【獣医師監修】マルチーズの歯磨きは不要？いつから必要？歯磨きガムや歯ブラシ、頻度、嫌がる場合は？

マルチーズの歯磨き【しなくて良い？必要？歯磨きガムやシートだけでも大丈夫？】

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マルチーズの歯磨き①【しなくて良い？必要？歯磨きしないとどうなる？】

現代では、犬にも歯磨きが必要と言われています。

マルチーズにも歯磨きは必要です！

マルチーズの歯磨き【必要な理由①】

犬は歯石ができやすい

マルチーズの歯磨き【必要な理由②】

歯磨きせずにいると歯垢・歯石がたまり、歯周病になる

マルチーズの歯磨き【必要な理由③】

3歳以上の犬のおよそ80％に歯周病がある

マルチーズの歯磨き【必要な理由④】

歯周病が進行するといろいろな弊害が出る

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どんな弊害かというと、下の表にあるような愛犬にとってはとても辛い事態になってしまうことがあるのです。

これを見ただけでも歯磨きが健康を左右することがおわかりいただけるでしょう。

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マルチーズの歯磨き②【歯磨きガムやシートだけでも大丈夫？】

ペット用デンタルケア用品にはいろいろありますが、歯磨きガムや歯磨きシート、歯磨き作用のあるおもちゃなどのみでは歯の隙間や入り組んだ箇所までの汚れは落とせません。

特に歯磨きガムやおもちゃは、主に噛（か）む歯には作用するものの、噛むことに使わない歯の汚れ落としまでは期待できず、やはり歯磨きは細かい部分にも行きわたりやすい歯ブラシを使うのが理想的です。

または、歯ブラシと他のデンタルケア用品を併用するのが良いでしょう。

※愛犬の歯の歯石除去効果を期待し、ひづめや骨など硬い物を犬に与えるケースもありますが、硬過過ぎる物は破折（歯が折れること）を起こすことがあるのでご注意ください。

マルチーズの歯磨き【いつから（何歳）必要？頻度（回数）は？】

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マルチーズの歯磨き①【いつから（何歳）必要？】

アメリカ動物病院協会の「犬と猫のためのデンタルケア・ガイドライン」によれば、デンタルケアをしていない小型犬は生後9ヶ月歯周病を発症する可能性があり、多くの小型犬が3歳までには歯周病になっているといいます。

したがってマルチーズでは、できれば乳歯のうちから歯磨きトレーニングを始めるのがベストです。

マルチーズの乳歯が生え始めるのは生後21日頃から。

生後2ヶ月頃には乳歯が生え揃います。

そして、永久歯が生え始めるのは生後5ヶ月半頃で、生後7～8ヶ月頃までには歯の生え変わりが完了します。
（参考までに、中型犬や大型犬に比べるとマルチーズのような小型犬は歯の生え変わりの時期が1～2ヶ月ほど遅れる傾向にあります）

乳歯が生え揃った直後はまだ歯が不安定ですから、その時期に無理をせず、生後3～4ヶ月には少しずつ歯磨きトレーニングを始めるといいでしょう。

【参照元】American Animal Hospital Association「2013 AAHA Dental Care Guidelines for Dogs and Cats」

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マルチーズの歯磨き②【頻度（回数）は？】

犬では、歯垢が歯石に変化するのは3～5日程度なので、歯磨きは少なくとも1日おきに、できれば毎日行なうのが理想的です。

毎日の場合、食事のたびに愛犬の歯磨きをするのもたいへんでしょうから、1日に1回程度でもかまいません。

マルチーズの歯磨き【口の開け方・歯磨きの仕方やコツ・出血や歯石など注意点！】

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マルチーズの歯磨き①【口の開け方は？】

マルチーズの口を開けさせるには、犬歯の後ろに親指と人差し指（または中指）をあてがい（下写真）、もう片方の手の指で下顎の切歯を軽く引き下げる、または上顎を軽く引き上げるようにすると口を開けやすくなります。

