【獣医師監修】犬が海苔(生)を食べても大丈夫?佃煮やおにぎりは?メリットや適量、注意点!
海の野菜と呼ばれる海苔は、日本人に古くからなじみのある食材ですが、犬は海苔を食べても大丈夫なのでしょうか?今回は、愛犬に海苔を与える際のメリットや注意点、適量など役立つ知識を詳しく解説します。
更新日:
獣医師 MBA(経営学修士)
ヘリックス株式会社 代表取締役社長
【資格】
◇獣医師
【所属】
◆ペット栄養学会 理事
◆一般社団法人ペットフード協会 新資格検定制度実行委員会 委員長
◆日本獣医生命科学大学 非常勤講師
◆帝京科学大学 非常勤講師
など
大学卒業後、小動物臨床に従事。
その後、ペットフードメーカーに入社し、小動物臨床栄養学に関する研究、情報発信を中心とした活動を行う。
現在は、獣医療・教育関連のコンサルタントとしての活動。ペットの栄養に関する団体の要職を務める。
自宅で9頭の猫と暮らす愛猫家。
目次
犬が【海苔(のり)】を食べても大丈夫!
Nutria / PIXTA(ピクスタ)
犬は海苔を食べても大丈夫です。
わかめや昆布、ヒジキなどと同じ海藻の一種である海苔は、犬が食べても問題ありません。
海苔と一口で言っても、いわゆる「海苔」は紅藻(こうそう)、青のりやあおさは緑藻(りょくそう)に分類されます。
また、海苔の佃煮は主に緑藻のアオサ目のヒトエグサを使用して作られます。
それらを犬が食べても大丈夫です。
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子犬や老犬に【海苔(のり)】を与えても大丈夫?
Okssi68 / PIXTA(ピクスタ)
子犬や老犬が海苔を食べても問題ありません。
海苔には、細胞分裂や赤血球の形成に必要不可欠な葉酸が豊富に含まれています。
ビタミンB群の一つである葉酸は、成長期の子犬も取り入れたい栄養素のひとつと言えます。
子犬に海苔を与える際は、少量から食べさせてみましょう。
HIME&HINA / PIXTA(ピクスタ)
また、老犬にも海苔を食べさせても大丈夫ですが、味付けされていない焼海苔にしてください。
老犬は腎臓病や心臓病にかかりやすいため、塩がまぶされた味付け海苔や佃煮は与えないようにしましょう。
特に、腎臓病は早期発見が難しい病気のひとつです。
腎臓病になる危険性が高まるシニア期以降は、味付け海苔や佃煮に限らず、犬も高塩分の食材を与えないように気をつけたいものです。
【参照元】文部科学省「食品成分データベース」
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犬に生の【海苔(のり)】は食べさせても大丈夫?
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犬は生海苔を食べても大丈夫です。
ただ、生海苔は塩水に浸かって売られているので、食べる前には真水で洗い、ざるに上げて水気を切ってください。
保存料や添加物の入っていない生の食材なので、原則的に当日中に使いきり、余ったら冷凍保存をして腐らせないにしましょう。
犬に【海苔(のり)】を与えるメリットや効果は?
海苔のメリット・効果①【良質なたんぱく質】
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海苔の約40%は、たんぱく質です。
大豆よりも豊富なたんぱく質を含むため、海苔は海の大豆とも呼ばれるほど栄養が豊富です。
たんぱく質は、愛犬の筋肉や内臓、血液、骨などを構成して維持するために欠かせません。
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海苔のメリット・効果②【皮膚や粘膜の強化】
pondsaksit / PIXTA(ピクスタ)
犬の体内でビタミンAに変換されて作用するβカロテンを、海苔は多く含んでいます。
βカロテンには、皮膚や粘膜の強化を促してくれる作用が期待できます。
海苔のメリット・効果③ 【食物繊維】
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海苔の約3割は食物繊維です。
食物繊維は水溶性と不溶性に分かれますが、海苔は水溶性繊維を多く含みます。
これは、腸内細菌によって分解され、腸の健康維持に役立つ栄養成分を生み出すプレバイオティクスです。
食物繊維には、血糖値の上昇を抑制する役割もあります。
愛犬に食物繊維の豊富な海苔を与えることで、健康促進に期待ができます。
【参照元】文部科学省「食品成分データベース」
犬に【海苔(のり)】を与える場合の注意点!
海苔の注意点①【ミネラル】
ゴスペル / PIXTA(ピクスタ)
海苔にはミネラル成分が入っていますが、健康な犬に常識的な量を与える場合、海苔のミネラル成分が原因で尿石症になることはまずありません。
そもそも、犬に多いストルバイト結石の原因は、細菌感染によるものだとされています。
しかし、愛犬が病気の治療中で療法食を食べている場合には、厳密なミネラル制限が課せられているため、ミネラル豊富な海苔は与えてはいけません。
【参照元】文部科学省「食品成分データベース」
海苔の注意点②【乾燥剤】
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犬に海苔を与える際、乾燥剤も一緒に誤飲させてしまうケースがあるようです。
乾燥剤は、犬が食べたら危険なため、容器から海苔を取り出す際は注意してください。
万が一、乾燥剤を愛犬が食べてしまった場合には、無理に吐かそうとせず、すぐに動物病院を受診しましょう。
犬に【海苔(のり)】を与える際の適量は?
cozy / PIXTA(ピクスタ)
海苔に豊富に含まれる食物繊維を多量に摂取すると、犬は下痢をする可能性があります。
あくまでも、海苔はトッピング程度の数グラムを与えるのにとどめておきましょう。
おやつに焼海苔を数枚あげたり、ドライフードや手作りご飯のトッピング程度に利用するのが適量と言えます。
手作りご飯を愛犬に与えている場合には、他の食材から得ることが難しいヨウ素などのミネラル源や鉄分を海苔で補えます。
上手に海苔を利用してみてください。
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犬に与える【海苔(のり)】のまとめ
midori_chan / PIXTA(ピクスタ)
犬が海苔を食べても問題はありません。
良質なたんぱく質やβカロテン、食物繊維を含む海苔は、フードのトッピングやおやつにもおすすめの食材です。
磯の香りが良いからか、海苔が好きだという犬も珍しくありません。
飼い主さんがおにぎりを作る際に、愛犬にもひと口サイズの鮭おにぎりや鰹節のおにぎりを作って海苔で巻いてあげたり、豆腐やごまと合わせた和風の手作りレシピに海苔をトッピングしてあげるのも楽しいでしょう。
Pangaea / PIXTA(ピクスタ)
愛犬の健康を守れるのは飼い主だけです。
正しい知識を持って、ぜひ海苔を毎日の愛犬の食生活に取り入れてみてくださいね。
【参照元】
厚生労働省 e-ヘルスネット
『小動物の臨床栄養学 第5版』(マーク・モリース研究所発行、監訳:岩﨑利郎、辻本元)2014年インターズー
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