【獣医師監修】犬が桃を食べても大丈夫?メリットや適量は?「種」「アレルギー」「中毒」など注意点!
甘くてジューシーな桃は、夏の代表的なフルーツです。愛犬と旬の味覚を楽しみたいと思う飼い主もいると思いますが、犬は桃を食べても大丈夫なのでしょうか?今回は、犬に桃を与える場合のメリットや適量、注意点などについて詳しく解説します。
更新日:

獣医師 MBA(経営学修士)
ヘリックス株式会社 代表取締役社長
【資格】
◇獣医師
【所属】
◆ペット栄養学会 理事
◆一般社団法人ペットフード協会 新資格検定制度実行委員会 委員長
◆日本獣医生命科学大学 非常勤講師
◆帝京科学大学 非常勤講師
など
大学卒業後、小動物臨床に従事。
その後、ペットフードメーカーに入社し、小動物臨床栄養学に関する研究、情報発信を中心とした活動を行う。
現在は、獣医療・教育関連のコンサルタントとしての活動。ペットの栄養に関する団体の要職を務める。
自宅で9頭の猫と暮らす愛猫家。
目次
犬は【桃】を食べても大丈夫!

iStock.com/Lisa5201
犬は桃を食べても大丈夫です!
桃は夏に旬を迎え、犬が食べられるいちごやさくらんぼ、りんご、梨などと同じバラ科の果物です。
犬が桃の【種】を食べても大丈夫?

LeS / PIXTA(ピクスタ)
桃の種は、犬が誤飲する危険性のある大きさなので、うっかり飲み込んで、喉(のど)に詰まらせないよう注意が必要です。
また、腸に詰まって腸閉塞になるといった事故につながる心配もあります。
愛犬がゴミ箱をあさったり、桃の種が落ちているのを見つけてガリガリかじっているうちに、誤って飲み込んでしまうことも考えられますから、愛犬の目につくところに桃の種を捨てないように気をつけましょう。
犬が桃の【皮】を食べても大丈夫?
桃の皮は消化が悪いので剥き、種を除いた実をあげましょう。
特に、小型犬の場合は、実を喉(のど)に詰まらせないよう、細かく刻んであげるのが安心です
犬に与える桃【アレルギー】【中毒】に注意!

bodza2- stock.adobe.com
犬に桃を食べさせるときはアレルギーにも注意が必要です。
特に、いちごやさくらんぼ、りんご、梨などのバラ科の果物にアレルギーを起こしたことのある犬には、桃はあげない方がいいでしょう。
桃の「種」による犬の中毒症状

iStock.com/Phanuwat Yoksiri
桃の「種」には、消化される際に青酸化水素を発生させる「アミグダリン」と言う有害物質が含まれています。
もし愛犬が誤って桃の種を食べてしまったら、すぐ死に至るという心配はありませんが、「呼吸困難」「嘔吐」「痙攣(けいれん)」などの中毒症状が現れる可能性があります。
なお、「アミグダリン」は、桃の”実の部分”にも少量ですが、含まれています。
完熟した実にはほとんど含まれていませんが、十分に熟していない青い実には多く含まれているので、庭や畑に桃の木がある場合は、落ちた桃を愛犬が食べないように注意が必要です。
犬に与える桃【メリット】【栄養素】は?

Eve Photography/ Shutterstock.com
犬に与える桃【栄養素】
桃には、果糖と水分、ビタミンEなどが多く含まれているほか、カリウムや水溶性の食物繊維であるペクチンも豊富に含まれています。
犬に与える桃【栄養素】
【桃】 | |
---|---|
・エネルギー | 40kcal |
・水分 | 88.7g |
・タンパク質 | 0.6g |
・脂質 | 0.1g |
・炭水化物 | 10.2g |
※生100gあたり
【参照元】文部科学省「食品成分データベース」

iStock.com/Wavetop
犬に与える桃のメリット①【便秘改善】
桃に含まれる水溶性の食物繊維であるペクチンは、腸内細菌の栄養となり、「腸内環境を整える働き」があるため、”便秘気味”の愛犬にはおすすめの食べ物です。
犬に与える桃のメリット②【酸化防止】
桃は、りんごやいちご、柿などの果物に比べるとビタミンEが豊富な果物です。
ビタミンEは、抗酸化作用によって、体内の酸化を防ぎ、”カラダを守る働き”があるので、桃は愛犬の健康なカラダを保つのに役立ちます。

iStock.com/cynoclub
犬に与える桃のメリット③【血圧をコントロール】
カリウムは、体内のナトリウムとバランスをとりながら摂りすぎた塩分を体外に排出して、血圧を下げる働きがあります。
カリウムが多い果物としては、バナナやメロン、スイカが知られていますが、桃にもカリウムが含まれています。
犬に与える桃【適量】は?

kuro3 / PIXTA(ピクスタ)
犬に桃を食べさせる時の適量
桃は果糖を多く含む果物です。
糖は活動の際にエネルギー源となるものですが、摂りすぎると消費しきれないエネルギーが体内に蓄積され、犬の肥満につながります。
また、水分が多く、食物繊維のペクチンが豊富なため、食べすぎると下痢の原因になるので、愛犬に与える量には気をつけてください。

Javier brosch- stock.adobe.com
犬に与える桃【適量(目安)】
【犬のサイズ(体重目安)】 | 【1日あたりの摂取可能目安量】 |
---|---|
超小型(2kg程度) | 94g(大1/3個) |
小型(3-5kg程度) | 128-187g(大1/2-3/4個 ) |
中型(6-15kg程度) | 215-427g(中1-2個 ) |
大型(20-30kg程度) | 530-718g(中2-3個 ) |
超大型(30-50㎏程度) | 718-1053g(大2-3個 ) |
おやつは、犬の1日の摂取カロリーの”20%”までとされています。
また、愛犬が適正体重を上回っている場合は、現体重ではなく、適正体重に基づいた量を食べさせることも大切です。
犬に与える桃【まとめ】

iStock.com/photomaru
犬が桃を食べても大丈夫です!
ただし、愛犬に食べさせるなら生の桃を選び、「ゼリー」「缶詰」「アイス」「ジュース」など加工品は避けるようにしましょう。
また、桃の「種」「皮」は取り除き、アレルギーや中毒に注意して愛犬に与えてください。
愛犬の健康を守れるのは、飼い主だけです。
愛犬が健康に楽しく毎日を過ごせるように、飼い主が愛犬の健康管理をしていきましょう。
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