【プロドッグトレーナー監修】サルーキは初心者が飼って大丈夫?知能が高い?飼い方、寿命、病気は?
サルーキは古代犬種の一つです。古代エジプトでは王室の犬として飼育され、それらしい姿を遺物に遺していますが、さらに紀元前7000年頃の遺物にもサルーキと思われる姿があり、いったいどれほどの歴史があるのかわからないくらいです。気品があり、人を見透かすようなところがあるサルーキとはどんな犬なのか、その魅力を探ってみましょう。
- 更新日:
麻布大学介在動物学研究室(旧動物人間関係学研究室)で、人と犬の関係学を研究。
この分野では日本で初めての博士号を取得。
目次
サルーキ【初心者が飼っても大丈夫?飼いやすい?】【断耳・断尾は必要?】
Angel Sallade/ Shutterstock.com
サルーキ【初心者が飼っても大丈夫?飼いやすい?】
サルーキ(Saluki)を初心者が飼育するのは”難しい”でしょう。
大型で運動量が必要なこと。
人を見るようなところがあり、雑な扱い方をすれば問題を起こしたり、反抗したりする可能性もあることを考えると、犬の飼育経験がある人に向く犬と言えます。
何より、サルーキのようなサイトハウンド(Sight Hound:視覚ハウンド)は、視力があまり良くないと言われる犬の中にあって、遠くで動くものにも素早く反応できるほど視覚に長けていることが特長であり、そのため気になるものを見つけて走り出すと「飼い主の呼び戻しの声も耳に入らない」とよく言われます。
monstrose / PIXTA(ピクスタ)
そうした犬種としての特性を理解し、対処できるように努力しなければなりません。
珍しいから、かっこいいから、ただそれだけで犬を選び、飼育するのはタブー。
自分の年齢や体力、家庭環境、経済面、飼育スペースなどに加え、犬の特性も考慮して一緒に暮らす犬をお選びください。
熟考の末、サルーキを迎えるのであれば、高い運動性能を満たしてあげられるよう、「ルアーコーシング(疑似餌を追い駆けて速さを競うサイトハウンド向けのゲーム)」のようなドッグスポーツを楽しむのもいいでしょう。
サルーキ【断耳・断尾は必要?】
サルーキでは断耳・断尾は行なわれません。
サルーキ【ボルゾイ】【アフガン・ハウンド】【ウィペット】【イタリアン・グレーハウンド】の違いは?
Kacchan / PIXTA(ピクスタ)
一見して、サルーキとタイプが似ている犬たちがおり、「イタリアン・グレーハウンド」や「ウィペット」「アフガン・ハウンド」「ボルゾイ」などはみな同じ”サイトハウンド”グループに属します。
「長細い頭部、そのためにやや横に付いた眼、スリムな体でしなやかに走り、そのスピードも速い」ことは共通しています。
しかし、下の表にあるように、それぞれ原産国やサイズが違い、被毛のタイプや毛色にも少しずつ違いがあります。
特にサルーキでは、耳や尻尾、脚などに”飾り毛”があるのは特徴的です。
アフガン・ハウンドの場合は顔を除いた全身が長毛に覆われ、どこか哲学者のようなイメージを与えるのもこれまた特徴的です。
この中で犬種として古代に源流があると考えられるのはサルーキやグレーハウンド、イタリアン・グレーハウンドなどで、逆に近代になって登場したのがウィペットです。
この他、サルーキと似ているタイプの犬と言えば、「スルーギ」や「アザワク」などもいます。
【サルーキ、アフガン・ハウンド、ボルゾイ、ウィペット、イタリアン・グレーハウンドの相違点】
【犬種ごとの相違点(サイトハウンド)】
【原産国】 | 【サイズ】 | 【被毛・毛色】 | 【狩りの主な獲物】 | |
---|---|---|---|---|
イタリアン・グレーハウンド | イタリア | 32~38cm 小型 | 短毛 ブラック、グレー、イザベラ系の単色 | ----------- |
ウィペット | イギリス | 44~51cm 中型 | 短毛 マールを除いたあらゆる毛色と組合わせ | ウサギ ネズミ |
サルーキ | 中東 | 58~71cm 大型 | 短毛(耳・足・尾に飾り毛のあることが多い) あらゆる毛色と組合わせ(ブリンドルは好ましくない) | ウサギ キツネ ガゼル |
アフガン・ハウンド | アフガニスタン | 63~74cm 大型 | 長毛 あらゆる毛色 | ウサギ キツネ シカ ガゼル ジャッカル オオカミ ユキヒョウ |
ボルゾイ | ロシア | 68~85cm 超大型 | 長毛 ブルーとブラウン(チョコレート)以外のあらゆる毛色と組合わせ | オオカミ |
サルーキ【原産国・歴史・寿命は?】
SubertT/ Shutterstock.com
サルーキ【原産国】
原産国:中東
「サルーキ(Saluki)」という犬種名は、古代アラビアの都市「サルーク(Saluk)」、またはシリアの都市「セレウキア(Seleucia)」(現在のイラクに位置した古代都市)に由来するのではないかと考えられています。
サルーキ【歴史(種類)】
何千年もの間、人間とともに暮らし、その姿形をあまり変えずに生き続けている犬たちがいるとしたら、みなさんはどう感じるでしょう?
