【獣医師監修】世界最強の闘犬!「ピットブル」絶対知っておくべき特徴と意外な素顔や性格とは?
「闘うため」に生み出され、「強くなるため」に鍛え上げられる究極の闘犬、アメリカン・ピット・ブル・テリア(通称:ピットブル)。その特徴的な気質や意外な一面、そしてピットブルを取り囲む世界の状況をご紹介します。
- 更新日:
目次
ピットブル【外見】「強靭(きょうじん)な筋肉」で強さがみなぎる!
Svetlanistaya / PIXTA(ピクスタ)
ピットブルは力強いイメージを持たれていることから大型犬だと勘違いされがちですが、体はそれほど大きくなく、中型犬に分類されます。
体の特徴としては、体高は低めなものの、胸は幅広く深いため、より大きく見えます。
平均的な体高は46~56センチ、体重は14~36キロです。
全体的にとても筋肉質で太い体躯はギュッと引き締まり、俊敏さや機敏さが感じられます。
中には、猛烈な訓練によって過剰に鍛え上げることで筋肉が巨大化しているピットブルもいるようです。
cynoclub / PIXTA(ピクスタ)
毛は短く、厚みがあり、獣毛ブラシなどで整えると、表面の艶が出て、滑らかに整います。
カラーや模様はホワイト、ブラック、タン&ホワイト、トライカラーなどさまざまです。
頭部は骨格と筋肉がはっきりとわかり、目は小さめで、穏やか、たれ耳ですが、「怖そう」に見せるため、断耳(だんじ)して立たせていることが多いようです。
【ピットブルの基礎情報】
【項目】 | 【ピットブルの特徴】 |
---|---|
サイズ | 中型犬 |
体高 | 46~56cm |
体重 | 14~36kg |
原産国 | アメリカ |
ピットブル【原産国】【寿命】著名人や有名人に愛好家多数!?
dezy/ Shutterstock.com
ピットブル【原産国】
ピットブルが生まれたのは、1870年頃で、闘犬用としてイギリスから輸入されたスタッフォードシャー・ブル・テリアに、すでに絶滅している闘犬用のブルドッグなどを交配し、アメリカで誕生しました。
犬同士を戦わせる「闘犬」で勝つためにつくられた犬種なので、優れた身体能力や突発的な攻撃性、高い闘争心を持ち合わせており、闘犬界の最強の犬種として人気を集めました。
動物愛護の精神から1900年にアメリカ国内における闘犬は禁止されましたが※、非合法な賭博の手段として近年まで長く続けられていたのが実情です。
※1990年代だけで、約1500頭ものピットブルが闘犬で死亡しました。
cynoclub / PIXTA(ピクスタ)
ピットブル【寿命】
ピットブルの平均的な寿命はおおよそ12年程度です。
ただし、闘犬で多くのピットブルが死亡していることや規制をかいくぐって飼育している場合なども多く、統計的なデータが取りづらいため、正確な年数ではないかもしれません。
ピットブルを一般的な中型犬として考え、さらにアメリカン・スタッフォードシャー・テリアなどを参考に算出すると、12年前後だと推測されています。
歴史上の有名人や著名人に愛好家が多いことでも知られ、発明家のトーマス・エジソンやアメリカのセオドア・ルーズベルト元大統領、ヘレン・ケラーなどがピットブルを飼っていたといわれています。
ピットブル【気質】生かすも殺すも、飼い主次第!
iStock.com/AzmanJaka
ヨーロッパの多くでは危険犬種として指定され、法規制もかけられているピットブル。本当に、危険な犬なのでしょうか?
もちろん、個体差があるため、攻撃性を全く見せないピットブルもいるかもしれませんが、犬のしつけや訓練に熟練した人以外が気軽に飼える犬種ではありません。
個体差には持ち合わせている根底の気質が深く関わってくるため、簡単には見極められず、飼い始める時点では明確にわからないことがほとんどです。
本能的に闘争心が強いことは否めませんが、咬傷(こうしょう)事故や重大な事故を起こしてしまうようなピットブルであるかどうかは、正直なところ結果論でしかわからないのかもしれません。
Svetlanistaya / PIXTA(ピクスタ)
一方で、ピットブルが本来持っている飼い主に対する忠実さや服従心、訓練性の高さは優れたものがあるので、ピットブルの気質や特徴をしっかりと熟知し、徹底的に訓練すれば、人懐っこい友好的な遊び好きの愛犬になってくれることでしょう。
ピットブルならではの気質は、訓練や関わり合いによって、どのような方向にでも伸ばせます。
頑固さや我慢強さ、粘り強さは優れた闘犬になり得る要素ですが、忠実な相棒になる上でも非常に重要な気質です。
愛情深く徹底的に理解し、コントロールすることができれば、「危険な犬」にはならないでしょう。
Lunja- stock.adobe.com
誤った訓練を積まされたピットブルは、他の犬だけではなく、人も攻撃する「凶器」に仕立てられてしまう……。
一部の人間たちが私利私欲のために気質を悪用して育てたピットブルは、「凶暴」という望まないレッテルを貼られてしまいました。
そういった意味では、ピットブルは「被害者・犠牲者」といえるのかもしれません。
ピットブル【気をつける病気】「網膜形成異常」「尿石症」
iStock.com/chaivit
ピットブルに多い病気として考えられているのは、「網膜形成異常」と「尿石症」です。
尿石症はシスチン結石が見られることが多いようです。
ピットブル【飼い方】「覚悟」しなければいけないこと!
