【獣医師監修】犬が生クリームを食べても大丈夫?適量は?乳糖不耐症(下痢)やアレルギーに注意!

生乳から乳脂肪分だけを取り出して濃縮させた、生クリーム。人間用ではケーキやプリン、アイスクリームなどの材料に使われますよね。犬用のデザートには使わないほうが良いイメージですが、犬は生クリームを食べても大丈夫なのでしょうか?今回は、生クリームの特長や注意点などを詳しく解説します!

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【獣医師監修】犬が生クリームを食べても大丈夫?適量は?乳糖不耐症(下痢)やアレルギーに注意!
出典 : iStock.com/chendongshan
先生にお聞きしました
徳本 一義 先生
ペット栄養学会理事。小動物の臨床栄養学に関するスペシャリスト。
獣医師 MBA(経営学修士)

ヘリックス株式会社 代表取締役社長

【資格】
獣医師

【所属】
ペット栄養学会 理事
一般社団法人ペットフード協会 新資格検定制度実行委員会 委員長
日本獣医生命科学大学 非常勤講師
帝京科学大学 非常勤講師
など

大学卒業後、小動物臨床に従事。

その後、ペットフードメーカーに入社し、小動物臨床栄養学に関する研究、情報発信を中心とした活動を行う。

現在は、獣医療・教育関連のコンサルタントとしての活動。ペットの栄養に関する団体の要職を務める。

自宅で9頭の猫と暮らす愛猫家。
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犬が【生クリーム】を食べても大丈夫!

犬が【生クリーム】を食べても大丈夫!

iStock.com/Pekic

犬が生クリームを食べても、基本的には大丈夫です。

愛犬の誕生日ケーキを作るのに、生クリームを使っても良いのか迷いますよね。

また、キッチンにちょっと置いておいた生クリームを愛犬がなめてしまった、ということもあるかもしれません。

生クリーム 定義

Graphs / PIXTA(ピクスタ)

はじめに、ここで言う「生クリーム」の定義についてまとめておきます。

「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(乳等省令)」によって、「クリーム」とは「生乳、牛乳又は特別牛乳から乳脂肪分以外の成分を除去したもの」で「乳脂肪分が18%以上のもの」と定義されており、ここではこの「クリーム」のみを生クリームと言っています。

「○○ホイップ」「○○フレッシュ」といった商品名のついた、植物性脂肪や乳化剤・安定剤の入っているものは、ここでは含みません。

クリームパンなどに入っているカスタードクリームは、牛乳、砂糖、薄力粉、バニラビーンズを使って作ったもので、生クリームとは別物です。

犬は乳糖の消化能力が低く、一般的に牛乳を多く与えない方がよいとされています。

そのため、乳製品である生クリームも与えてはいけないと言われることが多いですが、生クリームは生乳から乳脂肪分以外の成分を除いたものなので、牛乳に比べて乳糖が少なく、犬が食べても基本的には問題ありません。

犬 生クリーム ケーキ 誕生日

iStock.com/LightFieldStudios

愛犬の誕生日ケーキに生クリームを使うのも、常識的な量であれば大丈夫です。

デザート用に泡立てた状態だと空気が含まれてかさが増すので、液状の状態よりもさらにリスクは低くなるため、あえてヨーグルト豆乳などで代用する必要はありません。

ただ、生クリームは脂質が40%以上を占めるので、愛犬が大量に食べると下痢や嘔吐をする可能性はあります。

一過性のものであればそれほど心配はありませんが、続くようなら動物病院に相談しましょう。

【子犬・老犬】が生クリームを食べても大丈夫?

【子犬・老犬】が生クリームを食べても大丈夫?

iStock.com/Studio-Annika

子犬や老犬が生クリームを食べてしまっても、盗み食いなどで大量に食べてしまったなどではなく常識的な量なら、基本的には大丈夫です。

ただし、子犬が初めて食べたときは、食べた後に下痢や嘔吐をしないか、子犬の様子をよく観察しましょう。

生クリームの【特長】、犬への【効果】は?

