【プロドッグトレーナー監修】チャウ・チャウは初心者が飼って大丈夫?気性や飼い方、寿命、病気は?
チャウ・チャウ(松狮犬/ソンシーチュェン)は古い犬種の一つで、青黒い舌とライオンのようなたてがみをもち、後肢には角度がほとんどなく、ほぼ真っすぐに見えるなどの特徴があります。かつては食用に使われていたことも…。現代ではテディ・ベア・ドッグとも呼ばれていますが、今回はチャウ・チャウの魅力に迫ってみましょう。
- 更新日:
麻布大学介在動物学研究室(旧動物人間関係学研究室)で、人と犬の関係学を研究。
この分野では日本で初めての博士号を取得。
目次
チャウ・チャウ【初心者が飼っても大丈夫?飼いやすい?】【断耳・断尾は必要?】
jagodka / PIXTA(ピクスタ)
チャウ・チャウ【初心者が飼っても大丈夫?飼いやすい?】
チャウ・チャウは初心者が飼育するには難しい犬種です。
サイズは中型ながら分厚い被毛の手入れはこまめに必要であること。
何より気質的には独立心があって気難しく、猫のようだと言われ、本場中国の犬種団体CHINA KENNEL UNIONでもチャウ・チャウのトレーニングに対する反応性は5段階評価のうち2程度としています。
つまり、しつけには根気をもってじっくり取り組むタイプの犬種であるということ。
そうした特性や気質を理解した上で飼育しなければなりません。
そういう意味では、犬の飼育経験がある人に向く犬種と言えるでしょう。
特に、子犬の時のチャウ・チャウはクマのぬいぐるみのようで可愛いものです。
しかし、その可愛さだけにほだされて飼うことはおすすめしません。
犬と暮らすには、自分の性格や年齢、体力、生活スタイル、環境、飼育スペース、経済力、家族の協力など諸々の要素を熟考した上で犬をお選びいただきたいと思います。
なぜなら、犬は命ある生き物であり、人生の良きパートナーになり得るのですから。
Ryhor Bruyeu / PIXTA(ピクスタ)
チャウ・チャウ【断耳・断尾は必要?】
チャウ・チャウでは、断耳・断尾は行われません。
チャウ・チャウ【原産国・歴史・寿命は?】
sad444 / PIXTA(ピクスタ)
チャウ・チャウ【原産国】
原産国:中国
唐王朝(618~907年)時代、ある皇帝(700年代)は約5,000頭のチャウ・チャウと1万人の世話係、そしてそのための犬舎施設を所有していたと伝えられています。
資料によっては、真のチャウ・チャウタイプではない犬はオオカミやヒョウを狩るための猟犬としてクラス分けされていたとの話もあります。
それほど多くの犬を扱う犬舎がどこにあったのかは不明ですが、唐王朝の都は中国中央部の長安(現在の陝西省西安市)でした。
チャウ・チャウ【歴史(種類)】
Vitali / PIXTA(ピクスタ)
チャウ・チャウの歴史を紐解いていくと、漢王朝(紀元前202年~西暦220年)時代の陶器や彫像などの遺物にチャウ・チャウに似た犬の姿が遺されているという話が出てきます。
ある遺物(紀元前150年)には、鳥の猟をしていると思われる8人の狩人が8頭の犬を連れている姿があると。
また、別の犬の像には、ややがっしりとした体格で立ち耳、巻き尾の犬の姿が表されています。
それとは別に、古代エジプト(紀元前3000年頃~紀元前30年)のものと思われる遺物にもチャウ・チャウに似た犬の姿があるという話もあります。
その写真を見る限り、ずんぐりとした体つきで、立ち耳、巻き尾、太い首など確かにチャウ・チャウを思わせるところはあります。
しかし、この犬たちがチャウ・チャウの先祖犬であったのかはわかりません。
歴史の源は霧の彼方にあるものの、「少なくとも2000年以上の歴史はあるのではないか?」と考える人たちもいます。
そして、そのルーツに関連するいくつかの説が存在します。
sad444 / PIXTA(ピクスタ)
チャウ・チャウ【ルーツ】
1. 北極圏の犬がモンゴルやシベリアを経て中国に移動したのではないか?
