【獣医師監修】犬の耳が聞こえない、遠い(難聴)。考えられる原因や症状、主な病気は?

ある日、愛犬に呼びかけても反応がなく、「もしかして愛犬の耳が聞こえていない?」「遠い(難聴)のでは?」と思った飼い主さんもいるのではないでしょうか?ここでは、犬の耳が聞こえなくなる、遠い(難聴)の原因や症状、主な病気について解説します。

先生にお聞きしました
濱本 裕仁 先生
日本獣医生命科学大学 付属動物医療センター 放射線科 獣医師 (獣医学博士)

【資格】
獣医師

日本獣医生命科学大学獣医学科を卒業後、同大学大学院獣医生命科学研究科にて博士(獣医学)の学位を取得。

2018年より日本獣医生命科学大学附属動物医療センターの放射線科を担当。伴侶動物におけるCTやMRIを用いた画像診断や放射線治療に従事。
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犬の耳が聞こえない【考えられる原因】

犬の耳が聞こえない【考えられる原因】

Oyls/ Shutterstock.com

犬の耳が聞こえないかどうかは、聞こえないことを証明する術がないため、判断がしづらい症状です。

ただし、今まで呼びかけや物音には反応していたのに、ある日を境に呼びかけや物音に反応がなくなってしまい、明らかに耳が聞こえていないように見える場合は、病気の可能性が考えられます。

犬の耳の構造

犬の耳の構造

耳が聞こえない原因①【加齢】

犬も人間と同じで、高齢になって耳が遠くなる可能性があります。

また、認知症などでずっと寝ているような状態であれば、耳が聞こえない可能性があります。

耳が聞こえない原因②【耳への異物混入】

耳の中に異物が入ることで、音が通る耳道が塞がり、犬の耳が聞こえづらくなることがあります。

耳が聞こえない原因③【外傷や強い打撲】

耳が聞こえない原因③【外傷や強い打撲】

yangtak/ Shutterstock.com

外傷や強い打撲によって、頭部が損傷し、脳の聴覚野に損傷を受けた場合や鼓膜や耳小骨などが損傷した場合に、犬の耳が聞こえなくなることがあります。

耳が聞こえない原因④【薬の副作用】

薬に含まれる化学成分による化学反応が原因で、内耳に障害を来たし、難聴を引き起こすことがあります(聴器毒性といいます)。

耳が聞こえない原因⑤【アレルギー・感染症】

アレルギーや皮膚の感染症によって、耳に炎症が起きて病状が進むと、鼓膜に穴が開いて、難聴になることがあります。

耳が聞こえない原因⑥【耳道の腫瘍】

耳が聞こえない原因⑥【耳道の腫瘍】

Oleksandr / PIXTA(ピクスタ)

耳道に腫瘍ができることで、耳道が狭くなり、犬の耳が聞こえづらくなることがあります。

また、内耳の神経部に腫瘍ができることで、耳菅が狭くなり犬の耳が聞こえづらくなる可能性があります。

耳が聞こえない原因⑦【内分泌系の疾患】

甲状腺ホルモンを分泌する甲状腺の機能が低下すると、耳が聞こえなくなることがあります。

耳が聞こえない原因⑧【脳の疾患】

耳が聞こえない原因⑧【脳の疾患】

アクセル / PIXTA(ピクスタ)

遺伝性の脳疾患である水頭症が原因で、障害をうける場所によっては耳が聞こえなくなることがあります。

耳が聞こえない原因⑨【神経の異常】

まれに若い犬に、一過性の前庭神経の異常が原因で、耳が聞こえなくなることがあります。

これも原因?

犬の耳が聞こえない原因として、Webなどで「精神的なショック」という情報が掲載されていますが、「犬の耳が聞こえない」状態との直接的な因果関係はわかっていません。

犬の耳が聞こえない【こんな症状は要注意!】

犬の耳が聞こえない【こんな症状は要注意!】

Beatriz Vera/ Shutterstock.com

犬の耳が聞こえないように感じる場合は、病気の恐れがあるので病院で診てもらいましょう。

あわせて以下のような症状が見られることもあります。

頻繁に失禁する
頻繁に徘徊する

認知症の可能性があります。

犬 耳が聞こえない 原因 耳を掻く

Jirakan / PIXTA(ピクスタ)

