【獣医師監修】チワワに健康診断は必要?何時間かかる?定期健診の頻度や内容、注意点について解説!
チワワに健康診断は、いつから、どのくらいの頻度で行うのが最適でしょうか?ライフステージごとに、動物病院の健康診断で行っておくべき検査内容は?チワワならではの健康診断における注意点や、健診費用に保険が適応されるかなどについて解説します。
- 更新日:
日本大学大学院獣医学研究科修了 博士(獣医学)
【資格】
◇獣医師
【所属】
◆公益社団法人 東京都獣医師会杉並支部 会員
◆JPMA(社)日本ペットマッサージ協会 理事
◆ペットシッタースクール(ビジネス教育連盟) 講師
◆ペット栄養管理士(日本ペット栄養学会認定)
◆日本獣医皮膚科学会 会員
◆日本小動物歯科研究会 会員
◆日本ペット栄養学会 会員
◆産業カウンセラー(一般社団法人 日本産業カウンセラー協会認定)
◆ヒューマン・アニマル・ネイチャー・ボンド(HANB)教育マスターインストラクター(日本ヒューマン・アニマル・ネイチャー・ボンド・ソサエティ認定)
「最良のホスピタリティと獣医療を提供する」をミッションに、地域や飼い主のニーズに応えている。
犬の食事についての造詣も深い。
【著書】
「イラスト、写真でよくわかる 愛犬の育て方~選び方・しつけ・飼い方・健康管理~」(新星出版社)
「年をとった愛犬と幸せに暮らす方法」(WAVE出版)
「愛犬健康生活BOOK 5歳からはじめる病気と介護」(主婦と生活社)
【監修】
「愛犬の介護ガイドBOOK」(文化出版局)
ほか
目次
チワワの健康診断、しなくても大丈夫?
kei.channel / PIXTA(ピクスタ)
チワワは超小型犬とはいえ、心身の健康を維持するため、毎日の散歩や適切な食事管理が必須です。
ところが、飼い主さんが運動不足にさせたり、ごはんやおやつを与えすぎて肥満に陥らせるなどして、チワワを気づかぬうちに不健康に育ててしまうケースも少なくありません。
目の前のチワワの健康に心配がなくても、「将来起こりうる健康トラブルの予防」と、「病気の早期発見」のために、若齢期から動物病院で積極的に健康診断を受けることをおすすめします。
pearlinheart / PIXTA(ピクスタ)
チワワのワクチン接種と健康検査のチェック
なお、優良ブリーダーやペットショップからチワワの子犬を迎え入れた場合、”混合ワクチンの初回の接種は終えている”のが一般的です。
ワクチン接種のために子犬が獣医師のもとを訪れた際、寄生虫の有無を調べる「糞便(ふんべん)検査」、獣医師が見たり触ったりして明らかにわかる「先天性疾患」や「病気の有無」など、最低限の健康チェックは必須です。
それをもとに作成した、健康診断書を譲渡先に渡している譲渡元もあります。
譲渡元から子犬の健康チェックに関する情報が提供されなかった場合は尋ねてみて、もし最低限の健康チェックがなされていないようであれば、早めに動物病院に相談を。
獣医師による健康チェックを受け、必要に応じて駆虫や病気治療を行ってもらいましょう。
チワワの健康診断(定期検診)はいつから(何歳から)必要?頻度は?
おでか犬 / PIXTA(ピクスタ)
チワワの子犬に健康診断はいつから必要でしょうか?
