【プロドッグトレーナー監修】日本テリアは初心者が飼って大丈夫？性格や飼い方、寿命、値段、病気は？

日本テリア【初心者が飼っても大丈夫？飼いやすい？】【断耳・断尾は必要？】

アキラ / PIXTA(ピクスタ)

日本テリア【初心者が飼っても大丈夫？飼いやすい？】

その昔は「抱き犬」として可愛がられ、家庭犬として繁殖されていたこと、小型で軽いこと、超短毛でお手入れが楽なこと、人懐こいことなどから、初心者でも日本テリアを飼うことは可能でしょう。

しかし、どんな犬種であれ、安易に飼える犬は存在しません。

犬は生き物、多かれ少なかれ悩みや苦労は付き物であり、一つの命を預かるのだという自覚とともに、それを受け入れるくらいの気持ちで犬とお暮らしいただけたらと思います。

日本テリア【断耳・断尾は必要？】

日本テリアでは断耳は行なわれませんが、断尾は伝統的に行われてきました。

しかし、現在では動物福祉の観点から、断耳（生後2～3ヶ月で形成手術）・断尾（誕生後すぐに形成手術）ともに否定的な気運が高まり、「ペット動物の保護に関する欧州条約（European Convention for the Protection of Pet Animals）」に代表されるように、ヨーロッパ、オーストラリア、カナダなど断耳・断尾を禁止とする国や州、地域があります。

そうした中で日本の場合は、「動物の愛護及び管理に関する法律」に「何人も、動物をみだりに殺し、傷つけ、又は苦しめることのないよう…」とはありますが、断耳・断尾とも禁止にはなっていません。

このような状況から、ジャパン・ケネル・クラブでは2015年10月に日本テリアの尾に関するスタンダードを改正し、これまでの「適度に細く第3、4尾椎骨あたりで断尾する」に加えて、「断尾が禁止されている国の場合、自然な尾は若干アーチし、尾先に従って先細り、歩様時は適度に高く掲げる」の一文を追加しました。

つまり、日本では断尾してある犬と断尾していない犬の両方が存在することになります。

日本テリアに断耳・断尾が必要か、それは繁殖者や飼い主となる人の考え方に委ねられるところが大きいと言えるでしょう。

【参照元】
・COUNCIL OF EUPOPE「European Convention for the Protection of Pet Animals」
・Veterinary Information Network「Animal Welfare」
・ANIMAL WELFARE VICTORIA「Prohibited procedures on dogs」
・Veterinary Practice News「Ear Cropping Ban Spreads to Western Canada」
・e-Govポータル「動物の愛護及び管理に関する法律」
・一般社団法人ジャパン・ケネル・クラブ「犬種標準の改正について（日本テリア・狆）」（2015年10月30日）

日本テリア【原産国・歴史・寿命は？】

はいこ / PIXTA(ピクスタ)

日本テリア【原産国】

原産国：日本

日本テリアの発祥の地、もしくはゆかりのある土地として、神戸（兵庫県）と横浜（神奈川県）が考えられていますが、往時繁殖が盛んに行われていたのは大阪だったようです。

日本テリア【歴史（種類）】

その昔、日本テリアには、「ミカドテリア」「神戸テリア」「お雪テリア」などの呼び名がありました。

これらの名前は、日本テリアの発祥またはゆかりに関連していますが、いずれも伝え話にとどまり、事を証明するだけの記録や証拠は残っていません。

日本テリア【エピソード①】

時は江戸時代中期、1700年代のこと。

1571年に長崎が開港されて以来、盛んに貿易が行なわれていましたが、その長崎に住んでいたオランダ人のある商人が飼っていたスムース・フォックス・テリアと“ポインターより小さい犬（ポインターに似た犬なのかは不明）”とを交配。

その子孫が神戸の輸入商であるミカド商会のヘンリー氏の手に渡り、さらに改良されて、「ミカドテリア」「神戸テリア」と呼ばれるようになった、という話があります。

日本テリア【エピソード②】

もう一つの話は横浜に端を発します。

時は少し新しくなって明治時代。

当時、アメリカの富豪一族モルガン家の一人であったジョージ・デニソン・モルガン氏と、京都の芸妓（げいぎ／宴席で歌や芸を披露する芸者、芸子のこと）であったお雪との結婚は世間を賑わせたといいます（1900年代初頭）。

