【獣医師監修】犬が塩を食べたり、舐めても大丈夫?与え方や必要摂取量は?塩分不足、過多に注意!
飼い主なら一度は耳にしたことがある「犬に塩分は必要ない!」というフレーズ。私たち人間には必要不可欠な「塩」ですが、同じような生物であるにもかかわらず、犬には本当に「塩分」は必要ないのでしょうか? よくよく調べていくと、私たちが知っている「飼い主としての常識」とは違う見解があるようです。
更新日:
獣医師 MBA(経営学修士)
ヘリックス株式会社 代表取締役社長
【資格】
◇獣医師
【所属】
◆ペット栄養学会 理事
◆一般社団法人ペットフード協会 新資格検定制度実行委員会 委員長
◆日本獣医生命科学大学 非常勤講師
◆帝京科学大学 非常勤講師
など
大学卒業後、小動物臨床に従事。
その後、ペットフードメーカーに入社し、小動物臨床栄養学に関する研究、情報発信を中心とした活動を行う。
現在は、獣医療・教育関連のコンサルタントとしての活動。ペットの栄養に関する団体の要職を務める。
自宅で9頭の猫と暮らす愛猫家。
目次
犬に適量の【塩分】であれば与えても大丈夫!(※腎臓や心臓に疾患がある場合は要注意!)
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犬に適量の塩分であれば与えても問題ありません。
犬は人間のように大量の汗を流すことができず、塩分排出が上手にできないため「犬に塩分は与えてはいけない」という見解があります。
まず、大前提として、人間が汗から排出する塩分の量は、排出量全体の約1割ほどです。
人間が摂取した塩分の多くは「おしっこ」として排出されています。
犬も同じ哺乳動物ですから「おしっこ」で塩分を体外に排出することができます。
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また、大昔に野性で生息していた頃、犬は動物の肉を大量に摂取していました。
動物の肉には当然血液が含まれており、血液は高塩分です。
昔から犬は高塩分のものを食べていたため、「塩分を排出する機能を備える必要があった」のです。
ただし、健康な状態では塩分の排泄機能が働いていても、腎臓や心臓に疾患があれば排泄機能が制限され、病気が悪化する危険性があります。
特に、慢性腎臓病は早期の病状発見が難しいので、犬の塩分摂取には十分な注意が必要です。
犬の塩分過剰摂取だけでなく【塩分不足】にも注意が必要!
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犬にとって塩分の過剰摂取は危険であることをお伝えしましたが、”塩分不足”も健康にとって良いものではありません。
そもそも、犬は進化の過程で塩分を十分に摂取できる環境にいたため、塩分を感じ取るセンサーが人間ほど発達してきていません。
そのため、現在の家飼いの状況では飼い主が「塩分管理」をしっかり行ってあげる必要があります。
愛犬が塩分不足になってしまった場合の【症状】とは?
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人間では大量に汗をかいた後、塩分の入っていない水を大量に摂取することで「低ナトリウム血症」を起こす場合があります。
人間とは違い、犬の場合は、日常生活の中で「低ナトリウム血症」に陥ることはまずありません。
万が一、「低ナトリウム血症」不足の状態に陥った場合、以下のような症状が発生する場合があります。
犬の「低ナトリウム血症」【症状】
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軽い下痢(げり)や嘔吐(おうと)などでも、動けないほどの状態になる
おしっこの色が濃い黄色になる
意識がはっきりせず、飼い主の声などに反応しづらくなる
シュウ酸カルシウム結石ができやすくなり、腎臓の数値が上がるなど
少しでも飼い犬の様子がおかしいなと思ったら、なるべく早めに獣医師の診断を受けることをおすすめします。
犬に与える塩(塩分)の【適量】は?
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愛犬にはどの程度の塩分が必要なのでしょうか?
犬の身体が必要とする一日のナトリウム摂取量は体重1kgあたり50mgと言われ、体重10kgの犬では500mgとなります。
これを塩分に換算してみると、体重10㎏の犬では1.27g。
ロースハム薄切り2枚半で1.25g、ちくわ2本で1g程度です。
犬に与える塩【まとめ】
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私たち飼い主は、犬に塩分は必要が無いと思い込んでいることも多く、極力塩分を排除することばかり考えてしまいます。
しかし、実は犬も人間同様に、塩分は必要不可欠なもので、摂取量をきちんと把握することが大事になります。
また、「塩分補給はOKなんだね」といって人間の食べ物を与えすぎれば、当然、愛犬の体調を崩すことになりかねません。
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ドライフードを食べている犬は、フード自体に塩分が含まれているので、あえて塩分を別に与える必要はありません。
手作りご飯を食べている犬は、いま一度、塩分が足りているかどうか見直しても良いでしょう。
愛犬の健康を守れるのは、飼い主だけです。
愛犬と長く楽しい生活を送るためにも、しっかり愛犬の健康管理をおこないましょう。
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