サルーキも姿形をあまり変えずに生き続けている犬種の一つです。
サルーキの原産国は「中東」ですが、時代や考え方によって中東の捉え方に多少違いはあるものの、中東とはアフリカ大陸北端部(エジプトやリビア、チュニジアなど)から北は地中海沿岸諸国(トルコ、シリアなど)、南はアラビア海に面するオマーンやイエメン、東はパキスタン手前あたりまで広大な地域を指し、それぞれの文明・種族によってサルーキが飼い継がれてきました。
monstrose / PIXTA(ピクスタ)
つまり、サルーキは広範囲に渡って棲息(生息)していた犬であり、地形や環境、猟犬として猟をする際の獲物となる動物の種類など様々で、そのためにサイズや毛色、毛並みに若干の違いがあったであろうことは想像に難しくありません。
古くはシュメール(現イラク南部)の遺跡から発掘された紀元前7000年~6000年と思われる遺物にサルーキと思しき犬の姿があるとされ、紅海を挟んだ反対側の古代エジプト(紀元前3000年頃からおよそ3000年続いた)の墳墓や壁画、彫刻などからもサルーキに似たサイトハウンド系の犬の姿を見つけることができます。
かのツタンカーメン(古代エジプト第18朝ファラオ)の墓からの出土品にもそのような犬の姿があり、時に獲物を襲い、時に家畜を守るために果敢に闘う犬として描かれています。
狩りのスタイルは猛禽(もうきん)類の鳥(鷹か?)と組んでの作業が多かったらしく、狩人が放った鳥が獲物を見つけると犬たちの出番です。
実際、ツタンカーメンの墓から発掘された出土品の中にもガゼルらしき獲物を襲う犬と鷹と思われる鳥の姿が描かれたものがあります。
AK / PIXTA(ピクスタ)
こうした犬たちは古代エジプトで王家の犬として飼育されていたと言われますが、犬が亡くなると時に装飾品を身につけさせてミイラにされることもあったようです。
話をムスリム(イスラム教徒)に転じると、彼らにとってサルーキは神からの贈り物であり、「高貴なもの」を意味する「El Hor(エル・ホー)」という名で呼び、他の犬は「Kalb(カルブヌ)」と呼んで区別していました。
狩りに行く時には犬をラクダや馬に乗せて運んだといいますから、犬は大事な働き手であり、財産や宝物でもあったのでしょう。
こうしてアラブの人たちが何世紀にもわたり大事に飼い続けてきたサルーキがイギリスに渡ったのは1840年のこと。
「ペルシアン・グレーハウンド(Persian Greyhound)」「ガゼル・ハウンド(Gazelle Hound)」と呼ばれ、徐々に世界に知られるようになりました。
時速67キロに達することができ、グレーハウンドに次いで俊足と言われるサルーキは、その脚(あし)で時代を駆け抜け、今も先祖たちの身体能力と利発さを受け継いでいます。
【参照元】
・一般社団法人 ジャパン・ケネル・クラブ「サルーキ」
・FEDERATION CYNOLOGIQUE INTERNATIONALE 「SALUKI」
・THE KENNEL CLUB「Saluki」
・デズモンド・モリス「デズモンド・モリスの犬種事典」(株式会社 誠文堂新光社、2007)
・Bruce Fogle, D, V, M.「The ENCYCLOPEDIA of the DOG」(DK PUBLISHING, INC.)