2. チャウ・チャウはサモエドやキースホンド、ポメラニアンなどスピッツ系の犬の祖先にあたる。
3. 3000年前、モンゴルの民族が中国と交戦した時に舌が青黒く、ライオンのような風貌の犬を連れており、残った犬をチベット仏教の修道院が飼い続けた。後にここでブルーのチャウ・チャウが生まれることになる。
4. 漢王朝(紀元前202年~西暦220年)の時代に警備犬として使われていたと思われるハン・ドッグとチベタン・マスティフとの交配によってチャウ・チャウが誕生した。
5. チャウ・チャウはチベタン・マスティフとサモエドとの交配から誕生した。
「1」はスピッツ系の犬ということを意味しているのかもしれません。
「2」に関しては、2017年に発表された犬のゲノム解析の研究により、チャウ・チャウとサモエド、キースホンド、ユーラシアは遺伝子のハプロタイプ(遺伝子座を占める2個の遺伝子を対立遺伝子と言うが、それぞれが父親と母親のどちらの親譲りのものなのかという視点で見た時、片側の親譲りの遺伝子一群のことをハプロタイプと言う)を共有していることが証明されています。
このうち、ユーラシアは1900年代にチャウ・チャウとジャーマン・ウルフスピッツ、サモエドの交配によって作出されたとされる新しい犬種であることが他の3犬種とは違います。
犬のゲノム解析の研究により、チャウ・チャウとサモエド、キースホンド、ユーラシアは遺伝子のハプロタイプを共有しているという/Heidi G. Parker, et al. 「Genomic Analyses Reveal the Influence of Geographic Origin, Migration, and Hybridization on Modern Dog Breed Development」Figure 3. Gross Haplotype Sharing across Breedsより引用
「3」については、モンゴル帝国が築かれた1206年以前の遥か昔からモンゴルにはいろいろな放牧民族がおり、中にはトルコ(テュルク)系の民族もいるとのことなので、それぞれの民族が犬を飼っていたとすれば、中央アジア系の犬の影響も可能性としてはゼロではないのかもしれません。
「4」ハン・ドッグは遺物から想像するしかない絶滅種ですが、チャウ・チャウと近縁種にあるシャー・ペイの祖先犬としても名前が挙がる犬です。
その姿はチャウ・チャウやシャー・ペイとどことなく似ていますが、ハン・ドッグは耳の垂れた犬もいたらしく、その点はチャウ・チャウと違います。
前出の漢王朝時代の遺物にチャウ・チャウに似た犬の姿があるという話は、実はハン・ドッグである可能性もあります。
「5」の説は、この組み合わせの場合、舌や歯肉が青黒くなることの説明ができないと指摘されています。
いずれにしてもチャウ・チャウの歴史は依然としてはっきりとしないということに変わりはありません。
sad444 / PIXTA(ピクスタ)
古い写真やイラストを見ると現代のチャウ・チャウとは違って、本来は顔の皺(しわ)がほとんどなく、骨太でずっしりとした体つきながら、もっとスマートな犬だったようです。
古くから猟犬、番犬、橇犬(そりいぬ)、荷車の牽引犬、牧畜犬、護衛犬など多様な仕事に使われ、悲しいかな食用、毛皮用、漢方用としても使われていました。
食用のためには肉が軟らかい生後9~12ヶ月の間に“消費”され、コートづくりのためは毛皮を傷つけないよう、屠殺(とさつ)時に絞め殺されていたといいます。
満州あたりでは結婚をする時に新婦はチャウ・チャウを持参金としたという話もありますから、生活に密着した犬ではあったのでしょう。
唐王朝(618~907年)が終焉を迎えた後には世情不安もあって僧院や富裕層くらいしかチャウ・チャウを飼えなくなったとの記述も見られますが、それでもチャウ・チャウはそれこそ“身をもって”中国の人々の社会に溶け込んだ犬であったわけです。
その存在は長い間、他国に知られることはありませんでした。
初めて西洋にチャウ・チャウが渡ったのは1780年、中国の“珍品”として東インド会社がもち込んだ犬でした。
