【獣医師監修】犬がうなぎ(蒲焼き・白焼き)を食べても大丈夫?適量やメリット、栄養素、注意点は?

「土用の丑(うし)の日」と言えば、うなぎを食べる日。うなぎは滋養強壮に効くと言われ、カラダに精をつけたい時に食べる人が多いようです。犬にもうなぎを食べさせてもいいのでしょうか?今回は、うなぎに含まれる栄養素や犬に食べさせるときの適量や注意点について詳しく解説します。

更新日:

先生にお聞きしました
徳本 一義 先生
ペット栄養学会理事。小動物の臨床栄養学に関するスペシャリスト。
獣医師 MBA(経営学修士)

ヘリックス株式会社 代表取締役社長

【資格】
獣医師

【所属】
ペット栄養学会 理事
一般社団法人ペットフード協会 新資格検定制度実行委員会 委員長
日本獣医生命科学大学 非常勤講師
帝京科学大学 非常勤講師
など

大学卒業後、小動物臨床に従事。

その後、ペットフードメーカーに入社し、小動物臨床栄養学に関する研究、情報発信を中心とした活動を行う。

現在は、獣医療・教育関連のコンサルタントとしての活動。ペットの栄養に関する団体の要職を務める。

自宅で9頭の猫と暮らす愛猫家。
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犬は【うなぎ(蒲焼き・白焼き)】を食べても大丈夫!

犬は【うなぎ(蒲焼き・白焼き)】を食べても大丈夫!

iStock.com/uschools

犬はうなぎを食べても大丈夫です!

うなぎは「ビタミン」「ミネラル」「カルシウム」など必須栄養素が含まれているので、犬にとっても栄養豊富な食べ物と言えます。

ただし、厚生労働省のHP「うなぎの新鮮な血液を大量に飲んだ場合、下痢、嘔吐、皮膚の発疹、チアノーゼが引き起こされる」と記載がある通り、うなぎの血液(血清)には「イクチオヘモトキシン」というたんぱく質の毒が含まれているため、注意が必要です。

うなぎの毒の毒性をなくすために加熱する

tsuppy / PIXTA(ピクスタ)

「イクチオヘモトキシン」は、フグのような危険度の高い毒ではなく、60℃で5分加熱すれば毒性がなくなります。

犬にうなぎを食べさせるときは、蒲焼きや白焼きのように加熱したものを食べさせましょう。

【参照元】厚生労働省「自然毒のリスクプロファイル」

犬がうなぎ(蒲焼き・白焼き)を食べる【メリット】【栄養素】は?

犬がうなぎ(蒲焼き・白焼き)を食べる【メリット】【栄養素】は?

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犬に与えるうなぎ【栄養素】

うなぎのおもな栄養素は、以下の通りです。

犬に与えるうなぎの【栄養素】

【蒲焼き】【白焼き】
・エネルギー293kcal331kcal
・水分50.5g52.1g
・タンパク質23.0g20.7g
・脂質21.0g25.8g
・炭水化物3.1g0.1g

※うなぎ可食部100gに含まれる栄養素

【参照元】文部科学省「食品成分データベース」

ビタミンA(レチノール)で犬の目を健やかに

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犬に与えるうなぎのメリット①【犬の目を健やかに】

うなぎには豊富なビタミンが含まれていますが、特に含有量が多いのは「ビタミンA」です。

ビタミンAには、βカロテンとレチノールの2種類がありますが、うなぎに含まれているのは「レチノール」

”目の健康に役立つ”ビタミンです。

老化とともに心配される白内障緑内障、角膜の劣化を防ぎ、目の健康を保つ働きが期待できます。

さらに、ビタミンAは、愛犬の皮膚や被毛の健康を維持するのにも役立ちます。

ビタミンB群で犬の疲労回復と粘膜の健康維持

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犬に与えるうなぎのメリット②【疲労回復・粘膜の健康維持】

うなぎは、”疲労回復”に役立つビタミンB1や、口内炎や皮膚など”粘膜の健康を保つ”働きのあるビタミンB2を多く含んでいます。

人間が精をつけたい時にうなぎを食べるのは、このビタミンB群の働きに期待するものです。

ビタミンDがカルシウムの吸収を補助

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犬に与えるうなぎのメリット③【カルシウムの吸収を補助】

ビタミンDは、”カルシウムの吸収を助ける”働きをするビタミンです。

うなぎにはカルシウムも含まれているので、同時に摂ることで、カルシウムを効率よく体内に摂り入れることができます。

犬の老化とともに心配になる骨粗鬆症(こつそしょうしょう)や骨折の防止に、ビタミンDとカルシウムを摂ることが大事なのです。

ビタミンEの抗酸化作用で活性酸素を除去

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犬に与えるうなぎのメリット④【抗酸化作用で活性酸素を除去】

脂溶性ビタミンの一つ、ビタミンEには、細胞を錆(さ)び付かせ、老化を促す因子となる活性酸素を除去する”抗酸化作用”があります。

セーラム / PIXTA(ピクスタ)

