【プロドッグトレーナー監修】ウェルシュ・コーギー・ペンブロークは初心者が飼って大丈夫?飼い方・寿命
ウェルシュ・コーギー・ペンブロークは短脚長胴の小柄な体つきながら、大型犬並みの気質とタフさを兼ね備えていると言われる牧畜犬です。愛らしくフレンドリーで家庭犬向きですが、時に人のかかとをカプッとしてしまうこともあるのは牧畜犬としての名残り。一緒に楽しく暮らしたいのであれば、まずは彼らのことについて知っておきましょう。
- 更新日:
麻布大学介在動物学研究室(旧動物人間関係学研究室)で、人と犬の関係学を研究。
この分野では日本で初めての博士号を取得。
目次
- ウェルシュ・コーギー・ペンブローク【初心者が飼っても大丈夫?飼いやすい?】【断耳・断尾は必要?】
- ウェルシュ・コーギー・ペンブローク【ウェルシュ・コーギー・カーディガン】の違いは?
- ウェルシュ・コーギー・ペンブローク【原産国・歴史・寿命は?】
- ウェルシュ・コーギー・ペンブローク【大きさ・毛色・子犬(赤ちゃん)の販売価格は?】
- ウェルシュ・コーギー・ペンブローク【特徴・性格・食事は?】
- ウェルシュ・コーギー・ペンブローク【気をつける病気は?】
- ウェルシュ・コーギー・ペンブローク【病気になった場合、ペット保険は適用される?】
- ウェルシュ・コーギー・ペンブローク【飼い方(しつけ)・散歩の仕方・注意点!】
- ウェルシュ・コーギー・ペンブローク【まとめ】
ウェルシュ・コーギー・ペンブローク【初心者が飼っても大丈夫?飼いやすい?】【断耳・断尾は必要?】
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ウェルシュ・コーギー・ペンブローク【初心者が飼っても大丈夫?飼いやすい?】
ウェルシュ・コーギー・ペンブローク(Welsh Corgi Pembroke/Pembroke Welsh Corgiと表記されることもある)は、初心者が飼育をするには注意を要する犬種です。
牧畜犬であることから「小型であっても活動的で、タフであり、運動は必要である」こと、「賢いゆえにしつけは真摯に取り組む必要がある」こと、「体型的に関節や背骨への配慮は大事になる」ことなど、犬種としての特性や気質は理解しなければなりません。
ハーダー系(牧羊犬や牧畜犬)の犬は総じて繊細な犬が多いのに加え、知性も高い傾向にあります。
このようなタイプの犬は接し方を間違えると折角の良さを潰してしまったり、神経質にさせてしまったり、反抗的になってしまうことさえあります。
そういった意味では、犬の飼育経験がある人により向く犬種と言えるでしょう。
特に、子犬の時のウェルシュ・コーギー・ペンブロークは可愛いものです。
しかし、その可愛さだけにほだされて飼うことはおすすめしません。
犬と暮らす際には、自分の性格や年齢、体力、生活スタイル、環境、飼育スペース、経済力、家族の協力など諸々の要素を熟考した上で犬をお選びください。
犬と暮らすということは、一つの命を預かるということ。
熟考の末、ウェルシュ・コーギー・ペンブロークを選ぶのであれば、あなたが愛情をかけた分だけ、彼らは応えてくれ、かけがえのないバートナー・家族になれることでしょう。
ウェルシュ・コーギー・ペンブローク【断耳・断尾は必要?】
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ウェルシュ・コーギー・ペンブロークの場合、断耳は行なわれませんが、尻尾に関しては短尾(ボブテイル)で生まれることがある他、これまでは慣習的に断尾が行なわれてきました。
しかし、昨今では動物福祉の観点から、断耳(生後2~3ヶ月で形成手術)・断尾(誕生後すぐに形成手術)ともに否定的な気運が高まり、「ペット動物の保護に関する欧州条約(European Convention for the Protection of Pet Animals)」に代表されるように、ヨーロッパ、オーストラリア、カナダなど断耳・断尾を禁止とする国や州、地域があります。
そのため、同様の法律・条例がある国や地域では断耳・断尾は行なわれませんが、そうでない国や地域では行なわれることがあります。