その後、1828年、ロンドン動物園が「中国の野生犬」として展示(1820年に中国から輸入したレッドのチャウ・チャウについて新聞が報道したとの記述もある)。
1865年にはヴィクトリア女王がチャウ・チャウを迎えたことで認知度が高まったと伝えられています。
しかし、それ以前に、1200年代にはマルコポーロ(1254年頃~1324年)が旅行記の中でチャウ・チャウと思われる犬について記述しているという話もあり、それが事実ならば、一部には中国に一風変わった犬がいることが知られていたのかもしれませんが、それとて想像の域を出ません。
Cesarz / PIXTA(ピクスタ)
イギリスのケネル・クラブにおいて公認犬種となったのは1894年のこと。
アメリカに渡ったのは1890年代で、アメリカン・ケネル・クラブの公認犬種となったのは1903年でした。
犬種名「チャウ・チャウ」の語源は1700年代に遡り、当時、商船に積む荷物のうち、リスト化されない「その他諸々」という意味のピジン英語(18世紀~20世紀にかけて中国沿岸で現地の人と外国の貿易商人との間で使われていた中国語と英語の混合言語)にあるという説が一般的です。
しかしその一方、「チャウ」とは広東語で「食用」を意味する言葉に由来するという説もあります。
かつての呼び名、または別名には、中国語で「チャウ(Chow)」「チャウ・ゴウ(Chow Gou)」「ラング・ゴウ(Lang Gou:狼狗)」「シィォン・ゴウ(Hsiung Gou:熊狗)」「ヘイ・シィ・トゥ(Hei-She-Tou:黒い舌)」などがあり、英語では「チャイニーズ・スピッツ(Chinese Spitz)」「エディブル・ドッグ(Edible Dog)」「カントニーズ・ブッチャー・ドッグ(Cantonese Butcher-Dog)」「フード・ドッグ(Food Dog)」などがあったとされます。
現在の中国では「松狮犬/ソンシーチュェン」「獢獢/シィァォシィァォ」「巧巧犬/チィァォチィァォチュェン」などと呼ばれ、今も親しまれています。
jagodka / PIXTA(ピクスタ)
【チャウ・チャウのこぼれ話】
チャウ・チャウを愛犬とした著名人の中には意外な人もいます。
1. 犬好きには縁の深い動物行動学者のコンラート・ローレンツ
ローレンツが記した「Man Meets Dog(So Kam Der Mensch Auf Den Hund)」の初版本(1949年)の表紙にはチャウ・チャウのイラストが描かれており、その後各国で販売されている本の中にも表紙にチャウ・チャウを使っているものがあります。
また、前出のユーラシアという犬種の作出にはローレンツの助力があったと伝えられています。
2. ディズニーの創設者であるウォルト・ディズニー夫妻
ウォルト・ディズニー夫妻がロサンゼルスに家を得てすぐのこと、犬を飼いたいと思っていた夫妻はチャウ・チャウに惹かれたそうです。
そしてXmasの日、ウォルトはチャウ・チャウの子犬を入れた箱を他のプレゼントと混ぜてクリスマスツリーの下に置き、妻リリーへのプレゼントとしました。
突然箱が動き出し、リリーは驚きますが、中から出てきた子犬の姿に一瞬で虜となり、以来、「Sunnee」と名付けられたチャウ・チャウは夫妻の大事な愛犬となりました。
この時に得たインスピレーションが有名なアニメ映画「わんわん物語(Lady and the Tramp)」につながったといいます。
夫妻の愛犬の姿は、「ウォルト・ディズニー・ファミリー・ミュージアム(THE WALT DISNEY FAMILY MUSEUM)」のサイトで見ることができます。
⇒「Walt's Valentine」
3. 精神分析の祖と言われる精神科医のジークムント・フロイト(1856年~1939年)
フロイトが診察をする時には、愛犬であるチャウ・チャウのJofiがいつも一緒にいたそうです。
現代で言えばセラピードッグのような役割も自然と果たしていたのでしょうか。
フロイトの最後の愛犬はLunという名のチャウ・チャウでした。その愛犬たちの姿は「フロイト・ミュージアム・ロンドン(FREUD MUSEUM LONDON)」のサイトで見ることができます。
