【プロドッグトレーナー監修】ブルマスティフを飼うのは危険?断耳は?寿命や飼い方、気をつける病気!

ブルマスティフは犬種名のとおり、ブルドッグとマスティフとを交配して作出された犬種です。かつての仕事は猟場の夜間警備犬。そのため、Gamekeeper’s Night Dogとも呼ばれていました。一見強面のブルマスティフとはどんな犬なのか、その魅力を探ってみましょう。

  • 更新日:
【プロドッグトレーナー監修】ブルマスティフを飼うのは危険?断耳は?寿命や飼い方、気をつける病気!
出典 : Sheryl Lynch/Shutterstock.com
先生にお聞きしました
鹿野(かの) 正顕 先生
「スタディ・ドッグ・スクール」(神奈川県相模原市)代表。
麻布大学介在動物学研究室(旧動物人間関係学研究室)で、人と犬の関係学を研究。
この分野では日本で初めての博士号を取得。
続きを読む

ブルマスティフ【初心者が飼っても大丈夫?飼うのは危険?】【断耳・断尾は必要?】

ブルマスティフ【初心者が飼っても大丈夫?飼うのは危険?】【断耳・断尾は必要?】

Paul Cotney/ Shutterstock.com

ブルマスティフ【初心者が飼っても大丈夫?飼うのは危険?】

初心者がブルマスティフ(Bullmastiff)を飼育するのは難しいでしょう。

性格改良がなされ、以前より落ち着きのある犬が見られるとはいえ、体の大きさやパワー、気質、しつけなどを考えると、少なくとも犬の飼育に慣れていることが条件と言えます。

犬好きからするとたいへん残念なことですが、世界のあちこちで犬による咬傷(こうしょう)事故は起きています。

そのため、特定の犬種の飼育・繁殖・譲渡・売買・輸入などを禁止または制限したり、注意を要する危険犬種として指定したりしている国や地域が存在します。
(注:特定の犬種ではなく、個体に視点を置くべきとの反対意見もあります)

たとえば、ドイツのバーデン・ヴュルテンベルク州やブランデンブルク州、バイエルン州、ハンブルク州などではブルマスティフを危険犬種、または証明される場合を除いて闘犬の特質があると推定される犬種として指定しています。

ブルマスティフ【初心者が飼っても大丈夫?飼うのは危険?】

acceptphoto/ Shutterstock.com

日本においても茨城県や札幌市など県や市の条例の中で「人に危害を加えるおそれのある犬」として「特定犬」を指定し、脱走や事故が起こらないような囲われた場所で飼育するよう定めている自治体があり、札幌市の条例ではブルマスティフがそれに含まれています

いずれにしても、どんな犬種であれ、事故が起きないよう飼い主として細心の注意を払う必要はあるでしょう。

例:【札幌市が定める「特定犬」】

✔秋田犬
土佐犬
アメリカン・スタッフォードシャー・テリア
(アメリカン・ピット・ブル・テリアを含む)
✔グレート・デーン
ジャーマン・シェパード・ドッグ
✔スタッフォードシャー・ブル・テリア
✔スパニッシュ・マスティフ
セント・バーナード
ドーベルマン
✔ドゴ・アルヘンティーノ
✔ナポリタン・マスティフ
✔ブラジリアン・ガード・ドッグ
✔ブル・テリア
ブルマスティフ
✔ボクサー
✔マスティフまたはロットワイラーに属する犬

詳しくはそれぞれ居住地域の自治体で確認を。

【参照元】
ZOLL(ドイツ中央税関)「Provisions imposed by individual federal states」
札幌市「札幌市動物の愛護及び管理に関する条例」
茨城県「特定犬について」
茨城県「茨城県動物の愛護及び管理に関する条例」

