【プロドッグトレーナー監修】ワイヤー・フォックス・テリアは初心者が飼って大丈夫?性格や飼い方は?
ワイヤー・フォックス・テリアはもふもふの口髭といい、いたずらそうな目つきといい、とても可愛らしいですが、小柄な体でやる気満々のガッツ溢れる犬種です。かつては、キツネを追って岩場を走り回り、現代では紳士的な風貌で都会にもマッチする家庭犬となったワイヤー・フォックス・テリア。その魅力を探ってみましょう。
- 更新日:
麻布大学介在動物学研究室(旧動物人間関係学研究室)で、人と犬の関係学を研究。
この分野では日本で初めての博士号を取得。
目次
ワイヤー・フォックス・テリア【初心者が飼っても大丈夫?飼いやすい?】【断耳・断尾は必要?】
DenisVolkov/ Shutterstock.com
ワイヤー・フォックス・テリア【初心者が飼っても大丈夫?飼いやすい?】
ワイヤー・フォックス・テリア(Wire Fox Terrier)は大柄な小型犬、もしくは小柄な中型犬といった大きさで、一緒に暮らすにはほど良いサイズですが、気性的には勝ち気なテリア気質をもち合わせていることは忘れてはいけません。
人に対してはおおむねフレンドリーですが、むこうみずで反応も素早く、ただ可愛いだけの犬などと思ったら大間違いです。
テリア気質を楽しみながら、それをコントロールできるだけのセンスと努力は必要になりますし、できれば犬の飼育経験があり、しつけに真面目に取り組める人に向く犬種と言えるでしょう。
さらには、活発で運動量も必要となる犬種なので、アウトドアやスポーツなど犬と一緒に何かを楽しみたいというアクティブな人にはより向くと思います。
SerhiiBobyk / PIXTA(ピクスタ)
ワイヤー・フォックス・テリア【断耳・断尾は必要?】
ワイヤー・フォックス・テリアでは、これまで慣例的に断尾が行なわれてきましたが、現在では断尾してある犬としていない犬とが混在しています。
たとえば、「ペット動物の保護に関する欧州条約(European Convention for the Protection of Pet Animals)」というものがあり、「断尾」「断耳」「声帯手術」「爪除去」「犬歯除去」などは「禁止されるべき外科手術」としています。
この条約に準じる、または同様の法律や条例がある国・地域(ヨーロッパやオーストラリア、カナダなど)では断耳・断尾などが禁止されています。
一方、日本では、「動物の愛護及び管理に関する法律」に、「何人も、動物をみだりに殺し、傷つけ、又は苦しめることのないよう…」とありますが、断耳・断尾とも禁止にはなっていません。
Ryhor Bruyeu / PIXTA(ピクスタ)
したがって、ワイヤー・フォックス・テリアに断尾を行なうかどうか、それは繁殖者や飼い主となる人の考え方に委ねられるところが大きいと言えるでしょう。
なお、ワイヤー・フォックス・テリアにおいて、断耳は行なわれません。
ただし、耳が立ってしまうことがあり、その場合、耳を垂れさせるためにテーピングを用いた矯正が行なわれることもあります。
【参照元】
・COUNCIL OF EUPOPE「European Convention for the Protection of Pet Animals」
・Veterinary Information Network「Animal Welfare」
・ANIMAL WELFARE VICTORIA「Prohibited procedures on dogs」
・Veterinary Practice News「Ear Cropping Ban Spreads to Western Canada」
・e-Govポータル「動物の愛護及び管理に関する法律」
ワイヤー・フォックス・テリア【ミニチュア・シュナウザーとの違いは?】
Serhii Bobyk/ Shutterstock.com
ワイヤー・フォックス・テリアやウェルシュ・テリア、レークランド・テリア、エアデール・テリアなどのテリア種とは違い、「テリア」という名前が付いていないにも関わらず、アメリカでは「テリアグループ」に入れられている犬がいます。
それは、「ミニチュア・シュナウザー」。
ラット・テリアやウェスト・ハイランド・ホワイト・テリアのようにネズミ捕りに使用されていた小型テリアと同じく、ミニチュア・シュナウザーもかつてはネズミ捕りに使われていたこと。
そして、ミニチュア・シュナウザーの成り立ちにはスタンダード・シュナウザーやアーフェンピンシャーが交配されたという話がありますが、その他、改良の段階でミニチュア・プードル、ミニチュア・ピンシャー、ポメラニアンと並びフォックス・テリア、スコティッシュ・テリアなどの血も配されたとする説があることが、ミニチュア・シュナウザーをテリアグループと考える基盤になっているのでしょう。
