【獣医師監修】犬にネギを少量でも食べさせては絶対にダメ!ネギ中毒の理由と対処法は?
犬がネギを食べてはいけないということを知っている方も多いと思います。しかし、なぜ、ネギを食べてはいけないのか?どのくらいの量のネギを食べたら危険なのか?など、きちんと理解している人も少ないのではないでしょうか? 愛犬のために「ネギ中毒」について、正しい知識と対処法を、ここで学びましょう!
監修者:徳本 一義 先生(獣医師)

目次
犬にネギを食べさせては絶対にダメ!!(※最悪、死に至る場合あり)

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犬にネギを与えては絶対にいけません!
犬によるネギや玉ねぎなどのネギ属の摂取に関しては以下のような研究が発表されています。

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出典 禁忌食(その1)ータマネギなどのネギ属とイヌ・ネコの健康タマネギなどのネギ属にはタマネギの香味と関係する物質であるメチルジサルファイド、メチルトリサルファイド、メチルプロピル-n-ジサルファイド、メチルプロピル-n-トリサルファイド、n-プロピルジサルファイド(ジアリルプロピルジスルファイド)、n-プロピルトリサルファイドなどが含まれている。
また、アリルプロピルジスルファイド も含まれている。これらの中でn-プロピルジスルファイド(ジアリルプロピルジスルファイド)やアリルプロピルジスルファイドなどが、赤血球のヘモグロビンを酸化する作用がある、といわれている。これらにより、赤血球の脂質膜がダメージを受け、赤血球内にハインツ小体が形成されることもある。
これにより溶血性貧血や血色素尿などを引き起こすによるものとされている。この反応がイヌでもネコでも同様に起こる。また、イヌやネコ以外ではウシやウマ、ヒツジ、ウサギなどにも同様の反応が起こる。
犬がネギ属の食べ物を摂取することで体内の赤血球に変異が起き貧血を引き起こす可能性がある他、最悪の場合、死に至ることもあります。
犬にネギは絶対に与えないようにしましょう!
犬がどれくらいの量のネギを食べたら中毒症状を起こす?

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飼い主が、ちょっと目を離した隙に「犬がネギを食べちゃった!」ということもあります。
「少しくらいなら大丈夫だろう」と思ってしまうかもしれません。
では、犬がどのくらいの量のネギを食べてしまったら中毒を起こすのでしょうか?

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犬の体格などによって個体差はありますが、おおよそ犬の体重1kgあたり5〜10gの量で赤血球の破壊を起こすとされています。
5kgの犬の場合、25〜50gを食べると中毒症状を引き起こすということになります。
一般的なネギの重さが100g前後なので、相当の量を与えないと中毒にはならないと思うかもしれません。
しかし、愛犬が盗み食いなどをしてしまう場合もあります。
特に、ネギ中毒に関しては食べてもすぐに症状が発生しないケースもあります。
犬の個体差にもよりますが、犬がわずかな量のネギを口にしただけでも死に至るケースがあるので、少しの量でも油断してはいけません。
犬にネギのエキスが溶けだしたスープなどを与えるのも危険!

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犬に直接ネギ類を食べさせてはいけません。
また、ネギの成分が溶け出した料理やスープも犬に食べさせてはいけません。
ネギの中毒成分は少量でも中毒症状を起こす危険性があり、加熱した後も毒性は消えません。
ネギを一緒に煮込んだ鍋料理や、おみそ汁などの汁物でも中毒になる可能性があります。
特に、ネギが入っていたすき焼きやしゃぶしゃぶなどは肉の味がするため、犬は喜んで食べてしまいます。
お肉だけといえども、ネギと一緒に煮込んだ食べ物は絶対に与えないようにしましょう!
犬がネギ中毒になった場合の症状は?

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犬がネギ中毒になった際の主な症状は「溶血性貧血」と「血尿」です。
ネギの中毒症状により「心拍数の増加」「呼吸困難」「衰弱」「歯茎などの粘膜が白っぽくなる」などの他に、「嘔吐」や「下痢」になる場合もあります。
また、犬がネギを食べてから中毒の症状が出るまで、摂取量にもよりますが1日から数日かかることが多くあります。
犬がネギを食べた直後「犬も元気だし、大丈夫だったんだな」と、飼い主が安心してしまいがちですが、愛犬の体調には十分注意してください。
犬がネギを食べてしまった場合の対処法は?

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犬のネギ中毒に対する根本的な治療法は存在しません。
対症療法として、ビタミン剤などの輸液、重症の場合は輸血などの処置がおこなわれます。
また、「犬がネギを食べてしまった」と思ったら、応急処置として、すぐに吐かせることがベストです。
ただし、自分で吐かせることが難しいようなら、無理に吐かせるようなことはせず、急いで動物病院へ連れて行き獣医師にみてもらいましょう。
愛犬をネギ中毒にさせないために

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とても大切なことは、ネギ中毒は、私たち飼い主が正しい知識を持って注意していれば「予防できる」ということです。
・調理中に、ネギが床に落ちたら、絶対に拾い食いをさせない
・ネギが含まれている食べ物を、犬の届くところに置かない
など
飼い主が少しの心掛けをするだけでも、ネギ中毒の「予防」してあげることができます。
愛犬の健康を守ってあげることは、私たち飼い主にしかできません。
犬の中毒症状を引き起こすネギの取扱には、飼い主が細心の注意を払いうようにしましょう。
【参考文献】
禁忌食(その1)ータマネギなどのネギ属とイヌ・ネコの健康
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jpan/14/2/14_2_103/_pdf
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監修者情報

小動物の臨床栄養学に関するスペシャリスト。大学卒業後、小動物臨床に従事。その後、ペットフードメーカーに入社し、小動物臨床栄養学に関する研究、情報発信を中心とした活動を行う。 現在は、獣医療・教育関連のコンサルタントとしての活動のほか、日本獣医生命科学大学非常勤講師、帝京科学大学非常勤講師などを兼任。ペッ ト栄養学会理事、ペットフード協会 新資格検定制度実行委員会委員長などペットの栄養に関する団体の要職を務める。自宅で9頭の猫と暮らす愛猫家である。
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