ブルマスティフ【断耳・断尾は必要?】

cynoclub/ Shutterstock.com

ブルマスティフ【断耳・断尾は必要?】

ブルマスティフでは断耳・断尾ともに行われていません

ブルマスティフは垂れ耳と、太くて長い尾をもちます。

ブルマスティフ【原産国・歴史・寿命は?】

ブルマスティフ【原産国・歴史・寿命は?】

Inna Astakhova/ Shutterstock.com

ブルマスティフ【原産国】

原産国:イギリス

ブルマスティフ【歴史(種類)】

ブルマスティフが登場したのは1800年代中頃のこと。

貴族が所有する広大な猟場や田園地への侵入者・密猟者を見つけて捕まえることを目的に、「強さ」や「勇ましさ」を備え持つマスティフと、侵入者や密猟者を捕える上で重要な「俊敏さ」を兼ね備えたブルドッグを交配して作出された犬種です。

産業革命が起こり、土地所有貴族が優遇された時代から資本家、やがては労働者へと社会の視点が移っていく時代背景にあって、そうした土地は格好の標的になったのかもしれません。

60%がマスティフで、40%がブルドッグとも言われるブルマスティフは闘犬種として作出されたわけではないので、人の命を奪うことはしなかったようですが、代わりに咬(か)みついたら離さず、土地の管理人が来るまで密猟者を逃すことはなかったといいます。

この時代、密猟は死刑だったそうで、現場では命懸けの死闘となったのでしょう。

そのため、かつてはGamekeeper’s Night Dog(猟場管理人の夜の犬)とも呼ばれていました。

【参照元】
The Kennel Club「BULLMASTIFF」
・Bruce Fogle, D, V, M.「The ENCYCLOPEDIA of the DOG」(DK PUBLISHING, INC.)
・デズモンド・モリス「デズモンド・モリスの犬種事典」(株式会社 誠文堂新光社、2007)他

ブルマスティフ【歴史(種類)】

Djomas/ Shutterstock.com

ブルマスティフ【寿命】

平均寿命:7~9歳

※個体の健康度や国・地域、気候、環境などによって寿命に差が生じます。

【参照元】American Kennel Club「BULLMASTIFF」

ブルマスティフ【大きさ・毛色・子犬(赤ちゃん)の販売価格は?】

ブルマスティフ【大きさ・毛色・子犬(赤ちゃん)の販売価格は?】

Aneta Jungerova/ Shutterstock.com

ブルマスティフ【大きさ(体重・体高・体格)】

【大きさ(体重・体高・体格)】

【体高】【体重】
オス:64~69cmオス:50kg~59kg
メス:61~66cmメス:41kg~50kg

体はマスティフらしくがっしりとしており、筋肉質で重厚感があります。

胸は幅広く、そして深く、太い首と大きな頭部を支え、脚は太く、安定感とともにスピードも併せもつことを伺わせます。

【参照元】FEDERATION CYNOLOGIQUE INTERNATIONALE 「BULLMASTIFF」

ブルマスティフ【毛色の種類】

ブルマスティフの毛色はブリンドル、フォーン、レッドを基本とし、耳の毛色は体より濃くなる傾向にあり、マズル(口吻)や目の周りは黒い模様で覆われます。

胸にわずかな白斑(はくはん)が出ることがありますが、体の他の部分に白が出ることは好ましくないとされます。

当初は夜間に活躍することが多かったため、ブリンドルの毛色の犬が好まれたものの、1924年に本国イギリスのケネル・クラブ(KC)の公認犬種となり、ショー・ドッグとしても活躍するようになるにつれ、フォーンやレッドの毛色が多くなっています。

【参照元】ジャパン・ケネル・クラブ「ブルマスティフ」

ブルマスティフ【子犬(赤ちゃん)の販売価格】

30万円~

※価格はあくまでも目安であり、販売者の状況や犬質によって変動します。

ブルマスティフ【特徴・性格(気質)・魅力は?】

ブルマスティフ【特徴・性格(気質)・魅力は?】

Sergey Lavrentev/ Shutterstock.com

ブルマスティフ【容姿・スタイル】

口吻(こうふん)は短く四角で、頭部は幅が広く、額に浮かぶ皺(シワ)がいかにも頑丈そうな印象を与えます。

被毛は短くて硬く、皮膚に張り付くように生えており、多少の悪天候にも耐えることが可能

頭蓋(ずがい)に沿って垂れるV字型の耳は強面のイメージを和らげ、従順な相棒にもなれることをアピールしているかのようです。

ブルマスティフ【性格(気質)】

ブルマスティフは、飼い主には従順で、何事もない限り、普段は落ち着きを見せ、心許した人にはフレンドリーに接することができますが、家族に対して過剰な防衛心を持つ傾向があります。