⇒「FREUD at HOME with his Dogs」
kitthanes / PIXTA(ピクスタ)
【参照元】
・CHINA KENNEL UNION「松狮犬/Chow Chow」
・FEDERATION CYNOLOGIQUE INTERNATIONALE (AISBL)「CHOW CHOW」
・THE KENNEL CLUB「Chow Chow」
・AMERICAN KENNEL CLUB「Chow Chow」
・一般社団法人 ジャパン ケネル クラブ「チャウ・チャウ」
・THE CHOW CHOW CLUB「THE HISTORY OF THE CHOW CHOW」
・デズモンド・モリス「デズモンド・モリスの犬種事典」(株式会社 誠文堂新光社、2007)
・Bruce Fogle, D, V, M.「The ENCYCLOPEDIA of the DOG」(DK PUBLISHING, INC.)
・Heidi G. Parker, Dayna L. Dreger, Maud Rimbault, Brian W. Davis, Alexandra B. Mullen, Gretchen Carpintero-Ramirez, Elaine A. Ostrander,「Genomic Analyses Reveal the Influence of Geographic Origin, Migration, and Hybridization on Modern Dog Breed Development」Cell Reports, Volume 19,
Issue 4, 2017, Pages 697-708, ISSN 2211-1247,
・中国語ゼミ「中国語の『動物』特集!パンダ、犬、猫…75種まとめ|発音付」
チャウ・チャウ【平均寿命】
平均寿命:8 歳~12歳
※個体の健康度や国・地域、気候、環境などによって寿命には差が生じます
チャウ・チャウ【大きさ・毛色・子犬(赤ちゃん)の販売価格は?】
Katamount / PIXTA(ピクスタ)
チャウ・チャウ【オスの大きさ(体重・体高・体格)】
体高:48cm~56cm
体重:25kg~32kg
チャウ・チャウは一見して骨太で、全体的にずんぐりとした重厚感のある中型犬です。
チャウ・チャウ【メスの大きさ(体重・体高・体格)】
体高:46cm~51cm
体重:20kg~27kg
一般的に、メス犬はオス犬に比べて小柄であり、メス犬らしい性徴感があります。
Katamount / PIXTA(ピクスタ)
チャウ・チャウ【毛色の種類】
チャウ・チャウの被毛には、毛が長めで豊富なラフコートと、毛の短いスムースコートの2タイプがあり、スムースコートは「シャン・ドッグ(Shan Dog)」「スムース・コーテッド・チャウ・チャウ(Smooth-coated Chow Chow)」とも呼ばれます。
どちらもダブルコートですが、オーバーコートは手触りが粗く、アンダーコートは羊毛のような軟らかさで、被毛には密度があります。
ラフコートの被毛は開立しており、特に首の周りの毛はライオンのたてがみを思わせるほど。
スムースコートの被毛も体に密着して寝ているというわけではなく、立ち上がり気味に生えています。
galkinvladimir / PIXTA(ピクスタ)
毛色はラフコート、スムースコートともに共通で、CHINA KENNEL UNION(CKU)や国際畜犬連盟(FCI)、ジャパン・ケネル・クラブ(JKC)のスタンダードでは「ブラック」や「レッド」「ブルー」「フォーン」「クリーム」または「ホワイト」があり、「シェード(毛先から毛の根元にかけて色に陰影があること)」がよく見られるとしています。
一方、アメリカン・ケネル・クラブ(AKC)のスタンダードではフォーンの代わりに「シナモン」という言い方をし、ホワイトの記載はありません。
特に「レッド」や「フォーン」では明るめの色から深みのある色まで色調に幅がありますが、「クリーム」の場合はほとんどホワイトに見えることがあります。