この時、鼻筋を強く握ってしまうと犬が呼吸しづらくなるのでご注意ください。

©フジタ動物病院、大塚良重

愛犬がなかなか口を開けようとしない場合でも、唇の端からスッと歯ブラシが入ることがあり、とりあえずそのままの状態で磨けるところだけ磨くのも一つの方法です。

なお、愛犬が嫌がるのに、無理に口をこじ開けようとすると歯磨き自体に負のイメージがつき、なおさら歯磨きを嫌がるようになってしまうので無理強いは禁物です。

マルチーズの歯磨き②【歯磨きの仕方やコツ（内側・奥歯）は？】

以下は歯磨き上手になるためのポイントです！

マルチーズ【歯磨き上手ポイント①】

口の周りに触られることに慣らすところから始め、段階を追って少しずつ慣らす
（※急に歯磨きを始めると嫌がり、歯磨き嫌いになることがある）

マルチーズ【歯磨き上手ポイント②】

歯ブラシはマルチーズの口に合ったサイズで、毛の軟らかめのものを
（※痛かったり、苦しかったりすれば歯磨きが嫌になる）

マルチーズ【歯磨き上手ポイント③】

磨く時には優しくソフトに
（※痛いことから歯磨き嫌いになることがある）

マルチーズ【歯磨き上手ポイント④】

リラックスしたムードの中で行なう
（※飼い主の気負い過ぎは犬も緊張する）

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次に、愛犬の歯を磨く時の簡単ポイント！

マルチーズの歯磨き【簡単ポイント①】

上顎（あご）の歯の外側は、唇をめくったり、唇の端から歯ブラシを入れたりすることで、口を開けさせずとも磨くことは可能

マルチーズの歯磨き【簡単ポイント②】

磨く時は手早く、長い時間口を開けさせるのは犬にとっても辛い

マルチーズの歯磨き【簡単ポイント③】

とにかく磨けるところだけ磨く、残りはまた次回にというくらいの気持ちで

マルチーズの歯磨き【簡単ポイント④】

普段、愛犬と対面した状態で歯磨きをしており、歯の裏側や奥歯が磨きにくい場合は、自分のお腹の上に愛犬の背中がつくように抱っこして磨くと、歯の位置関係が自分の歯磨きをする時と同じになるので、感覚的に磨きやすくなることもある

マルチーズの歯磨き【簡単ポイント⑤】

愛犬の歯の裏や奥歯、磨きにくい箇所などは、歯ブラシの先端や後ろ角、横の縁をうまく利用する

愛犬の歯磨きについて、詳しくは以下のリンク記事をご覧ください。

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歯磨き③【出血や歯石など注意点！】

愛犬の歯磨き中に歯肉（歯茎）から出血がある場合、すぐに止まるようでしたら問題ありませんが、歯肉炎もしくは歯周炎なのかもしれません。

また、歯石がある場合、そのまま放置するとどんどん歯石が増えてしまいますので、なるべく早めに除去しましょう。

ごく軽度の歯石であれば、動物病院で麻酔を使わずに除去してもらうことも可能です。

マルチーズの歯磨き【マルチーズ専用（小型犬）の歯ブラシや歯磨き粉が必要？おすすめグッズは？】

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マルチーズの歯磨き①【マルチーズ専用（小型犬）の歯ブラシや歯磨き粉が必要？】

マルチーズは口が小さい反面、顎（あご）に対する歯の大きさは意外に大きく、その分、歯間が狭くなっているという点を考慮して小型犬用の歯磨きグッズを選ぶといいでしょう。

犬の歯磨き粉については必ずしも必要というわけではなく、歯ブラシを水に濡らすだけでも大丈夫ですが、歯ブラシを受け入れやすくするために愛犬が好む味の歯磨き粉を使うなど、トレーニングのきっかけづくりにも使えますし、歯垢除去効果をより期待できることにもなり、犬用の歯磨き粉の使用はおすすめです。

