【獣医師監修】犬が栗を食べてもOK!?殻や鬼皮、渋皮には要注意!アレルギーは大丈夫?
秋の季節の代表的な食べ物の栗ですが、人間が食べていると犬も興味を示していることはありませんか?デザートなど大活躍の栗ですが、犬が栗を食べても大丈夫なのでしょうか?ここでは、栗の栄養素やメリット、栗の種類や、注意点について解説していきます。
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獣医師 MBA(経営学修士)
ヘリックス株式会社 代表取締役社長
【資格】
◇獣医師
【所属】
◆ペット栄養学会 理事
◆一般社団法人ペットフード協会 新資格検定制度実行委員会 委員長
◆日本獣医生命科学大学 非常勤講師
◆帝京科学大学 非常勤講師
など
大学卒業後、小動物臨床に従事。
その後、ペットフードメーカーに入社し、小動物臨床栄養学に関する研究、情報発信を中心とした活動を行う。
現在は、獣医療・教育関連のコンサルタントとしての活動。ペットの栄養に関する団体の要職を務める。
自宅で9頭の猫と暮らす愛猫家。
目次
犬が栗を食べても大丈夫!

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加熱した栗は、犬にとって安全に食べることができる食材です。
生の栗は消化しづらいので、柔らかくなるまで加熱した栗であれば、犬も消化不良を起こさず食べることができます。
また、スーパーなどで販売されている加熱済みの甘栗は、原材料が栗だけであれば犬に与えても大丈夫です。
しかし、保存料や砂糖が大量に含まれているものは避けた方がよいでしょう。
愛犬に与える栗の栄養素は?

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秋に旬を迎える栗は、縄文時代から食べられているもので、古代の人たちもその栄養価の高さを知っていたと思われます。
古代から日本国内の色々な場所で食べられてきた栗は、バランスのとれた栄養素を含んでいます。
そのため、当時は貴重な栄養補給の源として重宝されていたようです。
その証拠に、栗の木は神聖な道具や建造物に利用されていましたし、戦国時代には出陣する兵士にも栗を持たせていました。
ちなみに、兵士が持っていった栗は「かち栗」と呼ばれ、「戦に勝つ」ための元担ぎだったと考えられています。
愛犬に与える栗の栄養素のメリットは?

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栗の栄養の主成分はデンプンです。
栗の可食部100gあたり130キロカロリーありますが、これは白米100gと同程度のカロリーです。
また、炭水化物を主成分とするさつまいもよりカロリーが高く、炭水化物以外にもミネラルが豊富に含まれているなど、バランスの取れた食材のひとつともいえます。
では、栗に含まれている栄養素の主なメリットを紹介しましょう。
●栗のメリット①「炭水化物」エネルギー源

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「炭水化物」は栗でいうとデンプンにあたる部分ですが、日本では古くから主食として活用されてきた食材には多く含まれています。
人間が生活する上で必要なエネルギーの源になる成分で、疲労回復の効果もあるとされています。
●栗のメリット②「ビタミン類」

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栗に含まれているビタミンとしてはA、B1、C、Eが多くなっています。
一般的にビタミンCは加熱するとなくなってしまうといわれています。
しかし、栗の場合はデンプンがビタミンCを守る役割を果たすため、加熱してもビタミンCの減少率が低いという特徴があります。
また、栗には抗酸化作用のある「ビタミンE」が含まれていることから、老化の防止が期待できます。
このビタミンEは油と一緒に摂取すると吸収されやすいという特徴を持っています。
●栗のメリット③「カリウム」むくみや高血圧予防

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ナトリウムの体外への排出を促す「カリウム」は、むくみや高血圧の予防に効果があるとされている栄養素です。
最近は加工品を摂取しすぎて、カリウム不足を引き起こしてしまう人が増えているといわれています。
●栗のメリット④「亜鉛」