ちなみに、国際畜犬連盟(FCI)では、ミニチュア・シュナウザーは「ピンシャー&シュナウザー、モロシアン犬種、スイス・マウンテン・ドッグ&キャトル・ドッグ」のグループに含まれており、ジャパン・ケネル・クラブ(JKC)では「使役犬グループ」に属します。
shiroken / PIXTA(ピクスタ)
【ワイヤー・フォックス・テリアとミニチュア・シュナウザーの違い・比較】
【ワイヤー・フォックス・テリア】 | 【ミニチュア・シュナウザー】 | |
---|---|---|
原産国 | イギリス | ドイツ |
体高 | ~39cm | 30cm~35cm |
体重 | 6.8kg~8.2kg | 4kg~8kg |
毛色 | ホワイトを基調に、ブラック、ブラック&タン、タンのマーキングがある | ブラック、ソルト&ペッパー、ブラック&シルバー、ホワイト |
ワイヤー・フォックス・テリア【原産国・歴史・寿命は?】
Angyalosi Beata/ Shutterstock.com
ワイヤー・フォックス・テリア【原産国】
原産国:イギリス
ワイヤー・フォックス・テリア【歴史(種類)】
ワイヤー・フォックス・テリアが登場したのは1700年代後半と考えらえています。
今でこそスマートなシルエットをしていますが、当初は頭部の幅がもう少し広く、脚も短めで、ややずんぐりした容姿をしていたようです。
その起源については、長らく同犬種扱いをされてきたスムース・フォックス・テリアから派生したという説と、逆にワイヤー・フォックス・テリアが先で、後からスムース・フォックス・テリアが誕生したとする考え方もあり、その辺は判然としませんが、一つには、スムース・フォックス・テリアのほうが先にドッグショーにデビューしていたことから、ワイヤー・フォックス・テリアは後から派生したと考えるに至ったのでしょう。
どちらが先かはともかく、ワイヤー、スムースともに、犬種の成り立ちにはオールド・ブラック・アンド・テリア(オールド・イングリッシュ・テリア)やブル・テリア、ビーグル、グレイハウンドなどが関係していると考えられており、さらにはマンチェスター・テリアやホワイト・テリア(イングリッシュ・ホワイト・テリア)の名が出てくる古い文献もあります。
Ryhor Bruyeu / PIXTA(ピクスタ)
1790年に遡ると、スポーツマンとして知られていたトーマス・ソーントン(Thomas Thornton)大佐が、彼の愛犬ピッチ(Pitch)の姿を画家ソウリー・ギルピン(Sawrey Gilpin)の手によって遺しており、このピッチはスムース・フォックス・テリアと考えられています。
確かに、ほぼフォックス・テリアの原型と言っていい風貌(ふうぼう)をしているのですが、1860年代頃のワイヤー・フォックス・テリアに関しては、まだブル・テリア似の犬や、ダルメシアンとのミックス犬もいたというような記述も見られ、そうした発展途上とも言える状況で、1850~1860年代に登場したばかりのマンチェスター・テリアを使ったのか?と考えると、はなはだ疑問も感じるところです。
また、ホワイト・テリアについては、オールド・ブラック・アンド・テリアの中で白毛の犬を固定したものとの見方もあり、かつホワイト・テリアはブル・テリアの改良に使われたことを考えると、遠い関係性ではあっても、ホワイト・テリアがワイヤー・フォックス・テリアの改良に関わった可能性はあながちゼロではないのかもしれません。
SerhiiBobyk / PIXTA(ピクスタ)
もとより、ワイヤーとスムースでは祖先犬が少し違うのではないかとの考え方もあり、特にワイヤーはラフコートのオールド・ブラック・アンド・テリアが使われたのではないかという考察には合点がいきます。
しかし、こればかりはタイムマシンにでも乗って過去の世界にでも行かない限り、わかりようがありません。
いずれにしても、ワイヤー・フォックス・テリアの全盛期は「1800年代後半から1900年代前半」と思われますが、当初の主な作業目的はキツネ狩りの猟犬としてキツネを巣穴から追い出すことでした。
その他、小動物の狩りや害獣駆除も彼らの仕事。
キツネ猟ではフォックス・ハウンドと組んで仕事をしていましたが、当時は茶色系の犬が多かったようで、キツネと間違われて撃たれてしまうことがあったといいます。
現在、毛色は白が基調になっているのも、キツネと間違われて撃たれる事故を防ぐためという目的もあったのでしょう。
その賢さと明るいキャラクターはフィールドを離れても人々の心を捉え、イングランドの王エドワード7世に可愛がられたシーザー(Caesar)という名の犬から、サーカスで芸を披露する犬、映画に出演する犬まで、時代を追うごとに犬種としての魅力をしっかりと世に植え付けてきたワイヤー・フォックス・テリアたちです。
toraya / PIXTA(ピクスタ)
本場イングランドのフォックス・テリア・クラブが設立されたのは1876年のこと。