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マルチーズの歯磨き②【おすすめグッズは？】

初級（歯磨きがまだできない、歯磨きトレーニングの初期）

＜自分の指、指に巻いたガーゼ、綿棒＞
愛犬の歯に触れること、歯に異物が触れることに慣らすために。

中級（口や歯にはある程度触れることはできるが、歯ブラシはまだ使えない）

＜歯磨きガーゼ、愛犬が好む味の歯磨き粉、歯磨きスプレー＞
指に歯磨き粉を塗って歯を磨くなど、歯ブラシを使う前段階の練習に。

上級（歯ブラシが使える）

＜歯ブラシ、歯磨き粉＞
マルチーズにはヘッドが小さく、毛が軟らかめの歯ブラシがおすすめ。

マルチーズの歯磨き【人間用の歯ブラシ（乳児・赤ちゃん）や市販の歯磨き粉の使用はOK？】

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マルチーズの歯磨きに使う歯ブラシは人間の乳幼児用や子ども用、または部分磨き用などの歯ブラシを代用することも可能です。

犬の歯磨き粉については人間用のものは使用しないでください。

人間用の歯磨き粉には発泡剤やフッ化物、犬にとっては有害なキシリトールなどが含まれているので注意が必要です。

キシリトールは与える量によっては犬では中毒を起こしますし、フッ化物は微量であれば大丈夫なものの、多量に摂取した場合は嘔吐や下痢など中毒症状が出ることがあり、うがいができない犬には使わないほうが良いでしょう。

【参照元】厚生労働省e-ヘルスネット「フッ化物配合歯磨剤」

マルチーズの歯磨き【噛む・暴れる・嫌がる場合の対処法は？】

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マルチーズが歯磨きを嫌がる場合、考えられる理由には以下のようなものがあります。

どれかあてはまるものがあるなら、まずはそれを修正するように努力してみましょう。

口に触られることに慣れていない

磨き方が強過ぎて痛い

歯ブラシが硬過ぎる、または大き過ぎる

歯や口の中にトラブルがあって違和感や痛みがある

無理強いされるので怖い

普段、叱るときにマズルをもって叱っていた

中には歯ブラシの毛の質や軟らかさ、歯ブラシの角度などを変えただけで歯磨きを嫌がらなくなった例もあるので、いろいろ試してみるといいでしょう。

まさ / PIXTA(ピクスタ)

愛犬が歯ブラシを噛（か）んでしまう、または手を噛まれる場合は、そのまま噛ませていると噛む癖が強化されてしまうので、噛んだ時には「あっ」「だめ」など声をかけて歯ブラシを口から出し、噛まない時にご褒美をあげて褒めるようにし、トレーニングしてみてください。

歯ブラシを軽く噛む程度であれば、逆にそれを利用し、噛むのに合わせて歯ブラシを少しずつ移動させ、歯磨き効果を期待するのも一つの方法です。

また、愛犬が暴れてしまう場合は元気が有り余るのか、何らかの理由で歯磨きが嫌なのかもしれません。

元気があって遊んでしまうような犬では、散歩や運動後の少し疲れて落ち着いた状態でトライしてみるといいかもしれません。

マルチーズの子犬（赤ちゃん）・老犬の歯磨き【注意点・ケア方法は？】

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マルチーズ【子犬（赤ちゃん）の歯磨き】

愛犬の歯磨きトレーニングをするのにちょうどいいのが子犬期です。

ただし、急に歯ブラシを使って歯磨きを始めると、不快感や痛みから歯磨き嫌いになってしまうことがあるので、まずは口の周りに触られることに慣らすところから始めましょう。

その後、

というように少しずつ慣らすようにしていきます。

併せて、小型犬では歯のトラブルも多いので、歯の数や歯の生え方などもチェックしておきましょう。

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マルチーズ【老犬の歯磨き】

老犬では歯周病のリスクが高くなる上、持病をもっていることも多くなります。

マルチーズでは僧帽弁閉鎖不全症（そうぼうべんへいさふぜんしょう）などの心臓疾患が懸念される上、長寿な犬種でもあるので、歯周病の悪影響による持病の悪化は心配です。

何より、少しでも若いうちに歯石を除去しておくことをおすすめしますが、すでに歯石に悩んでいる場合、状況によっては老犬でも麻酔をかけて歯石除去ができる場合もあるので、気になる時には歯科に強い動物病院で相談してみてください。