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新陳代謝には欠かせない栄養素はミネラルですが、不足しがちな栄養素の代表格でもあります。
そのため、亜鉛は積極的に摂取すべき栄養素のひとつといわれています。
特にビタミンCと同時に摂取すると吸収されやすいので、栗は亜鉛の摂取にむいている食品といわれます。
ミネラル不足になると、人間では抜け毛や味覚異常などが起こりやすくなります。
●栗のメリット⑤「タンニン」抗酸化作用

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栗の渋皮には、ポリフェノールのひとつである多くのタンニンが含まれています。
抗酸化作用があります。
●栗のメリット⑥「パントテン酸」脂肪燃焼や解毒作用

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ビタミンB群のひとつで、炭水化物とたんぱく質・脂質の代謝に関わるといわれている栄養素です。
人間の体内で補酵素であるコエンザイムAの一部となり、脂肪の燃焼や解毒作用に役立つといわれています。
●栗のメリット⑦「食物繊維」腸をきれいに

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栗には腸内環境を整える「食物繊維」が含まれていますので、腸の中をきれいにしてくれることが期待されます。

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また、犬は味覚が鈍いといわれますが、糖質の甘みは感じるようで、甘いものが好きな犬は多いです。
そのため、食欲がおちている犬に対して、主食であるドッグフードのトッピングとして栗を細かく刻んだものをかけてあげると食欲が増す可能性があります。
愛犬への栗の与え方は?鬼皮や渋皮には注意!

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愛犬に栗を与える時は、鬼皮はもちろん渋皮も剥いてから与えるようにしましょう。
鬼皮をそのまま食べてしまうと、のどに詰まったり消化器官を傷つけたりする危険性があります。

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また、鬼皮と実の間の渋皮にはタンニンのような栄養素が含まれています。
脂肪を分解する膵リパーゼの効果を薄くしてしまうという研究結果も出ているので、念のため剥いてから与えたほうが安心でしょう。
鬼皮も渋皮も剥きづらく面倒になりがちですが、一晩水につけておくことで剥きやすくなります。
剥く方向は底から頭に剥くのが最適といわれていますので、これまで栗の皮剥きがうまくいかなかった人はこの方法を試してみてください。
愛犬に与える栗のアレルギーは大丈夫?

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栗に関してはアレルギーが稀といわれています。
しかし、その稀なアレルギーが自分の愛犬で発症しないとは限らないので、栗を食べさせた後の様子も見守りましょう。
もし目が充血したり、だるそうにしていたり、体を痒がったりしている時はアレルギーを発症している可能性がありますので、すぐに動物病院に連れて行きましょう。
愛犬に与える栗の種類は?

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栗にはどのような種類があるのでしょうか?
まず、原産地によって「日本栗」「西洋栗」「中国栗」の3つに分類されます。

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「日本栗」の特徴は、ほかの栗よりも大きく、タンニンを多く含んでいる渋皮が剝きにくいことが挙げられます。
「西洋栗」や「中国栗」は焼き栗向きですが、日本栗は甘露煮や茹で栗で味わうのがベストといわれています。
そのため、おせち料理の定番である栗きんとんなどが古くから日本に伝わる料理として発展してきました。
日本栗は、一番多く栽培されている「筑波」、飢饉時に非常用の食品として重宝された「銀寄」、皮が剥きやすく甘みが強い「利平」などの種類があります。
愛犬に与える「栗」のまとめ

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犬が栗を食べても大丈夫です。
ただ、栗に限らず、人間にとって良い食材でも犬にとっても良い食材であるとは限りません。
栗に関しては、消化器官を傷つけないように鬼皮と渋皮を剥き、カロリーオーバーに注意してください。

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主食であるドッグフードが食べられないほどに栗を食べてしまうと、必要な栄養素が摂れないためバランスよくあげるようにしましょう。
愛犬の健康を守れるのは、飼い主だけです。
愛犬が健康に楽しく毎日を過ごせるように、飼い主が愛犬の健康管理をしていきましょう。

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