【獣医師監修】犬が鹿肉(生)を食べても大丈夫?アレルギーや腎臓病、下痢に注意!メリットや適量は?
北海道から九州まで、鹿(しか)の種類は違っても、鹿肉はジビエ肉として人気があります。犬が鹿肉を食べても大丈夫か?気になる飼い主さんもいるでしょう。犬に鹿肉を与える場合の注意点をはじめ、鹿肉の特徴やメリット、アレルギー、適量などを詳しく解説します。
- 更新日:
獣医師 MBA(経営学修士)
ヘリックス株式会社 代表取締役社長
【資格】
◇獣医師
【所属】
◆ペット栄養学会 理事
◆一般社団法人ペットフード協会 新資格検定制度実行委員会 委員長
◆日本獣医生命科学大学 非常勤講師
◆帝京科学大学 非常勤講師
など
大学卒業後、小動物臨床に従事。
その後、ペットフードメーカーに入社し、小動物臨床栄養学に関する研究、情報発信を中心とした活動を行う。
現在は、獣医療・教育関連のコンサルタントとしての活動。ペットの栄養に関する団体の要職を務める。
自宅で9頭の猫と暮らす愛猫家。
目次
犬が【鹿肉】を食べても大丈夫!
Ange1011 / PIXTA(ピクスタ)
犬が鹿肉を食べても大丈夫です!
鹿肉は、愛犬の手作りご飯の材料としても使うことができます。
ただし、鹿肉を愛犬に与える際は、必ず加熱して与えましょう。
また、「愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律」(ペットフード安全法)により、ジビエ肉と呼ばれるような野生鳥獣類の肉も、人間用の食肉と同レベルでの処理をされなければならないと規定されています。そのため、鹿肉を使用したペットフードも安心して食べることができます。
【参照元】
独立行政法人 農林水産消費安全技術センター(FAMIC)「ペットフード用及び肥料用の肉骨粉等の当面の取扱いについて」
環境省自然環境局「愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律(ペットフード安全法)」
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子犬や老犬に【鹿肉】を与えても大丈夫?
michaklootwijk / PIXTA(ピクスタ)
子犬や老犬が鹿肉を食べても大丈夫です!
近年、本州に生息する鹿の肉のみならず、北海道のエゾ鹿肉を利用したドッグフードやおやつも販売されています。
毎日、愛犬に生の鹿肉を加熱調理して主要なタンパク源として与えるのは、現実的ではないかもしれません。
けれども、鹿肉を使用したドライフードやおやつであれば、子犬や老犬の食生活にも取り入れやすいでしょう。
子犬や老犬に、鹿肉は良質なタンパク質として活用できます。
【参照元】文部科学省「食品成分データベース」
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犬に生の【鹿肉】を食べさせても大丈夫?
photo-o.com / PIXTA(ピクスタ)
犬には基本的に生の鹿肉を与えるのはやめましょう!
犬に生の鹿肉を与えるのであれば、人間が生で食べられるように処理された、衛生的で安全な部位の肉を選んでください。
どんな生肉でも、表面には細菌がついているため、生で与える場合は肉の表面を削ぐ必要があります。
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生肉をミンチにすると、肉の中心部まで細菌が入り込む危険性が高くなります。
鹿のジビエ肉が手に入ったからといって、ミンチ肉にして生のまま決して愛犬に与えないでください。
犬用の手作り食やローフード用の通販セットなどで、生食用の鹿肉が販売されていますが、ペット用の生肉は食品衛生法の対象ではないため、製造過程や品質管理について正確な情報を消費者が把握するのは容易ではありません。
【参照元】厚生労働省「食品衛生法」
翠竹 / PIXTA(ピクスタ)
実際に、鹿肉に限らずペット用として販売されている生食用の肉の中には、微生物や細菌に汚染されたものが見つかっています。
生食用の肉が、大腸菌や黄色ブドウ球菌やサルモネラ菌などに汚染されていて、それらを愛犬が口にした場合、嘔吐や下痢などを引き起こしたり、場合によっては命にかかわる恐れもあります。
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また、汚染された食材を触った手で、人間の食べ物や調理器具、容器などに触れることで付着した菌が広がり、二次汚染を引き起こすことも多いと報告されているので、注意しましょう。
生食用の肉は、1回分を小分けにラップで包んで冷凍するなどすれば、リスクは最小になります。
人間が生で食べられるように処理をし、管理されている鹿肉や、ペット用だとしても人間の生食用と同等の処理をされた鹿肉のみを与えるのが、愛犬の健康を守るために重要です。
安全性が確認できないものについては、加熱調理をした上で与えるようにしましょう。
【参照元】BMJ Journal「Zoonotic bacteria and parasites found in raw meat-based diets for cats and dog(生肉の微生物汚染について)」
犬に【鹿肉】を与えるメリットや効果は?
