【獣医師監修】犬がアーモンドを食べても大丈夫？アーモンドミルクやチョコは？中毒やアレルギー、適量は？

犬がアーモンドを食べても大丈夫！

Leeyakorn06/ Shutterstock.com

犬はアーモンドを食べても大丈夫です！

おつまみやおやつとして人気の、アーモンドナッツ。

バラ科サクラ属の果実の中にある種子の、殻を割った中にある「仁」の部分が、一般的に食べられているナッツのアーモンドです。

アーモンドはいろいろな食材との相性がよく、小魚と合わせたアーモンドフィッシュやアーモンドチーズなど、犬たちの大好きな食材と組み合わせたものもあります。

テーブルの上に置いておいたら、魚やチーズの香りに誘われて、アーモンドも一緒に食べてしまった、ということもあるかもしれません。

CORA / PIXTA(ピクスタ)

アーモンドには、犬が中毒を起こす成分は含まれていないので、食べてしまっても大丈夫です。

また、人間はアーモンドでアレルギーを起こすことがありますが、犬では今のところ、アーモンドのアレルギーは確認されていません。

ただし、高脂肪で消化吸収がよくないので、下痢や嘔吐をする可能性はあります。

また、丸呑みすると、特に小型犬の場合は、気管や喉（のど）、消化器に詰まってしまうことがあるので、注意が必要です。

犬に【アーモンドミルク】【アーモンドチョコ】【アーモンドフィッシュ】などを与えても大丈夫？

stockphoto mania/ Shutterstock.com

犬にアーモンドミルクを与えても大丈夫？

犬はアーモンドミルクを飲んでも大丈夫です！

最近、人間用の飲料として、多くの種類のアーモンドミルクが販売されています。

牛乳や豆乳と比較してカロリーやコレステロール､糖質が低い（糖分が加えられているものもあります）のが特徴。

アーモンドミルクには乳糖が含まれていないか、含まれていても少量なので、乳糖を体の中で分解する酵素が少ない犬でも下痢になりにくいと言えます。

ただし、脂肪が多く消化吸収しづらいので、下痢をすることもあるため、過剰摂取はさせないようにしましょう。

CORA / PIXTA(ピクスタ)

犬にアーモンドチョコレートを与えても大丈夫？

犬はアーモンドチョコレートを食べてはいけません！

アーモンドと相性のいいチョコレートには、犬にとっての中毒物質であるテオブロミンが含まれているため、アーモンドチョコレートを愛犬に与えるのはやめましょう。

特にカカオの比率の高いチョコレートには気をつけてください。

ビターココアアーモンドクッキーなど、「ココア」と名の付くものにもテオブロミンが含まれているので、絶対に犬に与えてはいけません。

ホワイトチョコレートにはテオブロミンは含まれていませんが、100gあたり588kcalとカロリーは高めです。

犬が誤って食べてしまった場合は、カロリーオーバーに気をつけましょう。

【参照元】日本食品標準成分表2020年版（八訂）

ささざわ / PIXTA(ピクスタ)

アーモンドフィッシュ

犬はアーモンドフィッシュを食べても大丈夫です！

人間用のおやつやおつまみとして人気の、小魚とアーモンドが一緒になったアーモンドフィッシュ。

魚とアーモンドの香りや、ドライフードのような食感で、アーモンドフィッシュを好む犬も多いです。

カルシウムやミネラルが豊富ですが、100gあたり485〜533kcalと意外とカロリーが高いので、カロリーオーバーには注意しましょう。

【参照元】日本食品標準成分表2020年版（八訂）

ささざわ / PIXTA(ピクスタ)

犬にアーモンドプードル（アーモンドパウダー）を与えても大丈夫？

犬はアーモンドプードル（アーモンドパウダー）を食べても大丈夫です！

クッキーやマフィン、パン作りなどに使われる、生のアーモンドを砕いて粉にした、アーモンドプードル。

アーモンドプードルとアーモンドパウダーと同じもので、「パウダー」は英語、「プードル」はフランス語です。

犬がアーモンドプードル入りのものや、アーモンドパウダー自体を誤って食べてしまっても大丈夫ですが、100gあたり587kcalと高カロリーなので、カロリーオーバーには注意しましょう。

【参照元】日本食品標準成分表2020年版（八訂）

犬が【ピーナッツ】【カシューナッツ】【カカオ】を食べても大丈夫？

Daniel Timar/ Shutterstock.com

犬がピーナッツを食べても大丈夫？

犬はピーナッツを食べても大丈夫です！

ただし、消化が悪いため、大量に食べると嘔吐や下痢をすることがあります。

一過性のものであれば気にしなくても大丈夫ですが、続くようであれば動物病院を受診しましょう。

ナッツ類（カシューナッツ・マカダミアナッツ）

犬はナッツ類を食べても、基本的には大丈夫です！

くるみ、カシューナッツ、ピスタチオには、犬が中毒を引き起こすといった報告はありません。

ただし、マカダミアナッツは犬が中毒を引き起こすことが知られており、体重1kgあたり0.7〜4.9gで中毒が起こるという報告があります。

中毒症状としては、嘔吐､腹痛、発熱、運動失調などが知られていますが、死亡例はなく、致死量は判明していません。

shige hattori / PIXTA(ピクスタ)

犬がカカオを食べても大丈夫？

犬はカカオを食べてはいけません！

チョコレートやココアの原料としても使われるカカオ豆。

カカオ豆を砕いて殻を取り除いたのがカカオニブ、カカオニブをすり潰してペースト状にしたものを冷却して固めたのがカカオマスです。

カカオ豆には、テオブロミンやカフェインが含まれており、犬は中毒を起こすことがあるため、与えてはいけません。

子犬や老犬に【アーモンド】を与えても大丈夫？

nozomin / PIXTA(ピクスタ)