興味深いのは「ブルー」で、チベット仏教の修道院において繁殖された毛色であり、代々繁殖され続けてきたと伝えられています。
チャウ・チャウ【子犬(赤ちゃん)の販売価格】
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20万円~
*価格はあくまでも目安であり、販売者や犬の状況によって変動します。
日本におけるチャウ・チャウの登録数は144頭(2020年)。
国内にはブリーダーが複数いるので、手に入れることは可能です。
【参照元】一般社団法人ジャパン・ケネル・クラブ「2020年(1月~12月)犬種別犬籍登録頭数」
チャウ・チャウ【特徴・性格・食事は?】
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チャウ・チャウ【容姿・スタイル】
チャウ・チャウを側望した時、背中がつまり、体高と体長の比率がほぼスクエアに見えるコンパクトな体形をしていますが、全体的にどっしりとした印象を与えます。
体に対して頭部は大きく見え、頭蓋にちょこんと付いた小さな三角形の耳が、より頭部を際立たせます。
額には皺(しわ)が寄ることがあり、中庸の楕円形の目と相まって、“困ったような”とも“しかめっ面”とも表現される独特の表情を醸し出します。
マズルは短めで、鼻先は先細っておらず、正面から見ると四角い印象です。
特徴的なのは舌と歯肉(歯茎)が”青黒い”こと。
ただし、ブルーやフォーン、クリーム、ホワイトなどでは色が希釈されることがあります。
舌の色は、生まれたての子犬の時にはピンク色で、生後8~10週くらいまでに青黒く変化します。
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特徴的な要素は他にもまだあり、後肢の飛節の角度がほとんどなく、真っすぐに見え、そのため“竹馬に乗っているような”とも“バレリーナ立ち”、“地面をすくうような”とも言われる歩き方をします。
どうして後肢が真っすぐなのかということについては、食用に使われていたことから速く走れないようにされたという説があり、なんとも心痛くなるばかりです。
そして、尻尾は背上に高く掲げられ、ライオンのたてがみ(特にラフコート)ような首周りの被毛と相まって堂々としたシルエットを描きます。
チャウ・チャウ【性格(気質)・魅力】
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チャウ・チャウの気質を一言で言えば、”我が道を行く”タイプ。
信頼した飼い主家族に対しては愛情を示すものの、独立心があって、どこか一歩距離を置いているようなところがあります。
特に、過去に行われた研究では子供に対する攻撃性が高い結果が出ているため、お子さんと同居する際は、お子さんが無理に触ろうとするなどの関わり方に注意を払わなければなりません。
周囲のことにはあまり関心を示さず、超然としたところがあるとも言われ、気難しく、頑固で、猫のようだと表現されることも。
また、警戒心があり、他人にはよそよそしく、時に気の強い面を見せることがあるのは、かつて番犬や警護犬、猟犬として働いてきた名残なのかもしれません。
そのため、番犬としてチャウチャウを迎えるにはうってつけですが、集合住宅などでは警戒による吠えが問題になる場合があります。
チャウ・チャウ【食事(食べ物)・お手入れ】
sasaki106 / PIXTA(ピクスタ)
チャウ・チャウのごはん
チャウ・チャウが食用として使われていた時には穀物のみ与えられていたという話がありますが、現在のチャウ・チャウには通用しないでしょう。
やはり、栄養バランスがとれ、年齢ステージに合ったごはんが必要です。
チャウ・チャウはアレルギー性疾患をはじめ皮膚トラブルを起こしやすい傾向にあるので、気になるようであれば適量のオメガ3脂肪酸(皮膚・被毛の健康維持や関節疾患などに効果が期待される必須脂肪酸)を食事に取り入れる、または含まれるドッグフードをチョイスするというのもいいでしょう。
中にはアレルギーが出やすい小麦やとうもろこしなどの穀類が含まれていないグレインフリーのドッグフードもあります。