【「ペット動物の保護に関する欧州条約」で禁止されるべきとする外科手術】
✔断尾
✔断耳
✔声帯手術
✔爪除去および犬歯除去
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日本の場合は、「動物の愛護及び管理に関する法律」に「何人も、動物をみだりに殺し、傷つけ、又は苦しめることのないよう…」とありますが、断耳・断尾とも禁止にはなっていません。
したがって、ウェルシュ・コーギー・ペンブロークに断尾が必要か、それは飼い主となる人や繁殖者の考え方に委ねられるところが大きいと言えるでしょう。
このような断尾の問題が出てきて以来、一部には自然な短尾の犬が生まれるような交配を考えるブリーダーもいます。
【参照元】
・COUNCIL OF EUPOPE「Details of Treaty No.125, European Convention for the Protection of Pet Animals (ETS No. 125)」
・Veterinary Information Network「Animal Welfare」
・ANIMAL WELFARE VICTORIA「Prohibited procedures on dogs」
・Veterinary Practice News「Ear Cropping Ban Spreads to Western Canada」
・e-Govポータル「動物の愛護及び管理に関する法律」
ウェルシュ・コーギー・ペンブローク【ウェルシュ・コーギー・カーディガン】の違いは?
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ウェルシュ・コーギーには2犬種が存在します。
かつて主に飼育されていた土地の名を冠して一つは「ペンブローク」、もう一つは「カーディガン」。
カーディガンは紀元前1200年頃、中央ヨーロッパからやって来たケルト人に伴われてイギリスへやって来たという説が一般的に伝えられていますが、歴史的にはペンブロークよりカーディガンのほうが古い犬種であると考えられています。
一方、ペンブロークのほうはフランダース(フランドル)地方(オランダ、ベルギー、フランスにかけての北海に面した一帯)から来た犬に由来するという説や、スウェーデンの犬に由来するという説などがありますが、カーディガンとペンブロークはどこかでクロスしたのでしょうか。
結果的に、似たような犬となりました。
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実際、カーディガンとペンブロークは交配されることがあったようですが、後にそれぞれ独立した犬種となって現在に至ります。
体はカーディガンのほうがやや大きくて体調も長く、鼻先から尻尾の先までが1ヤード(ウェールズの旧単位で40インチ:102cm)であったことから、「ヤード・ドッグ(ウェールズ語ではCi Llatharid /Ci Llathaid, Ci-llathedとの表記も見られる)」とも呼ばれていました。
明らかな違いは、ペンブロークでは「短尾の犬や断尾した犬がいる」こと。
昨今では断尾していない犬もいるので、カーディガンと似ている要素が一つ増えたことになります。
耳の形にも違いがあり、ペンブロークの耳は小さめで、先端がわずかに丸みを帯びた三角形をしていますが、カーディガンの耳は大きく、丸みが目立ちます。
毛色では、カーディガンにはブルー・マールやブリンドルなどもあり、毛色が豊富です。
【ウェルシュ・コーギー・ペンブロークとウェルシュ・コーギー・カーディガンの相違点】
【ウェルシュ・コーギー・ペンブローク】 | 【ウェルシュ・コーギー・カーディガン】 | |
---|---|---|
原産国 | イギリス かつての主な飼育地はウェールズのペンブロークシャー | イギリス かつての主な飼育地はウェールズのカーディガンシャー |
サイズ | 25cm~30cm 小型 カーディガンよりやや小さい | 30cmが理想 小型 ペンブロークよりやや大きく胴が長い |