夫婦が居住したのは横浜でした。

そのジョージ氏がアメリカから連れて来た犬（スムース・フォックス・テリアと思われる）と、お雪が飼っていた雑種犬（何系の雑種犬なのかは不明）との間に子犬が産まれ、そのうちの1頭が神戸のとある旅館の主人の手に渡り、スムース・フォックス・テリアと交配をしたと。

その子孫たちが「神戸テリア」と呼ばれるようになり、さらに大阪で改良が続けられ、今日の日本テリアになったというのです。

当時の横浜あたりでは「お雪テリア」と呼ばれていたそうで、この犬種の発端は横浜にあると主張する意見を真実味あるものに思わせもします。

しかし、ここでスムース・フォックス・テリアの歴史を見てみると、犬種として確立されたのは1800年代中頃で、フォックス・テリアと呼ばれるようになったのは1700年代と思われ、当初は毛色が狐色だったと言われています。

江戸時代にスムースとは言わずとも、フォックス・テリアが日本に入ってくることがあったのか？ エピソード①と②では200年近い開きがあることなどを考えると、日本テリアの発祥は残念ながら今もって霞（かすみ）の中と言わざるを得ません。

ただ、往時は「日本のフォックス・テリア」とも呼ばれ、原種犬として度々スムース・フォックス・テリアの名が挙がること、犬の容貌などから、スムース・フォックス・テリアが基礎になったとする考え方は有力なのでしょう。

中には、日本テリアの発祥はもっと遅かったのではないかと考える人もいますが、いずれにしてもスムース・フォックス・テリアにいろいろな小型犬の血が混じったと考えるのが妥当なようです。

その可能性ある候補としてトイ・ブル・テリアやブラック・アンド・タン・テリア、“カメ”＊と呼ばれた洋犬系小型の雑種犬などの名も見られますが、時の流れを遡って旅でもしない限り、その正否はわかりません。

現在、国内での日本テリアの登録数は「90頭」。

英語名は、「Nihon Terrier」「Japanese Terrier」で、海外にも愛好家がいるようです。

※カメ＝英語圏の外人が犬を呼ぶ時に「Come」と言うのが日本人には「カメ」と聞こえ、洋犬のことをカメというのだと勘違いしたことから生じた呼び方。後に、カメは小型の洋犬系の雑種のことを指すようになり、目が突出し、アンダーショットで、脚が短い犬が多かったといいます。

昭和初頭の日本テリア／国立国会図書館デジタルコレクション「テリア犬の知識」（犬の研究社編、昭和12年）より

昭和初頭の日本テリア／国立国会図書館デジタルコレクション「テリア犬の知識」（犬の研究社編、昭和12年）より

明治から大正にかけてのトイ・ブル・テリア／国立国会図書館デジタルコレクション「テリア犬の知識」（犬の研究社編、昭和12年）より

【参照元】
・国立国会図書館デジタルコレクション「テリア犬の知識」（犬の研究社編、昭和12年）
・FEDERATION CYNOLOGIQUE INTERNATIONALE 「NIHON TERIA（（Japanese Terrier））
・一般社団法人ジャパン・ケネル・クラブ「日本テリア」
・一般社団法人ジャパン・ケネル・クラブ「2020年（1月〜12月）犬種別犬籍登録頭数」

日本テリア【平均寿命】

平均寿命：12歳～15歳

※個体の健康度や国・地域、気候、環境などによって寿命には差が生じます

日本テリア【大きさ・毛色・子犬（赤ちゃん）の販売価格は？】

はいこ / PIXTA(ピクスタ)

日本テリア【オスの大きさ（体重・体高・体格）】

体高：30cm～33cm

体重：5kg程度

日本テリアは小鹿を思わせるようなスマートな体つきをしており、軽やかな印象を受ける小型犬です。

無駄な肉はついておらず、引き締まった体は俊敏な動きができることを表しています。

日本テリア【メスの大きさ（体重・体高・体格）】

体高：30cm～33cm

体重：5kg程度

日本テリアでは、スタンダード上、オス犬もメス犬も同程度の大きさとなります。

日本テリア【毛色の種類】

日本テリアの毛色の特色は、頭部と胴体との毛色の配色にあり、くっきりと色が違うことです。

頭部の毛色は黒・茶色（タン）・白が基調で、黒一色に見えるものや、ブラック＆タン、それらにブレーズが入ったものなどがあります。

それに対して胴体は白であり、黒のスポット、黒または茶色の斑模様が出ることがあります。

（※古い文献によれば、その昔は頭部が銀灰色やチョコレート、体が白一色の犬もいたとか）

はいこ / PIXTA(ピクスタ)

