日本の歴史を目撃した犬!?日本初の世界公認犬種・狆の特徴と飼い方

クリっとした目と気品溢れる姿の狆(チン)。風貌や名前からして、中国あたりの犬では?と思われがちですが、日本が原産です。皇族や殿様といった高貴な身分の人たちのそばで日本の歴史の変遷を見てきた、狆。そんな狆の特徴をご紹介します。

狆の特徴~ペチャ顔が愛らしい

狆の特徴~ペチャ顔が愛らしい

狆は、完全に室内飼育されてきた犬種です。漢字で「けものへんに中」と書きますが、これがまさに部屋の中で大切に飼育されてきたことの証といえます。

狆の顔は、幅広の顔に離れ気味の大きな目、短くつまった鼻先が特徴。耳は三角の垂れ耳で長い被毛が生えており、体は小さいながらもあばらも適度に張って、腹部はきゅっと締まっています。尻尾は背中側に背負うようにつき、体全体はシルクのような豊かな被毛で覆われ、フサフサの尾を揺らしながら歩く姿はとても優雅で、高貴な雰囲気が漂います。被毛はシングルコートとダブルコートのいずれも存在し、どちらもオーバーコートは中長毛です。毛色はブラック&ホワイトとレッド&ホワイトがあり、ホワイトをベースに、目を包み込むようにブラック、またはレッドの毛色が入ります。

近縁のペキニーズが「チャイニーズ・スパニエル」と呼ばれるのに対し、狆は「ジャパニーズ・スパニエル」の別名があり、海外ではこの名前でよく知られています。

狆の歴史~綱吉将軍を癒やした?犬

狆は原産こそ日本ですが、そのルーツはチベット・中国辺りにあるようです。紀元前からチベット寺院で飼育され続けてきたチベタン・スパニエルやペキニーズといった、豊かな被毛とぺちゃっとつぶれた顔の犬種が祖先犬ではないか……と考えられています。

『続日本紀』に、「西暦732年、朝鮮半島の新羅(しらぎ)から日本の聖武天皇(しょうむてんのう)に、『蜀狗(しょくく)』を1頭献上した」と記されている事実を踏まえると、狆が海外から日本に入ってきたのは間違いないでしょう。時代背景としては奈良時代の出来事で、平城京に日本の首都が遷都(せんと)されたときです。当時、日本から中国や朝鮮に使者が派遣されており、お土産として日本に多くの狆を持ち帰った記録もあるため、今でいうところの外交の道具として狆は活用されていたのかもしれません。
※「蜀」とは現在の中国四川省を、「狗」は犬を指しています。

800年代には他の犬種との交配もあったと考えられており、徐々に日本固有の犬種になっていきます。

「犬好き将軍」として名を馳せた戌年生まれの第5代将軍・徳川綱吉は、「生類憐みの令(しょうるいあわれみのれい)」を発したことで有名です。そんな綱吉は江戸城でこよなく狆をかわいがっていたといわれています。

綱吉の晩年には元禄地震、宝永地震、富士山噴火など、多くの災害や飢饉(ききん)がありました。戦国の殺伐とした空気や日本で起きる一大事を治めることは、とても大変な苦労を伴ったことでしょう。綱吉のそばにはいつも狆がいてなぐさめていたのでは……?と、思いを馳せずにはいられません。

やがて、狆は小さな抱き犬として大奥や各地の大名たちからも寵愛(ちょうあい)され、飼育数も増えていきした。そして次第に富裕層に限定された町民の間でも、飼育されるようになったのです。このような歴史から、狆は庶民ではなく皇室や将軍や資産家たちに飼われ、かなりぜいたくな環境で育っていたと推測されます。

1853年、ペリーが来航した際、数頭の狆がアメリカに持ち帰られ、そのうちの2頭がイギリスのビクトリア女王に献上されました。次の国王エドワード7世の妃、アレクサンドラ王妃は犬好きで有名ですが、イギリスに在住していた日銀副総裁の高橋是清に「狆を調達してほしい」と要望したそうです。1862年にはイギリスの展覧会で「ジャパニーズ・パグ」の名前で紹介され、1870年代のイギリスで日本原産の犬として狆が初めて公認されました。そして1888年、アメリカンケネルクラブ(AKC)に「ジャパニーズ・スパニエル」の名前で公認されますがスパニエル種とは関係がないことから、1977年には「ジャパニーズ・チン」の名称に改名されています。

2018年度ジャパンケネルクラブ(JKC)の狆の登録頭数は、138犬種中31位で654頭。高度経済成長期を機に飼育数は減っているものの、愛好家たちによって大切に飼育されており、ドッグショーでも活躍している犬種です。

狆の性格~家庭犬として優秀な性格

狆の性格~家庭犬として優秀な性格

狆は、物静かで落ち着いている性格の持ち主。子どもや他の犬への攻撃性もなく、見知らぬ人にでもふさふさと尻尾を振り、愛嬌を振りまきます。また感受性が高く、飼い主の気持ちの変化に敏感で、少しでも悲しんでいるような気配を感じ取ると近寄って来て慰めようとする、愛情深い犬種です。抱き犬として愛され続けた狆らしく、飼い主の膝に乗って一緒に過ごしたり、ゲームをして遊んだりするのが大好なところも、狆の特徴といえるでしょう。

狆の基本情報と性格のまとめ

基本情報

・大きさ:小型犬
・体高:オス=25センチ/メス=23センチ
・体重:オス=4キロ/メス=3キロ
・原産国:日本
・用途:家庭犬

性格

・物静か
・落ち着きがある
・愛嬌がある
・愛情深い
・遊び好き

狆の飼い方~完全なる室内飼いの犬

狆の飼い方~完全なる室内飼いの犬

狆は、完全に室内飼育向けの犬種です。日本原産ですが、ルーツからわかる通り、暑さには弱いので、エアコンで温度調整をして育てていきます。

無駄ぼえはあまり多くありませんが、高い声でよくおしゃべりをするかわいい一面があります。遊び好きですが、家具をかじるといったいたずらはほとんどしません。また、家庭犬としての気質を持ち、とても育てやすいので、子どもやお年寄りがいる家庭でも一緒に暮らせます。しかし、感受性が強く繊細な性格なので、赤ちゃんにしつこく触られることや荒っぽい扱いは嫌がります。若干プライドが高い側面もあるので、強い口調でのしつけはせず、徹底的に褒めてしつけるとよいでしょう。

散歩は一日10分程度を2回、行います。もし庭がある場合は、飼い主と一緒に庭遊びをするといいかもしれません。室内では跳び回ったりして比較的活発に動き回りますが、たくさん運動する必要はありません。

比較的体臭も少なく、被毛の手入れも楽な方です。粗めのコームでとかし、絡まないよう、適宜ブラシをしてください。換毛期には当然抜け毛が増えますので、無駄毛を取り除き、皮膚を清潔にしておきます。

床はひざに負担がこないように、優しい素材を敷き詰めておきましょう。クッション性が高く、滑りにくいコルクがおすすめです。

かわいい狆と一緒に新しい世界を見てみよう

狆の大きな目とかわいい声、そして何かを一生懸命に訴えてくる姿は、かわいいの一言。
狆は、飼い主が喜んでいる感情をよく理解しています。そんな狆に、いつも笑顔を見せ続け、育ててあげてくださいね。

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