・NATIONAL GEOGRAPHIC「ツタンカーメンの墓に隠し部屋か」
サルーキ【平均寿命】
平均寿命: 12歳~14歳
*個体の健康度や国・地域、気候、環境などによって寿命には差が生じます。
サルーキ【大きさ・毛色・子犬(赤ちゃん)の販売価格】は?
Svetlay/ Shutterstock.com
サルーキ【オスの大きさ(体重・体高・体格)】
体高: 58cm~71cm
体重: 20kg~29kg
サルーキは細身で脚が長く、軽やかさとスピードを感じさせるスマートな大型犬です。
サルーキ【メスの大きさ(体重・体高・体格)】
体高:58cm~71cm(オス犬よりやや小さい)
体重:16kg~20kg
スタンダード上ではオス犬、メス犬とも共通したサイズになっていますが、実際はオス犬に比べてメス犬は少し小さく、メスらしい性徴感があります。
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サルーキ【毛色の種類】
サルーキの毛色はブリンドルを好ましくないとしていますが、それ以外のあらゆる毛色および色調、組合わせパターンが認められています。
たとえば、「単色」「2色の組み合わせ」「パーティカラー(白を基調色に1~2色のはっきりとした斑模様がボディにあるもの)」「3色の組み合わせ」「グリズル(黒系の基調色にグレーや赤系の色が混在しているもの)」など。
それぞれ「クリーム、フォーン」「レッド、ホワイト」「ゴールド、ブラック&タン」「チョコレート&タン」「レッド&ホワイト」「チョコレート&ホワイト・パーティカラー」「フォーン・ブラックフリンジ」「レッド・ブラックフリンジ」「トライカラー」「ブラック・グリズル」「フォーン・グリズル」「シルバー・グリズル」その他、多彩な毛色が存在します。
AK / PIXTA(ピクスタ)
「ブラックフリンジ」とは、耳の飾り毛(フリンジ)に黒い差し毛があるものを言い、毛色にさらなる味わいを加えています。
被毛には2タイプがあり、耳や脚、尻尾などに羽毛状の飾り毛(フェザリング)がある「フェザード」と、飾り毛のない「スムース」とがいます。
長い歴史において、中東に居住した各種族がそれぞれの地域の環境や、狩猟対象動物に適したサルーキを飼育する中で、周囲に犬を譲るようなことはほとんどなかったらしく、そのために各地域独特のサルーキがいたといいます。
サルーキが毛色や被毛のバラエティーに富んでいるのはそれためなのでしょう。
ヨーロッパで初のトータル的なスタンダードができたのは、イギリスにおいて1923年のことでした。
Csanad Kiss/ Shutterstock.com
サルーキ【子犬(赤ちゃん)の販売価格】
20万円~
*価格はあくまでも目安であり、販売者や犬の状況によって変動します。
ジャパン・ケネル・クラブにおけるサルーキの登録数は「108頭」(2020年)。
街で見かけるチャンスはあまりありませんが、国内にはブリーダーが複数いるので手に入れることは可能です。
【参照元】一般社団法人ジャパン・ケネル・クラブ「2020年(1月~12月)犬種別犬籍登録頭数」
サルーキ【特徴・性格・食事は?】
Elisabetta Bellomi/ Shutterstock.com
サルーキ【容姿・スタイル】
サルーキの頭部は細長く、緩やかなストップを描いて鼻先は先細り、楕円(だえん)形の眼は頭蓋に対してやや横に付いています。
長い耳は頭蓋に沿って垂れ、耳に飾り毛のある犬では精悍さの中に可愛らしさも感じさせ、サルーキ独特のシルエットを描きます。
サイトハウンドらしく胸は深さをもって適度な幅があり、その底は前脚の肘関節とほぼ同じくらいの位置に達します。
特徴的なのが前脚の肘から足首までが長いこと。
筋肉に富んだ後ろ脚と相まって、しなやかな動きとスピードをつくり出します。
背中は平らながら腰はわずかにアーチ(緩やかなカーブを描くこと)し、細くて長い尻尾に続きます。
被毛がフェザードタイプの犬では尻尾にも飾り毛があり、優雅さも感じさせます。
AK / PIXTA(ピクスタ)