特に頭部が黒くてブレーズがなく、胴体には斑（まだら）もない真っ白な毛色は「面冠り胴抜け」と呼ばれ、胴体に黒くて丸い斑があるものは「日の丸」、斑模様が脇腹にかかるものは「鞍掛」、尾やお尻が黒いものは「尾止め」など独特の呼び方があるのも特徴的です。

また、被毛も独特で、その長さは2mm前後という超短毛。

当初はもう少し長かったようですが、大正8年（1919年）に兵庫県で開催された展覧会に「シロ」という名の超短毛のメス犬が出陳され、神戸における超短毛日本テリアの元祖となったという話があります。

しかし、昨今では、犬の健康を考えれば「もう少し被毛が長くてもいいのではないか？」という考え方も一部にあるようです。

神戸における超短毛日本テリアの元祖と言われる「シロ」／国立国会図書館デジタルコレクション「テリア犬の知識」（犬の研究社編、昭和12年）より

日本テリア【子犬（赤ちゃん）の販売価格】

子犬の販売価格：30万円～

※価格はあくまでも目安であり、販売者や犬の状況によって変動します

日本テリア【特徴・性格・食事は？】

はいこ / PIXTA(ピクスタ)

日本テリア【容姿・スタイル】

日本テリアの体高と体長の比率はおよそ「1:1」で、スクエアな体型をしており、その分、脚が長く見えます。

脚は体に見合った細さで、歩く姿は軽快です。

マズル（口吻）とスカル（頭蓋）の長さもほぼ同じで、頭頂部は平たく、やや狭くなっており、その頭部の高い位置に小さくて薄いV字型をした耳が付き、前方に向けて垂れています。

日本テリア【性格（気質）・魅力】

日本テリアは、明るく活発で、人と一緒にいることを好む傾向にあります。

繁殖の過程でいろいろな犬の血が配されたため、いわゆる勝ち気で知られる“テリア気質”は少々薄らいでいるようですが、それでも機敏で溌剌（はつらつ）とした様子はテリアであることを主張しているかのようです。

時に愛嬌たっぷりに、時には凛々（りり）しく、まさに犬界の小公子といったところですが、警戒心もあり、番犬としての役目も果たせます。

日本テリア【食事（食べ物）・お手入れ】

日本テリアの食事

ドッグフードを使用するならば総合栄養食で年齢ステージに合ったもの、そして小型犬用の小粒のフードを。

犬は肉食に大きく偏った雑食性なので、良質なタンパク質を含むフードを与えたいものですが、商品の表示によっては肉より穀類のほうが多く含まれている場合もあります。

原材料表示は多く含まれている順に表示することが決められているものの、たとえば小麦粉と粗挽き全粒小麦とが別々に表示されていて、この二つを足すと肉より小麦の原材料のほうが多くなるといったケースもあります。

フードを選ぶ時には表示も確かめるようにしましょう。

日本テリアのお手入れ

お手入れに関しては超短毛なので軟らかめの柔毛ブラシやラバーブラシなどでブラッシングをしたり、濡らしたタオルで全身を拭いたりする程度で大丈夫です。

シャンプーは月に1回程度。

超短毛ですが、抜け毛はそれなりにあります。

また、垂れ耳なので耳のお手入れはお忘れなく。

日本テリア【気をつける病気は？】

kou / PIXTA(ピクスタ)

気をつける病気①【レッグ・ペルテス病（大腿骨頭壊死症）】

成長期に多く発症するこの関節疾患は、大腿骨頭（太腿の骨の一番上の部分）や骨頸部（大腿骨頭のすぐ下にある首のようにくびれた部分）へ血液がうまく供給されなくなり、大腿骨頭の成長に障害が生じたり、壊死したりし、痛みが出ることから、歩きたがらない、脚を上げたままでいるなど歩行障害が見られます。

