【獣医師監修】愛犬の代謝(基礎代謝)を上げるには?代謝が関係する病気も知っておこう!

代謝に関して知識を持っていれば、愛犬の健康管理に役立ちます。食事や筋肉の維持など基礎代謝を上げるために重要なことや、代謝が関係する病気や代謝が関わる肥満についても知っておき、愛犬のヘルシーライフをサポートできるようにしましょう!

【獣医師監修】愛犬の代謝(基礎代謝)を上げるには?代謝が関係する病気も知っておこう!
出典 : Madphotos / PIXTA(ピクスタ)
先生にお聞きしました
左向 敏紀 先生
【所属】
日本獣医生命科学大学 名誉教授
一般社団法人 日本ペット栄養学会 会長
日本内分泌研究会会長
◆一般社団法人 日本動物看護系大学協会会長

【資格】
獣医師

【経歴】
日本獣医畜産大学(現:日本獣医生命科学大学)卒業後大学に残り、馬、牛,小動物の消化器・内分泌・代謝性疾患の研究を行う。
1990年小動物栄養学に関する研修のためにアメリカオハイオ州立大学に留学。
2006年より日本獣医生命科学大学 ・獣医保健看護学科で動物看護師の教育に当たる。
教育:獣医内科学、獣医内分泌学、動物栄養学、動物臨床看護学など
研究:動物の代謝・内分泌学、栄養学

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犬の【代謝(基礎代謝)】とは?

犬の【代謝(基礎代謝)】とは?

YAMATO / PIXTA(ピクスタ)

「代謝」とは、外から取り入れたエネルギーや栄養を体内で利用することを言います。様々な栄養素が、合成・分解されていく過程も指します。

「基礎代謝」とは、生命を維持するために必要なエネルギーのこと。

じっと静かにしているだけでも、基礎代謝は行われています。

「基礎代謝量」は、1日の総消費エネルギーの60~70%を占めています。

この基礎代謝は一般的に筋肉量と比例していて、加齢とともに減少します。

基礎代謝 活動代謝

kikuo / PIXTA(ピクスタ)

呼吸・循環・体温調節・蠕動(ぜんどう)運動・筋肉の緊張など、生体の基礎機能維持に必要な「基礎代謝」の他に、「活動代謝」や「食事誘導性熱代謝(食べるときに使うエネルギー)」があります。

人間の「基礎代謝量」は、身長と体重、年齢からだいたいの値を計算しています。

その「基礎代謝量」に「身体活動レベル係数」をかけて、「推定エネルギー必要量」を求めています。

犬 基礎代謝

gonbe / PIXTA(ピクスタ)

一方で、犬の基礎代謝量の測定は、容易ではありません。

そのため、犬では「安静時エネルギー要求量(RER)」というものを代わりに使用しています。

RERは、人の基礎代謝量と似ていて、筋肉量や除脂肪対組織に相関するとされています。

【RER】の計算方法

【RER=70×理想体重(kg)0.75】で計算されます。

家庭でも計算機で【(体重)×(体重)×(体重)=√√×70】を入力すれば計算できます。

人の「推定エネルギー必要量」と同じようなものとして、犬では、「1日当たりエネルギー要求量(DER)」があり、【DER=RER×活動係数】で計算され、結果はカロリーで表示されます。

このカロリーに見合った食事を愛犬に与えるのが、健康維持にとても重要です。

犬の【代謝(基礎代謝)】を上げるには?

犬の【代謝(基礎代謝)】を上げるには?

ホタル / PIXTA(ピクスタ)

愛犬の基礎代謝の向上を考える前に、まずは、基礎代謝が低下する主な原因(以下3つ)を知っておきましょう。

基礎代謝の低下要因①【加齢(成長期は高く、成犬以降は徐々に低下)】

基礎代謝の低下要因②【筋肉量(活動量)の低下】

基礎代謝の低下要因③【栄養のアンバランス】

愛犬の基礎代謝を上げるには、まず、活動量(運動量)を落とさない工夫をしつつ食べる量を少しずつ減らすことです。

活動量の低下による肥満を解消しようとして無理な減量をすると、筋肉量の低下につながり好ましくありません。

急激な減量は、ケトン体の産生、代謝性アシドーシスを起こし、犬が気持ち悪さを感じて食欲が低下するという悪循環に陥りかねません。

タンパク質を十分に摂取できるような、適正な食事バランスを心がけてください。

犬 食事 バランス

tiverylucky / PIXTA(ピクスタ)

炭水化物も、摂らせすぎたり減らしすぎたりしないようにしましょう。

人間では、「基礎代謝」を上げるサプリメントや減量用サプリメントが多数市販されていますが、含有成分をよく確認してください。

人間では大丈夫でも、犬が中毒を引き起こすかもしれない成分が含まれていることがあります。

具体的には、αリポ酸、カテキン、カフェインなどには要注意!

愛犬の代謝アップにはサプリメントに頼らず、あくまで活動量と食事のバランスを重視しましょう。

老犬(シニア犬)の【代謝】を上げるには?

