【獣医師監修】犬がしらすを食べても大丈夫?塩分は?カルシウムなど栄養や、尿石症などに注意!

いわし類の稚魚(ちぎょ)である、しらす。生しらすや釜揚げしらす、しらす干しなど、愛犬のごはんにもトッピングしてあげたくなりますよね。カルシウムなど栄養が豊富なイメージのしらすですが、犬に食べさせても大丈夫なのでしょうか?今回は、しらすの特長や注意点などについて詳しく解説します。

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【獣医師監修】犬がしらすを食べても大丈夫?塩分は?カルシウムなど栄養や、尿石症などに注意!
出典 : midori_chan / PIXTA(ピクスタ)
先生にお聞きしました
徳本 一義 先生
ペット栄養学会理事。小動物の臨床栄養学に関するスペシャリスト。
獣医師 MBA(経営学修士)

ヘリックス株式会社 代表取締役社長

【資格】
獣医師

【所属】
ペット栄養学会 理事
一般社団法人ペットフード協会 新資格検定制度実行委員会 委員長
日本獣医生命科学大学 非常勤講師
帝京科学大学 非常勤講師
など

大学卒業後、小動物臨床に従事。

その後、ペットフードメーカーに入社し、小動物臨床栄養学に関する研究、情報発信を中心とした活動を行う。

現在は、獣医療・教育関連のコンサルタントとしての活動。ペットの栄養に関する団体の要職を務める。

自宅で9頭の猫と暮らす愛猫家。
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犬がしらすを食べても大丈夫!

犬がしらすを食べても大丈夫!

SORA / PIXTA(ピクスタ)

犬はしらすを食べても大丈夫です!

ドッグフードや手作りごはんにしらすをトッピングしてあげると、喜ぶ愛犬も多いのではないでしょうか?

また、食卓に置いておいたしらすを愛犬が盗み食いしてしまった、ということもあるかもしれません。

しらすとは、「真イワシ」「カタクチイワシ」「ウルメイワシ」など、主にいわし類の稚魚のことで、一般的には「カタクチイワシの稚魚(ちぎょ)」を指すことが多いようです。

生しらす

gontabunta / PIXTA(ピクスタ)

一言でしらすと言っても、とれたてそのままの「生しらす」の他、さっと茹でした「釜揚げしらす」、それを半干しした「しらす干し」などがあります。

また、しらす干しをあめ色になるまで干したものを「ちりめんじゃこ」と呼びます。

愛犬に与えるのにしらすの塩分が気になるという人がいますが、しらすの塩分相当量は、生しらすで100gあたり1g、釜揚げしらすで2.1g、しらす干しで6.6g程度です。

ごはんにしらすを振りかけたとしても、一回の量はせいぜい数グラム程度。

常識的な量であれば塩分量は特に問題なく、健康な犬であれば、あえて塩抜きをする必要はありません。

【参照元】文部科学省「食品成分データベース」

【子犬・老犬】がしらすを食べても大丈夫?

【子犬・老犬】がしらすを食べても大丈夫?

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子犬や老犬がしらすを食べても、基本的には大丈夫です。

ただし、子犬が初めて食べたときは、食べた後に下痢や嘔吐をしないか、子犬の様子をよく観察しましょう。

また、高齢犬や腎臓病・心臓病のある犬の場合は、盗み食いなどで大量に食べてしまうと、塩分を摂りすぎる可能性があります。

塩分の摂りすぎは腎臓病や心臓病を悪化させてしまうため、注意しましょう。

犬に【生】のしらすを食べさせても大丈夫?

犬に【生】のしらすを食べさせても大丈夫?

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犬が生のしらすを食べても大丈夫です。

しらすは鮮度が落ちやすいため、とれたてでないと食べられないのが生しらす。

新鮮な生しらすが手に入ったら、愛犬にも食べさせてあげたいですよね。

生しらすを与えても、特に問題はありません。

しらすの【特長】、犬への【効果】は?

しらすの特長・効果①【カルシウム補給】

しらすの特長・効果①【カルシウム補給】

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カルシウム補給のためにも、しらすを少量トッピングしてあげるといいでしょう。

しらすは硬い骨がないため、無理なく丸ごと食べられるので、の身だけ食べるよりもカルシウムやリンを多く摂取できます。

釜揚げしらすで100gあたり190mg、しらす干しで520mgのカルシウムが含まれています。

総合栄養食のドッグフードは十分なカルシウムを含んでいますが、手作りごはんの場合はカルシウムが不足しがち。

しらすの特長・効果②【皮膚や被毛の健康維持】

しらすの特長・効果②【皮膚や被毛の健康維持】

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EPAやDHAなどのオメガ3脂肪酸は、犬も人間も体内で合成できないため、食べ物から摂取する必要がある必須脂肪酸のひとつ。

