、骨太で体つきはがっちりしており、見た目以上に体重があって、小柄または細身のラブラドール・レトリーバーと同じくらいの重さがあります。

バセット・ハウンド【メスの大きさ(体重・体高・体格)】

体高:33cm~38cm

体重:18kg~29kg

体高に関して、スタンダード上はメス犬とオス犬の区別なく33cm~38cmと表記されていますが、一般的に、メス犬はオス犬に比べてやや小柄になる傾向があります。

バセット・ハウンド【大きさ・毛色・子犬(赤ちゃん)の販売価格は?】

Luca / PIXTA(ピクスタ)

バセット・ハウンド【毛色の種類】

バセット・ハウンドの毛色で一般的なのは「トライカラー(ブラック、ホワイト、タンの3色の組み合わせ)」と、バイカラー(2色の組み合わせ)の一つである「レモン&ホワイト」ですが、バイカラーには「レッド&ホワイトやタン&ホワイト」などもあります。

その他、許容されるハウンドカラーであれば良いことになっています。

被毛は手触りが滑らかで、耳はビロードのよう。

体のラインがはっきりとわかる短毛です。

ドッグショーにおいては、長い被毛や軟らかい被毛、フェザリング(飾り毛)があるものは望ましくないとされますが、その昔より、バセットタイプの犬にはスムースヘアとラフヘアの2種類が存在していました。

バセット・ハウンド【子犬(赤ちゃん)の販売価格】

バセット・ハウンド【大きさ・毛色・子犬(赤ちゃん)の販売価格は?】

Willeecole / PIXTA(ピクスタ)

30万円~

*価格はあくまでも目安であり、販売者や犬の状況によって変動します。

日本におけるバセット・ハウンドの登録数は130頭(2020年)。

国内にもブリーダーがおり、手に入れることは可能です。

【参照元】一般社団法人ジャパン・ケネル・クラブ「2020年(1月~12月)犬種別犬籍登録頭数」

バセット・ハウンド【特徴・性格・食事は?】

バセット・ハウンド【特徴・性格・食事は?】

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バセット・ハウンド【容姿・スタイル】

バセット・ハウンドを目にした時、何と言っても人目を引くのは脚の短さでしょう。

骨太でしっかりとした脚ながら、「長い胴体を十分に支えきれるのか?」と危惧する声も聞かれるくらいです。

その脚の下部には皮膚のたるみが見られることもあります。

前肢はわずかに内側に入ることもありますが、歩行を妨げるほどではありません。

額や眼の横には皺(しわ)が見られることがあり、犬が下を向いた時、それが強調されます。

バセット・ハウンドでは、眼は菱形(ひしがた)と表現され、額の皺と相まってどこか物憂げにも感じ、独特の雰囲気を醸し出しています。

頭部は体に対してやや大きく見え、頭蓋はドーム型で、低い位置(眼の位置から少し下)に長くて大きな耳が付き、その長さは鼻先を超えるほど。

上唇は下唇を覆うように垂れており、喉元には皮膚のたるみ(デュラップ/Dewlap)が見られます。

胴は長く、全体的にずっしりとして深みがあり、後望すると球形のようにも思える臀部から生えた尾は長く、サーベル状で、その尾を背腺より高く掲げた姿は誇らしげです。

バセット・ハウンド【性格(気質)・魅力】

バセット・ハウンド【特徴・性格・食事は?】

Zuzule / PIXTA(ピクスタ)

バセット・ハウンドを人間に例えるとするなら、「武骨で生真面目な職人」といったところでしょうか。

気質的には穏やかで愛情深く、落ち着きがあり、争そい事は好まない傾向にあります。

忍耐強く、マイペースでもあり、他の犬や子どもに対してもおおむねフレンドリーに接することができるとは言われますが、それにはしつけや、相手との接し方、その場の状況・環境などが関係することは言うまでもありません。

人間と暮らすには好ましい気質をもっているバセット・ハウンドなわけですが、一方で、何かに集中すると飼い主さんの声も耳に入らず、自分の世界にのめり込んでしまうようなところがあり、また、粘り強くて頑固で一途といった狩猟犬らしい気質ももち合わせています。

また、他の犬種よりも若干トイレのしつけがしづらいと言われているため、飼い主さんの忍耐強さとしつけの技術が問われることもあります。

容姿同様、気質的にも味わいのある犬種です。

バセット・ハウンド【食事(食べ物)・お手入れ】

バセット・ハウンド【特徴・性格・食事は?】

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バセット・ハウンドのごはん

年代ごとに必要エネルギーも違ってくるので、年齢ステージに合ったごはんを与えるようにしましょう。

昨今では、犬でも腸活が注目されているので、日々のごはんにプロバイオティクス(乳酸菌やビフィズス菌など)、およびそのエサとなるプレバイオティクス(オリゴ糖や一部の食物繊維など)を取り入れるのもおすすめです。

