【獣医師監修】パグの平均寿命は?短い?最高齢やギネス記録は?かかりやすい病気や長生きの秘訣!
おでこのシワがキュートなパグ。短頭種ならではの呼吸器トラブルや肥満にならないよう注意しつつ、陽気なパグが喜ぶ楽しい生活を続ければ、きっと長生きしてくれることでしょう。ここでは、パグ(小型犬)の平均寿命や最高齢(最長)、かかりやすい病気だけでなく、寿命を延ばす秘訣やポイントについて解説していきます。
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日本獣医畜産大学(現日本獣医生命科学大学)卒業
Royal Academy of Homoeopathy卒業
新宿鍼灸柔整専門学校卒業
【専門分野】
Aki Holistic Veterinary Care にて
◇鍼灸
◇ホメオパシー
◇ホモトキシコロジー
◇CCLT(Crystal Color Light Therapy)
◇漢方
などを用いたホリスティックケア
【資格】
◇獣医師
◇鍼灸師
◇日本獣医ホメオパシー認定医
【所属団体・学会】
◆一般財団法人 比較統合医療学会
◆一般社団法人 日本獣医ホメオパシー学会
◆日本ペット中医学研究会
【著作物】
・犬の臨床鍼灸学テキスト
(比較統合医療学会 犬の臨床鍼灸学テキスト編集委員会 編著)
【飼ってる動物】
雑種犬1頭(ウメ)
雑種猫2頭(あさり・うにお)
【ペット歴】
36年
【職業上でのペットとのかかわり】
縁あって家族になった動物達が飼い主さんと幸せに生涯を全うできるようお手伝いしたく、日々精進中です。
目次
パグ【平均寿命】は何年?
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サイズ別で考えると、パグも含まれる小型犬グループは、超小型犬や中型犬よりも長生きすると言われます。
平均的には、パグの平均寿命は”12~15歳”と考えられます。
けれども、短頭種であるパグは、「熱中症」や「呼吸器」トラブルにより若齢で命を落とすリスクが高い犬種です。
パグの平均寿命【人間に換算】すると何歳?
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パグの平均寿命が13歳だとすると、人間の肉体年齢に換算すると”68歳”ほどになります。
パグ【最高齢】は何歳?【ギネス記録】は?
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パグは、”21歳”が最高齢と言われています。
ちなみに、ギネスに認定されている犬の最高齢は、オーストラリアン・キャトル・ドッグの”29歳”です。
ドッグフードの品質の向上をはじめ、獣医療の進歩、健康診断の普及などによって、パグの寿命はさらに延びるのではないでしょうか。
【参照元】Guinness worldrecords,Oldest dog ever
パグ【寿命を縮める】要因は?
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短頭種であるパグは、生まれつき呼吸による”放熱”が苦手です。
パグは、真夏のみならず、多湿の梅雨時から「熱中症」にかかるリスクがアップするので注意が必要です。
「熱中症」は、処置せずにいると急速に進行して死亡する例も少なくありません。
Jomkwan7 / PIXTA(ピクスタ)
なるべく「高温多湿の環境」にパグを置かないことと、散歩には「保冷剤」を仕込めるバンダナや冷感ウェアを着せたり、冷却グッズを持参して熱中症の予防は最大限に努めましょう。
日常生活でパグの呼吸器に負荷がかかりすぎると、呼吸器トラブルを悪化して寿命を縮めかねません。
愛犬を散歩する際に、呼吸器に負担をかけない「ハーネス」を使用したり、扇風機ではなく湿度を下げられる「エアコン」を活用したり、日頃からパグが快適に過ごせるように心がけてください。
パグが長生きするために【注意すべき病気】は?
パグが注意すべき病気①【脳炎】
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近年まで、パグ脳炎やパグ髄膜脳炎と呼ばれていた「脳炎」に、パグは比較的かかりやすいことが知られています。
現在は発症する部位や特徴によって、「壊死性脳炎」や「壊死性髄膜脳炎」と呼ばれるようになりました。
この脳炎の症状は、部分性や全身性の痙攣(けいれん)、旋回運動などの運動失調、意識障害など。
2歳~10歳まで、初めて症状が現れる年齢には幅があります。
てんかんと同じような痙攣(けいれん)発作を伴うので、確実な診断には「MRI検査」で行うことが多いでしょう。
犬の脳炎の治療は症状を抑える、「内科的な対症療法」が中心になります。
パグが注意すべき病気②【皮膚疾患】
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パグの皮膚は脂っぽいため、「皮膚病」になりやすい犬種として知られています。
遺伝的に「アトピー体質」であるパグも少なくありません。
犬アトピー性皮膚炎は、3歳位までの若齢であるケースが多数を占めます。
「アレルギー性皮膚炎」、皮脂腺からの皮脂分泌に異常が生じる「脂漏性皮膚炎(脂漏症)」、常在菌であるブドウ球菌が増殖して生じる「膿皮症」、酵母様真菌の増殖が原因の「マラセチア皮膚炎」にも、パグはかかりやすい傾向にあります。
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治療が遅れたり、パグが掻きこわしたりして皮膚のバリア機能が落ちると、複数の皮膚病を併発する可能性もあります。
