【獣医師監修】犬が脱毛している。この症状から考えられる原因や病気は?
犬にとって毛(被毛)は、体温調節や外部の刺激から体を守るためにとても重要なもの。一口に「脱毛」と言っても、季節的な理由から疾患までさまざまな要因があります。あきらかに異変を感じる時は、病院で診察を受けましょう。
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一般社団法人「日本獣医皮膚科学会」認定医
一般社団法人「日本コスメティック協会」 認定指導員(獣医師)
【資格】
◇獣医師
株式会社VDTに所属し、各地の動物病院へ出張して皮膚科診療を行っている。
ペットの皮膚への造詣の深さはもとより、飼い主にわかりやすい説明に定評があり、セミナーやイベントなどでの講師経験も多数。
犬が脱毛している【考えられる原因】
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換毛期によるもの
犬の毛は、日々の毛が抜けて生えるサイクルとは別に、「換毛期」と言って、春と秋の年2回、大量に抜け替わります(換毛期のない犬種もいます)。
「換毛期」には日照時間や気温が大きく関わっています。
これは生理的な脱毛であり、とくに心配のいらない脱毛です。
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疾患によるもの
犬は以下のように、脱毛している場所と抜け方から、脱毛の原因となっている疾患を、ある程度、判別することができます。
頭と足以外の毛が左右対称に脱毛している
※色がついているところが脱毛する場所
ホルモンに関連した脱毛(副腎皮質機能亢進症、甲状腺機能低下症、性ホルモン失調)の可能性が高いです。
顔、わき、足先が脱毛している
※色がついているところが脱毛する場所
アレルギーが原因の皮膚疾患の可能性が高いです。
何らかのアレルゲンによって皮膚に炎症が起こり、患部をしきりに舐めたり、引っ掻いたりして症状が慢性化してくると、色素沈着を起こして皮膚が黒ずんだり、脱毛してしまうこともあります。
お腹周りが脱毛している
※色がついているところが脱毛する場所
体に赤いブツブツができる場合は、毛包虫(ニキビダニ、アカラス)などの寄生虫がいる可能性があります。
毛包虫が寄生すると、毛穴にブツブツと赤い発疹ができ、その部分が脱毛します。
犬が脱毛している【こんな場合は要注意!】
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脱毛とあわせて、以下の症状が見られる場合は、病気の恐れがあるので病院で診てもらいましょう。
小さな円形の脱毛があり、それが徐々に広がっている
赤い発疹、フケがでている
毛穴に赤いブツブツが出る その部分が脱毛している
膿が出ている
湿疹やニキビのような小さな膿がある
表在性膿皮症(ひょうざいせいのうひしょう)、皮膚糸状菌症(ひふしじょうきんしょう)、毛包虫症(もうほうちゅうしょう)の可能性があります。
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皮膚に左右対称の脱毛がある
水をしきりに飲む 尿の量が増える
お腹がぽっこり垂れ下がってくる
毛が薄くなってきた
皮膚が黒ずんでいる
心拍数が低下している
顔や足にむくみがある
ホルモン関連性疾患の可能性があります。
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頭部や足を除く体全体が脱毛している
皮膚が黒ずむ
このような症状が見られ、ホルモンの異常が認められない場合には、「脱毛症X(アロペシアX)」の可能性があります。
犬が脱毛している【この症状で考えられるおもな病気】
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犬の毛包虫症(ニキビダニ症、アカラス症)
犬の毛包虫症(もうほうちゅうしょう)とは、毛包に寄生する毛包虫(ニキビダニ・アカラス)が異常増殖し、炎症が起きる病気です。
目や口の周り、四肢などに脱毛が見られ、悪化すると、痒みやフケ、皮膚のただれが現れます。
犬の皮膚糸状菌症(ひふしじょうきんしょう)
犬の皮膚糸状菌症(ひふしじょうきんしょう)とは、真菌が原因で起きる皮膚病です。
円形に毛が抜け、掻いてかさぶたができます。
人畜共通感染症のひとつです。
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犬の甲状腺機能低下症(こうじょうせんきのうていかしょう)
犬の甲状腺機能低下症(こうじょうせんきのうていかしょう)とは、甲状腺の機能が低下する病気です。
体重が増えたり、皮膚の乾燥や脱毛が生じます。
犬の副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)
犬の副腎皮質機能亢進症(ふくじんひしつきのうこうしんしょう)とは、下垂体や副腎の腫瘍が原因となり、副腎皮質ホルモンが過剰に分泌されます。
多飲多尿が見られます。
また、毛が抜け、皮膚が乾燥するほか、体に左右対称の脱毛ができます。
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犬の淡色被毛脱毛症(たんしょくひもうだつもうしょう)
犬の淡色被毛脱毛症(たんしょくひもうだつもうしょう)とは、ブルー、シルバー、グレー、フォーンなどの被毛を持つ犬種の先天性皮膚疾患です。
淡色の毛だけが抜け、新しい毛も弱いため、すぐ折れてしまいます。
・ドーベルマン
・ミニチュアピンシャー
・ダックスフンド
によく見られます。
犬の表在性膿皮症(ひょうざいせいのうひしょう)
犬の表在性膿皮症(ひょうざいせいのうひしょう)とは、毛穴や皮膚に、細菌が感染して起きる皮膚疾患です。
痒みを伴う丘疹やかさぶたができ、その後、膿疱や脱毛、フケが現れます。
犬の膿皮症のなかで一番多い状態です。
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犬の脱毛症X(アロペシアX)
犬の脱毛症X(だつもうしょうえっくす)とは、頭部と四肢以外の体幹の毛が抜ける病気です。
原因は今のところはわかっていませんが、痒みはなく、毛や皮膚が乾燥し、左右対称に毛が抜けます。
ホルモンの異常がないのが特徴のひとつです。
ポメラニアンによく見られる疾患です。
そのほか、性ホルモンの異常などが考えられます。
【獣医師監修】犬の皮膚にかさぶたがある。この症状から考えられる原因や病気は?
かさぶたは、怪我をしたりして皮膚の深いところで炎症が起きている状態です。愛犬の怪我の症状が心配な場合には、念のため、動物病院の獣医師に早めに診断してもらうようにしましょう。
【獣医師監修】犬の毛艶(けづや)が悪い。この症状から考えられる原因や病気は?
犬の毛の艶が悪いのは老化のせい、と放っておいたりしていませんか? 毛艶が悪くなる要因としては、栄養状態が悪くなっていたり、肝臓や腎臓など内臓に疾患が潜んでいたりする可能性も考えられます。「最近、急に毛艶が悪くなった」と感じたら、一度、病院で検査することをおすすめします。
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