子犬にアーモンドを与えても大丈夫？

子犬にはアーモンドを食べないほうがいいでしょう！

アーモンドには、犬が中毒を起こす成分は含まれていませんが、脂肪が100gあたり54.1gと”高脂肪”です。

そのため、消化吸収がよくないので、下痢や嘔吐の可能性があります。

特に子犬はまだ消化機能が十分に整っていないので､アーモンドを与えるのは避けたほうがいいです。

老犬にアーモンドを与えても大丈夫？

老犬も消化器の機能が低下しているため、与えないほうがいいでしょう。

【参照元】日本食品標準成分表2020年版（八訂）

アーモンドの【特長】、犬への【効果】は？

kazu326/ Shutterstock.com

アーモンドの特長・効果【抗酸化作用】

アーモンドにはビタミンEやポリフェノールなど、強い”抗酸化作用”が期待できる成分が含まれています。

特にビタミンEは100gあたり29mgと非常に多く、11.4mgのピーナッツ、7.4mgのうなぎ、2.5mgのぎんなんなどと比較しても多いことがわかります。

ビタミンEには生体膜を守る、脂質を酸化から守る、免疫機能の改善といった効果が期待できます。

ただし、ビタミンEやポリフェノールは他の食材からも摂取できるので、犬にアーモンドを積極的に与える必要はないでしょう。

【参照元】日本食品標準成分表2020年版（八訂）

犬にアーモンドを与える際の【注意点！】

Nestor Rizhniak/ Shutterstock.com

アーモンドの注意点①【消化管閉塞】

犬がアーモンドを誤飲してしまう場合、あまり噛（か）まず丸呑みしてしまう可能性が高いです。

一粒そのまま飲み込むと、特に小型犬の場合は、気管や喉、消化器に詰まってしまうことがあります。

誤飲の事故は成長期の若い犬に多いので、特に注意が必要です。

犬がアーモンドを食べた後に、様子がおかしいようであれば、すぐに動物病院へ連れていきましょう。

食べた後しばらく経ってから嘔吐するようなら､消化管に詰まっている危険性もあるので、この場合も動物病院へ。

犬にアーモンドを積極的に与える必要はありませんが、どうしても与えたい場合は、刻んでから与えるか、アーモンドスライスやアーモンドパウダー、アーモンドミルクなどにしましょう。

アーモンドの注意点②【塩分】

一般的に、人間用のアーモンドには塩分が加えられており、100gあたり100mg以上のナトリウムが含まれています。

犬にとって、過剰な塩分は心臓や腎臓の負担になります。

もし犬にアーモンドを与える場合は、ほとんど塩分の含まれていない素焼きアーモンドを選びましょう。

toshiharu_arakawa / PIXTA(ピクスタ)

アーモンドの注意点③【ビターアーモンドの中毒】

食用のアーモンドは「スイートアーモンド」と言われるものですが、野生種である生の「ビターアーモンド」は、人間も犬も、アミグダリンというシアン化合物の中毒を起こす可能性があります。

中毒症状としては、けいれん、せき、かゆみなどが表れると言われています。

ビターアーモンドは、食用として輸入することは規制されていますが、せきや痙攣（けいれん）を鎮める薬や、アーモンドオイル、ビターアーモンドエッセンスとして用いられています。

特にアーモンドエッセンスは、ビターアーモンドの香気成分を凝縮したもので、杏仁豆腐などの香料として用いられます。

犬がアーモンドエッセンスを直接口にすると、中毒を起こす可能性があるので、犬たちの届かないところに保存しましょう。

犬にアーモンドを与える際の【適量】は？（小型犬・中型犬・大型犬）

Irrmago / PIXTA(ピクスタ)

アーモンドを愛犬に与える場合、どのぐらいが適量なのでしょうか？

ペットフード公正取引協議会の指針によると、犬のおやつや間食は、原則として「1日当たりの給餌量（カロリー）に対して、多くても20％」までに抑えることが望ましいとされています。

ただし、脂肪が多く含まれるアーモンドの場合、消化吸収が悪いので、「10％未満」にしておいたほうが安心です。

その実際の分量は、避妊・去勢をした健康な成犬の場合、以下です。

Leeyakorn06/ Shutterstock.com

素焼きアーモンドはカロリーが100gあたり608kcal、脂肪が54.1gと「高カロリー」「高脂肪」です。

与えすぎに注意し、与える場合は、必ず主食のドッグフードの量を、与えるアーモンドのカロリー分減らしましょう。

また、消化吸収が悪く、食べると下痢や嘔吐をする可能性もあるので、大量には与えないほうがいいです。

犬がアーモンドを食べた後に、嘔吐や下痢をしたり、軟便になったりした場合は、与えるのをやめましょう。

【参照元】日本食品標準成分表2020年版（八訂）

犬に与えるアーモンドの【まとめ】

Krasula/ Shutterstock.com

犬はアーモンドを食べても大丈夫です！

アーモンドには犬が中毒を起こす成分は含まれていませんが、高脂肪で消化吸収が悪いため、食べた後に嘔吐や下痢をしたり、軟便になったりすることがあります。

また、丸呑みすると、消化管に詰まらせてしまう危険性もあります。

犬がアーモンドを食べてしまっても問題はありませんが、積極的に与える必要はないでしょう。

愛犬の健康を守れるのは飼い主だけです。

正しい知識を持って、毎日の愛犬の食生活に取り入れてみてくださいね。