【獣医師監修】犬がシナモンを食べても大丈夫?大量摂取によるクマリンの肝毒性に注意!許容量は?
クスノキ科ニッケイ属の内樹皮から取られる香辛料、シナモン。人間用では、パンやお菓子の香り付けに一振りしたり、紅茶をスティックでかき混ぜたりする他、生薬としても使われます。犬はシナモンを食べても大丈夫なのでしょうか?今回は、シナモンの特長や注意点などについて詳しく解説します。
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獣医師 MBA(経営学修士)
ヘリックス株式会社 代表取締役社長
【資格】
◇獣医師
【所属】
◆ペット栄養学会 理事
◆一般社団法人ペットフード協会 新資格検定制度実行委員会 委員長
◆日本獣医生命科学大学 非常勤講師
◆帝京科学大学 非常勤講師
など
大学卒業後、小動物臨床に従事。
その後、ペットフードメーカーに入社し、小動物臨床栄養学に関する研究、情報発信を中心とした活動を行う。
現在は、獣医療・教育関連のコンサルタントとしての活動。ペットの栄養に関する団体の要職を務める。
自宅で9頭の猫と暮らす愛猫家。
犬がシナモンを食べても大丈夫!

Rhetorica / PIXTA(ピクスタ)
犬がシナモンを食べても、少量であれば大丈夫です。
クスノキ科ニッケイ属の内樹皮を乾燥させたものがシナモンスティック、それを粉末にしたものがシナモンパウダーです。
愛犬がシナモン入りのパンやお菓子を盗み食いしてしまったとしても、少量のシナモンパウダーがかかっている程度であれば、問題はありません。

iStock.com/Feverpitched
ただし、シナモンに含まれるクマリンという成分は、大量に摂取すると肝臓に悪影響を及ぼします。
シナモンスティックを丸ごと食べてしまった場合は、すぐに動物病院で相談しましょう。
また、犬はシナモンのスーッとする香りがあまり好きではないため、ごはんの嗜好性(しこうせい)を上げる目的でトッピングするのには向きません。

Kritchai7752 / PIXTA(ピクスタ)
シナモンは、桂皮(けいひ)と呼ばれる生薬としても知られ、胃腸を活発にする作用があると言われています。
ただ、人間が薬としての効果を期待してとるものである以上、副作用もあると考えられます。
少量であれば体調に影響を与えることは通常ありませんが、基本的には、犬に積極的に与えるものではありません。
また、シナモンは、人間には悪玉コレステロールを下げる効果があると言われますが、犬にはコレステロールが血管に詰まる病気はほとんど見られません。
【子犬・老犬】がシナモンを食べても大丈夫?

leungchopan / PIXTA(ピクスタ)
子犬や老犬がシナモンを食べてしまっても、少量であれば大丈夫です。
ただ、積極的に与えるべきものでもありません。
また、子犬が初めてシナモンを食べてしまったときは、食べた後に下痢や嘔吐をしないか、子犬の様子をよく観察しましょう。
犬にシナモンを与える際の注意点!
シナモンの注意点①【肝毒性】

YAMATO / PIXTA(ピクスタ)
シナモンに含まれるクマリンという成分は、大量に摂取すると肝毒性があり、肝臓に悪影響を及ぼします。
シナモンスティックを丸ごと食べてしまった場合は、クマリンが大量に含まれるうえ、消化もよくないので、すぐに動物病院で相談しましょう。
ただし、少量のシナモンパウダーがかかっているパンやお菓子を盗み食いしてしまったとしても、特に問題はありません。
シナモンの近縁であるニッキ(肉桂、ニッケイ)を含む八ツ橋も、少量なら食べてしまったとしても大丈夫です。
一方、シナモンと相性のいいレーズンを使ったシナモンレーズンパンは、レーズンが急性腎障害を起こし、場合によっては死亡する危険性があります。

Pangaea / PIXTA(ピクスタ
もし食べてしまった場合は、動物病院に相談しましょう。
シナモンやクローブ、ナツメグ、ミント(メントール)、オレガノ(オレガノオイル)などの香辛料が体に与える影響は、動物によって種差があります。
けれども、動物に一つひとつ食べさせて調べるわけにはいかないので、実際に事故がないとその危険性がわかりません。
人間や動物がシナモンを食べて死亡したという報告はありません。
しかし、危険性がはっきりしないうえ、嗜好性(しこうせい)を高めるといったメリットも犬にはないので、犬に香辛料を与えることは避けたほうがいいでしょう。
シナモンの注意点②【アレルギー】

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シナモンを子犬のころ大量に食べることはほとんどないと思われるので、アレルギーの心配はほぼありません。
もしシナモンを食べた後に体をかゆがる、皮膚の一部が赤くなる、下痢や嘔吐をするなどのアレルギー症状が出て、愛犬の体調に不安を感じたら、動物病院で相談しましょう。
犬にシナモンを与える際の【許容量】は?

grasshopper / PIXTA(ピクスタ)
体重50kgの成人の場合、1日当たりのシナモン(原料植物カシア)の摂取許容量は1.5g(小さじ1強)が目安とされています。
犬は人間より体が小さく、体への影響が大きくなるので、積極的に与えることは控えましょう。
【参照元】東京都福祉保健局 東京都食品安全FAQ
犬に与えるシナモン【まとめ】

SORA / PIXTA(ピクスタ)
犬はシナモンを食べても、少量であれば大丈夫です。
シナモンパウダーが少量入っているパンやお菓子を食べてしまっても、特に問題はありません。
ただし、シナモンスティック1本など大量に食べてしまった場合は、肝毒性があるので、すぐに動物病院へ相談しましょう。
愛犬の健康を守れるのは飼い主だけです。
正しい知識を持って、毎日の愛犬の食生活に取り入れてみてくださいね。
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