犬に与えるうなぎのメリット⑤【犬の血液をサラサラに】

うなぎには「DHA(トコサヘキサエン酸)」「EPA」などのオメガ3系不飽和脂肪酸が豊富に含まれています。

DHAは、脳の働きを正常に保つ働きもあると考えられています。

一方、EPAには、血液が固まるのを抑えて血栓ができるのを予防する働きがあります。

オメガ3系不飽和脂肪酸を摂取することは、人間だけでなく犬も加齢とともに発症のリスクが上がる「腎臓病」や「心臓病」「関節障害」「皮膚炎」などを予防する効果が期待されます。

犬がうなぎ(蒲焼き・白焼き)を食べる時の【適量】は?

犬がうなぎ(蒲焼き・白焼き)を食べる時の【適量】は?

iStock.com/Lcc54613

うなぎは栄養価が高いものの、カロリーも低くはないため、犬に食べさせすぎないようにしましょう。

適正体重を上回っている場合は、現体重ではなく、適正体重に基づいた摂取可能量をあげることも大切です。

うなぎ(蒲焼き)を食べる時の適量(目安)

【犬のサイズ(体重目安)】【1日あたりの摂取可能目安量】
超小型(2kg程度)13g(1/16切れ)
小型(3-5kg程度)17-26g(1/12-1/6切れ)
中型(6-15kg程度)29-58g(1/6-1/3切れ)
大型(20-30kg程度)72-98g(1/3-1/2切れ)
超大型(30-50㎏程度)98-144g(1/2切れ-1枚弱)

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うなぎ(白焼き)を食べる時の適量(目安)

【犬のサイズ(体重目安)】【1日あたりの摂取可能目安量】
超小型(2kg程度)11g(1/16切れ)
小型(3-5kg程度)15-22g(1/12-1/6切れ)
中型(6-15kg程度)25-51g(1/6-1/4切れ)
大型(20-30kg程度)63-86g(1/3-1/2切れ)
超大型(30-50㎏程度)86-126g(1/2-4/3切れ)

※市販品のうなぎ(蒲焼き・白焼き)1枚をもとに算出


犬がうなぎ(蒲焼き・白焼き)を食べる時の【注意ポイント】は?

犬がうなぎ(蒲焼き・白焼き)を食べる時の【注意ポイント】は?

iStock.com/AnnaRise

犬に与えるうなぎ注意点ポイント①【タレの塩分・糖分が気になるなら、さっと洗って】

スーパーなどで蒲焼きにしたうなぎを購入すると、すでに甘辛いタレが付いた状態になっているでしょう。

本来であれば、甘辛いタレは犬にとって塩分も糖分も多すぎるので取り除きたいものですが、愛犬に少しおすそ分けしてあげる程度ならば、あまり気にする必要はありません。

もし、愛犬の滋養強壮のために、定期的におやつや主食のトッピングとしてあげるのであれば、表面を水で洗うか、さっと湯がいて塩分と糖分を除くようにしましょう。

うなぎの塩分をカットしたいなら白焼きを

ささざわ / PIXTA(ピクスタ)

犬に与えるうなぎ注意点ポイント②【塩分をカットしたいなら白焼きを】

うなぎが好きな人の中には、蒲焼きよりも白焼きにわさびをつけて食べる人もいるそうです。

愛犬にうなぎの栄養は摂らせたいものの、「血圧が高かったり」「心臓や腎臓に持病があったり」塩分を摂らせたくない場合は、タレをつけないで素焼きしてある白焼きがオススメです。

ただし、白焼きのほうが蒲焼きよりカロリーが若干高めなので、注意しましょう。

犬に与えるうなぎ注意点ポイント③【頭・骨】

愛犬にうなぎを与える際に、うなぎの頭や骨などが喉(のど)につまらないように注意してください。

スーパーなどで、うなぎの頭や骨が処理済のうなぎを与えると安心です。

犬に与えるうなぎ(蒲焼き・白焼き)【まとめ】

犬に与えるうなぎ(蒲焼き・白焼き)【まとめ】

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土用の丑(うし)の日だけでなく、一年中うなぎの蒲焼きを店頭に並べているスーパーも多いようです。

カロリーの摂りすぎにならないよう、主食に少しトッピングしてあげるなどして、愛犬の滋養強壮に役立ててみるのもよいでしょう。

犬がうなぎを食べる時の目安量は、主食に総合栄養食のドッグフードを食べている場合のトッピングやおやつとして算出しています。

トッピングやおやつで食べる量は、1日の摂取カロリーの2割以下に抑え、その分ドッグフードの量も減らしてください。

また、手作りでフードを作る場合は、別途、栄養バランスや与える量の計算が必要です。

愛犬の健康を守れるのは、飼い主だけです。

愛犬が健康に楽しく毎日を過ごせるように、飼い主が愛犬の健康管理をしていきましょう。

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