被毛と毛色 | 中毛 レッド&ホワイト セーブル&ホワイト フォーン&ホワイト トライカラー | 中毛 ブルー・マール ブリンドル ブリンドル&ホワイト レッド・ブリンドル レッド&ホワイト セーブル セーブル&ホワイト トライカラー ブリンドル・ポイント・トライカラー レッド・ポイント・トライカラーなど |
耳 | 小さめで、先端がわずかに丸みを帯びた三角形 | ペンブロークより耳が大きく、丸みがあり、やや外側に開き気味 |
尻尾 | 自然な短尾 自然のままの長い尾 断尾した尾 | 自然のままの尾 |
ウェルシュ・コーギー・ペンブローク【原産国・歴史・寿命は?】
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ウェルシュ・コーギー・ペンブローク【原産国】
原産国:イギリス
イギリス(グレートブリテンおよび北アイルランド連合王国)は「イングランド」「ウェールズ」「スコットランド」「北アイルランド」の4つの国(カントリー)から構成されていますが、グレートブリテン島の南西部に位置するウェールズの西端、ペンブロークシャーでウェルシュ・コーギー・ペンブロークが多く飼育されていました。
ウェルシュ・コーギー・ペンブローク【歴史(種類)】
ウェルシュ・コーギー・ペンブロークの源流がどこにあるのかは他の多くの犬種と同様に定かではありませんが、一般的に2つの説が存在します。
ウェルシュ・コーギー・ペンブローク【源流説①】
1107年、当時、優秀な織物職人たちが多くいたのはフランダース(フランドル)地方であったことから、イギリスのヘンリー1世がその職人たちをウェールズの南西部(ペンブロークシャーやカーディガンシャーがある地域)に招いた。
その時に織物職人たちが連れて来た犬に由来し、ウェールズの地元の牛追い犬と交配されたと考えられる。
ウェルシュ・コーギー・ペンブローク【源流説②】
ヴァイキングの時代、ウェールズに侵入したヴァイキングが連れて来たスウェーデンの牛追い犬に由来する。
*ヴァイキング(Viking)=正しくはヴィーキングと発音するとも言われますが、その時代は8世紀末または9世紀~11世紀中頃または後半、~12世紀など年代にはずれが見られます。
スウェーデンの牛追い犬とはスウェーディッシュ・ヴァルフント(Swedish Vallhund/スウェーディッシュ・キャトル・ドッグSwedish Cattle Dog:スウェーディッシュ・ハーダー・スピッツSwedish Herder Spitz)の祖先犬のことと思われます。
スウェーディッシュ・ヴァルフントも短脚で、立ち耳のスピッツタイプの顔つき、短尾で生まれることが多いなど確かにウェルシュ・コーギー・ペンブロークとよく似ています。
しかし一方では、ウェルシュ・コーギー・ペンブロークの祖先犬がウェールズに侵入したヴァイキングによって略奪され、後にスウェーディッシュ・ヴァルフントになったのだと主張する意見もあり、どちらにしてもウェルシュ・コーギー・ペンブロークの源流はわからないままです。
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歴史の源泉は遠い昔の霧の中なわけですが、その霧の中から生まれた伝え話に一つおもしろいものがあります。
ウェルシュ・コーギー・ペンブローク【伝え話】
昔々のこと、ウェルシュ・コーギー・ペンブロークは、ウェールズに住んでいた妖精たちに飼われており、牛追いはもちろん、馬車牽(ひ)きや妖精戦士の馬代わりに使われていたというのです。
時折、ウェルシュ・コーギー・ペンブローク(特にセーブル)の肩に模様が出ることがありますが、それは妖精が使った鞍の跡だというのですから、なんともロマンチックな話ではないですか。
こうして伝え話が残るほど、ウェルシュ・コーギー・ペンブロークは古くから「家畜である牛を駆り集め、市場まで誘導する」ために使われてきました。
昼間は「牛追い犬」として働き、夜は「警護犬」としても働いたウェルシュ・コーギー・ペンブローク。
