【獣医師監修】チワワの歯磨きは不要？いつから必要？歯磨きガムや歯ブラシ、頻度、コツ、嫌がる場合は？

チワワの歯磨き【しなくて良い？必要？歯磨きガムやシートだけでも大丈夫？】

アオサン / PIXTA(ピクスタ)

チワワの歯磨き①【しなくて良い？必要？歯磨きしないとどうなる？】

現代では、チワワでも歯磨きが必要と言われています。

チワワの歯磨き【必要な理由①】

犬は歯石ができやすい

チワワの歯磨き【必要な理由②】

歯磨きをしないと歯垢・歯石がたまり、歯周病になる

チワワの歯磨き【必要な理由③】

3歳以上の犬のおよそ80％に歯周病がある

チワワの歯磨き【必要な理由④】

歯周病が進行するといろいろな弊害が出る

どんな弊害かというと、下の表にあるような犬にとってはとても辛い事態になってしまうことがあるのです。

アオサン / PIXTA(ピクスタ)

チワワの歯磨き②【歯磨きガムやシートだけでも大丈夫？】

犬の歯磨きガムや歯磨きシートだけでは、愛犬の歯の隙間や入り組んだ箇所までは汚れを落とせません。

こと歯磨きガムは、主にガムを噛（か）む歯には作用するものの、噛むことに使わない歯の汚れ落としまでは期待できず、やはり歯磨きは細かい部分にも行きわたりやすい歯ブラシを使うのが理想的です。

チワワの歯磨き【いつから（何歳）必要？頻度（回数）は？】

kei.channel / PIXTA(ピクスタ)

チワワの歯磨き①【いつから（何歳）必要？】

人間の子どもでは乳歯が生えたら歯磨きの練習を始めましょうと言われますが、犬でも乳歯のうちから歯磨きトレーニングを始められたらベストです。

チワワの乳歯が生え始めるのは生後21日頃から。

生後3ヶ月頃には乳歯が生え揃います。

したがって、乳歯が生え揃う生後3ヶ月頃から少しずつ歯磨きトレーニングを始めるといいでしょう。

チワワの歯磨き②【頻度（回数）は？】

犬では、歯垢が歯石に変化するのは3～5日程度なので、歯磨きは少なくとも1日おきに、できれば毎日行なうのが理想的です。

チワワの歯磨き【口の開け方・歯磨きの仕方やコツ・出血や歯石など注意点！】

アオサン / PIXTA(ピクスタ)

チワワの歯磨き①【口の開け方は？】

犬の歯磨きは、原則として歯の外側は口を閉じたまま唇を引っ張ることで歯を磨けますが、歯の裏側は口を開ける必要があります。

愛犬の歯の裏側を歯磨きをする時、犬の口を開けさせるには、犬歯の後ろに親指と人差し指（または中指）をあてがい（下写真）、下顎（したあご）を支えながら上顎を軽く引き上げるようにすると口を開けやすくなります。

この時、上顎を強く握ってしまうと犬が呼吸しづらくなるのでご注意ください。

©フジタ動物病院、写真：大塚良重

歯の外側は唇の端からスッと歯ブラシが入り、そのままの状態で磨けます。

犬が嫌がるのに、無理に口をこじ開けようとすると歯磨き自体に負のイメージがつき、なおさら歯磨きを嫌がるようになってしまうので無理強いは禁物です。

チワワの歯磨き②【歯磨きの仕方やコツ（内側・奥歯）は？】

以下は、ポメラニアンの歯磨き上手になるためのポイントです。

チワワの歯磨き上手ポイント①

口の周りに触られることに慣らすところから始め、段階を追って少しずつ慣らす
（急に歯磨きを始めると嫌がり、歯磨き嫌いになることがある）

チワワの歯磨き上手ポイント②

歯ブラシはチワワの口に合ったサイズで、毛の軟らかいものを
（痛かったり、苦しかったりすれば歯磨きが嫌になる）

チワワの歯磨き上手ポイント③

愛犬の歯を磨く時には優しくソフトに
（痛いことから歯磨き嫌いになることがある）

チワワの歯磨き上手ポイント④

リラックスしたムードの中で行なう
（飼い主の気負い過ぎは犬も緊張する）

たけぽん / PIXTA(ピクスタ)