1913年にはワイヤー・フォックス・テリア協会が設立されました。
かつての呼び名は「ワイヤーヘアード・フォックス・テリア」「ブロークンヘアード・フォックス・テリア」。
往時より人気は落ち着いたものの、現在でも熱心な愛好家が多くいます。
【ワイヤー・フォックス・テリアこぼれ話】
1934年、アメリカで制作された映画『The Thin Man/影なき男』(主演:ウィリアム・パウエル、マーナ・ロイ)に主人公夫婦の愛犬としてワイヤー・フォックス・テリアが出演しており、これが人気となって、アメリカでは一気にワイヤーを飼うお宅が増えたとか。
こちらでそのワイヤー・フォックス・テリアの姿を見ることができます。⇒https://youtu.be/S9cnYeFFeC4?t=111
アガサ・クリスティ原作の小説『名探偵ポワロ』にも、ドラマでは第6シリーズの「もの言えぬ証人」で重要な役どころを担うボブという名のワイヤー・フォックス・テリアが出演しています。
1907年以前に撮影されたと思われるワイヤー・フォックス・テリア/Leighton, Robert 「Image from page 66 of "The new book of the dog; a comprehensive natural history of British dogs and their foreign relatives, with chapters on law, breeding, kennel management, and veterinary treatment" (1907) / THE WIRE-HAIR FOX-TERRIER. P353」(Cassell and Company, Limited) via flickrより
1907年以前に撮影されたと思われる4頭のワイヤー・フォックス・テリア/Leighton, Robert 「Image from page 66 of "The new book of the dog; a comprehensive natural history of British dogs and their foreign relatives, with chapters on law, breeding, kennel management, and veterinary treatment" (1907) / THE WIRE-HAIR FOX-TERRIER. P353」(Cassell and Company, Limited ) via flickrより
1800年代後半~1900年代前半にかけてタバコの箱の中にトレーディングカードを入れるのが流行した時代があり、その中には犬シリーズもあった。このカードはワイヤー・フォックス・テリアの仕事ぶりをよく表している/George Arents Collection, The New York Public Library. "Wire Fox Terrier." The New York Public Library Digital Collections. https://digitalcollections.nypl.org/items/510d47e2-1ee3-a3d9-e040-e00a18064a99 より
昭和初頭、日本で飼育されていたワイヤー・フォックス・テリア/国立国会図書館デジタルコレクション「テリア犬の知識」(犬の研究社編、昭和12年)より
昭和初頭、日本で飼育されていたワイヤー・フォックス・テリア/国立国会図書館デジタルコレクション「テリア犬の知識」(犬の研究社編、昭和12年)より
【参照元】
・THE FOX TERRIER CLUB「Learn more about Fox Terriers」
・Wire Fox Terrier Association「Breed History - Early Dogs」
・American Fox Terrier Club「Breed History」
・The Wire Fox Terrier Club Of Canada「The Wire Fox Terrier」
・FEDERATION CYNOLOGIQUE INTERNATIONALE 「FOX TERRIER 」
・AMERICAN KENNEL CLUB「Wire Fox Terrier」
・一般社団法人ジャパン・ケネル・クラブ「ワイアー・フォックス・テリア」
・国立国会図書館デジタルコレクション「テリア犬の知識」(犬の研究社編、昭和12年、Doi: 10.11501/1231030)
・デズモンド・モリス「デズモンド・モリスの犬種事典」(株式会社 誠文堂新光社、2007)
・Bruce Fogle, D, V, M.「The ENCYCLOPEDIA of the DOG」(DK PUBLISHING, INC.)
