【獣医師監修】サモエドの乳歯の生え変わり時期は？歯並びが悪い場合は矯正が必要？歯磨きのやり方は？

サモエドの乳歯の生え変わりの時期と順番は？

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サモエドの乳歯①【発育・萌出（ほうしゅつ）】

サモエドの歯は、「歯胚（しはい）」と呼ばれる“歯の芽”が、

という歯の発育段階を経て成長していきます。

その発育は子犬が母犬のお腹の中にいる頃から始まり、「歯」の形となって歯肉から顔を出すのは生後21日（3週）頃のこと。

そして、生後2ヶ月くらいまでの間にすべての乳歯が生え揃います。

【歯が成長する過程】
歯は子犬が母犬のお腹の中にいる時からすでに発育が始まっている。

サモエドの乳歯②【歯の生え変わり時期】

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やがて子犬が生後4ヶ月半頃になると永久歯が生え始め、生後6～7ヶ月頃までには乳歯と永久歯との生え変わりが完了します。

【犬の乳歯（左）と永久歯（右）の歯並び】

なお、歯の生え変わりの時期には乳歯と永久歯とが一時的に併存する期間があり、切歯と臼歯では数日程度、犬歯の場合は2〜3週間ほど乳歯と永久歯が重なって生えている状態となります。

サモエドの乳歯③【歯が生える順番】

歯の生え変わりの時期になると、永久歯は乳歯の内側に生えてきますが（上顎の犬歯のみは乳歯の前方）、同時に乳歯はその根元が破歯細胞の働きによって溶け出し、次第に抜けていきます。

通常、犬の歯が生えてくる順番は以下のとおりで、これは乳歯も永久歯も同じです。

ちなみに、乳歯の段階では前・後臼歯の区別がなく、単に臼歯と呼びます。

ただし、前臼歯や後臼歯の中には最後に萌出する犬歯と同じくらい最後に萌出する臼歯もあります。

歯が生える順番／写真提供：フジタ動物病院

サモエドの歯の本数は？（何本抜ける？）

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サモエド（犬）の歯の本数は乳歯で28本、永久歯は42本で、生え変わりの時期に乳歯と永久歯とが入れ替わります。

歯の本数は下の歯式によって示すことができますが（歯式は犬の顔を片側から見た時の歯の数を基本として数えます）が、表でも示しておきましょう。

【成犬の歯】
切歯＝I1（第1切歯）～I3（第3切歯）
犬歯＝C
前臼歯＝P1（第1前臼歯）～P4（第4前臼歯）
後臼歯＝M1（第1後臼歯）～M3（第3後臼歯）

サモエドの歯磨きの仕方・オススメの歯ブラシは？

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サモエドの歯磨き【歯磨きの仕方】

愛犬が歯磨きを受け入れられるようにするには、少しずつ慣らすことが大切です。

以下にその手順を簡単にご紹介します。

歯磨きの仕方【ステップ①】

おやつを与える時や体を撫でる時に何気なく指や手で愛犬の口元に触れ、口周りに触られることに慣らします。

歯磨きの仕方【ステップ②】

それに慣れたら、口に触れるだけではなく、指を口に入れてみる、唇を少しめくってみる、歯茎に触れてみるなどしてみます。

歯磨きの仕方【ステップ③】

次に、ぬるま湯で湿らしたガーゼを指に巻いて愛犬の歯を軽くこすってみましょう。

最初は切歯（前歯）から。

慣れるにつれて、徐々に奥歯へ移動するようにします。

歯磨きの仕方【ステップ④】

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指ガーゼに慣れたら歯ブラシへ移行します。

最初は歯ブラシの匂いを嗅がせたり、遊ばせたりし、瞬間的でも歯ブラシを口に入れることがあったなら褒めてあげましょう。

歯磨きの仕方【ステップ⑤】

歯ブラシで愛犬の歯を磨いてみます。

切歯から始め、少しずつ犬歯や奥歯も慣らしていきます。

最初は歯の外側だけでも大丈夫。

徐々に裏側も磨けるようにしていきましょう。

サモエドの歯磨き【歯磨き嫌いになる原因】

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犬が歯磨きを嫌がる理由としては以下のようなものが考えられます。

口に触られることに慣れていない

磨き方が強過ぎて痛い

歯ブラシが硬過ぎる、または大き過ぎる

歯や口の中にトラブルがあって、歯磨きをされると違和感や痛みがある

無理強いされるのが嫌だ

普段から飼い主にマズルを持たれて怒られていた

サモエドの歯磨き【歯磨きのポイント】

以上を踏まえ、サモエドに歯磨きをする際のポイントをいくつか挙げてみましょう。

サモエドが気をつける歯のトラブルや病気（歯周病）は？

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サモエドで気をつけたい歯のトラブルには、以下のようなものがあります。

