【プロドッグトレーナー監修】ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリアは初心者が飼っても大丈夫?性格は?
真っ白でふわふわのぬいぐるみのような外見がかわいらしいウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア、通称ウエスティ。その外見とは裏腹に、性格はヤンチャで強気。ウエスティとはどんな犬種なのか、その性格や飼いやすさ、歴史、かかりやすい病気、注意点を詳しく解説します。
- 更新日:
麻布大学介在動物学研究室(旧動物人間関係学研究室)で、人と犬の関係学を研究。
この分野では日本で初めての博士号を取得。
目次
ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア【初心者が飼っても大丈夫?飼いやすい?】
Nixx Photography/ Shutterstock.com
キツネやアナグマといった害獣の狩りを行っていたテリアの気質を持つウエスティは、快活で遊び好き。
初心者でも、しっかりとしつけやトレーニングに取り組み、スポーツやトレーニングなど、一緒に体を動かして楽しみたい人には向いている犬種です。
一方、負けん気が強く独立心旺盛なため、愛玩犬としてただ抱っこしてかわいがりたいという人には、飼いやすいとは言えないでしょう。
しつけやトレーニングを行う際は、テクニックや忍耐力も必要となります。
ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア【原産国・歴史・寿命は?】
Madebyindigo/ Shutterstock.com
ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア【原産国】
Aliaksandr Lapo / iStock
イギリスのスコットランド、ウエスト・ハイランド地方が原産。
現在でもイギリスでは人気が高く、テレビドラマや広告、商品パッケージなどによく登場します。
ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア【歴史(種類)】
yappy2140 / PIXTA(ピクスタ)
19世紀にスコットランドのボルタロッチという町の領主マルコルムス大佐が、白いケアーン・テリアに他の白い犬種をかけて、白いテリアを作出。
領地にちなんで「ボルタロッチ・テリア」と呼ばれるようになりました。
この白いテリアが、ウエスティの出現に大きな影響を与えたと言われています。
ウエスティの愛好クラブが最初に設立されたのは1904年。
イギリスの畜犬登録団体『ザ・ケネルクラブ』がウエスティを独立犬種として承認したのは1907年で、1907〜1908年頃に輸出されたアメリカでもすぐに人気を博しました。
しばらくはウエスティとケアーン・テリアとの交配が認められていましたが、1917年に『アメリカンケネルクラブ(AKC)』が両犬種の間に生まれた子犬の登録を認めないようになりました。
イギリスでも、1924年にケアーン・テリアやスコティッシュ・テリアなどとは別系統の純粋種として登録されました。
こうして1930年頃には、立ち耳、白い被毛、短い胴といった現在のウエスティの特徴が確立されたのです。
ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア【寿命】
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アニコム損保の『家庭どうぶつ白書2016』によると、ウエスティの平均寿命は14.1歳。
およそ12〜16歳ぐらいが寿命と考えられます。
ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア【大きさ・毛色・子犬(赤ちゃん)の販売価格は?】
Maks Akinin/ Shutterstock.com
ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア【大きさ(体重・体長・体格)】
FCI(世界畜犬連盟)が定めるスタンダードでは、ウエスティの体高は約28cmで、体長は体高よりも短くなくてはならず、短い胴体のスクエアな体形。
体重は7~10kg程度と、日本では中型犬に分類されることの多い大きさです。
大きめの頭に小さくとがった立ち耳がついており、体は小さめながらも、筋肉質で力強い体つきをしています。
ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア【毛色の種類】
Aliaksandr Lapo / iStock
単色のホワイトのみが認められています。
毛質は硬くダブルコートで、アンダーコートが密生しています。
抜け毛は多いほうではないですが、まったく抜けないわけではありません。
ドッグショーに出陳する場合は、トリミングナイフで古いトップコートを抜くプラッキングという方法で手入れをします。
家庭犬の場合は、自宅でこまめにブラッシングをして、月1〜2回程度トリミングサロンでシャンプー&カットしてもらうのが一般的です。
ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア【子犬(赤ちゃん)の販売価格】
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子犬の値段は実にさまざまで相場を表すのは難しいですが、ペットショップやブリーダーのサイトで調べる限り、28〜70万円程度で販売されているようです。
保護団体や里親探しサイトなどで探すという方法もあります。
ただし、その子がそれまで育ってきた環境によっては、迎えてからのしつけなどに手がかかる可能性もあるので、それを理解して受け止められる人におすすめです。
ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア【特徴・性格(気質)・魅力は?】
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ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア【特徴】
ウエスティは、『ジャパン ケネル クラブ』の犬種グループでは、テリア=「穴の中に住むキツネなど小型獣用の猟犬」の3グループに分類されています。
そのかわいらしい見た目から、マルチーズやシー・ズーのような愛玩犬と勘違いしがちですが、実際は活動的でエネルギーにあふれる犬種です。
ウエスティのオスはおとなしくて愛情深い傾向にあり、メスのほうが独立心が強い傾向があると言われていますが、性差よりも個体差のほうが大きいようです。
ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア【性格(気質)】
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テリアらしく、活動的で好奇心も旺盛、負けん気が強く頑固な一面もあります。