マルチーズの歯磨き【歯周病など、気をつけるべき歯の病気は？】

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気をつける歯の病気①【歯周病／内歯瘻（ないしろう）／外歯瘻（がいしろう）／口腔鼻腔瘻（こうくうびくうろう）／歯周病に起因する顎骨骨折】

マルチーズは顎（あご）が小さく、歯が密接して生えているため、歯垢・歯石が付きやすい環境になっており、歯周病リスクが高い傾向にあります。

犬の歯周病が進行すると細菌の増殖によって膿が溜まり、その出口である穴が口腔内に開いたり（内歯瘻）、眼の下や頬（ほほ）など皮膚に開いたりする他（外歯瘻）、口腔と鼻腔とを隔てる骨を溶かしてその両者がつながってしまうこともあります（口腔鼻腔瘻）。

さらには、犬の歯周病が重度に進行した場合（特に下顎の第1後臼歯）、歯根周囲の骨が溶けて薄くなることから、少しの衝撃で顎（あご）の骨を骨折してしまうことがあり、特にマルチーズのような小型犬の老犬に多いと言われています。

佐藤貴司 / PIXTA(ピクスタ)

気をつける歯の病気②【乳歯遺残（にゅうしいざん）】

犬の歯の歯の生え変わりの時期が過ぎても乳歯が抜けずに残っている状態を「乳歯遺残」と言いますが、マルチーズのような小型犬に多く、それを放置すると歯が重なって生えることから歯周病リスクが高くなるため抜歯が必要とされます。

気をつける歯の病気③【欠歯】

本来あるべき犬の歯がなく、通常の歯の本数より少ないものを「欠歯」と言い、特に、下顎（したあご）の第2前臼歯や切歯に多く見られます。

マルチーズの歯磨き【虫歯や病気になってしまった場合は？】

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犬では虫歯は稀（まれ）ですが、放置すれば痛みが出る他、細菌が血流に乗って心臓病をはじめ他の病気に影響したり、思わぬ病気を引き起こしたりする可能性があります。

また、歯や口の中に何らかの異常がある場合、中には重篤な病気が隠れていることもあるので、少しでも気になることがある時には、早めに動物病院で診てもらいましょう。

犬の歯科治療【ペット保険は適用される？】

CORA / PIXTA(ピクスタ)

ペット保険では、犬の歯科治療に関して、「一切補償対象外」とするペット保険や、「犬の歯周病は対象となる」「全身麻酔をした上で行なった処置は手術にあたり、補償対象となる」「乳歯遺残の抜歯は対象外であるものの、それによる他の歯科疾患があって、その治療の一環であるならば補償対象となる」などペット保険によってまちまちです。

また、基本的に“予防”にあたるものは補償対象外となり、予防としての「歯垢・歯石除去」のような処置は補償されません。

ペット保険の加入を考えており、かつ将来的に歯科疾患が心配で補償を望むのであれば、それぞれのペット保険の補償内容や条件をよく比較検討することをおすすめします。

さらには、大切なマルチーズの健康を一生守るために、生涯加入できるペット保険を選ぶといいでしょう。

マルチーズの歯磨き【まとめ】

ホタル / PIXTA(ピクスタ)

マルチーズはなんと言っても純白の被毛が特長。

美しい白い被毛には、やはり真っ白な歯が似合います。

毎日の歯磨きなんて面倒くさいと思ってしまいがちですが、「小さな歯が、体全体の健康を守るという大役も担っている」のです。

愛犬にいつまでも健康で長生きをして欲しいと願うのであれば、今日からでも歯磨きを始めてみませんか？

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