【獣医師監修】犬が脱毛している。この症状から考えられる原因や病気は?

犬にとって毛(被毛)は、体温調節や外部の刺激から体を守るためにとても重要なもの。一口に「脱毛」と言っても、季節的な理由から疾患までさまざまな要因があります。あきらかに異変を感じる時は、病院で診察を受けましょう。

先生にお聞きしました
江角 真梨子 先生
株式会社VDT(獣医師)
一般社団法人「日本獣医皮膚科学会」認定医
一般社団法人「日本コスメティック協会」 認定指導員(獣医師)

株式会社VDTに所属し、各地の動物病院へ出張して皮膚科診療を行っている。

ペットの皮膚への造詣の深さはもとより、飼い主にわかりやすい説明に定評があり、セミナーやイベントなどでの講師経験も多数。
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犬が脱毛している【考えられる原因】

換毛期によるもの

換毛期によるもの

KANOWA/ Shutterstock.com

犬の毛は、日々の毛が抜けて生えるサイクルとは別に、「換毛期」と言って、春と秋の年2回、大量に抜け替わります(換毛期のない犬種もいます)。

「換毛期」には日照時間や気温が大きく関わっています。

これは生理的な脱毛であり、とくに心配のいらない脱毛です。

疾患によるもの

疾患によるもの

February_Love/ Shutterstock.com

犬は以下のように、脱毛している場所と抜け方から、脱毛の原因となっている疾患を、ある程度、判別することができます。

頭と足以外の毛が左右対称に脱毛している

頭と足以外の毛が左右対称に脱毛している

※色がついているところが脱毛する場所

ホルモンに関連した脱毛(副腎皮質機能亢進症、甲状腺機能低下症、性ホルモン失調)の可能性が高いです。

顔、わき、足先が脱毛している

顔、わき、足先が脱毛している

※色がついているところが脱毛する場所

アレルギーが原因の皮膚疾患の可能性が高いです。何らかのアレルゲンによって皮膚に炎症が起こり、患部をしきりに舐めたり、引っ掻いたりして症状が慢性化してくると、色素沈着を起こして皮膚が黒ずんだり、脱毛してしまうこともあります。

お腹周りが脱毛している

お腹周りが脱毛している

※色がついているところが脱毛する場所

体に赤いブツブツができる場合は、毛包虫(ニキビダニ、アカラス)などの寄生虫がいる可能性があります。毛包虫が寄生すると、毛穴にブツブツと赤い発疹ができ、その部分が脱毛します。

犬が脱毛している【こんな場合は要注意!】

犬が脱毛している【こんな場合は要注意!】

135pixels/ Shutterstock.com

脱毛とあわせて、以下の症状が見られる場合は、病気の恐れがあるので病院で診てもらいましょう。

小さな円形の脱毛があり、それが徐々に広がっている
赤い発疹、フケがでている
毛穴に赤いブツブツが出る その部分が脱毛している
膿が出ている
湿疹やニキビのような小さな膿がある

表在性膿皮症(ひょうざいせいのうひしょう)、皮膚糸状菌症(ひふしじょうきんしょう)、毛包虫症(もうほうちゅうしょう)の可能性があります。

注意すべき犬の脱毛

Wichatsurin/ Shutterstock.com

皮膚に左右対称の脱毛がある
水をしきりに飲む 尿の量が増える
お腹がぽっこり垂れ下がってくる
毛が薄くなってきた
皮膚が黒ずんでいる
心拍数が低下している
顔や足にむくみがある

ホルモン関連性疾患の可能性があります。

注意すべき犬の脱毛

Maja Marjanovic/ Shutterstock.com

頭部や足を除く体全体が脱毛している
皮膚が黒ずむ

このような症状が見られ、ホルモンの異常が認められない場合には、「脱毛症X(アロペシアX)」の可能性があります。

犬が脱毛している【この症状で考えられるおもな病気】

犬の毛包虫症(ニキビダニ症、アカラス症)

犬の毛包虫症(ニキビダニ症、アカラス症)

Todorean Gabriel/ Shutterstock.com

犬の毛包虫症(もうほうちゅうしょう)とは、毛包に寄生する毛包虫(ニキビダニ・アカラス)が異常増殖し、炎症が起きる病気です。
目や口の周り、四肢などに脱毛が見られ、悪化すると、痒みやフケ、皮膚のただれが現れます。

犬の皮膚糸状菌症(ひふしじょうきんしょう)

犬の皮膚糸状菌症(ひふしじょうきんしょう)

February_Love/ Shutterstock.com

犬の皮膚糸状菌症(ひふしじょうきんしょう)とは、真菌が原因で起きる皮膚病です。
円形に毛が抜け、掻いてかさぶたができます。
人畜共通感染症のひとつです。

犬の甲状腺機能低下症(こうじょうせんきのうていかしょう)

犬の甲状腺機能低下症(こうじょうせんきのうていかしょう)

smrm1977/ Shutterstock.com

犬の甲状腺機能低下症(こうじょうせんきのうていかしょう)とは、甲状腺の機能が低下する病気です。
体重が増えたり、皮膚の乾燥や脱毛が生じます。

犬の副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)

犬の副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)

Jaromir Chalabala/ Shutterstock.com

犬の副腎皮質機能亢進症(ふくじんひしつきのうこうしんしょう)とは、下垂体や副腎の腫瘍が原因となり、副腎皮質ホルモンが過剰に分泌されます。
多飲多尿が見られます。
また、毛が抜け、皮膚が乾燥するほか、体に左右対称の脱毛ができます。

犬の淡色被毛脱毛症(たんしょくひもうだつもうしょう)

犬の淡色被毛脱毛症(たんしょくひもうだつもうしょう)

Alexander_Borisenko/ Shutterstock.com

犬の淡色被毛脱毛症(たんしょくひもうだつもうしょう)とは、ブルー、シルバー、グレー、フォーンなどの被毛を持つ犬種の先天性皮膚疾患です。
淡色の毛だけが抜け、新しい毛も弱いため、すぐ折れてしまいます。

ドーベルマン
・ミニチュアピンシャー
ダックスフンド

によく見られます。

犬の表在性膿皮症(ひょうざいせいのうひしょう)

犬の表在性膿皮症(ひょうざいせいのうひしょう)

February_Love/ Shutterstock.com

犬の表在性膿皮症(ひょうざいせいのうひしょう)とは、毛穴や皮膚に、細菌が感染して起きる皮膚疾患です。
痒みを伴う丘疹やかさぶたができ、その後、膿疱や脱毛、フケが現れます。
犬の膿皮症のなかで一番多い状態です。

犬の脱毛症X(アロペシアX)

犬の脱毛症X(アロペシアX)

Suti Stock Photo/ Shutterstock.com

犬の脱毛症X(だつもうしょうえっくす)とは、頭部と四肢以外の体幹の毛が抜ける病気です。
原因は今のところはわかっていませんが、痒みはなく、毛や皮膚が乾燥し、左右対称に毛が抜けます。
ホルモンの異常がないのが特徴のひとつです。
ポメラニアンによく見られる疾患です。

そのほか、性ホルモンの異常などが考えられます。

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みんなのコメント

ぽめらにあんらぶさん
ポメラニアン特有の脱毛もあるのですね! もうすぐ3歳になるポメラニアンを飼っているので、気になりました。 通常の抜け毛以外にも気をつけてあげたいと思います。

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