【獣医師監修】犬の栄養食「総合栄養食」とは?老犬や子犬などライフステージ別、手作り食での注意点!

子犬、成犬、老犬、病気の犬に、どのような栄養食が適しているか、愛犬の健康な毎日をサポートする上でぜひ知識を得ておきたいものです。愛犬の食生活の管理に役立つ「総合栄養食」についても、その定義をはじめ、タイプ別にどう使い分けるのかなどを知っておきましょう!

【獣医師監修】犬の栄養食「総合栄養食」とは?老犬や子犬などライフステージ別、手作り食での注意点!
先生にお聞きしました
徳本 一義 先生
ペット栄養学会理事。小動物の臨床栄養学に関するスペシャリスト。
獣医師 MBA(経営学修士)

ヘリックス株式会社 代表取締役社長

【資格】
獣医師

【所属】
ペット栄養学会 理事
一般社団法人ペットフード協会 新資格検定制度実行委員会 委員長
日本獣医生命科学大学 非常勤講師
帝京科学大学 非常勤講師
など

大学卒業後、小動物臨床に従事。

その後、ペットフードメーカーに入社し、小動物臨床栄養学に関する研究、情報発信を中心とした活動を行う。

現在は、獣医療・教育関連のコンサルタントとしての活動。ペットの栄養に関する団体の要職を務める。

自宅で9頭の猫と暮らす愛猫家。
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犬の栄養食【総合栄養食】とは?

犬の栄養食【総合栄養食】とは?

iStock.com/FatCamera

まずはじめに知っておきたいのが、「栄養」とは、動物が体外から物質を摂取し、それを消化・吸収して成長し、健全な活動を行うために役立たせることを意味するということです。

「栄養食」という言葉が、人間のもので使用されることは多くありません。

けれども、健康を維持するために必要な栄養すべて含んだ「完全栄養食」という言葉があり、これは犬における「総合栄養食」にあたります。

ペットフード 総合栄養食 おやつ

iStock.com/izzzy71

ペットフードを給与目的で分類すると、主に「総合栄養食」「おやつ=間食」「療法食」と分けられます。

「総合栄養食」は、犬に必要な栄養素を必要十分量含んでいる食事で、それを食べ続けても問題なく暮らすことができるフードです。

総合栄養食を多くの犬が食べるようになったことで、犬の寿命が延びたと言っても過言ではありません。

犬の総合栄養食についてさらに詳しく説明すると、その定義のひとつは、製品に「ペットフード公正取引協議会」が定めた範囲の栄養素を含んでいるというものです。

例えば、カロリーや3大栄養素(炭水化物・タンパク質・脂肪)、必須アミノ酸、必須脂肪酸、各種ビタミン、各種ミネラルなど、バランスや必要範囲が基準としてもうけられているのです。

もうひとつの定義としては、実際にそのフードを動物に与え続けて「総合栄養食」であることが証明されているかという点です。

犬の総合栄養食には必ず、製品パッケージに犬用の「総合栄養食」と記載されています。

その表示がないものは「一般食」その他なので、日常的に継続して愛犬に食べさせるのは好ましくありません。

ドッグフード 種類 ウェットフード

iStock.com/Vincent Scherer

ドッグフードには、ドライフードウエットフード、セミモイストの3タイプがあります。

ドライフードは、水分の含有量が10%程度以下と少なく、腐敗や変性がしにくいのが特徴です。

ウエットフードは缶詰やパウチ包装のもので、水分が約75%含まれています。

一般食や、間食・おやつ、副食など表現されるフードは、それだけを食べ続けることで健康上の問題が起こらないかは保証されていません。

もしおやつなどの総合栄養食以外を愛犬に食べさせたい場合は、1日の総合栄養食の給与量に置き換えて「10%〜20%」までにしましょう。

【参照元】『小動物の臨床栄養学 第5版』(マーク・モリース研究所発行、監訳:岩﨑利郎、辻本元)2014年インターズー

愛犬に【手作り栄養食】を与えたい場合は?

愛犬に【手作り栄養食】を与えたい場合は?