時には頑固になることもあり、しつけやトレーニングがしづらくなることもありますが、それはこの犬種がもつ意志の強さの裏返しでもあります。

しかし、その一方で、警戒心が強く、事あらば立ち向かうだけの勇気、そして迫力、パワーをもち合わせます

ブルマスティフ【魅力】

祖先となったブルドッグ、マスティフともに他の動物と闘う闘犬として使われた時代があり、その遺伝子をひくこの犬種も当初は豪胆なところが強調されていましたが、時代とともに性格改良もなされ、現在では家庭犬として暮らす犬がいます。

大きな体で家族を慕ってくれながら、必要とあらば番犬としての気質ももつ

そんな頼りがいのあるところがブルマスティフの魅力の一つでしょう。

ブルマスティフ【気をつける病気は?】

ブルマスティフ【気をつける病気は?】

Inna Astakhova/ Shutterstock.com

気をつける病気①【股関節形成不全(こかんせつけいせいふぜん)】

犬の「股関節形成不全(こかんせつけいせいふぜん)」は大型犬に多い病気で、股関節に緩みが生じ、お尻を左右に振るように歩く、後肢(こうし)を同時に蹴るウサギのような走り方をする、散歩や段差を嫌がる、後肢の幅が狭いなどの様子が見られるようになります。

7割は遺伝的要素、3割は環境的要素が関係するとされ、生後1年未満の若齢で症状が出ることが多いと言われます。

肥満や滑りやすい床などは症状を悪化させるため、体重コントロールや環境改善は重要となります。

【参照元】日本動物遺伝病ネットワーク「股関節形成不全とは」

気をつける病気②【胃拡張・胃捻転症候群】

食後すぐに遊ぶ・多量の水を飲む、加齢による胃周辺の靭帯(じんたい)の緩みなどがきっかけとなって、胃にガスや液体が溜まり、胃が膨れてしまう状態を胃拡張と言います。

これが進行すると胃が捻(ね)じれる胃捻転となり、他の臓器への血流が途絶えるなどして緊急を要する状態となってしまいます。

胸の深いタイプの大型犬に多いと言われており、少なくとも食後1時間は運動や散歩などさせないほうがいいでしょう。

気をつける病気②【胃拡張・胃捻転症候群】

Inna Astakhova/ Shutterstock.com

気をつける病気③【拡張型心筋症(かくちょうがたしんきんしょう)】

犬の「拡張型心筋症(かくちょうがたしんきんしょう)」とは、心臓の筋肉である心筋の機能または構造に問題があり、血液をうまく送り出せず、疲れやすい、咳(せき)、ふらつき、呼吸困難、失神などの症状が見られる遺伝性の心臓疾患です。

最悪、突然死することも。

定期的な心臓検査が推奨されます。

ブルマスティフ【飼い方(しつけ)・散歩の仕方・注意点!】

ブルマスティフ【飼い方(しつけ)・散歩の仕方・注意点!】

Inna Astakhova/ Shutterstock.com

ブルマスティフ【飼い方(しつけ)】

この犬種には早い時期からの社会化やしつけが必要とされます。

生後3~12週齢にあたる「社会化期」の経験が不十分であると、ストレス耐性も低くなりがちで、不安や恐怖も感じやすい傾向にあると言われるので、この時期に人や物、音などに慣らしながら、なるべくたくさんの“良い”体験をさせてあげましょう。

