【内分泌科担当獣医師監修】犬の「高脂血症」原因や症状、なりやすい犬種、治療方法は?
犬の高脂血症(こうしけっしょう)とは、「脂質代謝異常症」とも呼ばれ、血液中のコレステロールと中性脂肪(トリグリセリド)の両方、あるいはその一方の濃度が高い値を示している状態を言います。今回は、高脂血症の原因や症状、治療法について詳しく解説します。
投稿日: 更新日:

獣医保健看護学臨床部門准教授(獣医師)
【資格】
◇獣医師
日本獣医畜産大学(現:日本獣医生命科学大学)獣医学部獣医学科卒業。
2009年に日本獣医生命科学大学大学院で博士(獣医学)号を取得。
2012-2013年、イリノイ大学に留学。
現在、日本獣医生命科学大学付属動物医療センター内分泌化を担当。
犬および猫の内分泌分野を中心に診療、研究を行っている。
5歳のMix犬「ぽよ」と同居中。
目次
犬の【高脂血症】とは?

Grigorita Ko/ Shutterstock.com
通常、コレステロールや中性脂肪などの脂質が血液中を運ばれる時には、「アポ蛋白(あぽたんぱく)」と結合した「リポ蛋白(りぽたんぱく)」として運搬されます。
血液中に、このリポ蛋白が増えたり、遊離した状態の脂質が増えている状態を「高脂血症」と言います。
犬の高脂血症は、脂質の代謝や運搬に何らかの障害が生じるため起こると考えられています。
犬の高脂血症【原因】

Gladskikh Tatiana/ Shutterstock.com
原因①【原発性(一次性)高脂血症】
遺伝や先天的な異常、特発性(原因不明)で起きる高脂血症です。
原因②【続発性(二次性)高脂血症】
糖尿病や副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)、甲状腺機能低下症、肝疾患、ネフローゼ症候群などの病気に続発して高脂血症が引き起こされます。
原因③【その他の原因】
肥満や食事の種類(脂肪分の多い食事など)によって、高脂血症が引き起こされることがあります。
また、ステロイド剤の投薬によって起きる高脂血症があります。
犬の高脂血症【症状】

Lisjatina/ Shutterstock.com
症状①【症状が出ないことも】
初期の高脂血症では、症状が出ないことも多く、ほとんどの場合、定期的な健康診断や他の病気の検査によって診断されます。
症状②【続発性の高脂血症の場合】
原因となる基礎疾患によって、さまざまな症状が見られます。
こちらの記事も読んでみてください。
【内分泌科担当獣医師監修】犬の糖尿病 原因や症状、なりやすい犬種、治療方法は?
【内分泌科担当獣医師監修】犬の副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群) 原因や症状、なりやすい犬種、治療方法は?
【内分泌科担当獣医師監修】犬の甲状腺機能低下症 原因や症状、なりやすい犬種、治療方法は?

Olexandr Andreiko/ Shutterstock.com
症状③【重度の高脂血症により起こりうる症状】
膵炎(すいえん)を引き起こし、以下のような症状が見られることがあります。
食欲不振
下痢
嘔吐
さまざまな眼疾患を引き起こすこともあります。
目が充血している
目が見えにくくなる
角膜への脂質沈着
その他、発作などの神経症状が見られることもあります。
犬の高脂血症【発症しやすい犬種】

Nickstock / PIXTA(ピクスタ)
犬の高脂血症は、すべての犬種に発症の可能性がありますが、統計的には、他の犬種と比べてとくに以下の犬種の発症リスクが高いと言われています。
ミニチュア・シュナウザー(高トリグリセリド血症が多い)
シェットランド・シープドッグ(高コレステロール血症が多い)
ドーベルマン・ピンシャー
ビーグル
ロットワイラー
犬の高脂血症【診断方法】

areetham/ Shutterstock.com
【血液検査】
血液中のコレステロールや中性脂肪の濃度を測定し、数値の上昇が見られる場合、高脂血症と診断します。
ただし、摂食によって中性脂肪値は上昇するため、少なくとも食後12時間以上の間隔をあけて測定します。
犬の高脂血症【治療方法】

A-photographyy/ Shutterstock.com
治療法①【続発性高脂血症の場合】
原因となる基礎疾患が判明した場合には、その治療を行います。
治療法②【食事療法】
食物中の脂質を制限する食事療法によって、高脂血症をコントロールします。
治療法③【内科治療】
抗高脂血症薬などの内服薬を投与することもあります。
コレステロールの代謝異常か、中性脂肪の過多かを見極め、それぞれのタイプに合った投薬を行います。
治療法④【ステロイド剤の投薬が原因の場合】
症状に応じて、投薬の調整が必要になります。
犬の高脂血症【予防対策】

MPH Photos/ Shutterstock.com
総合栄養食を与えて、バランスの取れた食生活をすることが最大の予防対策です。
血液中のコレステロールや中性脂肪の濃度の上昇が見られる場合には、低脂肪・高繊維食に切り替えることがあります。
犬の高脂血症【間違えやすい病気】

Sopon charoensuk/ Shutterstock.com
犬の高脂血症と間違えやすい病気はとくにありませんが、続発性高脂血症を引き起こす糖尿病や副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)、甲状腺機能低下症も気になるところです。
犬の高脂血症【まとめ】

AomOra / PIXTA(ピクスタ)
犬の高脂血症(こうしけっしょう)は、「脂質代謝異常症」とも呼ばれ、血液中のコレステロールと中性脂肪(トリグリセリド)の両方、あるいはその一方の濃度が高い値を示している状態です。
初期の高脂血症では、症状が出ないことも多くあります。
一方で、膵炎(すいえん)や眼疾患、発作などの神経症状が見られることもあります。
愛犬に高脂血症の症状が診られた場合には、速やかに動物病院で獣医師に診てもらいましょう。
また、健康診断を受けることで愛犬の病気を早期に発見することが可能になるので、定期的に検診をうけることをおすすめします。
みんなのコメント
編集部のおすすめ記事
- 【獣医師監修】犬がそうめんを食べても大丈夫?適量は?アレルギーやカロリーに注意!
- うどんやそば、ひやむぎなどと同様に人気のそうめん。人間では、夏バテ気味で食欲がないのときのメニューとしても人気ですね。犬はそうめんを食...
- 【獣医師監修】犬も便秘になる?子犬から老犬まで、愛犬の便秘の改善・解消に役立つ食べ物(食材)は?
- 犬も便秘になるのでしょうか?便秘とはどのような状態かを理解した上で、犬の便秘の改善に役立つ食事や、犬の便秘に良くない食材などを知ってお...
- 【獣医師監修】犬は栄養失調で死亡する?症状や原因は?愛犬の栄養(カロリー)不足の予防・解決法!
- 犬も栄養失調になる可能性があり、最悪は死亡します。栄養失調は、健康を維持する上で必要なエネルギー不足(カロリー不足)や栄養素の摂取量の...
あなたも一言どうぞ
コメントする