おでか犬 / PIXTA(ピクスタ)

愛犬用に手作り食を、書籍やインターネットに掲載されているレシピを参考にしながら作る飼い主さんも多いことでしょう。

けれども、栄養バランスを取りながら食材を考えて手作りするのは簡単ではありません。

エクセルファイルなどに食材と量を入力すると、栄養バランスが表示されるサービスを行っているところもあります。

好みのサイトやシステムを探して、手作りご飯生活に活用するのも良いでしょう。

一般的には、手作り食を作る場合、次のような手順で行うのをおすすめします。

愛犬用「手作り食」【手順①】

愛犬用「手作り食」【手順①】

C-geo / PIXTA(ピクスタ)

愛犬に必要な1日のエネルギー量を計算します。

エネルギー量の出し方としては、安静時エネルギー要求量(RER)にライフステージ等似合わせた係数をかけて計算をします。

愛犬用「手作り食」【手順②】

メインに使いたい食材を考えて用意します。

たとえば、「鶏ささみ大豆白米」といったように。

それぞれの食材の栄養分も調べておきましょう。

特に肉は、動物種、部位、油の量により栄養成分が異なるので注意が必要です。

食品成分表やインターネットで検索可能な文部科学省のホームページの「食品成分データベース」にも、部位ごとの成分が示されているので参考にしてください。

愛犬用「手作り食」【手順③】

愛犬用「手作り食」【手順③】

freeangle / PIXTA(ピクスタ)

手作りごはんの栄養の調整には、カロリーの後、タンパク質量を決めます。

たとえば、成熟・維持期犬のタンパク質/エネルギー比は、4.5〜6.5(g/100kcal)が良いとされているので、タンパク質源の鶏ささみ肉と大豆でどのように補うかを決めましょう。

愛犬用「手作り食」【手順④】

脂肪の量も決める必要があります。

犬はエネルギー必要量の5〜15%を、脂肪から取ると良いとされています。

そのため、大豆や肉に含まれる脂肪量を差し引き、残りを使用したい油、たとえばひまわり油などを計算して加えましょう。

愛犬用「手作り食」【手順⑤】

愛犬用「手作り食」【手順⑤】

EKAKI / PIXTA(ピクスタ)

最後に残りのエネルギー量を、使おうとしている炭水化物源でエネルギーを計算して加えます。

愛犬用「手作り食」【手順⑥】

⑤までを行えば、3大栄養素と、エネルギーのバランスを取ったことになります。

けれども、ビタミンやミネラルはバランスが取れていない可能性があります。

そこで、不足分をさまざまな食材で加えていくことになるでしょう。

豚や鶏のレバーは多くのビタミンが含まれているので、補充するのには便利な材料です。

ただし過剰に摂取させすぎないように要注意!

特に、ビタミンAの過剰には注意してください。

手作り食では必要な栄養素、特に微量のミネラルや水溶性のビタミンの欠乏症が起こりやすいので気をつける必要があります。

必須脂肪酸やビタミンや微量ミネラルが欠乏することにより、それほど多くはありませんが栄養失調を起こすこともあります。

手作り食をあげたいけれども栄養バランスが崩れるのが心配という飼い主さんは、手作り食を毎日与えるのではなく、1週間に1回から数回程度にして、あとの日は総合栄養食を与えるのも良いでしょう。

また、食事の20%程度を手作りにして、総合栄養食とミックスして与えるといった方法もあります。

【参照元】文部科学省「食品成分データベース」

愛犬の【栄養補給】に最適な食べ物は?

愛犬の【栄養補給】に最適な食べ物は?

HIME&HINA / PIXTA(ピクスタ)

愛犬に栄養補給の必要性を飼い主さんが感じるのは、高齢になって痩せてきたり食が細くなってきたりした時かもしれません。

まずは飼い主さんが独自の判断と方法で栄養補給をさせる前に、獣医師に相談して、病気がないか調べてもらうようにしましょう。

獣医師と相談の上で栄養補給を行うことになった場合は、食べやすく消化が良い高栄養フード(高栄養食)が最適と言えます。

犬用の流動食には動物病院専売品と、市販されている高齢犬(老犬)用のペースト状の高栄養食、流動食があります。

自力で食べない愛犬への栄養補給として流動食を飲ませる際は、大きな注射器タイプのものを使用するのが一般的です。

老犬 栄養補給 流動食 注射器

よっし / PIXTA(ピクスタ)

これらは「水分補給・流動食用給水シリンジ」や「フィーダーシリンジ」などと呼ばれ、口腔内が傷つきにくい先端の形状をしているのが特長。動物病院やペット用品店などで手に入れられます。

シリンジ(流動食投薬器)の使い方のコツも紹介しておきましょう。

流動食やペーストフードも、与える前にフードプロセッサーを使ってさらに細かくすることです。

この際に、少し水かぬるま湯を加えてサラサラにし、飲ませやすくしても良いでしょう。

飼い主 犬 声がけ

YAMATO / PIXTA(ピクスタ)

また、シリンジには一度に多量に入れないのもポイントです。

愛犬がシリンジを怖がる場合は、まずは飼い主さんが心を落ち着かせて、愛犬に穏やかに声をかけるなどしながら少しずつ飲ませてあげてください。

流動食の飲ませ方は、マズルをやさしく抑え、口の横からゆっくりとシリンジ内の流動食を押し出すのが秘訣です。

もちろん、愛犬の顔の正面から飲ませてあげても問題ありません。

【老犬の栄養食】は?