腸は第二の脳とも言われるほど重要な働きをする器官であり、腸内環境の悪化は下痢や便秘、皮膚トラブル、免疫力の低下、口臭や便臭の悪化、肥満などに関係すると言われます。

さらには、腸には幸せホルモンと呼ばれるセロトニンを分泌する働きもあるのです。

バセット・ハウンドは皮膚トラブルも懸念されるため、腸内環境を整えることは皮膚トラブルの予防にもつながるでしょう。

バセット・ハウンド【特徴・性格・食事は?】

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余談として、フィンランドのヘルシンキ大学が行なった子犬期の食事と成犬時のアレルギー/アトピー疾患との関連についての最新研究によると、子犬期(生後2ヶ月~6ヶ月)に生食や人間の食事の残り物、魚油サプリメントなど摂取していた犬は、成犬期のアレルギー/アトピー疾患の発生率が有意に低かったそうです。

反対に、子犬期に果物や乾燥肉、混合油サプリメントなどを摂取した犬、そして水たまりの水を飲むような犬では、成犬期のアレルギー/アトピー疾患の発生率が有意に高かったとか。

果物がアレルギーの発症と関係するのか?」と思うところですが、幼い時期に糖分の多いものを頻繁に摂取すると腸内細菌叢に負の影響があるようです。

また、魚油サプリメントについては頻繁に与えて過剰となると、逆にアレルギー/アトピー疾患発症の危険因子にもなってしまうそうで、何事も過ぎたるは猶及ばざるが如しということなのでしょう。

この研究は、これらの結果を証明するものではなく、因果関係を示唆するものであるとしていますが、参考にはなると思います。

【参照元】Hemida, MBM, Salin, S, Vuori, KA, et al.「Puppyhood diet as a factor in the development of owner-reported allergy/atopy skin signs in adult dogs in Finland.」(J Vet Intern Med. 2021; 35(5):2374-2383.)

バセット・ハウンドのお手入れ

バセット・ハウンド【特徴・性格・食事は?】

MirasPictures / PIXTA(ピクスタ)

バセット・ハウンドは短毛である点においてはお手入れにそれほどの手間はかかりませんが、長い耳と皺(しわ)の間は皮膚トラブルを起こさないようこまめなお手入れが必要です。

耳はイヤークリーナーを使って汚れを優しく拭き取りますが、耳の穴に綿棒を使用すると汚れを奥に押し込んでしまうことがあるので、耳の穴の手前くらいまでを掃除するのがいいでしょう。

被毛は週に1~2回程度ブラッシングを。

皺の間はぬるま湯に浸したタオルや犬用のウェットティッシュなどで汚れを拭き取ります。

汚れが目立たない限り、シャンプーは月に1回程度を目安にし、ドライングの時には皮膚トラブル予防のために皺の間までしっかり乾かすようにしましょう。

また、現代では多くの犬が歯周病をもっているので、定期的に歯磨きをするのも大事です。

犬の場合、歯垢が歯石に変化するのは3日~5日であることから、できれば毎日、少なくとも1日おきには歯磨きを行なうのが理想的です。

バセット・ハウンド【気をつける病気は?】

バセット・ハウンド【気をつける病気は?】

MirasPictures / PIXTA(ピクスタ)

気をつける病気①【肘関節異形成症(ED)】

犬の肘関節異形成症(ちゅうかんせついけいせいしょう)は遺伝性疾患の一つであり、ジャパン・ケネル・クラブ(JKC)ではこの病気のリスクが高いと考えられる犬種としてバセット・ハウンドもそのリストに含まれています

通常、この関節疾患は大型犬に多いと言われますが、上腕骨・橈骨(とうこつ)・尺骨(しゃっこつ)の3つから構成される肘関節において、本来はこれらの骨が互いにぴったりと一致し合って関節の動きをスムーズにしているところ、いずれかの骨の成長に異常が生じ、歩行異常が見られるようになります。

尺骨の鈎状突起(こうじょうとっき)の異常、上腕骨の内側関節面の軟骨異常、骨同士の不整合などいくつかの病態があり、それらが重なっているケースもあるといいます。

症状は軽度から重度のものまであり、前肢の跛行の他、歩く時に頭が上下する、前肢の片脚にしか体重をかけない、前肢が細く見える、肘関節(ちゅうかんせつ)が腫れているなどの症状が見られることも。

進行すると強い痛みにより、歩行が困難になることもあります。

治療には内科的治療と外科的治療がありますが、生後5ヶ月~10ヶ月頃に発症することが多く、早期治療が大事となるそうなので、心配な場合は動物病院で関節の検査をしてもらうといいでしょう。