小さな体ながらとてもタフな犬です。
John-Alex/ Shutterstock.com
ウェルシュ・コーギー・ペンブロークが主に飼育されていたペンブロークシャーの北側にあるカーディガンシャー(現ウェールズ中西部のケレディジョンに相当)では、現在で言うウェルシュ・コーギー・カーディガンが同じく牛追い犬として使われていましたが、1800年代後半あたりから別の犬種として認識されるようになりました。
1920年代になると純血種として認められ、1934年にウェルシュ・コーギー・ペンブロークとカーディガンはそれぞれ独立した犬種として公認されたのです。
時同じ頃、1933年、イギリスのエリザベス女王は「ドーキー」という名のウェルシュ・コーギー・ペンブロークを手に入れました。
Katamount / PIXTA(ピクスタ)
以来、この犬種の虜(とりこ)となり、代々飼育し続けていることから、”ロイヤル・ドッグ”と言えば「ウェルシュ・コーギー・ペンブローク」というイメージがあるほどです。
その歴代のロイヤル・ドッグとなった犬たちの姿をこちらの動画で見ることができますが、昔のペンブロークは今よりもっと野趣があったようです。
All the Queen's Corgis
ABC Newsより
最後に犬種名の由来について。
「Corgi」の語源にも諸説あります。
「Corgi」【語源①】
「corgi」とはケルト語で「犬」という意味である
「Corgi」【語源②】
ウェールズ語で「見守る、または集める」を意味する「cor」と、「犬」を意味する「gi」が合体した言葉である
「Corgi」【語源③】
ケルト語の犬を意味する「cur」に由来する
「Corgi」【語源④】
「cor」は「小人」を意味する
ウェールズ語はケルト語に含まれる言語だそうで、どこか似ているところもあるのでしょうが、犬を意味するケルト語の「corgi」は、後に「curgi」に変化し、さらに「cur」に変化したということなので、「1」と「3」の説は同じことを言っているのかもしれません。
かつてウェールズ語では、カーディガンも含めたコーギーのことを牛の踵(かかと)を噛む習性のある犬として「Ci Sawdlo」と呼んでいたそうですが、それが犬種名と関連あるかどうかについての記述は見当たりません。
いずれにしても、これらの説を総合すると、ウェルシュ・コーギーは、「ウェールズにあるペンブロークシャー(またはカーディガンシャー)の駆り集める仕事をする小さな犬」ということになるのでしょう。
愛称は単に「コーギー」。
海外では「Pem」と呼ばれることもあります。
現在では世界的に知られる犬となり、多くのファンが存在します。
StudioFuntas / PIXTA(ピクスタ)
【おまけの話】
2009年、アメリカの国立衛生研究所の研究チームが、ウェルシュ・コーギーやバセット・ハウンド、ダックスフンドなど短い脚をもつ19犬種において、共通して線維芽細胞(せんいがさいぼう)成長因子4(FGF4)というレトロ遺伝子の余分なコピーがあることを突き止めました。
これによって軟骨異形成、つまり脚が短くなるようです。
【参照元】
・THE KENNEL CLUB「Welsh Corgi (Pembroke)」
・FEDERATION CYNOLOGIQUE INTERNATIONALE (AISBL)「WELSH CORGI PEMBROKE」
・interzoo/監修 社団法人ジャパン ケネル クラブ「最新犬種図鑑」(2008年)
・AMERICAN KENNEL CLUB「Pembroke Welsh Corgi」
・Cascade Pembroke Welsh Corgi Club「About Corgi」
・Mayflower Pembroke Welsh Corgi Club「History of the Breed」
・デズモンド・モリス「デズモンド・モリスの犬種事典」(株式会社 誠文堂新光社、2007)
・Bruce Fogle, D, V, M.「The ENCYCLOPEDIA of the DOG」(DK PUBLISHING, INC.)