次に、愛犬の歯を磨く時の簡単ポイント。

チワワの歯を磨く時の簡単ポイント①

上顎（うわあご）の歯の外側は、唇をめくったり、唇の端から歯ブラシを入れたりすることで、口を開けさせずとも磨くことは可能

チワワの歯を磨く時の簡単ポイント②

愛犬の歯を磨く時は手早く、長い時間口を開けさせるのは犬にとっても辛い

チワワの歯を磨く時の簡単ポイント③

とにかく磨けるところだけ磨く、残りはまた次回にというくらいの気持ちで

チワワの歯を磨く時の簡単ポイント④

普段、犬と対面した状態で歯磨きをしており、歯の裏側や奥歯が磨きにくい場合は、自分のお腹の上に犬の背中がつくように抱っこして磨くと、歯の位置関係が自分の歯磨きをする時と同じになるので、感覚的に磨きやすくなることもある

チワワの歯を磨く時の簡単ポイント⑤

歯の裏や奥歯、磨きにくい箇所などは、歯ブラシの先端や後ろ角、横の縁をうまく利用する

チワワの歯を磨く時の簡単ポイント⑥

犬歯や上顎と下額の大きな奥歯は特に大切な歯ですのでしっかり磨くようにしてください

歯磨きについて、詳しくは以下のリンク記事をご覧ください。

emmanuellegrimaud / PIXTA(ピクスタ)

チワワの歯磨き③【出血・歯石など注意点！】

愛犬の歯磨き中に歯肉（歯茎）から出血がある場合、わずかな場合やすぐに止まるようでしたら問題ありませんが、歯肉炎もしくは歯周炎なのかもしれません。

いつも出血する場合は、動物病院で相談してみてください。

また、愛犬の歯に歯垢や歯石がある場合、そのまま放置するとどんどん歯周病が進行してしまいます。

動物病院で治療してから歯磨きを開始しましょう。

チワワの歯磨き【チワワ専用（小型犬）の歯ブラシや歯磨き粉が必要？おすすめグッズは？】

cynoclub / PIXTA(ピクスタ)

チワワの歯磨き①【チワワ専用（小型犬）の歯ブラシや歯磨き粉が必要？】

チワワは口が小さく、ヘッドの大きい歯ブラシでは引っかかって嫌がる、または苦しがることがあるので、ヘッドが小さい歯ブラシがおすすめです。

ヘッドの形も意外にポイントで、ヘッドが四角いものより丸みのあるほうが引っ掛かりにくい場合もあります。

歯ブラシの毛は極細で軟らかいものがチワワには向くでしょう。

なお、指サックタイプの歯ブラシは太過ぎるため、口の小さいチワワには不向きです。

cynoclub / PIXTA(ピクスタ)

チワワの歯磨き②【おすすめグッズは？】

歯磨きに慣らすトレーニング段階では、指に巻いたガーゼや綿棒などで愛犬の「歯に触れる」ことに慣らす練習ができます。

その際、ガーゼや綿棒は水またはぬるま湯で濡らしてください。

犬の歯ブラシは水に濡らしただけでも大丈夫ですが、愛犬が好む味の付いた歯磨き粉（ペースト、ジェル、パウダーなど）を歯ブラシに付けて磨くと歯磨き好きになるきっかけづくりにもなります。

どうしても愛犬の歯磨きができない場合には、歯磨きガムや歯磨き作用のあるおもちゃ、スプレー、水に混ぜるタイプのオーラルケア製品などを使ってみるのもいいでしょう。

ただし、その効果は限定的ですのでご留意ください。

チワワの歯磨き【人間用の歯ブラシ（乳児・赤ちゃん）や市販の歯磨き粉の使用はOK？】

freeangle / PIXTA(ピクスタ)