遊び好きなためヒザの上でおとなしく抱っこされているというより、飼い主とアクティブに遊ぶことを非常に好みます。
また、見知らぬ人や犬、来客などに対する警戒心が強いため、過剰にほえてしまうことから、十分な「社会化教育」が必要となります。
一方、自己判断で行動する傾向が強いため、根気強くトレーニングをしないと、いざというときにコントロールが効かなくなり、手を焼く可能性もあります。
ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア【魅力】
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なんといっても、真っ白でふわふわしたぬいぐるみのような独特の見た目が、ウエスティの人気の理由。
かわいらしい外見と、明るく活発で遊び好きの性格とのギャップもまた、大きな魅力です。
ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア【気をつける病気は?】
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気をつける病気①【皮膚疾患】
ウエスティは肌質がデリケートで、さまざまな皮膚疾患にかかりやすいです。
ウエスティのおよそ4分の1は遺伝性の慢性的なアトピー性皮膚炎にかかっているという調査結果もあります。
皮膚がベタついて赤くなる脂漏性皮膚炎(マラセチア性皮膚炎)も多く、これには遺伝性のものと、アレルギーが関係しているものとがあります。
また、ウエスティ特有とも言える増殖性皮膚症(表皮異形成、アルマジロ症候群)と呼ばれる重い皮膚疾患にかかることもあり、発症初期にはアレルギー性皮膚炎などと間違えられやすいので、注意が必要です。
ウエスティの皮膚疾患を予防するためには、日ごろから皮膚を清潔に保つために、シャンプーやブラッシングなどの手入れを適切に行うことと、栄養バランスの整ったドッグフードなどの食事を与えることが大切です。
気をつける病気②【レッグペルテス病】
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犬の「レッグペルテス病(大腿骨頭壊死病)」とは、大腿骨と股関節の接続部で血流が減少し、壊死してしまう病気。
症状としては、後ろ足のどちらかを地面につけないように歩く動作が見られ、1歳未満の子犬に多いです。
治療法は、この壊死部分を取り除く手術をするのが一般的。
早期発見・早期治療をすることで、痛みのない生活を取り戻せる可能性が高くなります。
気をつける病気③【頭蓋下顎骨症】
犬の「頭蓋下顎骨症」とは、下顎の骨と頭蓋骨に痛みが起こる、成長期の関節性疾患。
テリアの一部の犬種に多い遺伝性疾患で、1歳未満の子犬が多く発症し、食べ物を噛んだり飲み込んだりしにくくなります。
犬が痛みを起こさない年齢に成長するまで、抗炎症薬で痛みを抑えながら、柔らかい食事を与えて治療します。
ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア【飼い方(しつけ)・散歩の仕方・注意点!】
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ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア【飼い方(しつけ)】
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飼い主の指示に従うというよりは、自ら判断して動くタイプのウエスティ。
他の犬や子どもに対しての攻撃性が高い傾向にあるため、散歩中にすれ違う犬や子どもに噛みついてしまうといった事故が起こる可能性もあります。
車やチャイムなどの音にも敏感に反応するため、子犬のころからの「社会化トレーング」が重要です。
皮膚疾患を持つ子が多く、また通行人など外からの刺激に吠えやすいため、外飼いには向きません。
基本的には室内飼いをしましょう。
ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア【散歩の仕方】
Archangel80889 / PIXTA(ピクスタ)
運動量が多いため、1日2回の散歩に加えて、遊ぶ時間もたくさん作りましょう。
ボール遊びも大好きなので、散歩先でレトリーブをして遊ぶのもおすすめです。
また、子犬のころに社会化をしっかりしていないと、他の犬とあいさつをしたり、ドッグランで一緒に遊ばせたりすることは難しくなります。
ウエスティには引っ張りが強い子もいます。
引っ張りグセを直すトレーニングをすることが前提ですが、気管への負担が心配な場合は、首輪ではなくハーネスの装着を。
ただし、ハーネスは飼い主の意思が伝わりにくく、また引っ張っても痛くないため引っ張りっ放しになりやすいというデメリットもあります。
引っ張りが強いウエスティには引っ張り防止用ハーネスがおすすめです。
ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア【注意点!】
Elena Voevodskaya / iStock
ウエスティは興奮しやすい犬種で、運動が足りないと、ほえや落ち着きがないといった、飼い主にとって困った行動につながりがち。
また、気が強いため、性格によっては多頭飼いには向かない場合があります。
家族に対しても負けん気を発揮し、子どもが急につかんだり触ったりすると、威嚇して噛むこともあり得ます。
気の強い性格を理解し、犬をしっかりと管理してトレーニングを行える家庭でないと、一緒に暮らすことは難しいかもしれません。
ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア【まとめ】
will&be / PIXTA(ピクスタ)
純白の被毛がきれいなウエスティは、外見と性格にギャップがあり、活動的で自立した犬種です。
しっかりトレーニングをし、一緒に体を動かしたい人にとっては、よき相棒になります。
ただし、見知らぬ犬や人、家族に対しても攻撃性を発揮することがあるので、子犬のころからしっかりトレーニングして社会性を身につけさせましょう。
参考文献・サイト:
『生涯の友を得る愛犬選び 一目でわかるイヌの性格と行動』ベンジャミン・L. ハート著、1992年、日経サイエンス社刊
ジャパン ケネル クラブ「世界の犬 ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア」
Tonoike, A., Nagasawa, M., Mogi, K. et al. Comparison of owner-reported behavioral characteristics among genetically clustered breeds of dog (Canis familiaris). Sci Rep 5, 17710 (2016)
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