・Parker HG, VonHoldt BM, Quignon P, et al.「An expressed fgf4 retrogene is associated with breed-defining chondrodysplasia in domestic dogs.」(Science. 2009;325(5943):995-998. doi:10.1126/science.1173275)
ウェルシュ・コーギー・ペンブローク【平均寿命】
平均寿命:12歳~14歳
*個体の健康度や国・地域、気候、環境などによって寿命には差が生じます。
ウェルシュ・コーギー・ペンブローク【大きさ・毛色・子犬(赤ちゃん)の販売価格は?】
dogphotoworks / PIXTA(ピクスタ)
ウェルシュ・コーギー・ペンブローク【オスの大きさ(体重・体高・体格)】
体高:25cm~30cm
体重:10kg~12kg
ウェルシュ・コーギー・ペンブロークは、小型犬にしてはがっしりとした体つきをしており、短脚長胴であるのが特徴的です。
ウェルシュ・コーギー・ペンブローク【メスの大きさ(体重・体高・体格)】
体高:25cm~30cm
体重:9kg~11kg
スタンダード上の体高はオス犬とメス犬が共通になっていますが、一般的にはメス犬のほうがやや小柄であり、メス犬らしい性徴感があります。
ウェルシュ・コーギー・ペンブローク【毛色の種類】
兎人 / PIXTA(ピクスタ)
ウェルシュ・コーギー・ペンブロークの毛色は
レッド
セーブル
フォーン
ブラック&タン
上記4種類を基本に、
前胸や首、脚、また頭部や前顔部にホワイトが入っても入らなくても良いとされており、
レッド&ホワイト
セーブル&ホワイト
フォーン&ホワイト
トライカラー
などの毛色があります。
通常、マズル(口吻)や前胸、脚が白くなり、ブレーズが入る犬も多くいます。
なお、「ブルー」「ブルー・タン&ホワイト」「ブルー&ホワイト」「ホワイト&レッド」「ホワイト&セーブル」に関してはスタンダート外の毛色となっています。
被毛は分厚いダブルコートで、体に密着するように生えており、硬めの毛ながら手触りは滑らか。
時に、被毛が長いタイプの犬が生まれることがあり、それを「フラッフィー(FluffiesまたはFluffes)」と呼んでいます。
【参照元】一般社団法人ジャパン ケネル クラブ「犬種スタンダードで認められていない毛色について」
ウェルシュ・コーギー・ペンブローク【子犬(赤ちゃん)の販売価格】
23万円~
*価格はあくまでも目安であり、販売者や犬の状況によって変動します。
日本におけるウェルシュ・コーギー・ペンブロークの登録数は4,605頭(2020年)。
国内にはブリーダーが多くいるので、手に入れるのにそれほど困難は要しません。
【参照元】一般社団法人ジャパン・ケネル・クラブ「2020年(1月~12月)犬種別犬籍登録頭数」
ウェルシュ・コーギー・ペンブローク【特徴・性格・食事は?】
Hiro&mirei / PIXTA(ピクスタ)
ウェルシュ・コーギー・ペンブローク【容姿・スタイル】
ウェルシュ・コーギー・ペンブロークの一番の特徴は”短脚長胴”であることです。
しかし、胴は長過ぎるというほどでもありません。
脚は短くも力強く、後望した時、後肢は真っ直ぐ、前望した時、前肢はできる限り真っ直ぐであることが望まれています。
胸から腰にかけてはゆるやかに細くなり、この犬種のチャームポイントでもあるお尻へと繋がります。
全体的に小型にしてはずっしりとした印象を受けますが、それは肉厚という意味ではなく、密な被毛の下にタフさの源であるしっかりとした筋肉を隠しているからでしょう。
マズルは中庸の長さで先細り、耳は三角形の立ち耳。
北方スピッツタイプ系の顔貌をもっています。
鼻先から目、耳にかけて直線を引くと、耳の先端もしくはその近くに達するとされますが、これはカーディガンとは若干違った点です。
長い尾のある犬ではふさふさのキツネのような尻尾となりますが、このような尻尾を犬用語では「フォックス・ブラッシュ」と言います。
ウェルシュ・コーギー・ペンブローク【性格(気質)・魅力】
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ウェルシュ・コーギー・ペンブロークは家族には愛情深く、フレンドリーな犬種ですが、子どもは少々苦手な傾向にあるようです。