鹿肉のメリット・効果①【低カロリー】
makotomo / PIXTA(ピクスタ)
一般的に手に入る鹿肉は、赤肉(赤身)です。
赤肉は、低脂肪でカロリーが低いという特徴があります。
肥満気味でダイエットが必要な犬や、低脂肪な食事が必要な犬には、他の高脂肪な肉をトッピングなどで与えるよりも、鹿肉の方が良いでしょう。
ただし、エゾ鹿肉は他の鹿と比較すると脂肪分は多めです。
【参照元】文部科学省「食品成分データベース」
鹿肉のメリット・効果②【良質なタンパク源】
Artem Stepanov / PIXTA(ピクスタ)
栄養価は同じ動物の肉でも部位により異なり、一般的にはもも肉やばら肉よりも赤肉はタンパク質が高め。
鹿肉は一般的には赤肉しか食用にならないため、高タンパクと言えます。
フードにタンパク源を加えたい場合、鹿肉はトッピングなどで活用しやすいでしょう。
なお、鹿肉のタンパク源の質自体は、豚や牛とほとんど変わりません。
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【参照元】文部科学省「食品成分データベース」
犬に【鹿肉】を与える場合の注意点!
鹿肉の注意点①【生肉】
Andrey Starostin / PIXTA(ピクスタ)
衛生的な加工処理を施されていない生の鹿肉の場合、微生物や細菌に汚染されている可能性があります。
鹿肉を生で愛犬が口にした場合、嘔吐や下痢などを引き起こしたり、場合によっては命にかかわる恐れもあります。
必ず加熱をし、生では与えないようにしましょう。
【参照元】BMJ Journal「Zoonotic bacteria and parasites found in raw meat-based diets for cats and dog(生肉の微生物汚染について)
鹿肉の注意点②【慢性腎臓病】
iStock.com/VioletaStoimenova
鹿肉に限らず、馬肉や牛肉などの動物性タンパク質を含む食材には、慢性腎臓病の進行に悪影響を及ぼすリンが豊富に含まれています。
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【獣医師監修】「犬の慢性腎不全(慢性腎臓病)」 原因や症状、なりやすい犬種、治療方法は?
犬の「慢性腎不全(まんせいじんふぜん)」とは、老廃物や毒素を排出する腎臓の機能が徐々に低下していき、体内に蓄積した毒素によってさまざまな症状を示す状態です。腎臓の機能が低下しても、重度に低下するまではほとんど症状を示さず、症状を示した時には腎不全のために有効な治療を行うことができないことも多々あります。
愛犬が進行した慢性腎臓病を患っている場合は、タンパク質の摂取も減らさなければなりません。
慢性腎臓病を患い食餌療法を実施している場合には、鹿肉を与えることは控えるべきでしょう。
【参照元】『小動物の臨床栄養学 第5版』(マーク・モリース研究所発行、監訳:岩﨑利郎、辻本元)2014年インターズー
鹿肉の注意点③【アレルギー】
iStock.com/malivoja
犬の食物アレルギーの多くは、それまでに食べたことのある食材によって引き起こされます。
日本において鹿肉は、毎日食べるような一般的な食材ではないので、犬が鹿肉アレルギーを起こす可能性は低いと考えられます。
けれども、もし鹿肉を食べて下痢などの消化器症状が出た場合、獣医師に相談をしてください。
【獣医師監修】犬のアレルギーの原因や症状、治療、検査・予防方法は?出やすい犬種はある?