サルーキ【性格(気質)・魅力】
サルーキは穏やかな性格をしており、人に対してはおおむねフレンドリーに接することができますが、見知らぬ者に対してはそっけなく、距離を置くようなところがあります。
独立心があり、人に媚びるようなタイプではありません。
走る姿はスピーディで走るマシンのようですが、気質的には繊細であり、その一方で時に頑固な面を見せることもあります。
そんなサルーキを表現する時によく聞かれる言葉が”気品”と”知性”です。
サルーキは人をよく見ており、「不適切な扱いをすればしっぺ返しをくらう」と言われるほど、どこか人を見透かしているようにも思えるあたりに人々は知性を感じ取るのでしょう。
それもこれも古代から人間と暮らし、王家や特定の民族によって特別扱いを受けて来たからこそ培った彼らの能力なのかもしれません。
部屋の中では静かに昼寝を決め込み、外に出ればサイトハウンドの血が騒ぐ。
「内と外ではがらりと変わる」と言う飼い主さんの言葉にサルーキの魅力が凝縮されているかのようです。
monstrose / PIXTA(ピクスタ)
サルーキ【食事(食べ物)・お手入れ】
サルーキのごはん
年齢によって必要エネルギーも違ってくるので、年齢ステージに合ったごはんを与えるのが基本となりますが、特にサルーキのような大型で健脚の犬では「骨を丈夫にしたい」とカルシウムをトッピングしている飼い主さんもいるかもしれません。
カルシウムはリンとのバランスが大事であり、過不足は骨の成長異常や骨折などにつながることがあるので与える量にはご注意ください。
なお、カルシウムとリンを吸収するには、それを助けるビタミンDも大切になります。
また、サルーキではお腹が弱い犬が意外に多いと聞きますが、腸内環境の悪化は下痢や便秘、皮膚トラブル、免疫力の低下、口臭や便臭の悪化、肥満などに関係すると言われます。
近年は犬でも腸活が注目されているので、健康維持のためにもプロバイオティクス(乳酸菌やビフィズス菌など)や、そのエサとなるプレバイオティクス(オリゴ糖や一部の食物繊維など)を積極的に食事に摂り入れてあげるといいのではないでしょうか。
特に、加齢やストレス、病気などで免疫力が低下してくる中年期~シニア期の犬にはおすすめです。
Tack_Sekino / PIXTA(ピクスタ)
サルーキのお手入れ
サルーキはシングルコートと言われますが、体が大きいだけにそれなりの手間はかかります。
ブラッシングは少なくとも「週に1~2回」程度。
飾り毛の部分は細く絡みやすいので、コームやスリッカーブラシを使って絡みがないようにブラッシングしましょう。
垂れた耳は通気が悪く、外耳炎をはじめとした耳のトラブルを起こしやすいので、定期的な耳掃除は欠かせません。
シャンプーは月に1回程度を目安にしたいところですが、大型なので自宅で洗うのが厳しい場合はドッグサロンにお願いするのも良いでしょう。
その場合、大型である分、費用は高めになります。
そして、意外に忘れやすいのが”歯のお手入れ”です。
犬の歯周病は進行すると心臓疾患や腎臓疾患など他の病気にも悪影響を与えてしまうことがあるので、子犬の頃から歯磨きトレーニングを始め、歯周病予防を心がけることをおすすめします。
犬では歯垢が歯石へ変化するのは3日~5日であることから、できれば毎日、少なくとも1日おきには歯磨きを行なうのがベストです。
サルーキ【気をつける病気は?】
Graphs / PIXTA(ピクスタ)
サルーキが気をつける病気①【骨折】
サルーキは細身な上に反応が素早く、走るスピードも速いため、高いところからジャンプする、壁や障害物に激突するなどして骨折しやすい傾向にあります。
愛犬が骨折したと思われる時は、患部の血流が止まらない程度に添え木(段ボールを折りたたんだものでも可)をあてて固定し、そのまま動かさないようにしてすぐに動物病院へ向かいましょう。
ただし、骨が外に飛び出てしまっている時には下手に触ると患部の組織を傷つけてしまうこともあるので、犬を動かさないようにして速やかに動物病院へ向かうほうが無難です。