訓練性能も非常に高い犬種なので、しつけやトレーニングを通じて、飼い主との深いコミュニケーションを好みます。
かつては小さな体で牛を誘導・警護していたため、警戒心があり、何かを守ろうとする保護能力も高く、事あらば闘うだけの怖いもの知らずで、大胆不敵な面ももち合わせています。
また、牧羊犬種に特徴的にみられる「縄張り意識が高い」傾向があるため、多頭飼いの場合は”同居犬とのトラブル”に発展しないように注意が必要です。
単に可愛いだけではない、働く犬としての能力も十分併せ持っているのがウェルシュ・コーギー・ペンブロークなのです。
ウェルシュ・コーギー・ペンブローク【食事(食べ物)・お手入れ】
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ウェルシュ・コーギー・ペンブロークのごはん
ウェルシュ・コーギー・ペンブロークの子犬を迎えたならば、1~2週間はそれまで食べていたものと同じものを与えるようにしましょう。
急に食事内容が変わるとお腹を壊すことがあります。
子犬は下痢が続くと体力を奪われて危険な状態になることがあるので、食事を切り替える時には1週間程度かけて少しずつ替えるようにしましょう。
そして、ごはんは年齢ステージに合ったものを。
年代によって必要エネルギーも違ってくるので、それぞれ調整してください。
また、ウェルシュ・コーギー・ペンブロークは太りやすい犬種でもあるので、肥満にならないよう与え過ぎには気をつけましょう。
子犬期に太らせ過ぎると成犬になって太りやすく、痩(や)せにくい体質になってしまいます。
愛犬におやつを与えるのであれば、1日の与える量を決めてそれ以上は与えないように。
与える時は一口大に小さくし、食べる回数を多くしてあげるといいでしょう。
肥満は関節や背骨に負担をかけます。
ウェルシュ・コーギー・ペンブロークは短脚長胴であるため、関節や背骨のトラブルも目立つ傾向にあるので、体重管理は大切となります。
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ウェルシュ・コーギー・ペンブロークのお手入れ
ダブルコートで密な被毛をもつウェルシュ・コーギー・ペンブロークでは、ピンブラシやスリッカーブラシなどを使った毎日(少なくとも1日おきくらい)のブラッシングが必要になります。
換毛期には抜け毛が多くなるので、死に毛は取り除くようにしましょう。
ただし、ブラッシングはやり過ぎると生きた毛まで抜いてしまい、毛伸びが悪くなったりすることもあるのでほどほどに。
シャンプーは月に1回程度を目安にし、ドライングの時には毛の根元や指の間などまでしっかり乾かすようにしましょう。
その他、耳掃除や爪切り、肛門腺絞りなど基本的なグルーミングは必要です。
忘れたくないのが”歯のお手入れ”です。
多くの犬が歯周病をもっており、歯周病を放置すると細菌の増殖によって口腔内に穴が開いたり(内歯瘻:ないしろう)、眼の下や頬などの皮膚に穴が開いたり(外歯瘻:がいしろう)することがある他、心臓病や肝臓病など他の病気にも悪影響を与えてしまいます。
犬では歯垢が歯石へ変化するのは3日~5日であることから、できれば毎日、少なくとも1日おきには歯磨きを行ない、歯周病予防を心がけたいものです。
ウェルシュ・コーギー・ペンブローク【気をつける病気は?】
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ウェルシュ・コーギー・ペンブロークが気をつける病気①【椎間板ヘルニア】
犬の背骨(脊椎)は頸椎(7個)、胸椎(13個)、腰椎(7個)、仙椎(3個)、尾椎(20~24個)から成り立っていますが、脊椎同士の間には脊椎が動いた時の衝撃を和らげるクッションの役目を果たす椎間板があります。
脊椎の中には脊柱管が通っており、さらにその中には脊髄が通っています。
脊髄はいわゆる中枢神経で、脳からの指令を体全体に伝えたり、逆に抹消の感覚や動きなどの情報を脳に伝えたりする役目を担っています。
犬の椎間板ヘルニアとは、椎間板に変性が起こり、脊髄側に飛び出して脊髄を圧迫してしまう病気のことであり、「ハンセン1型」と「ハンセン2型」という二つのタイプがあります。
椎間板の中心部にはゼリー状の物質(髄核)があり、その周囲には弾力性に富んだ線維輪があるのですが、「ハンセン1型」では主に髄核が硬くなることで線維輪を突き抜けて飛び出てしまう状態となります。