老犬(シニア犬)の【代謝】を上げるには?

pearlinheart / PIXTA(ピクスタ)

結論から言えば、愛犬のシニア期以降の代謝を上げるには、“貯筋”とも言える、筋肉量の維持がもっとも重要です。

基礎代謝が加齢とともに低下するのは、エネルギー消費量の高い筋肉が落ちて行くからです。

人間でも高齢者の筋肉量の減少による筋力低下が問題になっています。

この状態は「サルコペニア」と呼ばれ、全身の筋力低下が生じて歩くスピードが遅くなり、身体機能の低下が起こります。

これは、加齢や病気により、筋肉量や食事からのたんぱく質摂取量が減少することが要因となります。

高齢犬にも、同様のことが起こりかねません。

老犬 シニア犬 高齢

elise / PIXTA(ピクスタ)

筋肉量の減少⇒運動量の低下⇒食欲の低下⇒低栄養状態⇒さらに筋肉量が減少と、悪循環に陥らせないように気をつけましょう。

愛犬が高齢になったら、太りすぎも痩せすぎも良くありません。

理想体重と、脂肪が多くない状態の中肉中背の体型で健康を保てるようにケアをしてあげてください。

そのためには、食事療法(カロリー減量)だけでなく、活動量や運動量を維持して筋肉を維持することが重要になります。

なお、代謝率に影響を与えるホルモンとして、甲状腺ホルモン、テストステロン、成長ホルモン、インスリンが知られています。

特に老齢に伴い、甲状腺ホルモンが低下してきます。

運動量が落ちてくるとホルモンも下がってくるため、高齢になっても無理のない範囲で運動を続けるようにしましょう。

犬の【代謝】を上げる際の注意点は?

代謝アップの際の注意点①【タンパク質】

代謝アップの際の注意点①【タンパク質】

lienjp / PIXTA(ピクスタ)

愛犬が筋肉を作るために、また筋肉が減らないようにするためには、良質なタンパク質が不可欠です。

加齢につれて、タンパク質不足にならないように注意してください。

代謝アップの際の注意点②【ダイエット】

愛犬の代謝を上げようと、急に食事量を減らさないようにしましょう。

急な減量、強いダイエットは、栄養失調を招く恐れがあります。

代謝アップの際の注意点③【カルシウム】

愛犬の基礎代謝を上げるためのキーワードは“貯筋”

大切な筋肉を支える骨を強く保つために、カルシウムが不足しないように気をつけてください。

総合栄養食と呼ばれる、ライフステージ別に栄養バランスの整ったドッグフードを適正量与えるようにしましょう。

犬の【代謝】の病気は?

代謝の病気①【甲状腺機能低下症】

代謝の病気①【甲状腺機能低下症】

sasaki106 / PIXTA(ピクスタ)

犬の代謝性疾患の代表が、甲状腺機能低下症でしょう。

高齢になると代謝率が落ちてきますが、犬では高齢になると代謝率が低下して太り気味になる甲状腺機能低下症という病気が多く見られます。

甲状腺ホルモンは、体の代謝を上昇させる最も重要なホルモンのひとつで、若齢の時は高値です。

甲状腺ホルモンは熱産生、成長促進、心拍数上昇の代謝を上げるホルモンです。

それが低下してくると様々な代謝異常が出てきます。

犬 代謝異常

infinityyy / PIXTA(ピクスタ)

脂質の代謝異常では、高脂血症や肥満を起こします。

低体温、徐脈、貧血、低血糖、脱毛などを示し、元気が消失してきます。

特に寒い朝は、元気がありません。

愛犬にこのような様子が見られたら、「歳のせい」で済まさずに病気の可能性も疑い、獣医師に相談しましょう。

ホルモンの不足を、薬(ホルモン剤)を飲むことで補います。すると元気な愛犬の姿が戻るとともに、寿命も延びるかもしれません。

代謝の病気②【肥満】

代謝の病気②【肥満】

makotomo / PIXTA(ピクスタ)

犬の肥満も一種の代謝異常と言って良いでしょう。

「メタボリックシンドローム」という言葉の「メタボリック」は「代謝」のこと。

肥満は、体で消費する量より食べる量が多かった結果に陥ります。

愛犬に去勢・避妊手術を行うと20~25%の基礎代謝率が減少するため、摂取カロリーを調整しなければ太ることになります。

肥満してくると、脂肪肝や高血圧、膵炎、免疫異常、外科的疾患になりやすいと考えられています。

ラブラドール・レトリバー 代謝異常

Jaromir Chalabala / PIXTA(ピクスタ)

ラブラドール・レトリバーを用いたある研究では、生後8週目から自由に食事させた場合と、その25%減の食事をさせた場合で、25%食事を減らした犬たちでは病気の発症や治療開始時期、生存期間の中央値(寿命)が延長したことが明らかになりました。

若齢からの肥満は、病気発生や寿命に関係すると考えられるため、適切な食事管理と運動管理によって肥満を予防するようにしましょう。

参考:犬のカロリー計算法(1日当たりエネルギー要求量(DER)計算法)

  RERに基づくDER要求量 (kcal/日)
成長期 離乳〜4ヶ月齢     RER×4
    4ヶ月齢〜成犬     RER×2
維持期 非避妊・非去勢     RER×1.8
(成犬)避妊・去勢済み     RER×1.6
     高齢         RER×1.4
     減量目的       RER×1.0
     病気/安静時     RER×1.0
運動労役 軽い労役/運動    RER×2
     適度な労役/運動   RER×3
     重い労役/運動    RER×4-8
妊娠期  前半42日      RER×1.8
     後半21日      RER×3
泌乳期             RER×4-8

この計算したカロリーの食事を与えましょう。

微調整は定期的な体重測定によって行ってください。

「1日当たりエネルギー要求量(DER)」以上に食事を与えると、もちろん太ります。

高齢になっても、若い時の大きい係数をかけて計算していればカロリー量が多くなり肥満することになります。

犬の【代謝】のまとめ

犬の【代謝】のまとめ

Flatpit / PIXTA(ピクスタ)

犬の「代謝」というキーワードを考えた上で、愛犬の健康を維持するためには、筋肉量の維持である“貯筋”が重要と言えます。

愛犬の代謝を下げずに適正体重を維持したり、代謝に関わる病気を発見したりするには、飼い主さんが愛犬の変化をよく観察しておくことも大切です。

代謝に関する正しい知識を生かしながら、愛犬の健康管理に役立ててくださいね。

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