【獣医師監修】「ヒューマングレード」という考え方は正解?栄養学のプロが飼い主の不安を解消!

ペットフードの品質について「ヒューマングレード」という言葉を使って説明されることがあります。「人間が安心して食べられるレベルの食材」という意味で使われることが多く、ドッグフード商品の安全性を謳うために用いられるようです。はたしてその是非は? ペット栄養学の第一線で活躍されている徳本先生に伺いました。

【獣医師監修】「ヒューマングレード」という考え方は正解?栄養学のプロが飼い主の不安を解消!
出典 : Yuriy Golub/ shutterstock.com
先生にお聞きしました
徳本 一義 先生
ペット栄養学会理事。小動物の臨床栄養学に関するスペシャリスト。
獣医師 MBA(経営学修士)

ヘリックス株式会社 代表取締役社長

【資格】
獣医師

【所属】
ペット栄養学会 理事
一般社団法人ペットフード協会 新資格検定制度実行委員会 委員長
日本獣医生命科学大学 非常勤講師
帝京科学大学 非常勤講師
など

大学卒業後、小動物臨床に従事。

その後、ペットフードメーカーに入社し、小動物臨床栄養学に関する研究、情報発信を中心とした活動を行う。

現在は、獣医療・教育関連のコンサルタントとしての活動。ペットの栄養に関する団体の要職を務める。

自宅で9頭の猫と暮らす愛猫家。
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なぜ「ヒューマングレード」という言葉が生まれたのか?

なぜ「ヒューマングレード」という言葉が生まれたのか?

Africa Studio/ Shutterstock.com

犬が家畜化して人間とともに暮らすようになったのは、最新の学説で3万2000年ほど前だと言われています。

人間と犬とは、それだけ長い付き合いがあるわけですが、犬の食事が栄養面から考えられたものになったのは、近年のことです。

ドッグフードがこの世に初めて誕生したのは、1856年。

ロンドン在住のアメリカ人が、犬が人間用のビスケットを美味しそうに食べているのを見て、犬用のビスケットを作りました。

犬用のビスケット

Monkeyoum/ Shutterstock.com

この犬用ビスケットが人気を博したことで、各製造会社がこぞってドッグフードを開発していったわけですが、ペットフードの安全性を規定する法律や組織がなかった時代には、粗悪な原料で作られていたり、栄養が不十分だったりするドッグフードもありました。

そうした中で「ペットに安心して食べさせられる食べ物を」という意味で、「ヒューマングレード」を唱える人が出てきたと思われます。

そのような世情を受けて、米国飼料検査官協会(AAFCO)は、1990年に犬用の栄養基準を、1991年に猫用の栄養基準を公表しています。

【HP】米国飼料検査官協会(Association of American Feed Control Official)

なぜ「ヒューマングレード」という言葉が生まれたか

Jaromir Chalabala/ Shutterstock.com

一方、日本では、1974年に『ペットフードの表示に関する公正競争規約』及び『ペットフードにおける景品類の提供の制限に関する公正競争規約』が制定され、2009年には「ペットフード安全法」と呼ばれる環境省・農林水産省が定めた「愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律」が制定されました。

以後、ドッグフードを含むペットフードの安全については、国の法律で厳しく規定され、メーカー各社ではそれを遵守してフードの製造を行なっています。

つまり、ペットフード専用の法律がある現代では、「ヒューマングレード」という考え方をあえてしなくても、ペットフードの安全性は確保されていると言えるでしょう。


そもそも犬と人間が必要とする食べ物は違う

そもそも犬と人間が必要とする食べ物は違う

Soloviova Liudmyla/ Shutterstock.com

ドッグフードの品質について考える際、忘れてならないのは、「犬にとって必要な栄養を過不足なく含んだ食べ物であるか?」という観点です。

犬と人間は、必要とする栄養素のバランスやカロリーが異なっています。

犬が人間とまったく同じ食事をしていたのでは、必要な栄養素が不足したり、過剰になったりして、健やかな成長と健全なカラダを保つことができなくなってしまいます。

そもそも犬と人間が必要とする食べ物は違う

犬に必要な三大栄養素の割合

「ヒューマングレード」を「人間と同じ食べ物をあげること」と捉えて実践してしまうと、かえって犬の健康にはよくない結果を及ぼしかねないのです。

「ヒューマングレード」は愛情表現?

「ヒューマングレード」は愛情表現?

asia.marangio/ Shutterstock.com

近年、ペットが人間にとってより身近な存在になるにつれ、人間の食の安全基準を満たす食べ物を「ヒューマングレード」と考え、そうしたフードを与えることが「愛情の証し」と捉えている飼い主が増えてきていることも事実です。

フードメーカーもその考え方に則って、「ドライフード」に人間が食するレベルの原料を多く利用しているところもあります。

また、「ウェットフード」においては、人間用とまったく同じ食材を使う缶詰なども増えていて、まさに、人間用の食材とペット用食材が競合する状況になっています。

人類と動物との共存の観点からペットフードを考えてみよう

人類と動物との共存の観点からペットフードを考えてみよう

Koldunova Anna/ Shutterstock.com

ここで世界に目を向けてみてください。

国連の食料支援機関「国連WFP( World Food Programme)」によれば、未だに9人に1人が十分な食料を得られていない状態で生活しています。

さらに、環境問題や人口問題が深刻化し、食料不足の時代が来ることも懸念されています。

そうした今、ペットフードの原材料については、限りある資源をどう効率的に分け合うかという観点で考えることも大切でしょう。

そもそも人間と犬とでは、カラダに必要とされる栄養素も栄養バランスも異なります。

人間は好んで食べないけれど、犬にとって安全性には何ら問題なく、かつ犬の健康維持に役立つ食材や成分がこの世の中にたくさん存在していることを、飼い主としては知っておくべきではないでしょうか。

【参照元】国連WFP - World Food Programme

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