多くが急性に発症し、ダックスフンドやシー・ズーのような短脚長胴の犬に多いと言われます。
一方、「ハンセン2型」は加齢に伴って線維輪が分厚くなることで脊髄を圧迫し、多くが中年期~高齢期に発症します。
症状は背中の痛みや段差を嫌う、飛び上がれない、後肢のふらつきなどが見られる他、重度になると後肢の麻痺や排泄困難に陥ります。
症状によって5つのグレードに分けられ、重度の場合、早急な手術が必要になることもあります。
ウェルシュ・コーギー・ペンブロークが気をつける病気②【変性性脊髄症(Degenerative Myelopathy:DM)】
Hiro&mirei / PIXTA(ピクスタ)
犬の変性性脊髄症(へんせいせいせきずいしょう)とは遺伝性疾患の一つで、この病気がある犬ではスーパーオキシドジスムターゼ1(SOD1)という遺伝子の変異があることが2009年に確認されました。
犬の変性性脊髄症の症状は後肢の足先をずって歩く、ふらつき、歩く時の脚のもつれなどから始まり、次第に後肢の自由がきかなくなります。
やがて前肢も同じようになり、最終的には起立困難となって起き上がることさえできなくなってしまいます。
そして、病変が首の脊髄にまで広がると嚥下(えんげ)障害や呼吸障害、呼吸困難に陥ることもあります。
この病気は9~10歳以降で発症することが多いとされ、通常、2~3年くらいかけて進行すると言われますが、11ヶ月以内に歩行不能になることも珍しくないそうです。
犬の椎間板ヘルニアとよく似ているため、各種検査によって区別する必要がありますが、変性性脊髄症では痛みはないと思われる点が椎間板ヘルニアとは違います。
その一方で、この2つの病気を併発している場合もあります。
残念ながら現在のところ治療法はなく、排尿・排便もできなくなるので、リハビリをしながら介護生活を送るしかありません。
【参照元】
・Veterinary Health Center, University of Missouri「Degenerative Myelopathy」
・岐阜大学動物病院 神経科「ウェルシュ・コーギーの変性性脊髄症 Degenerative Myelopathy(DM)in Welsh Corgi」
ウェルシュ・コーギー・ペンブロークが気をつける病気③【フォン・ヴィレブランド病(フォン・ヴィルブランド病/フォン・ウィルブランド病)】
フォン・ヴィレブランド因子と呼ばれる血漿タンパクは血中に存在し、出血時に血管の傷口周辺に集まって血液を凝固させる働きを担っています。
しかし、血漿タンパクがうまく産生されずに、出血が多くなる、出血がなかなか止まらない、あざができやすいなどの症状が見られる病気を「フォン・ヴィレブランド病」と言います。
フォン・ヴィレブランド因子の量や症状によって「タイプ1」「タイプ2」「タイプ3」の3つに分けられ、「タイプ3」がもっとも重度であるとされます。
また、発症リスクの高い犬種もおり、スコティッシュ・テリアやシェットランド・シープドッグ、ドーベルマン・ピンシャーなどの他、国内ではウェルシュ・コーギー・ペンブロークの発症率が高いと言われています。
参考資料:
・Cornell University College of Veterinary Medicine, Animal Health Diagnostic Center「Canine von Willebrand Disease」
・KAHOTECHNO「VWD(フォンウィルブランド病)」
ウェルシュ・コーギー・ペンブローク【病気になった場合、ペット保険は適用される?】
forden / PIXTA(ピクスタ)
愛犬が病気や怪我をした時に、その治療費を補償してくれるのがペット保険ですが、どんな病気や怪我でも補償されるというわけではありません。
基本的に、
予防にあたるもの
例)狂犬病や各種感染症の予防ワクチン、フィラリア予防、マイクロチップ装着費用、健康診断費用
病気にはあたらないと判断されるもの
交配や出産関連
トリミング関連
先天性疾患またはすでに見つかっている先天性疾患、すべてまたは一部の遺伝性疾患、すでに罹(かか)っている病気
代替医療
例)アロマセラピー、ホメオパシー、理学療法
などは”補償対象外”となるのが一般的です。
また、本来は病気のくくりであっても、「鼠径(そけい)ヘルニア」「臍(さい)ヘルニア」「眼瞼内反・外反」「停留睾丸」なども”補償対象外”になることが多いです。