なお、骨折のような強い痛みがある時には、愛犬と言えども不意に体に触ると噛(か)みつくことがあるのでご注意ください。
サルーキが気をつける病気②【拡張型心筋症】
サルーキなどの大型犬でよく見られるというこの心臓疾患は、原因が不明なことが多いものの、遺伝的要素も考えられるようです。
心臓を動かす筋肉が弱まり、心臓の収縮機能が低下して血液をうまく送り出せなくなり、活動の低下、咳、呼吸困難、失神などの症状が見られるようになります。
最悪、突然死することも…。
サルーキにおけるもっとも一般的な死因として「癌(がん)」や「老衰」と並び、「心臓疾患」が多いとも言われるので、気になる場合には定期的に心臓の検査を受けるのもいいでしょう。
【参照元】The Saluki or Gazelle Hound Club「Health」
AK / PIXTA(ピクスタ)
サルーキが気をつける病気③【胃拡張・胃捻転症候群】
加齢による胃周辺の靭帯の緩みや、ごはんを食べた直後に遊んだり、多量の水を飲んだりすることなどがきっかけとなって、胃にガスや液体が溜まり、胃が膨れてしまう状態を「胃拡張」と言います。
胃拡張が進行すると胃が捻じれる「胃捻転」となり、他の臓器への血流が途絶えるなどして緊急を要する状態となってしまうことがあり、非常に危険です。
サルーキのような胸の深いタイプの犬はこの病気を起こしやすいと言われているので、食後すぐに遊ばせない、水を飲む量に気をつけるなどご注意ください。
少なくとも食後2時間程度は運動させないほうがいいでしょう。
サルーキ【病気になった場合、ペット保険は適用される?】
Rhetorica / PIXTA(ピクスタ)
愛犬が病気や怪我をした時に、その治療費を補償してくれるのがペット保険ですが、どんな病気や怪我でも補償されるというわけではありません。
基本的に、
予防にあたるもの
例):狂犬病や各種感染症の予防ワクチン、フィラリア予防、マイクロチップ装着費用、健康診断費用
病気にはあたらないと判断されるもの
交配や出産関連、トリミング関連
先天性疾患またはすでに見つかっている先天性疾患、すべてまたは一部の遺伝性疾患、すでに罹(かか)っている病気
代替医療
例):アロマセラピー、ホメオパシー、理学療法
などは”補償対象外”となるのが一般的です。
また、本来は病気のくくりであっても、「鼠径(そけい)ヘルニア」「臍(さい)ヘルニア」「眼瞼内反・外反」「停留睾丸」なども”補償対象外”になることが多いです。
ただし、同じ病気であっても、A社では”補償対象外”であるのに対し、B社では”補償対象”となることもあり、ペット保険会社によって違いがあります。
加えて、加入できる年齢の制限や補償条件など各社各様なので、ペット保険の加入を考える時には、愛犬の健康リスクや年齢などを踏まえ、各ペット保険会社をよく比較検討して選ぶことをおすすめします。
サルーキ【飼い方(しつけ)・散歩の仕方・注意点!】
niranana/ Shutterstock.com
サルーキ【飼い方(しつけ)】
サルーキは繊細で、人との距離感を生得的に保てる犬ですが、このようなタイプの犬はストレスには敏感であると考えられるので、ストレス耐性を高めるためにも早くからの”「社会化」に取り組む”ことをおすすめします。
実際、サルーキはお腹を壊しやすいと言われますが、ストレスが原因で下痢を引き起こすこともあります。
「社会化不足」はストレス耐性も低くなる傾向にあるとされるので、安全かつ可能な範囲でいろいろな物、音、人、環境などに慣らすようにし、ストレス耐性を高めてあげましょう。
また、十分な社会化を行ったとしても、知らない人が無理に触ろうとしたり、騒がしい場所に無理に連れて行こうとするとストレスを感じやすいため、適切な飼い主の対応も望まれます。
また、遠くで動く物にも本能的に反応してしまうのがサルーキ。
サイトハウンドが「一旦走り出すと止めるのはなかなか難しい」とよく言われますが、だからこそ、首輪が抜けないようにハーネスを利用して散歩したり、万一のために呼び戻しのトレーニングは努力を惜しまず行ないたいものです。