人間同様、アレルギー体質の犬は少なくありません。犬にはどんなアレルゲンがあるのかでしょうか?アレルギーの症状や治療をする方法は?アレルギーが出やすい犬種や時期は?犬のアレルギーに関して、知識を得ておきましょう。
犬に【鹿肉】を与える際の適量は?
iStock.com/Drbouz
ジビエ肉は、スーパーに並ぶようなポピュラーな食材ではなく、安価なものでもないため、愛犬にはトッピング程度で与えるケースが多いでしょう。
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また、犬用おやつとして売られている、国産の「鹿肉ジャーキー」などのような加工品を与えることもあるかもしれません。
主食に加えるトッピングやおやつは、愛犬のご飯の全体量の20%以下に抑える必要があります。その適量を参考に、愛犬に与えるようにしてください。
【参照元】『小動物の臨床栄養学 第5版』(マーク・モリース研究所発行、監訳:岩﨑利郎、辻本元)2014年インターズー
犬に与える【鹿肉】のまとめ
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良質なタンパク源で低脂肪の鹿肉の赤肉は、子犬から老犬まで、愛犬に与えても大丈夫です!
愛犬に鹿の生肉を食べさせるのであれば、人間用の生食用として衛生的に処理・管理されたものに限って与えるようにしてください。
【獣医師監修】犬が生肉(骨付きも)を食べても大丈夫?凶暴になる?安全性やリスク、適量、購入場所は?
愛犬家の間で注目が高まっている食材、生肉。スーパーや通販など、「どこで買えばいいの?」「加熱しないと食中毒になる?」「骨付き肉を与えても大丈夫?」「犬に生肉を与えると凶暴になる?」などなど、生肉の食材としての特長や注意点、適量などを詳しく解説します。
茹でる、焼くなど、加熱処理をして愛犬に与えるのがおすすめです。
愛犬の健康を守ることができるのは飼い主だけです。
正しい知識を持って、ぜひ毎日の愛犬の食生活に役立ててみてくださいね。
【獣医師監修】犬が下痢をした・うんちがゆるい。この症状から考えられる原因や病気は?
犬のうんちがゆるかったり、下痢のときは、いったいどうしたらよいのでしょうか? すぐに病院に連れていくべきかどうか、飼い主としては悩むところですね。今回は犬のうんちがゆるくなる原因と、要注意の症状、考えられる病名について解説します。
【獣医師監修】犬のアレルギーの原因や症状、治療、検査・予防方法は?出やすい犬種はある?
人間同様、アレルギー体質の犬は少なくありません。犬にはどんなアレルゲンがあるのかでしょうか?アレルギーの症状や治療をする方法は?アレルギーが出やすい犬種や時期は?犬のアレルギーに関して、知識を得ておきましょう。
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愛犬にお肉を食べさせている飼い主の方も多いと思います。牛肉や馬肉などの肉と比べて手頃な豚肉は食べさせやすいお肉ですが、愛犬に豚肉を与えても大丈夫なのでしょうか?今回は愛犬に豚肉を食べさせる時に気をつけたいアレルギーなどの注意点や与え方について解説していきます。
【獣医師監修】犬が牛肉を食べても大丈夫?生肉は焼く?与えて良い部位やアレルギー、下痢など注意点!
我が子のように可愛いがっている愛犬のために手作りご飯に挑戦する人も多いようです。健康管理に役立つ食材選びを大切にしたいところですが、犬に牛肉(生の牛肉)を与えても大丈夫なのでしょうか? アレルギーの心配はないのかなど、気になる疑問について解説していきます。
【獣医師監修】犬が食べてもいい野菜!犬にあげてはいけない中毒の危険(ダメ)がある野菜!
普段、ドッグフードを与えている人でも、自分の食事のおすそ分けや、フードへのトッピングとして野菜をあげる機会があるのではないでしょうか? 体に良いと考えられている野菜の中でも「犬が食べてもいい野菜」と犬にあたえると中毒症状を引き起こす「危険な野菜」について解説していきます。
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