ワイヤー・フォックス・テリア【平均寿命】
平均寿命:12~15歳
※個体の健康度や国・地域、気候、環境などによって寿命には差が生じます
ワイヤー・フォックス・テリア【大きさ・毛色・子犬(赤ちゃん)の販売価格は?】
Ryhor Bruyeu / PIXTA(ピクスタ)
ワイヤー・フォックス・テリア【オスの大きさ(体重・体高・体格)】
体高:39cmを超えない程度
体重:8.2kg程度
全体的にスリムでコンパクト。
軽やかさを感じる体型をしています。
ワイヤー・フォックス・テリア【メスの大きさ(体重・体高・体格)】
体高:39cmを超えない程度でオス犬より小さめ
体重:6.8kg~7.7kg程度
総体的に、メス犬はオス犬より少々小柄になります。
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ワイヤー・フォックス・テリア【毛色の種類】
ワイヤー・フォックス・テリアの毛色はホワイトを基調に、ブラック、ブラック&タン、タンのマーキングがあります。
この他、ブリンドル、レッド、レバー、スレート・ブルーのマーキングが出ることもあるようですが、好ましくない毛色とされています。
1907年にイギリスで出版された『The new book of the dog; a comprehensive natural history of British dogs and their foreign relatives, with chapters on law, breeding, kennel management, and veterinary treatment』本によると、「ブリンドルマーキングの犬は今では見られない」「ブリンドルが好ましくないのはブル・テリアのように見えるため」というようなことが書かれています。
毛質に関してはワイリーで硬く、肩は2cm程度、背中から脇腹などにかけては4cm程度の長さがあり、全体的に粗い手触りです。
【参照元】
Leighton, Robert 「Image from page 66 of "The new book of the dog; a comprehensive natural history of British dogs and their foreign relatives, with chapters on law, breeding, kennel management, and veterinary treatment" (1907) / THE WIRE-HAIR FOX-TERRIER. P353」Cassell and Company, Limited , via flickr
https://flic.kr/p/xyeErQ
ワイヤー・フォックス・テリア【子犬(赤ちゃん)の販売価格】
販売価格:24万円~
※価格はあくまでも目安であり、販売者や犬の状況によって変動します
ワイヤー・フォックス・テリア【特徴・性格・食事は?】
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ワイヤー・フォックス・テリア【容姿・スタイル】
ワイヤー・フォックス・テリアは体長と体高を比較した時、ほぼスクエアな体型となり、その分、背中が短く、脚は長く見えます。
より速く走るために長い脚が必要であったと言われますが、スマートでスタイリッシュにも見せます。
V字型の耳は前方に向かって垂れ、可愛らしさを醸し出すとともに、紳士然とした“口髭(くちひげ)”と何かを期待するように輝く瞳は内に秘めた知性を感じさせます。
尾は背中の上に軽くカールして高く掲げ、首を上げて胸を張った姿はテリアでいることが誇らしげであるかのようです。
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ワイヤー・フォックス・テリア【性格(気質)・魅力】
ワイヤー・フォックス・テリアは、スリムでコンパクトな体つきながら、その中にはエネルギーがぎゅっと詰まっており、いつも何か楽しいことを探しているかのように活気に溢れています。
動く様は俊敏で、物事には素早く反応するあたりはテリアならではです。
自分より大きな相手にも物怖じせず、勇気があって大胆不敵。
時に小動物を見ると獲物のごとく扱ってしまうことがあるのもテリアの特質をしっかりもちあわせているからこそでしょう。
人に対してはおおむねフレンドリーで、関係性を築ければ深い愛情を示してくれます。
ちょっとしたいたずら小僧といった感じのワイヤー・フォックス・テリアは、表現力も豊かなせいか、ドラマや映画で起用されることもあります。