必須脂肪酸はバランスよく摂取することが大切で、特に大事なのがオメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸。

これらが不足すると健康にさまざまな影響を及ぼしますが、現代の食生活ではオメガ3脂肪酸が不足しがちです。

オメガ3脂肪酸を補い、脂肪酸をバランスよく摂取することは、皮膚や被毛の健康維持に役立ちます。

肉に比べて魚はオメガ3脂肪酸が多く、特にいわしや鯖などの青魚にたくさん含まれています。

オメガ3脂肪酸を摂取するためにも、しらすはおすすめです。

しらすの特長・効果③【トッピングに最適】

しらすの特長・効果③【トッピングに最適】

SORA / PIXTA(ピクスタ)

しらすは安価で手に入りやすい食材で、パラパラと振りかけやすく、トッピングにぴったり。

また、しらすと小麦粉やチーズなどでせんべいを作っておやつにあげるのも、愛犬に喜ばれるでしょう。

ただし、しらすをせんべいにすると水分が飛んでかさが減り、たくさん食べることができてしまうため、与えすぎに注意を。

犬にしらすを与える際の注意点!

しらすの注意点①【アレルギー】

しらすの注意点①【アレルギー】

ホタル / PIXTA(ピクスタ)

しらすにはさまざまな魚介類の稚魚(ちぎょ)が混じっており、愛犬が魚類にアレルギーを持っている場合は、アレルギー症状が出る可能性があるので控えましょう。

しらすを食べた後に体をかゆがる、皮膚の一部が赤くなる、下痢や嘔吐をするなど、体調に不安を感じたら、動物病院で相談を。

しらすの注意点②【尿石症】

しらすの注意点②【尿石症】

sakai / PIXTA(ピクスタ)

しらすはカルシウムやマグネシウム、リンなどのミネラルを多く含みます。

そのため、尿に含まれるミネラル成分が結晶化して起こるストルバイト結石やシュウ酸カルシウム結石など、尿石症の犬に与えることは避けましょう。

しらすや鰹節などカルシウムを多く含む食材と、ほうれん草などシュウ酸を多く含む食材を一緒に食べるレシピをよく見かけます。

しかし、特にシュウ酸カルシウム結石の既往歴のある愛犬には、そもそもシュウ酸やカルシウムの多い食材を与えることは控えましょう。

しらすの注意点③【腎臓病】

しらすの注意点③【腎臓病】

YAMATO / PIXTA(ピクスタ)

しらすは他の魚と同様、動物性たんぱく質が多く、釜揚げしらすの2割弱がたんぱく質、8割弱が水分と、ほぼたんぱく質と水分でできています。

人間も犬も腎不全になると、たんぱく質の代謝の過程で生じる毒素を排出できなくなってしまうため、愛犬に腎臓病の療法食を与えている場合は、しらすを与えることは避けましょう。

犬にしらすを与える際の【適量】は?

犬にしらすを与える際の【適量】は?

blanche / PIXTA(ピクスタ)

ペットフード公正取引協議会の指針によると、犬のおやつや間食は、原則として1日当たりの給餌量(カロリー)に対して、多くても20%までに抑えることが望ましいとされています。

その実際の分量は、避妊・去勢をした健康な成犬の場合、以下です。

【犬に与えてもよいしらすの量の目安】

犬のサイズ(体重)1日のエネルギー要求量1日に与えてもよい間食の最大エネルギー量1日に与えてもよいしらす(釜揚げ)の最大重量
小型犬(5kg)374kcal74.8kcal83.1g
中型犬(15kg)854kcal170.8kcal190.0g
大型犬(30kg)1436kcal287.2kcal319.1g

いわし類の稚魚(ちぎょ)であるしらすは、生まれたばかりのため脂肪が少なく、釜揚げしらす100gあたり約90kcalと、低カロリーです。

釜揚げしらす1パックの重さが100g程度なので、常識的な量を与える分には、それほど与えすぎを心配する必要はありません。

犬に与えるしらす【まとめ】

犬に与えるしらす【まとめ】

Jaromir Chalabala / PIXTA(ピクスタ)

茹でした釜揚げしらすや、それを半干ししたしらす干しであっても、常識的な量を与えるのであれば、塩分摂取量はそれほど多くならないので、問題ありません。

しらすはカルシウムやオメガ3脂肪酸が豊富なので、手作りごはんのトッピングとしておすすめできます。

安価で入手しやすく、パラパラと振りかけやすいのも利点です。

ただし、愛犬が魚類にアレルギーを持っている場合や、尿石症、腎臓病にかかっている場合は、与えることは控えましょう。

愛犬の健康を守れるのは飼い主だけです。

正しい知識を持って、毎日の愛犬の食生活に取り入れてみてくださいね。

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