併せて、迷子札やマイクロチップなど愛犬の身元を示すものを装着しておくこともお忘れなく。
サルーキ【散歩の仕方】
OlhaSolodenko / PIXTA(ピクスタ)
サルーキは運動欲求量が高いため、散歩は「1回1時間」以上、「1日2回」を目安に。
可能であればドッグランのような自由運動ができる場所で走らせてあげられると理想的です。
他の項でも述べたようにサイトハウンドは遠くで動く小動物を見つけると我を忘れて走り出してしまうことがあるので、”リード装着”は必須です。
首が細く首輪も抜けやすいため、「サイトハウンド向けの幅広の首輪やハーネス」を使用するといいでしょう。
中には、万一を考えてリードを2本付けている飼い主さんもいます。
気をつけたいのは「車」や「バイク」です。
走る車に興味をもってしまうと追い駆けてしまうことも考えられ、事故に遭わないよう注意するとともに、交通量の少ない場所を散歩したり、走る車やバイクなどから意識をそらすために、飼い主が名前を呼んだら注目するようしつけておくことも大事でしょう。
また、自宅の庭で放す場合、サルーキはジャンプ力にも長けているので、高さのある囲いを用意する必要があります。
なお、子犬時期に過度な運動をさせると、体がまだ十分育っていないため、逆に関節を傷めてしまうことがあるので、運動量はほどほどに調節してください。
サルーキ【注意点!】
サルーキをはじめグレーハウンドやボルゾイ、イタリアン・グレーハウンド、ウィペットなど「サイトハウンド系」の犬では、ある種の”麻酔薬・薬剤に対して過敏”であることが以前より指摘されていました。
その理由として一つには、「サイトハウンド系の犬では体脂肪率が低い」ことが挙げられています。
麻酔薬の中には優先的に脂肪に吸収されることで脳や血流、他の臓器中の薬剤成分が薄くなり、徐々に排出されるものがあるとのことですが、サイトハウンド系の犬は脂肪が少ないために全身に回った薬剤の成分が薄まらずに濃度が高いままになり、なかなか排出されないことから「麻酔時の覚醒に通常より時間がかかってしまう」ようです。
そしてもう一つに は、ワシントン州立大学の研究により、サイトハウンド系の犬において問題となる薬剤を分解するのに必要な酵素CYP2B11が遺伝子の突然変異で少なくなることが発見されました。
しかし、他の犬種も調べたところ、この突然変異はサイトハウンド系の犬に限らず、ゴールデン・レトリーバーやラブラドール・レトリーバーなどでも発生している可能性があることがわかったそうです。
いずれにしてもサイトハウンド系の犬は特定の麻酔薬・薬剤に対して注意が必要なものの、麻酔をかけられないというわけではなく、そうした体質に対処した麻酔薬の選択、および麻酔のかけ方もあるので、愛犬に手術が必要な時にはそうした”事情を熟知”した動物病院でご相談ください。
【参照元】
・SALUKI CLUB OF AMERICA「ANESTHESIA AND YOUR SALUKI」
・WSU INSIDER「WSU study aims to prevent adverse drug reactions in dogs」
・American Animal Hospital Association「2020 AAHA Anesthesia and Monitoring Guidelines for Dogs and Cats」
サルーキ【まとめ】
tomo / PIXTA(ピクスタ)
サルーキは何千年もの間、人間とともに暮らしてきた犬です。
その間、私たちは今もってなお犬という動物について学び続けていますが、もしかしたらサルーキのほうが人間をよく理解しているのかもしれません。
かつて特別扱いを受けたサルーキ。
だからこそ、彼らを理解しようと努めれば、飼い主となる皆さんにとってもきっと特別な犬となれるはずです。
*注意:犬は生き物であり、性格やサイズ、運動量、寿命など個体差があります。
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