しきりに耳を掻く
目が規則的に揺れ動いている(眼振)
顔を傾ける(斜頸)
耳を触られると嫌がる
耳垢が増殖している
耳が臭い

耳に炎症や腫瘍ができている可能性があります。

犬 耳が聞こえない 原因 脱毛

iStock.com/smrm1977

頭と足以外の毛が左右対称に脱毛している

甲状腺機能低下症の可能性があります。

まっすぐ歩けない
旋回する

脳や神経に問題がある可能性があります。

犬の耳が聞こえない【この症状で考えられるおもな病気】

犬の難聴(聴覚障害)

犬の難聴(聴覚障害)

Zivica Kerkez/ Shutterstock.com

「犬の難聴(なんちょう)」とは、聴覚が低下した状態です。

先天性の場合は、耳の聴覚受容器の発達障害等が原因ですが、後天性の場合は、加齢や外耳炎・内耳炎などの炎症性疾患、頭部外傷や脳神経障害等、さまざまな原因が考えられます。

犬の認知機能低下

「犬の認知機能低下(にんちきのうていか)」とは、加齢により起きる、いわゆる認知症です。

呼んでも反応がない等、ぼんやりする時間が増えるほか、失禁、昼夜逆転、徘徊などの行動障害が現れます。

加齢に伴い発症することが多く、柴系の犬に多い傾向があります。

犬の甲状腺機能低下症

犬の甲状腺機能低下症

iStock.com/o_sa

「犬の甲状腺機能低下症(こうじょうせんきのうていかしょう)」とは、甲状腺の機能が低下する病気です。

体重が増えたり、皮膚の乾燥や脱毛が生じます。

犬の耳道ポリープ(炎症性ポリープ)

「犬の耳道(じどう)ポリープ」とは、耳道に炎症性のポリープができる病気です。

中耳や鼓膜付近にできることが多く、耳垢や耳の強い臭い、眼振や旋回等の神経症状を引き起こします。

できものが耳道を塞いでしまうことにより、多くは外耳炎や中耳炎などを併発します。

犬の外耳炎

犬の外耳炎

iStock.com/Dmitrii Balabanov

「犬の外耳炎(がいじえん)」とは、耳垢が刺激となり、外耳道の炎症が起きる病気です。

犬の外耳道はL字に曲がっているため、湿りやすく、耳垢が溜まり、細菌が繁殖しやすくなっています。

症状としては、耳の痒みや痛み、過剰な耳垢などが現れます。

犬の中耳炎

「犬の中耳炎(ちゅうじえん)」とは、中耳に炎症がひろがる病気です。

耳をかゆがったり、耳だれが出たり、耳を触るのを嫌がるほか、難聴になる可能性があります。

また、外耳炎が重症化すると、鼓膜に穴が開いてしまう中耳炎になる恐れもあります。

犬の内耳炎

犬の内耳炎

goodluz/ Shutterstock.com

「犬の内耳炎(ないじえん)」とは、耳の奥の内耳に炎症が起こる病気です。

内耳にある聴覚神経やバランスを保つ前庭神経に障害されると、難聴や同じ方向に回ったり、頭を傾けたりします。

重症の場合、平行感覚が麻痺し、歩けなくなることもあります。

犬の水頭症

「犬の水頭症(すいとうしょう)」とは、頭蓋骨の内部を満たしている脳脊髄液が異常に増え、脳を圧迫することで、認知症や歩行障害などを引き起こす病気です。

感覚の麻痺、視力障害、過食など、症状はさまざまですが、目立った症状が現れないこともあります。

犬の末梢性前庭障害

犬の末梢性前庭障害

Olena Tselykh Fotografie/ Shutterstock.com

「犬の末梢性前庭障害(まっしょうせいぜんていしょうがい)」とは、平衡感覚を司る内耳の前庭神経に障害が起きる病気です。

内耳炎や中耳炎、内耳の腫瘍等が原因となり、頭を傾げてまっすぐに歩けなくなるほか、眼振や旋回が現れます。

視野が回転するため、嘔吐や食欲不振が起こることもあります。

愛犬の耳が聞こえない、遠い(難聴)と感じた時には、認知症や甲状腺機能低下症など、病気の可能性があります。

飼い主の方が不安な場合や、愛犬が日常生活に支障をきたす前に、早めに動物病院で獣医師に診てもらいましょう。

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