【参照元】
一般社団法人ジャパン・ケネル・クラブ「遺伝性疾患の発生リスクが高いと考えられている犬種」
埼玉動物医療センター「骨・関節の病気」

気をつける病気②【椎間板ヘルニア】

犬の背骨(脊椎)は頸椎(7個)、胸椎(13個)、腰椎(7個)、仙椎(3個)、尾椎(20~24個)から成り立っていますが、脊椎(せきつい)同士の間には脊椎が動いた時の衝撃を和らげるクッションの役目を果たす椎間板があります。

脊椎の中には脊柱管が通っており、さらにその中には脊髄が通っています。

脊髄はいわゆる中枢神経で、脳からの指令を体全体に伝えたり、逆に抹消の感覚や動きなどの情報を脳に伝えたりする役目を担っています。

犬の椎間板ヘルニアとは、椎間板に変性が起こり、脊髄側に飛び出して脊髄を圧迫してしまう病気のことであり、「ハンセン1型」と「ハンセン2型」という二つのタイプがあります。

椎間板の中心部にはゼリー状の物質(髄核)があり、その周囲には弾力性に富んだ線維輪があるのですが、「ハンセン1型」では主に髄核が硬くなることで線維輪を突き抜けて飛び出てしまい、多くが急性に発症し、ダックスフンドやシー・ズーのような短脚長胴の犬に多いと言われます。

一方、「ハンセン2型」は加齢に伴って線維輪が分厚くなることで精髄を圧迫し、多くが中年期~高齢期に発症します。

症状は背中の痛みや段差を嫌う、飛び上がれない、後肢のふらつきなどの他、重度になると後肢の麻痺や排泄困難に陥ります。

症状によって5つのグレードに分けられ、重度の場合、早急な手術が必要になることもあります。

バセット・ハウンド【気をつける病気は?】

Honu / PIXTA(ピクスタ)

気をつける病気③【バセット・ハウンド血小板症(血小板機能障害)】

バセット・ハウンドでは遺伝的に血小板の機能障害が起こることがあると言われています。

血小板は血液中に存在し、血管が傷つくと傷口周辺に集まり、互いにくっつき合うとともに、肝臓で作られる凝固因子に反応して血液を固まらせ、さらに傷口組織の修復を助ける物質を放出する働きを担っています。

しかし、血小板に異常が生じることで、あざができやすくなったり、出血が止まりにくくなったりします。

【参照元】UNIVERSITY OF PRINCE EDWARD ISLAND「Platelet dysfunction (thrombocytopathia, Basset hound thrombopathia)」

バセット・ハウンド【病気になった場合、ペット保険は適用される?】

バセット・ハウンド【病気になった場合、ペット保険は適用される?】

artsilense / PIXTA(ピクスタ)

愛犬が病気や怪我をした時に、その治療費を補償してくれるのがペット保険ですが、どんな病気や怪我でも補償されるというわけではありません

基本的に、

予防にあたるもの

例)狂犬病や各種感染症の予防ワクチン、フィラリア予防、マイクロチップ装着費用、健康診断費用

病気にはあたらないと判断されるもの

例)歯石除去乳歯遺残、去勢・避妊手術

交配や出産関連、トリミング関連

先天性疾患またはすでに見つかっている先天性疾患、すべてまたは一部の遺伝性疾患、すでに罹(かか)っている病気

例)膝蓋骨脱臼股関節形成不全、進行性網膜萎縮症

代替医療

例)アロマセラピー、ホメオパシー、理学療法

などは”補償対象外”となるのが一般的です。

また、本来は病気のくくりであっても、鼠径(そけい)ヘルニア、臍(さい)ヘルニア、眼瞼内反・外反、停留睾丸なども”補償対象外”になることが多いです。

ただし、同じ病気であっても、A社では”補償対象外”であるのに対し、B社では”補償対象”となることもあり、ペット保険会社によって違いがあります。

加えて、加入できる年齢の制限や補償条件など各社各様なので、ペット保険の加入を考える時には、愛犬の健康リスクや年齢などを踏まえ、各ペット保険会社をよく比較検討して選ぶことをおすすめします。

バセット・ハウンド【飼い方(しつけ)・散歩の仕方・注意点!】

バセット・ハウンド【飼い方(しつけ)・散歩の仕方・注意点!】

SuperJStus / PIXTA(ピクスタ)