一般的に元気な子犬には、「超音波検査」や「レントゲン検査」などの本格的な健康診断は必須ではありません。
けれども、チワワの場合は膝蓋骨脱臼(パテラ脱臼)を子犬期から発症する可能性があります。
そのため、予防接種や寄生虫予防のために動物病院を訪れる際に、膝蓋骨の異常の有無を獣医師に確認してもらってください。
もし整形外科的な問題がある場合、早期の対策や治療が、その後の生活の質を維持するために重要になることを覚えておきましょう。
およそ1歳で成犬になったチワワは、”人間の約4倍のスピード”で肉体年齢を重ねていきます。
それを考えると、チワワが8歳以降のミドルエイジになったら、半年に1度は定期健診を受けたいものです。
チワワは、シニア期以降は「僧帽弁閉鎖不全症」を発症しやすい犬種のひとつ。
心臓病だけでなく、腫瘍などあらゆる病気を早期に発見するためにも、8歳以降は年に2回の頻度で定期健診の受診を心がけましょう。
kei.channel / PIXTA(ピクスタ)
なお、健康時のデータをシニア期以降に活用するためにも、1歳を過ぎたら、理想的には「半年に1回」、最低でも「1年に1回」はかかりつけの動物病院を受診し、身体検査と健康状態のチェックを受けるのをおすすめします。
若齢期には、たとえば春にフィラリア感染の有無を調べる抗原検査で血液を採取する際、血液検査による健康診断を依頼して、半年後の秋にはレントゲン検査や超音波検査を含むドッグドックを依頼するのも良いでしょう。
かかりつけ医は、病気を早く発見してくれるのはもちろんのこと、病気になる前から愛犬の健康寿命を延ばせるように力を尽くしてくれます。
定期的に健康診断を受け、その結果をもとにした獣医師のアドバイスを日常生活に取り入れながら、愛犬に最良な健康管理を行ってあげたいものです。
チワワの健康診断の項目や内容は?
kei.channel / PIXTA(ピクスタ)
健康診断の検査項目をセットにした、”犬ドック(ドッグドック)”の健診パックを実施している動物病院もあります。
若齢犬の健康診断であれば、「視診」「触診」「聴診」「血液検査」「レントゲン検査」「尿検査・便検査」が一般的な検査項目です。
シニア期に入ったら、病気をしっかり探すというモードで、獣医師は健康診断を行うことになります。
そのためには、心臓や肺の状態をはじめ、関節疾患などの有無、内臓の異常、消化管内の異物の有無がわかる「レントゲン検査」だけでなく、レントゲン検査では発見しにくい疾患や腫瘍、胆泥や尿路結石の有無などを調べるために行う「超音波検査(エコー検査)」も追加したいものです。
また、シニア期以降は内分泌の病気(甲状腺機能低下症、クッシング症候群など)に、犬はかかりやすい傾向にあります。
甲状腺機能を調べる、T4やFT4といった血液検査項目も、炎症マーカーであるCRPなどとともに獣医師と相談のうえ追加してもらうと良いでしょう。
シニア犬用の健診プランに、それらの血液検査項目をセットにしている動物病院もあります。
チワワの健康診断の前にご飯をあげても良い?検査はどのくらい時間がかかる?
おでか犬 / PIXTA(ピクスタ)
チワワの健康診断を動物病院で予約したら、便や尿を持参するなど事前準備の指示に従って、受診日は決められた時間に病院へ。
また、健康診断の「8~10時間前からの絶食」を指示されるのが一般的でしょう。
胃に内容物があると超音波検査で胃内の様子が見えづらいのはもちろん、肝臓、胆嚢、脾臓などの周辺臓器が見えにくくなるからです。
8時間以上絶食していないと、血液検査では血糖値の数値にも影響が及んでしまいます。
健康診断の所要時間は、受ける検査内容により異なりますが、だいたい「1時間前後」です。
飼い主さんは、ずっと健診中の愛犬に寄り添う必要はありません。
健康診断の前後に半日程度、犬を預かってくれる動物病院が多数を占めます。
チワワの健康診断、注意点やポイント!