【老犬の栄養食】は?

Gera8th / PIXTA(ピクスタ)

犬のシニア期以降はエネルギーの必要量が20%程度低下してきます。

シニア期がいつからなのかは、犬種差や個体差などがあるので一概には言えません。

超大型犬で6歳頃から、小型犬で8歳頃からシニアだと言われますが、前述のとおり個体差があるので、愛犬の活動量、体重、BCS(ボディ・コンディション・スコア)を見ながら、シニア(高齢犬、老犬)用やハイシニア(超高齢犬、老犬)用と表示されたフードに切り替えるようにしましょう。

歯周病などでドライフードが食べにくい老犬には、ドライフードをふやかして与えたり、ウェットフードを活用するなどして、しっかりと栄養を摂らせてあげてください。

ライフステージにマッチした総合栄養食を食べている場合は、基本的にはサプリメントやビタミン剤を足す必要はあまりありませんが、獣医師と相談しながら、老犬に適した栄養補助食品(サプリメント)を加えてあげても良いでしょう。

高齢になると、消化・吸収の能力が落ちてきて、かえって痩せてしまうケースもめずらしくありません。

同じ量を与え続けているのに愛犬が痩せてきた場合は、消化器疾患や腎臓病といった病気が隠れていることもあるので、獣医師に診てもらうのをおすすめします。

もし手作りご飯を食べている老犬が少量しか食べなくなった場合も、獣医師に一度相談を。

病気の高齢犬には、必要に応じて、鼻などにチューブを取り付けて栄養剤とも言える流動食を与えるケースもあるでしょう。

また、食欲が落ちた高齢犬に栄養成分を点滴して体力を回復させると、再び元気に食べ始めることも多々あります。

病気から回復するためにも栄養が必要なので、高齢犬であってもきちんと食べさせるのが重要です。

【子犬の栄養食】は?

【子犬の栄養食】は?

michaklootwijk / PIXTA(ピクスタ)

子犬の成長期は、離乳期以降から成熟までの時期を指していて、その期間は犬種により異なります。

離乳期から、小型犬では9~12ヶ月齢頃まで、中型犬では12〜14ヶ月齢頃まで、大型犬では12〜24ヶ月齢頃までとされます。

子犬が健全に成長するためには、高カロリー、高タンパク質で、ミネラル等が多く含まれた食事が必要になります。

そのため、子犬の成長期にはそれらの成分の含有量が多い「成長期用(パピー用、子犬用)」の総合栄養食を選んで与えてください。

また、成長期の子犬は体の水分量が多いため、脱水の影響が出やすいことが知られています。

子犬の生活においては、十分に水が飲める環境を整えたり、ドライフードだけでなく水分含有率が高いウェットフードを混ぜたりするなど、水分が不足しないように気を配ってあげましょう。

前述の成長期の終了にさしかかったら、飼い主さんは愛犬のBCSなどを見ながら、徐々にフードを成犬(アダルトドッグ)用に切り替えていきましょう。

成長期が終わっても、成長期用の総合栄養食を食べていては、肥満に陥ってしまうので気をつけてください。

また、総合栄養食のパッケージに表記されている給与量の目安に示されている体重は、あくまでもその時期の理想体重(標準体重)であることも意識しましょう。

痩せ気味の子犬に、パッケージの表示に照らし合わせた量を与えていては栄養が不足してしまう恐れがあります。

逆に太り気味なのに、それに対する表示量を与えていては肥満になってしまいます。

犬が成熟に近づくと、エネルギー要求量は減少していきます。

必要エネルギー量の栄養計算では、理想体重から計算した安静時エネルギー要求量(RER)に係数をかけて、1日エネルギー要求量(DER)を計算します。

その値は成長期のピークを過ぎると徐々に減少していくため、体重やボディコンディションスコアー(BCS)を見ながら総合栄養食の給与量を減らしていくのが重要です。

【参照元】『小動物の臨床栄養学 第5版』(マーク・モリース研究所発行、監訳:岩﨑利郎、辻本元)2014年インターズー

犬の栄養食【総合栄養食】まとめ

犬の栄養食【総合栄養食】まとめ

iStock.com/LightFieldStudios

愛犬の健康的な食生活の管理は、子犬用、成犬用、高齢犬用といったライフステージ別の総合栄養食を与えていればむずかしくありません。

総合栄養食には、そのライフステージごとに必要な栄養素が含まれているからです。

手作り食で愛犬の食生活を管理する際も、愛犬が栄養不足にならないように気をつけてあげたいものです。

愛犬の健康を守ることができるのは飼い主だけです。

正しい知識を持って、毎日の愛犬の生活に役立ててくださいね。

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