同時に、子犬のうちに甘噛みの抑制ができるようにしておくことも大切です。

そして、参考までに。

ペンシルバニア大学の研究によると、「望ましくない行動に対して犬を殴ったり蹴ったりする」「犬にがみがみ言う」「犬が咥えている物を力ずくで取ろうとする」「無理に犬のお腹を出させる(アルファ・ロール)」「犬をじっと見つめる、または見下ろす」「犬を無理に横にさせる(ドミナンス・ダウン)」「犬の口吻を手で握って揺らす」など、飼い主のこうした行為は犬の攻撃性を引き出す傾向にあるといいます。

特に、身近な人間に対して攻撃性を示す犬では、飼い主による「アルファ・ロール」と「ノー!と叫ぶ行為」に反応しやすいとしているので、上下関係を維持するために用いられた、力で制圧するようなしつけは避け、飼い主さん自身も褒めることを基盤としたしつけ方を熟考する必要があるでしょう。

【参照元】Meghan E. Herron, Frances S. Shofer, Ilana R. Reisner「Survey of the use and outcome of confrontational and non-confrontational training methods in client-owned dogs showing undesired behaviors」(Applied Animal Behaviour Science, Volume 117, Issues 1–2, 2009, P47-54)

ブルマスティフ【飼い方(しつけ)】

Craig Currie/ Shutterstock.com

ブルマスティフ【散歩の仕方】

ブルマスティフは、少なくとも1日2回、各1時間程度の散歩・運動が必要です。

散歩中は首輪やハーネスをダブルで使用するのもいいと思います。

運動が足らず、ストレスが溜まると吠(ほ)えや破壊的行動に出るなど、行動の問題につながることがあるので、十分な運動は心がけたいものです。

ただし、成長期に運動をさせ過ぎると逆に関節を傷めることがあるのでご注意を。

悪天候などで散歩に行けない時にはボール遊びや嗅覚を使ったゲームなどを取り入れて、極力ストレスが発散できるようにしてあげるといいでしょう。

ブルマスティフ【注意点】

ブルマスティフ【注意点】

Jaromir Chalabala/ Shutterstock.com

どんなに慣れた犬でも子供相手の時には注意が必要です。

咬傷(こうしょう)事故では10歳以下の子供が被害に遭うことが多く、また、頭部や首など致命傷になりかねない傷を負うことがあると言われます。

子供(人間)の行動に触発されて咬傷事故に至ることもあるので、決して犬と子供だけにしませんように

アメリカのコロラドで行なわれた5年間の咬傷事故調査では、オス犬はメス犬の2倍の事故リスクがあり、5歳以下の犬が半数を占めていたことを報告しています。

血気盛んな年頃の犬はより配慮したいものです。

【参照元】Coalition for Living Safety with Dogs「Key Findings from a Five-Year Study of Reported Dog Bite Incidents in Colorado July 2007 - June 2012」

ブルマスティフ【まとめ】

ブルマスティフ【まとめ】

Mykola Komarovskyy/ Shutterstock.com

ブルマスティフはじめナポリタン・マスティフやボルドー・マスティフなどマスティフ系の犬は誤解されやすいと言う人もいます。

古代ローマ時代、ライオンとも闘う闘犬種として扱われたオールド・イングリッシュ・マスティフもいれば、山岳地帯で熊や狼から飼い主の生活を守ったピレニアン・マスティフ、遊牧の民の生活を助けたチベタン・マスティフもおり、人の助けとなった犬も多かったはずです。

人が犬をどう愛し、扱うかで犬も変化します。

ブルマスティフは、まさにその途上にある犬と言えるのではないでしょうか。

※注意:犬は生き物であり、性格やサイズ、運動量、寿命など個体差があります。

みんなのコメント

ブルーのマスティフさん
顔の表情から怖い犬なのかなと思っていました。 でも、ガードマンを雇っているのと同じと言われたら、たしかに安心しますね。 日本でも見られるとのことなので、気をつけて見てみたいと思います。

あなたも一言どうぞ

コメントする

編集部のおすすめ記事

内容について報告する

関連する情報をもっと見る

「犬の種類・品種」の人気記事RANKING