生クリームの特長・効果【カロリー補給】

生クリームの特長・効果【カロリー補給】

annyan / PIXTA(ピクスタ)

生クリームは、牛乳を濃厚にしたものというイメージかもしれませんが、栄養成分で言うとかなり違います。

牛乳は9割近くが水分で、たんぱく質と脂質が同じぐらい含まれています。

それに対して、生クリームの成分は水分と脂質がそれぞれ約半分を占めており、たんぱく質や炭水化物などの栄養素はほとんど含まれていません。

牛乳が100gあたり67kcalなのに対して、生クリームは412kcalとかなり高カロリーです。

そのため、腎不全など腎臓病の犬に、たんぱく質が少なく高カロリーの食事を与えたいときに生クリームは使えます。

例えば、と生クリーム、砂糖をベースとしたオムレツを作って与えるなど、手作りごはんにうまく取り入れてみましょう。

【参照元】文部科学省「食品成分データベース」

犬に生クリームを与える際の注意点!

生クリームの注意点①【乳糖不耐症】

生クリームの注意点①【乳糖不耐症】

ホタル / PIXTA(ピクスタ)

人間にも、牛乳を飲むとお腹を壊す人がいますよね。

これは、牛乳に豊富に含まれる乳糖(ラクトース)を分解するラクターゼという消化酵素が少ない体質で、乳糖の消化吸収がスムーズに行われないためと言われており、無乳糖の牛乳や赤ちゃん用ミルクも販売されています。

犬はこのラクターゼが人間より少なく、乳糖を摂取すると下痢をしてしまうことがあります。

ただ、生クリームは牛乳から乳脂肪分以外の成分を除いたものなので、牛乳に比べて乳糖が少なく、乳糖不耐症が原因で愛犬が下痢をする可能性は低いです。

また、下痢をしてしまったとしても、乳糖不耐症ではなく脂肪の摂りすぎによる可能性もあり、一過性のものであればそれほど心配はありません。

生クリームの注意点②【アレルギー】

生クリームの注意点②【アレルギー】

iStock.com/Dziggyfoto

犬の乳製品アレルギーは比較的多く見られ、その原因は乳製品に含まれるたんぱく質であると考えられています。

牛乳はたんぱく質が約26%なのに対して、生クリームには約4%しか含まれていませんが、愛犬に乳製品アレルギーがあることがわかっている場合は、生クリームも与えてはいけません。

必要であれば、豆乳など植物性のもので代用を。

もし愛犬が生クリームを食べた後に体をかゆがる、皮膚の一部が赤くなる、下痢や嘔吐をするなど、体調に不安を感じたら、すぐに動物病院で相談しましょう。

生クリームの注意点③【カロリー】

生クリームは脂質が多く、100gあたり412kcalと、一般的なドッグフードと同じぐらい高カロリーです。

生クリームをカロリーが気になるほど食べさせることは少ないとは思いますが、カロリーの摂りすぎには気を付けましょう。

犬に生クリームを与える際の【適量】は?

犬に生クリームを与える際の【適量】は?

makaron* / PIXTA(ピクスタ)

生クリームを大量に与えすぎることは考えにくいですが、どのぐらいが許容量なのでしょうか?

ペットフード公正取引協議会の指針によると、犬のおやつや間食は、原則として1日当たりの給餌量(カロリー)に対して、多くても20%までに抑えることが望ましいとされています。

その実際の分量は、避妊・去勢した健康な成犬の場合、以下です。

犬に与えてよい生クリームの目安量

犬のサイズ(体重)1日のエネルギー要求量1日の間食の最大量生クリームの最大量
小型犬(5kg)374kcal74.8kcal18.2g(大さじ1強)
中型犬(15kg)854kcal170.8kcal41.5g(大さじ3弱)
大型犬(30kg)1436kcal287.2kcal69.7g(大さじ5弱)

人間の感覚ではほんの大さじ1杯と思うかもしれませんが、体重5kgの小型犬にとっての大さじ1杯は、体重50kgの人間にとっての大さじ10杯=1パック弱と同じことです。

与える量には注意しましょう。

犬に与える【生クリーム】まとめ

犬に与える【生クリーム】まとめ

iStock.com/Pekic

犬は生クリームを食べても、基本的には大丈夫です。

生クリームには乳糖がほとんど含まれていないので、愛犬が乳糖不耐症による下痢をする可能性は低いです。

泡立てて空気の含まれている生クリームはかさが増していて愛犬の体内に入る栄養素はかなり少ないため、誕生日ケーキなどに使うのも、常識的な量であれば問題はありません。

ただし、乳製品アレルギーの犬の場合は与えないように。

また、脂質が多いので摂りすぎれば下痢や嘔吐をする可能性はあります。

一過性のものであればそれほど心配はありませんが、続くようなら動物病院に相談をしましょう。

愛犬の健康を守れるのは飼い主だけです。

正しい知識を持って、毎日の愛犬の食生活に取り入れてみてくださいね。

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