【獣医師監修】犬が食べ物を噛まずに丸呑みしても大丈夫?大きな食べ物やおもちゃんの誤飲に注意!
犬はドッグフードやおやつをそのまま丸呑みしてしまうことが多くあります。人間はよく噛(か)んで食べることが健康の元と言われていますが、犬の場合はどうなのでしょうか?なぜ、犬が食べ物やおもちゃを丸呑みしてしまうのか?理由や与える際の注意点、予防法などについて解説していきます。
更新日:
獣医師 MBA(経営学修士)
ヘリックス株式会社 代表取締役社長
【資格】
◇獣医師
【所属】
◆ペット栄養学会 理事
◆一般社団法人ペットフード協会 新資格検定制度実行委員会 委員長
◆日本獣医生命科学大学 非常勤講師
◆帝京科学大学 非常勤講師
など
大学卒業後、小動物臨床に従事。
その後、ペットフードメーカーに入社し、小動物臨床栄養学に関する研究、情報発信を中心とした活動を行う。
現在は、獣医療・教育関連のコンサルタントとしての活動。ペットの栄養に関する団体の要職を務める。
自宅で9頭の猫と暮らす愛猫家。
目次
犬は【咀嚼(そしゃく)】せず噛んで食べないのが普通!
Madebyindigo/ Shutterstock.com
そもそも人間が食べ物をよく噛(か)んで食べるのは、唾液に含まれるアミラーゼという酵素の働きにより「食品中に含まれるデンプンを口の中で消化し始める」という目的があります。
そのため人間の場合は、よく噛(か)んだ方が食品を消化することができます。
しかし、犬の場合、デンプン分解酵素であるアミラーゼが唾液に存在しません。
消化酵素による消化は胃から始まり、小腸で初めてアミラーゼが出始めるので、犬はご飯を食べる際に咀嚼(そしゃく)する必要がありません。
ちなみにデンプンを噛(か)むことで独特の甘みを感じるのは、このアミラーゼの働きによるものです。
犬が食べ物を噛まないのは【歯】が関係している?
1stGallery/ Shutterstock.com
犬の口内にも臼歯は付いていますが、その役割は人間のものとは大きく違っています。
基本的に、犬の前臼歯は「食べ物を引き裂く」ため、後臼歯は「食べ物をしっかりとくわえる」ために使用されます。
人間のように食べ物をすりつぶす用途では使われません。
また人間とは違い、犬の歯は全てが先のとがった形をしています。
これは食べ物を「引き裂く」という動作のみで食べ物を食べることを目的としており、顎(あご)の作用としてすり潰す様な動きができない仕組みになっています。
犬が食べ物を丸呑みするのは、人間と犬との歯や顎(あご)の根本的な作りの違いに由来しているのです。
犬のおやつの【丸呑み】に要注意!
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肉類やドッグフードは、健康な犬であれば消化する事ができますが、大きさはなるべく食べやすいように「小さくちぎってあげたり」「体のサイズにあったフードを選ぶ」ようにしましょう。
小ぶりなジャーキーや小さなガムは消化に関しても丸呑みしても基本的に問題はありません。
ただし、飲み込めない様な大きさのジャーキーやガムを食べてしまうと「喉(のど)を詰まらせる」可能性があります。
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大きな食べ物が喉(のど)に引っかかると、重大な事故を引き起こしてしまうことがあるので注意しましょう。
ガムのおやつやおもちゃが突然「喉(のど)に詰まってしまってしまい、病院に行った」などという事例も見受けられます。
食べ物に限らず、新しいおもちゃなどで遊ばせる際は、愛犬のサイズに合っているか、しっかりと確認しましょう。
愛犬が大きな食べ物やおもちゃを丸呑みしないように【防止】しよう!
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「犬は食べ物を丸飲みする」という事を忘れずに、ガムやジャーキーなどのおやつ選びや与え方に工夫をしてあげてください。
また、飲み込んでしまう可能性のある大きな食べ物やおもちゃなどを与えないよう十分に注意しましょう。
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