チワワに歯磨きをする際、人間の乳幼児用や子ども用、または部分磨き用、歯間用（毛の軟らかいもの）などの歯ブラシを代用することもできます。

ただし、柄（え）の短い歯間歯ブラシは誤飲の危険性もあり、使用には注意が必要です。

人間用の歯磨き粉は使用しませんように。

人間用のものには発泡剤やフッ化物、犬にとっては有害なキシリトールなどが含まれています。

キシリトールは犬では中毒を起こしますし、フッ化物は微量であれば大丈夫なものの、多量に摂取した場合は嘔吐や下痢などの中毒症状が出ることがあり、うがいができない犬には使わないほうがいいでしょう。

【参照元】厚生労働省e-ヘルスネット「フッ化物配合歯磨剤」

チワワの歯磨き【噛む・暴れる・嫌がる場合の対処法は？】

たけぽん / PIXTA(ピクスタ)

チワワが歯磨きを嫌がる場合、考えられる理由には以下のようなものがあります。

どれかあてはまるものがあるなら、まずはそれを修正するように努力してみましょう。

口に触られることに慣れていない

磨き方が強過ぎて痛い

歯ブラシが硬過ぎる、または大き過ぎる

歯や口の中にトラブルがあって違和感や痛みがある

無理強いされるので怖い

中には歯ブラシの毛の質や軟らかさを変えただけで歯磨きを嫌がらなくなった例もあるので、いろいろ試してみるのもいいでしょう。

アオサン / PIXTA(ピクスタ)

愛犬が歯ブラシを噛（か）んでしまう場合は、そのまま噛ませていると噛む癖が強化されてしまうので、噛んだ時には「あっ」「だめ」など声をかけて歯ブラシを口から出し、噛んでいない時にご褒美をあげて褒めるようにし、トレーニングしてみてください。

愛犬が暴れてしまう場合は元気が有り余るのか、何らかの理由で歯磨きが嫌なのかもしれません。

元気があって遊んでしまうような犬では、散歩や運動後の少し疲れて落ち着いた状態でトライしてみるといいでしょう。

チワワの子犬（赤ちゃん）・老犬の歯磨き【注意点・ケア方法は？】

おでか犬 / PIXTA(ピクスタ)

チワワ【子犬（赤ちゃん）の歯磨き】

子犬期は歯磨きができるようトレーニングするのにちょうどいい時期です。

ただし、急に歯ブラシを使って歯磨きを始めると、不快感や痛みから歯磨き嫌いになってしまうことがあるので、まずは口の周りに触られることに慣らすところから始めましょう。

その後、指先で

というように少しずつ慣らすようにしていきます。

なお、乳歯は永久歯に比べてもろいので、力を入れ過ぎて歯を傷つけたりしませんようご注意を。

オサン / PIXTA(ピクスタ)

チワワ【老犬の歯磨き】

老犬になると歯石が付いているケースが多くなります。

可能な限り若いうちに歯石を除去しておきたいものですが、歯が綺麗になったと安心して歯磨きを怠ると、また歯石が付いてしまいます。

歯石除去後こそ歯磨きが大切です。

また、老犬は我慢もきかなくなり、歯磨きの間、じっとしていられなくなることもあるかもしれませんが、そのような時は、すべての歯を磨こうとせず、とりあえず磨けるところだけ磨き、日を追って磨く場所を変えていくようにするといいでしょう。

アオサン / PIXTA(ピクスタ)

介護が必要な老犬では歯磨き自体が難しくなることもありますが、せめてガーゼや綿棒で歯を拭く、水を入れたシリンジで口の中を洗い流すなどできたらいいですね。

加えて、老犬は水分摂取量も少なくなり、口の中も乾きがちです。

唾液には殺菌効果もあるため、唾液の分泌が多いと歯周病にもなりにくいのでは？とも考えられているので、しっかり水分が摂れるよう気配りしてあげましょう。

チワワの歯磨き【歯周病など、気をつけるべき歯の病気は？】

アオサン / PIXTA(ピクスタ)