この病気は、特に日本テリアのようなトイ犬種、小型犬に多いと言われています。

気をつける病気②【皮膚トラブル】

日本テリアは被毛が極端に短いため、皮膚トラブルが起こりやすい傾向にあると言われます。

アレルギー性皮膚炎や湿疹、虫刺され、擦り傷などいろいろありますが、皮膚を健康に保つケアが必要になることもあるでしょう。

気をつける病気③【歯周病】

3歳以上の犬の約80％は歯周病になっていると言われます。

愛犬の歯周病を放置すると内歯瘻（ないしろう）や外歯瘻（がいしろう）、口腔鼻腔瘻（こうくうびくうろう）、顎骨骨折などを招くことがある他、心臓病や肝臓病など他の病気に悪影響を与えてしまうことがあるので軽く見るのは禁物です。

特に小型犬は歯周病になりやすい傾向にあるため、歯磨きをはじめデンタルケアは早いうちから心がけたいものです。

日本テリア【病気になった場合、ペット保険は適用される？】

CORA / PIXTA(ピクスタ)

愛犬が病気やケガをした時に医療費の助けとなるのが「ペット保険」です。

しかし、どんな病気やケガでも補償されるというわけではなく、

予防にあたるもの

例）：各種ワクチン、フィラリア予防、マイクロチップ装着費用、健康診断費用

病気にはあたらないと判断されるもの

例）：歯石除去、乳歯遺残、去勢・避妊手術、交配・出産関連、トリミング関連

先天性の異常、すでにもっている病気

代替医療

例）：針灸を覗く中国医療、アロマ、ホメオパシー

などは補償対象外となるのが一般的です。

補償割合や加入できる年齢、また、A社では補償対象外となるものでも、B社では補償対象となるなど各社各様なので、ペット保険の加入を考える時には、愛犬の健康リスクや年齢などを踏まえ、よく比較検討して選ぶことをおすすめします。

日本テリア【飼い方（しつけ）・散歩の仕方・注意点！】

terex / PIXTA(ピクスタ)

日本テリア【飼い方（しつけ）】

日本テリアは室内飼育向きの犬種です。

同じ屋根の下で一緒に暮らすからこそ、しつけには早くから取り組みたいもの。

特に、トイレのしつけは子犬がやって来たその日から始まると思ってください。

寝て起きた後、ごはんを食べた後、遊んだ後、興奮した後などはトイレをしやすいタイミングなので、それを見逃さずトイレ場所に誘導し、うまくできたらたくさん褒めてあげましょう。

トイレトレーニングは失敗させないようにするのが一番のコツです。

また、日本テリアは穏やかで人好きな反面、慣れないものを怖がるようなこともあるので、子犬のうちからいろいろな物や音、環境に慣らし、“良い”体験をさせながら「社会化」に取り組みましょう。

日本テリア【散歩の仕方】

日本テリアの散歩は「1回20分～30分」程度、「1日2回」を目安に。

小型犬なので室内の運動だけでも大丈夫というわけではありません。

散歩は体の健康の他、社会化や気分転換、ストレス発散など精神面の健康にも作用します。

実際、問題行動を抱える犬では積極的に散歩に出ることによって症状が改善されるケースも多いと言います。

もちろん、悪天候など散歩に出られない時には部屋の中でボール遊びやゲームなどするといいでしょう。

テリア犬種は活発なため、散歩だけでは十分に運動欲求を満たすことが難しい場合が多いです。

お散歩は精神的な発散に必要ですが、身体的な発散をしてあげるためにも、日頃から歩くだけでなく一緒に遊んであげることが大切です。

なお、小型犬は体高が低い分、地面の反射熱を受けやすいので、暑い時期の散歩は熱中症に注意が必要です。

散歩は涼しい時間帯に行くようにしましょう。

また、寒さに弱いのも小型犬であり、日本テリアは超短毛のためなお寒がりです。

冬の散歩はなるべく温かい時間帯にしたいものですが、犬や地域によっては防寒対策として洋服を着せるのもいいかもしれません。

日本テリア【注意点！】

華奢（きゃしゃ）な体つきの小型犬ではふとしたことで骨折することがあるので注意が必要です。

「子犬を抱いていて落としてしまう」「はしゃぎ過ぎて壁に激突する」「あまりに高い場所から飛び降りる」などご注意ください。

日本テリア【まとめ】

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日本テリアは日本で誕生しながら、それほど一般的ではありません。

しかし、人気のあった昭和初期の時代を知る人にとっては懐かしい犬種でしょう。

可愛いだけではなく、スポーティで、活動的。

一緒に暮らすなら、家庭内を明るくしてくれる存在になれるかもしれません。


＊注意：犬は生き物であり、性格やサイズ、運動量、寿命など個体差があります。

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