治療はシャンプー療法や内科治療が主になりますが、「皮膚疾患によってアプローチが異なる」ため、飼い主がインターネットなどで仕入れた独自の知識でシャンプー療法などをせず、愛犬の体臭や皮膚に異常が見られたら、なるべく早く獣医師の診察”を受けてください。
パグが注意すべき病気③【呼吸器疾患(短頭種気道症候群)】
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パグなどの短頭種に見られる呼吸器トラブルの総称が、「短頭種気道症候群」です。
「睡眠時にいびきをしたり無呼吸になる」「すぐに口で呼吸をする」「舌の色が紫っぽくなるチアノーゼになる」「運動後に意識を消失する」といった症状が見られます。
パグは、骨格構成上、気道が狭い短頭種。
生まれつき「軟口蓋過長症」「外鼻孔狭」「気管低形成」といった呼吸器疾患を抱えている確率が高くなっています。
呼吸器疾患は、外科手術による治療が効果的ですが、短頭種はもともと麻酔リスクが高いことと、加齢によって呼吸器周辺の筋肉が衰えるほどに手術による危険性が高まるので、獣医師とよく相談しながら手術の時期を検討することも大切です。
愛犬の呼吸器への負担を減らすために、散歩時は「ハーネス」を利用したほうがよいでしょう。
パグが注意すべき病気④【外耳炎】
iStock.com/Anna Cinaroglu
垂れ耳のパグは、「外耳炎」になりやすい犬種のひとつ。
犬の「外耳炎」の原因は多く存在しますが、パグでは皮膚病の原因になる「マラセチア」が外耳道に繁殖して、外耳炎になるケースもめずらしくありません。
パグが外耳炎になると、「耳を壁や地面や飼い主の体に擦り付けたり」「後足で耳を掻く」などの症状が見られます。
外耳炎は悪化すると治療に時間を要するため、早期に発見して、動物病院で耳の洗浄を行ったのち、点耳薬などによる治療を開始したいものです。
愛犬の行動の変化が見られなくても、こまめに耳の内部を確認して、耳垢が増えていたり臭いが強くなるといった様子が見られたら、早めに動物病院へ。
パグ【高齢犬(シニア犬)】になったら起こることと対処法!
iStock.com/leadenpork
中国が原産だと考えられ、中国やヨーロッパの宮廷で愛されてきたパグは愛玩犬ですが、運動欲求は低くありません。
また、多くのパグは食べることが大好きなので、運動量が不足すると太りやすい傾向にあります。
肥満になると運動したがらなくなり、さらに太りやすくなるという悪循環に陥る危険性があります。
シニア期以降は代謝が落ちて、さらに体に脂肪がつきやすくなるので注意しましょう。
肥満は、多くの病気の一因にもなります。
Jomkwan7 / PIXTA(ピクスタ)
高齢犬は「高タンパク低脂肪の食事」を選ぶなど、食餌管理をとおしてパグが健やかでいられるように気遣ってあげたいものです。
シニア期以降は、白内障にかかるパグも多くなってきます。
目が見えにくいと、家具などにぶつかる恐れがあります。
パグは短頭種で顔面をぶつけると眼球がダメージを受ける危険性も。
ぶつかりやすいところや家具はガードをしておけば安心です。
パグ【健康寿命を延ばす】秘訣やポイントは?
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爪切りが苦手なパグが、少なくないようです。
爪が伸びていると、しっかりと地面を踏みしめられずに関節に悪影響となります。
シニア期以降に関節の痛みもなく運動を続けられるよう、子犬の頃から、どこを触っても大丈夫なようにおやつを活用しながら楽しくレッスンを重ね、こまめな爪切りを心がけましょう。
シニアドッグになってからのパグは、筋力の衰えによって「生活の質(QOL)」が落ちる可能性があります。
iStock.com/Maryviolet
愛犬の脳トレのためにも、短時間でもよいので毎日散歩に行きましょう。
ただ歩くだけではなく、「坂道を上ったり」「室内ではバランスボールに乗る」などの筋トレをするのがベストです。
飼い主が愛犬とコミュニケーションを取ることで、心身ともに心地よい刺激になり、”アンチエイジング”にもなります。
室内で、隠したおやつを嗅覚で探させるゲームをしたり、飼い主がどこかに隠れて愛犬の名前を呼び聴覚や嗅覚を使わせる「かくれんぼゲーム」をしたりと、パグに楽しい遊びも提供してあげてください。
パグ【健康診断】で病気の早期発見を!
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パグは、「呼吸器疾患」や「悪性腫瘍」や「皮膚疾患」など、若齢のうちから病気にかかりやすい犬種のひとつ。
病気は”早期発見”によって「早期治療が開始できれば、完治させられる」ものも多く、愛犬にも心身の負担をかけずに済むケースが少なくありません。
毎年春先にフィラリアの抗原検査のために採血する際、健診として血液検査を依頼したり、かかりつけの動物病院などで実施されている犬の健康診断パックを1歳から最低でも年1回は受けるようにすれば安心です。
5歳を過ぎたら理想的には半年ごとに、腫瘍などの早期発見につながるレントゲン検査や超音波検査が含まれた犬の健康診断を受診したいものです。
パグ【平均寿命】まとめ
iStock.com/jarun011
子犬の頃からの「社会化」や「トレーニング」を通して、パグが体のどこを誰から触られても平気でいられるようになるようにしておくことと、病気の早期発見のための「定期的な健康診断」が、パグとの”ハッピーライフ”では必須と言えます。
明るく外交的で運動も好きな犬種なので、熱中症には注意しながら、散歩や楽しいゲームなどを積的に行ってあげれば、心身ともに充実して寿命が延びるに違いありません。
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