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ワイヤー・フォックス・テリア【食事(食べ物)・お手入れ】
ワイヤー・フォックス・テリアのごはん
ドッグフードを使用するのならば、総合栄養食で、年齢ステージに合ったものを。
ワイヤー・フォックス・テリアの食事の回数は、生後7カ月頃までは1日3回、その後は成犬と同じく1日2回程度にするといいでしょう。
トッピングをしたい場合は、フードの栄養バランスをなるべく崩さないよう、全体の20%以内、できれば10~15%程度に留めてください。
なお、トッピングをする際、脂溶性ビタミン(A, D, E, K)やミネラルを摂り過ぎると食欲不振や体重減少、嘔吐、下痢、貧血、成長障害など過剰症につながることがあるので、ある種の栄養素が突出して多くなり過ぎないよう、与える量にはご注意ください。
トッピングには肉や野菜、その茹で汁(スープ)、ウェットフード、缶詰、ふりかけタイプのフリーズドライなどいろいろありますが、茹で汁の場合はフード1に対して同量か、その倍程度が適量とされています。
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ワイヤー・フォックス・テリアのお手入れ
ワイヤー・フォックス・テリアは、ウェルシュ・テリアやレークランド・テリア、エアデール・テリア、ワイヤーコートのダックスフンドなどと同じく基本的にはプラッキングを行なう犬種で、初めてのプラッキングは生後3ヶ月頃が望ましいとされます。
プラッキングとは、専用のトリミングナイフを用いて定期的に被毛の一部を抜き取ること。
ワイヤー・フォックス・テリアのようなワイヤーコートの犬では被毛が抜けづらく、人為的に抜き取ることで新しく生えてくる被毛の発育を促し、かつベストな被毛状態およびシルエットをキープする目的があります。
プラッキングを行なう目安は月に1~2回程度。
テリア系の犬の扱いに慣れたドッグサロンにお願いするか、コツをつかめば飼い主さん自身が行なうことも可能です。
ただ、ドッグショーに出陳するのであればプラッキングは必要になりますが、家庭犬として飼われている犬ではバリカンでカットするケースも多くあります。
その場合、被毛が軟らかくなるなど、多少被毛に変化が生じることがあるのは致し方ないでしょう。
前述のように被毛が抜けにくいので、ブラシやコームでのお手入れを怠ると毛玉ができやすくなり、皮膚トラブルにつながることがあります。
また、垂れ耳は通気が悪いので、耳の中の余分な毛は抜くようにし、耳のトラブルを起こさないようお手入れはお忘れなく。
ワイヤー・フォックス・テリア【気をつける病気は?】
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気をつける病気①【膝蓋骨脱臼(しつがいこつだっきゅう)】
本来、膝のお皿の骨(膝蓋骨)は大腿骨の滑車溝と呼ばれる溝の中に収まり、膝の動きをスムーズにする働きがありますが、これが溝から外れてしまった状態を膝蓋骨脱臼(通称:パテラ)と言います。
症状によってグレード1~グレード4に分けられ、軽度であれば体重管理や環境改善、投薬などによって対処することも可能ですが、重度になると手術が必要になることもあります。
気をつける病気②【水晶体脱臼】
「水晶体脱臼」とは、水晶体を固定している毛様小帯(チン小帯)という線維が断裂し、水晶体が元の位置からずれてしまった状態を言います。
原発性と続発性があり、原発性においてはテリア犬種に好発するとされています。
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気をつける病気③【皮膚トラブル】
プラッキングやストリッピングを行なう犬種では、皮膚に合わない場合、湿疹ができるなど皮膚にトラブルが起こることもあります。
また、ワイヤー・フォックス・テリアはアレルギー疾患を起こしやすい傾向にあるともいわれているので、皮膚の状態はよく確認するようにしましょう。
ワイヤー・フォックス・テリア【病気になった場合、ペット保険は適用される?】
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愛犬が病気やケガをした時に医療費の助けとなるのがペット保険です。
しかし、どんな病気やケガでも補償されるというわけではなく、
予防にあたるもの(例:各種ワクチン、フィラリア予防、マイクロチップ装着費用、健康診断費用)