バセット・ハウンド【飼い方(しつけ)】

バセット・ハウンドの穏やかでおおらかな気質を引き出すためには、早い時期からの「社会化」が大切となります。

生後3週齢~12週齢にかけての「社会化期」は子犬がいろいろな物事を吸収し、犬として生きていく上での基盤を築くとともに、性格を育むにももっとも大事な時期です。

この期間には、子犬にとってトラウマにならない範囲で、人や他の犬、物、音、環境など、できるだけ“良い経験”をたくさんさせてあげながら慣らすようにしたいものです。

バセット・ハウンドはマイペースなところもあるので、しつけは結果を急がず、愛犬のペースに合わせてじっくり取り組むのが良いでしょう。

時には根気も必要

失敗したなら一つ前の段階に戻ってやり直し、”できたら褒める”

これがしつけのコツとなります。

また、「良く響き渡る抑揚のある吠え声」と表現されるように、バセット・ハウンドは吠え声が大きい傾向にあるので、「名前を呼んだら飼い主に注目する」など、吠える対象から意識をそらすことで、吠え声をコントロールできることが望まれます。

バセット・ハウンド【散歩の仕方】

バセット・ハウンド【飼い方(しつけ)・散歩の仕方・注意点!】

Diyanski / PIXTA(ピクスタ)

狩猟犬として盛んに使われていた頃、人間の歩行と同じくらいのスピードで移動できることを重宝がられたバセット・ハウンドだけに、それほど多くの運動量は必要としません

散歩の目安は「1回30分程度を1日2回」

とは言っても、心身の健康のためには適度な運動は必要であり、時々はドッグランのような場所で思い切り遊ばせてあげられる機会を作れると理想的です。

気をつけたいのは暑い時期や寒い時期です。

バセット・ハウンドは体高が低い分、地熱の影響を受けやすいので、特に夏場は熱中症にご注意ください。

その他、猟をする際には諦めることなく獲物を追い続けるようなところがあるため、他の小動物には注意を払ったほうがいいでしょう。

首輪などで引っ張り続けると頸椎を痛めてしまいます。

特にバセットハウンドは体重も重く引っ張る力も強いため、引っ張り防止用のハーネスなどを利用すれば、飼い主さんも犬も負担が軽減します。

バセット・ハウンド【注意点!】

バセット・ハウンド【飼い方(しつけ)・散歩の仕方・注意点!】

valleyboi63 / PIXTA(ピクスタ)

バセット・ハウンドは忍耐強い犬でもあります。

このようなタイプの犬は、ストレスや嫌な事があってもじっと耐え、それをため込んでしまうことも考えられます。

もちろん、個体差があることは言うまでもありませんが。

一つには、十分な社会化でストレス耐性を高めることも大事でしょう。

もう一つには、愛犬が出すストレスサインに早めに気づけるよう、飼い主さんが観察眼をもてること。

ただし、犬がストレスサインを出したからといって、それが必ずしもストレスからきているとは限らず、その時の状況から判断しなければなりません。

加えて、ストレスサインを出すことでストレスそのものが解消できている場合もあるので、まずは大騒ぎせず、犬の様子を観察することが大事です。

それでも愛犬に何らかのストレスがあると思われる時には、ストレスの原因を探り、避けられるものは避けるようにするとともに、ストレスの解消にも配慮してあげましょう。

専門家によると、意外に散歩や運動を増やすことで問題が軽減されるケースも多いといいます。

それだけ散歩は大事だということでもありますね。

【犬が出すストレスサインの例】

▪あくびをする
▪鼻先(口)を舐める
▪浅く速い呼吸になる(パンティング)
▪体をぶるぶるっと振る
▪体が震える
▪体を掻く
▪動作がゆっくりになる
▪床(地面)の匂いを嗅ぐ
▪耳を倒し、眉を下げて困ったような表情をする
▪落ち着きがなくなる
▪辺りをきょろきょろする
▪うろうろ歩き回る
▪その場から逃げる        など
(同じ行動を何度も繰り返す常同行動もストレスサインの一つと考える専門家もいる)

バセット・ハウンド【まとめ】

バセット・ハウンド【まとめ】

pranee_stocker/ Shutterstock.com

バセット・ハウンドは実にユニークな犬です。

困ったような、それでいて物事を知り尽くしたかのような独特の表情は人の心を油断させ、あっと言う間に彼らの虜(とりこ)にしてしまいます。

日頃の悩みをぼそっと呟いても、バセット・ハウンドは昼寝を決めこんだふりをしながら、大きな耳でそれを聞き取ってくれることでしょう。

愛犬と言うより、”相棒”

バセット・ハウンドには、そんな言葉がぴったりです。

*注意:犬は生き物であり、性格やサイズ、運動量、寿命など個体差があります。

みんなのコメント

たれ耳わんちゃん大好きさん
バセットハウンドの垂れた耳がキュートだと 思っていましたが、そんな歴史があったのですね! 猟犬のようなすばっしこさが想像できなかったので とても意外でした!

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