Kukota / PIXTA(ピクスタ)
チワワは、各国のケネルクラブの分類では愛玩犬グループに属する世界最小クラスの犬種ですが、ほかの愛玩犬のように貴族の抱き犬として誕生したわけではありません。
寒暖差の激しい山岳地方の村々で、番犬、そして夜間は家族の身体を温める湯たんぽのような役割を果たしていたと伝えられています。
そのため、独立心が高く頑固な一面も持ち合わせており、家族以外の人には警戒心を示すチワワもいます。
そのようなチワワを触診や聴診する際、苦労をする獣医師が多いのも事実。
獣医師の手は、診断機器のひとつでもあります。
健康診断で、チワワに比較的多い歯の病気(乳歯遺残、歯周病など)や、目の異常などを早期に発見できるようにするためにも、「愛犬が誰にでもどこでも触らせるように子犬期からトレーニングをしておく」ことはとても重要なポイントです!
散歩の途中でかかりつけ病院に立ち寄り、日頃から動物病院のスタッフにやさしくしてもらって信頼関係を築いておくのも良いでしょう。
そうすれば、動物病院での健康診断や診察時にチワワ自身もストレスを感じることがなくなります。
たけぽん / PIXTA(ピクスタ)
なお、定期健診で異常がないからと言って、飼い主さんの健康管理上に問題がないとも限りません。
チワワ目線での健康的で幸せな生活とは、「運動欲、食欲、睡眠欲のすべてが満たされている」こと。
とくに、チワワは飼い主さんの管理上、運動不足になりやすいので注意が必要です。
チワワが日々の散歩で日光浴をしながら走ることができれば、足腰を守れる健全な筋肉をつけることができ、肥満予防にもなります。
また運動によってカロリーを多く消費すれば、食事量を減らすダイエットをせずにすみます。
なにより、チワワ自身も運動をして気分が爽快になるでしょう。
”心身ともに健康な生活を愛犬に送らせる”ことこそが、飼い主さんの第一の努め。
その延長線上にあって健康管理に役立てられるツールが、健康診断なのです。
チワワの健康診断、費用や料金は?健康診断書はもらえる?
ilixe48 / PIXTA(ピクスタ)
犬の健康診断の費用は、動物病院によって異なります。
視診、触診、聴診、血液検査、尿検査・便検査のパックプランで、「最低1万円」からが目安と言えるでしょう。
「超音波検査」や「オプションの血液検査項目」を追加する場合、さらに「1~3万円」ほど健診費用がアップするのが一般的です。
健康診断後、人間ドックの報告書のようなものを作成し、飼い主さんにそれをもとに健診結果を説明・カウンセリングする動物病院もあります。
動物病院によっては、血液検査の結果報告書だけを渡すところもあります。
費用や報告書、カウンセリングの有無などで、飼い主さんが希望する健診パックを選ぶと良いでしょう。
かかりつけの病院以外で健康診断を受けた場合、そのデータはかかりつけ医と共有しながら、健康管理に役立ててください。
チワワの健康診断の費用に、保険は適用される?
たけぽん / PIXTA(ピクスタ)
犬の健康診断の費用は、ペット保険の補償対象外です。
けれども、子犬や若齢期の健康診断で、チワワによく見られる膝蓋骨脱臼(パテラ脱臼)が見つかった場合、悪化を防ぐための生活環境の改善などが早期から行えます。
また、チワワが陥りやすい肥満や、シニア期以降に発症しやすい僧帽弁閉鎖不全症の早期発見にもつながるでしょう。
それにより、愛犬の健康寿命を延ばせるのは間違いありません。
愛犬は重症化に伴うストレスを感じずにすみ、飼い主さんは治療費の負担を軽減できます。
その意味では、保険適応にならなくても、健康診断を受ける価値は大きいと言えます。
チワワの健康診断のまとめ
おでか犬 / PIXTA(ピクスタ)
愛犬の健康診断をしないと、病気が進行し悪化した状態で飼い主さんが気づくことになりかねません。
どのような検査項目を選びながら健康診断をするか、かかりつけ医と相談しつつ、愛犬の健康管理に健康診断を役立てましょう。
愛犬の健康は、”獣医師と力を合わせて勝ち取っていくもの”だという認識を、飼い主さんは心得ておきたいものです。
正しい知識を持って、毎日の愛犬の生活に役立ててくださいね。
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