病気にはあたらないと判断されるもの(例:歯石除去、乳歯遺残、去勢・避妊手術、交配・出産関連、トリミング関連)
先天性の異常、すでにもっている病気
代替医療(例:針灸を覗く中国医療、アロマ、ホメオパシー)
などは補償対象外となるのが一般的です。
補償割合や加入できる年齢、また、A社では補償対象外となるものでも、B社では補償対象となるなど各社各様なので、ペット保険の加入を考える時には、愛犬の健康リスクや年齢などを踏まえ、よく比較検討して選ぶことをおすすめします。
ワイヤー・フォックス・テリア【飼い方(しつけ)・散歩の仕方・注意点!】
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ワイヤー・フォックス・テリア【飼い方(しつけ)】
ワイヤー・フォックス・テリアは学習能力が高く、かつ活動的。
一人にされる時間が長いといたずらをしたり、分離不安になったりする可能性もあります。
加えて、小動物には過敏に反応する性質があり、他の犬に対しても状況によっては思わぬ態度に出ることがあると言われるだけに、早くからの「社会化」と、しっかりとコントロールできるようになるための「トレーンング」が大切となります。
外に出すことを考えると、ワクチンが先か、社会化が先かと悩むところもありますが、室内でいろいろな物や音に慣らしたり、抱っこして家の周りを歩いたりするだけでも立派な社会化の一歩です。
ドッグスクールや動物病院では感染症対策をした上でパピークラスを設けているところもあるので、そうしたところに連れて行くのもいいでしょう。
ことワイヤー・フォックス・テリアはテリア気質をしっかりもった犬種なので、それを理解しているプロのドッグ・トレーナーに指導してもらうのもおすすめです。
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ワイヤー・フォックス・テリア【散歩の仕方】
小柄なワイヤー・フォックス・テリアですが、運動量は必要とします。
散歩の目安は「1回30分~1時間」程度を「1日2回」。
もちろん、犬の年齢や体調、季節などによって調整は必要です。
中には、散歩と散歩の時間が開き過ぎると、エネルギーがあり余っていたずらをしたり、落ち着かなくなったりするという飼い主さんもいます。
その場合、散歩の回数を増やせるなら理想的ですが、なかなか難しいかもしれませんね。
ワイヤー・フォックス・テリアはリードを付けて歩くだけの散歩では十分に運動欲求を満たすことが難しいことが多いため、引っ張りっこやボール投げなど遊びの時間を多くとり、運動欲求を満たしてあげましょう。
時間のある時には、ドッグランに連れて行くなど、時々は全身を使って走り回れる環境を作ってストレスを発散させるなどしてあげたいものです。
なお、活発な犬では疲れていてもなお遊び続けてしまうことがあるので、特に若い頃は運動の途中で適度に休憩を入れてあげると良いでしょう。
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ワイヤー・フォックス・テリア【注意点!】
ワイヤー・フォックス・テリアは子どもにも良い遊び相手になるとは言われますが、動きが素早く、エネルギッシュなために、幼い子どもがいるお宅には向かない、注意が必要だと言われます。
この犬種を飼いたいと考えており、幼いお子さんがいらっしゃる場合には、熟考するとともに、犬と子どもとの付き合い方について学ぶことをおすすめします。
その他、老犬になると立っていることが辛くなったり、我慢がきかなくなったりします。
それまでプラッキングやストリッピングを行なってきた犬の場合、その施術には結構時間を要するので、少しでも負担を軽くするためにバリカンでのカットに切り替えるというのも一つの考え方でしょう。
ワイヤー・フォックス・テリア【まとめ】
SerhiiBobyk / PIXTA(ピクスタ)
ワイヤー・フォックス・テリアは今や世界中で知られる犬ですが、可愛らしさだけではなく、テリア気質溢れる犬でもあります。
純血種と暮らしたいと思う時、それはその犬種の特質や気質も愛することだと思います。
少しくらいのいたずらは笑って許せる。
そのくらいおおらかな気持ちが必要になるかもしれませんが、テリアとしての良さを引き出せてあげるかどうかは、飼い主となる皆さん次第でしょう。
*注意:犬は生き物であり、性格やサイズ、運動量、寿命など個体差があります。
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