iStock.com/horsesdogscats
ピットブルを飼うには、最高レベルの飼育技術が必要です。
先ほどご紹介したとおり、ピットブルの性格は個体差があり、例えば、とても温和で優しく人懐っこいタイプも、多数いるでしょう。
日本で飼育している人もいますし、トラブルなく楽しいドッグライフを過ごしている人もたくさんいるはずです。
iStock.com/DevidDO
しかし、ピットブルが生み出された過程で、本能的に戦う習性や強固な闘争心を強く残されてきたことを忘れてはいけません。
問題なく飼育していても、何らかの出来事がきっかけで突発的にスイッチが入り、攻撃モードになってしまうケースもあります。
また、力が強いことや一度噛みついたらそう簡単には放さない習性など、しつけや訓練だけではどうにもならない点があることも、理解しなくてはいけない事実です。
iStock.com/Devan Anderson
ピットブルを熟知し、徹底的な訓練と十分な運動、深く向き合う時間をつくれる人でなければ、飼育はおすすめできません。
もし飼育する場合は、いざというときのための口輪(くちわ)を用意するなど、周到な準備をしておくと安心です。
さらに、他の犬との争いが起きやすい犬なので、多頭飼いには向きません。
また、小さなお子さんがいる家庭にも不向きです。
ピットブル【魅力】【特徴】まとめ
Mary Swift/ Shutterstock.com
強さと優しさを兼ね備えたピットブルは、魅力に溢れています。
強くて、かっこいいイメージと、意外にも穏やかな性格を持ち合わせているという見た目とのギャップに興味を持つ人も、たくさんいるでしょう。
飼い主の指示に忠実に従い、頑固なまでの忠誠心と強い精神力を持つ、ピットブルは、正しい理解と育て方をすれば、とても素晴らしい家庭犬になるはずです。
iStock.com/Edgar Olvera
しかし、残念ながら、ピットブルは誰にでも飼える犬ではありません。
ピットブルを「完璧にコントロールできる自信がある」「特徴や気質を熟知した」、確信を持ってそう言えるまでは「興味があっても飼わない」という選択をすることが、とても大切です。
飼い主の無知や力不足によって起こる悲しい事故を、正しい知識と飼い主の覚悟で、未然に防ぐことが大切です。
それが、ピットブルの正しい地位を守ることにつながることになります。
【プロドッグトレーナー監修】ロットワイラーを飼うのは危険?断耳は?性格や寿命、しつけ、飼い方は?
がっしりして一見強面のロットワイラー。古くは護衛犬、牧畜犬、牽引犬として、近代では警察犬、捜索救助犬としても働くだけに、屈強なイメージがありますが、一方で、愛嬌があって可愛い一面もあります。ただし、それはしっかりしつけがされた上でのこと。犬の飼育に慣れたマッチョ犬好きの人に向くロットワイラーとはどんな犬なのでしょうか?
【プロドッグトレーナー監修】アメリカン・スタッフォードシャー・テリアを飼うのは危険?性格や飼い方は?
アメリカン・スタッフォードシャー・テリアはその風貌と体つきから大型犬を連想しがちですが、実は、マッチョタイプの犬にしては意外に小ぶりな中型犬。ブルタイプのテリア系犬種であり、もともとは闘犬種の血筋ながらショードッグや家庭犬に向くよう性格改良がなされてきました。そんな通称アムスタッフとは、どんな犬なのでしょう?
【獣医師監修】鼻ぺちゃブルドッグの平均寿命は?短い?最高齢やギネス記録は?病気や長生きの秘訣!
鼻ぺちゃ犬種の代表とも言える、中型犬のブルドッグ。吠えることも少なく、性格はおっとり。豊富な運動量も必要ないので、一緒に穏やかな生活を送れることでしょう。飼い主さんを癒してくれるブルドッグ、病気や老化を予防し、長生きしてもらう秘訣を心得ておきましょう!
編集部のおすすめ記事
- 【獣医師監修】犬のエナメル質形成不全(未発達・欠損)原因や症状、治療法、治療費、予防対策は?
- 犬のエナメル質形成不全とは、歯の表面を覆うエナメル質の形成が不十分で、ところどころエナメル質が欠損し、歯の表面がでこぼこになったり、そ...
- 【獣医師監修】犬がプリンを食べても大丈夫? 適量は?容器や乳糖不耐症、アレルギーに注意!
- 卵と牛乳を混ぜて蒸したものの上に、甘いカラメルソースがかかったおなじみのおやつ、プリン。栄養があって犬のおやつにもよさそうですが、犬は...
- 【獣医師監修】犬の「根尖周囲病巣」原因や症状は?対処・治療法、治療(手術)費、予防対策は?
- 犬の根尖周囲病巣(こんせんしゅういびょうそう)とは、外からは見えない歯の根元の周囲組織に炎症が起こった状態を言い、肉芽腫や嚢胞(のうほ...
みんなのコメント
あなたも一言どうぞ
コメントする