チワワの気をつける歯の病気①【乳歯遺残（にゅうしいざん）】

犬の歯の生え変わり時期が過ぎても乳歯が抜け落ちずに残ってしまい、永久歯と併存している状態を「乳歯遺残」と言いますが、チワワやトイ・プードルのような小型犬ではよく見られます。

愛犬に乳歯遺残があると歯が重なって生えていることから歯垢・歯石がつきやすく、歯周病のリスクが高まる他、周囲の歯の生え方にも影響するので、基本的には抜歯が必要になります。

kamekichi / PIXTA(ピクスタ)

チワワの気をつける歯の病気②【歯周病】

チワワは顎（あご）に対しての歯のサイズは意外に大きく、その分、歯と歯の間が狭くなっているために歯垢・歯石が付きやすい環境になっています。

加えて、乳歯遺残も起こりやすいことから、チワワは歯周病のリスクが高い傾向にあります。

チワワの気をつける歯の病気③【（歯周病に起因する）顎骨骨折】

犬の歯周病が重度に進行した場合（特に下顎の第1後臼歯）、歯根周囲の骨が溶けて薄くなることから、少しの衝撃で顎の骨を骨折してしまうことがあります。中でもチワワのような小型犬の老犬に多いと言われています。

【歯周病に起因する顎骨骨折の症例】写真提供：フジタ動物病院
大型犬では下顎の骨の底に比べ、歯の根尖（歯の根の先端部）が高い位置にあるのに対し、小型犬の場合はその両者がほぼ同じくらいの位置にあることが顎骨骨折のリスクを高くする一因と考えられる。

チワワの歯磨き【虫歯や病気になってしまった場合は？】

cynoclub / PIXTA(ピクスタ)

犬では虫歯は稀（まれ）ですが、放置すれば痛みが出る他、虫歯菌が血流に乗って心臓病をはじめ他の病気に影響したり、思わぬ病気を引き起こしたりすることがあります。

また、歯や口の中に異常がある場合、中には重篤な病気が隠れていることもあるので、少しでも気になることがある時には、早めに動物病院で診てもらいましょう。

犬の歯科治療【ペット保険は適用される？】

CORA / PIXTA(ピクスタ)

ペット保険では、犬の歯科治療に関して、「一切補償対象外」とするペット保険や、「犬の歯周病は対象となる」「全身麻酔をした上で行なった処置は手術にあたり、補償対象となる」「乳歯遺残の抜歯は対象外であるものの、それによる他の歯科疾患があって、その治療の一環であるならば補償対象となる」などペット保険によってまちまちです。

また、基本的に“予防”にあたるものは補償対象外となり、予防としての「歯垢・歯石除去」のような処置は補償されません。

ペット保険の加入を考えており、かつ将来的に歯科疾患が心配で補償を望むのであれば、それぞれのペット保険の補償内容や条件をよく比較検討することをおすすめします。

さらには、大切なチワワの健康を一生守るために、生涯加入できるペット保険を選ぶといいでしょう。

チワワの歯磨き【まとめ】

アオサン / PIXTA(ピクスタ)

チワワは口が小さく歯磨きがしづらい一方で、歯のトラブルが起こりがちな犬種でもあります。

デンタルケアを諦めてしまうと、その先に待っているのは歯のトラブルかも…。

愛犬の歯磨きトレーニングは時間がかかることもあるので、諦めずに少しずつでもトライしてみてください。

どうしてもうまくいかない場合には、代替のデンタルケア用品を使うとともに、定期的に動物病院で歯をチェックしてもらうといいでしょう。

【併せて読まれている歯科・チワワ関連の記事】
　　　　　　 　　↓　↓　↓