ただし、同じ病気であっても、A社では”補償対象外”であるのに対し、B社では”補償対象”となることもあり、ペット保険会社によって違いがあります。
加えて、加入できる年齢の制限や補償条件など各社各様なので、ペット保険の加入を考える時には、愛犬の健康リスクや年齢などを踏まえ、各ペット保険会社をよく比較検討して選ぶことをおすすめします。
ウェルシュ・コーギー・ペンブローク【飼い方(しつけ)・散歩の仕方・注意点!】
ホタル / PIXTA(ピクスタ)
ウェルシュ・コーギー・ペンブローク【飼い方(しつけ)】
賢いということは、裏を返せば望ましくないこともすぐに覚え、扱い方次第では反抗的にもなるということ。
それゆえ、早くからの「社会化」が大切であることは言うまでもありません。
生後3週齢~12週齢にかけての「社会化期」は子犬がいろいろな物事を吸収し、犬として生きていく上での基盤を築くとともに、性格を育むにももっとも大事な時期です。
それ以降は好奇心より警戒心のほうが勝りますが、引き続き大事な時期。
この期間には人や物、音、環境などに慣らすためにもできるだけ“良い体験”をたくさんさせてあげましょう。
また、「しつけは子犬が来たその日から始まる」と思ってください。
トイレトレーニングに関しては、食後、遊んだ後、眠りから覚めた後、興奮した後など子犬がトイレをしやすいタイミングがあるので、それを見極めてトイレに誘導し、ちゃんとできたら十分に褒めてあげるようにします。
何より、「失敗させない」のが一番のコツです。
なお、ウェルシュ・コーギー・ペンブロークは牧畜犬として働いていた時代、牛を誘導する際に牛の踵をカプッと噛むことがあり、このようなタイプの犬を「ヒーラー」と言いますが、今もその名残りがあります。
時に人の踵(かかと)をカプッとしてしまうこともあるので、特にお子さんのいる家庭では注意が必要です。
習性と言えども怪我に繋がるおそれがあるので、日頃からおもちゃなどで遊ぶことで噛みたい欲求を十分に発散させ、踵(かかと)に噛みついてくるような状況では、知育玩具におやつを入れたものを与えて気をそらすなど、対策が必要になります。
ウェルシュ・コーギー・ペンブローク【散歩の仕方】
forden / PIXTA(ピクスタ)
小型ながらタフでスタミナもあるウェルシュ・コーギー・ペンブロークには十分な散歩や運動が必要です。
散歩の目安は1回30分~1時間程度を1日2回ですが、ただ、リードに繋がれて歩くだけの散歩では満足しないため、散歩の中でおもちゃを使って遊んであげる時間を作ってあげましょう。
可能ならばドッグランのような場所で自由運動をさせてあげられると理想的です。
飼い主さんがスポーツやアウトドア好きならば、一緒にジョギングやアウトドア、ドッグスポーツなどを楽しむのもいいでしょう。
注意したいのは、ハーダー系の犬は家畜を駆り集めることを仕事としたので、時に他の動物や走る車・バイクなどに飛びかかろうとすることがあります。
引っ張る力も強いため首輪が抜けてしまうこともあるため、特に引っ張り防止用のハーネスなどを使用することをおすすめします。
あまりにも反応が強くコントロールが効かない場合は、必ず専門家に相談しましょう。
また、子犬期に過度な運動をさせると、体がまだ十分育っていないため、逆に関節を傷めてしまうことがあるので、運動量はほどほどに調節してください。
ウェルシュ・コーギー・ペンブローク【注意点!】
ウェルシュ・コーギー・ペンブロークのように短脚長胴の犬は背骨や腰に負担がかかりやすいので、滑りやすい床、高いところからのジャンプ、高低差があり過ぎる段差などご注意ください。
滑りやすい床には滑り止めマットを敷く、高低差のある場所にはステップを設置するなどの対策をするといいでしょう。
ウェルシュ・コーギー・ペンブローク【まとめ】
夢喰い / PIXTA(ピクスタ)
ウェルシュ・コーギー・ペンブロークはファンの多い犬種です。
小型で明るく、可愛らしさもありながら、エネルギッシュで大らかといった面ももち合わせ、「小型犬の体に大型犬が潜んでいる」「大型犬のハートをもっている」などと表現されることもあります。
彼らの運動欲求量を満たしつつ、愛情を込めて接するならば、きっと楽しい家族となることでしょう。
*注意:犬は生き物であり、性格やサイズ、運動量、寿命など個体差があります。
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