サモエドの歯のトラブル①【歯周病】

犬の歯周病は他の様々な病気にも影響を与えますが、たとえば、糖尿病との関係も指摘されており、糖尿病があると歯周病が進行する一方で、歯周病が重度になると糖尿病に影響するとも言われています。

また、腎臓疾患があると口腔粘膜の炎症が助長されやすいです。

また、年に1回の歯垢・歯石除去は死亡リスクを約20％減少させるという論文も発表されており、寿命そのものにも影響を与えてしまいます。

サモエドは糖尿病の高リスク犬種とされるので、歯周病予防および早めの処置を心がけたいものです。

【参照元】
・日本歯科医師会「歯周病と糖尿病」
・Silvan R,et.al「Risk Factors Associated with Lifespan in Pet Dogs Evaluated in Primary Care Veterinary Hospitals」（Journal of the American Animal Hospital Association 2019;55:130-137）
・Andrea D. Short, Brian Catchpole et al.「Analysis of Candidate Susceptibility Genes in Canine Diabetes」（Journal of Heredity, Volume 98, Issue 5, July/August 2007, Pages 518–525）

サモエドの歯のトラブル②【（家族性）エナメル質形成不全】

「犬のエナメル質形成不全」とは、エナメル質の形成が不十分で、ところどころエナメル質が欠損し、歯の表面がまだら状で、でこぼこになり、歯の色が淡黄色～茶色に変色する歯科疾患です。

原因としてエナメル質の形成期にウイルス性疾患や発熱性疾患、重度の消化器疾患、栄養障害、外傷などにさらされたことの他、遺伝的素因も考えられ、SCL24A4という遺伝子の異常が関係することがわかっています。

サモエドではエナメル質形成不全が遺伝性疾患として見られることがあります。

【参照元】
・BMC Part of Springer Nature「Researchers identify mutation that causes bad teeth in Samoyed dogs」
・UCDAVIS VETERINARY MEDICINE Veterinary Genetics Laboratory「Familial Enamel Hypoplasia of Samoyeds」

サモエドの歯のトラブル③【破折（はせつ）】

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犬の破折とは歯が折れたり、欠けたりすることを言います。

特に上顎の第4前臼歯（一番大きな歯）は折れやすく、次いで上顎の犬歯、下顎の第1後臼歯、下顎の犬歯の順。歯髄が露出した場合は細菌感染を防ぐためにできる限り早期の治療が望まれます。

サモエドの歯のトラブル④【歯髄炎（しずいえん）】

破折や咬耗（物を噛み続けることで歯が擦り減ること）などによって歯髄が露出した場合、歯髄に細菌が入り込んで炎症を起こすことがあります。

サモエドの歯のトラブル⑤【根尖周囲病巣（こんせんしゅういびょうそう）】

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「犬の根尖周囲病巣（こんせんしゅういびょうそう）」とは歯周病、破折や咬耗による歯髄の露出、吸収病巣、う蝕（虫歯）、変形歯などにより、歯の根尖（歯の根の先端）周囲に炎症が及んだ状態を言います。

サモエドの歯並び・噛み合わせが悪い場合は矯正が必要？

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愛犬の歯の噛み合わせが悪く、かつ、咀嚼（そしゃく）の問題がある、不正な歯が口の中を傷つけてしまうなどの様子が見られる場合、または将来的にそれが予想される場合は、歯の矯正を行なうことがあります。

歯に専用の固定器具を取り付けて位置を調整する方法もありますが、通常は、口腔粘膜を傷つけている歯を抜歯したり、切削して歯髄（しずい）を保護する方法がとられることが多いです。

矯正を望む場合は歯科に詳しい動物病院で相談するのがいいでしょう。

サモエドの歯のトラブルに保険は使用できる？

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一般的に、ペット保険では予防にあたるものや、病気にはあたらないとされるもの、一部の遺伝性疾患などは補償対象外であり、歯石除去や乳歯遺残（にゅうしいざん）などはそれに含まれます。

また、ペット保険によって、「歯科治療」を指す範囲にも若干違いが見られる上、「歯科治療全般が補償対象外」「歯周病は対象となる」「手術費用も補償プランを契約しているなら、（予防以外の）全身麻酔下での歯科治療は手術にあたり、補償対象となる」など歯科治療の補償に関しては各社各様です。

そのため、これからペット保険の加入を考えている場合は、愛犬の健康リスクを踏まえた上で、それぞれのペット保険の補償内容や条件をよく比較検討して判断することをおすすめします。

サモエドの歯のまとめ

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サモエドは温厚な気質をもちながら、頑固な一面ももちあわせているので、歯磨きが気に入らなければ頑として拒否することも考えられます。

それゆえ、歯磨きトレーニングは子犬の頃から始めて、早くに口周りを触られても大丈夫なように慣らしたほうがいいでしょう。

また、遊び好きでもあります。

ひづめや骨、おもちゃ、石、ケージなど硬過ぎる物をかじったりして破折が起きないようにもご注意を。

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