ただし、2019年にアメリカ食品医薬品局(FDA/U. S. FOOD & DRUG ADMINISTRATION)はグレインフリーのフードを食べている犬で拡張型心筋症が増えていることを報告しています。
因果関係は不明ではありますが、そのような情報もあるということは頭に入れておいたほうがいいでしょう。
すでにアレルギーが出ているのであれば、手作り食に切り替えるのも一つの選択肢です。
おでか犬 / PIXTA(ピクスタ)
また、チャウ・チャウは太りやすい犬種でもあるので、肥満にならないよう与え過ぎには気をつけましょう。
子犬期に太らせ過ぎると成犬になって太りやすく、痩せにくい体質になってしまいます。
おやつを与えるのであれば、1日の与える量を決めてそれ以上は与えないように。
与える時は一口大に小さくし、食べる回数を多くしてあげると良いでしょう。
肥満は関節や心臓に負担をかけます。
チャウ・チャウでは股関節(こかんせつ)や肘関節(ひじかんせつ)のトラブルも懸念されるので、体重管理は大切となります。
チャウ・チャウのお手入れ
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チャウ・チャウは被毛が密なので、毎日、または少なくとも1日おきにはブラッシングが必要です。
シャンプーは月に1回程度を目安に行い、ドライングの時には被毛が密な分、根元までしっかり乾かすようにしましょう。
顔の皺(しわ)は汚れが溜まると臭くなったり、皮膚トラブルを起こしたりすることがあるので、ペット用のウェットティッシュや濡れタオルで汚れを拭き取ります。
忘れたくないのが歯のお手入れです。
現代では多くの犬が歯周病をもっていますが、歯周病を放置すると細菌によって口腔内に穴が開いたり(内歯瘻:ないしろう)、眼の下や頬などの皮膚に穴が開いたり(外歯瘻:がいしろう)することがある他、心臓病や肝臓病など他の病気にも悪影響を与えてしまうことがあります。
犬では歯垢が歯石へ変化するのは3~5日であることから、できれば毎日、少なくとも1日おきには歯磨きを行ない、歯周病予防を心がけたいものです。
チャウ・チャウ【気をつける病気は?】
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チャウ・チャウが気をつける病気①【股関節形成不全】
大型犬に多いこの病気は股関節に緩みが生じ、お尻を左右に振るように歩く、後肢を同時に蹴るウサギのような走り方をする、散歩や段差を嫌がる、後肢の幅が狭いなどの様子が見られるようになります。
7割は遺伝的要素、3割は環境的要素が関係するとされ、生後1年未満の若齢で症状が出ることが多いと言われます。
肥満や滑りやすい床などは症状を悪化させるため、体重コントロールや、滑り止めマットを敷くなどの環境改善は重要となります。
チャウ・チャウが気をつける病気②【眼瞼内反症】
犬の眼瞼内反症(がんけんないはんしょう)とは、瞼(まぶた)の縁が眼球側に反転して巻き込まれてしまう病気で、目やにや流涙、目のしょぼつきなどの症状が見られます。
原因としては発育過程での異常や瞼の痙攣(けいれん)、加齢、他の眼疾患に続発するものなど。
眼の周囲の皮膚が厚い犬で多く起こると言われます。
反転した睫毛(まつげ)や皮膚が眼球を刺激するため、痛みや結膜・角膜の炎症、さらには潰瘍が生じることもあります。
重度の場合は余分な皮膚や組織を切除する手術が適用されます。
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チャウ・チャウが気をつける病気③【甲状腺機能低下症】
犬の甲状腺とは喉の下部にある1対の小さな腺で、甲状腺ホルモンを生産しています。
このホルモンが、免疫系の誤作動や何らかの原因によってうまく分泌されなくなり、対称性の脱毛、尾の脱毛(ラットテイル)、体重の増加、フケ、活動性の低下、震えなどの症状が見られるようになります。
重度になると昏睡状態に陥ることも。
放置すると合併症が生じて死に至る可能性もあるので、早期発見早期治療が望まれます。
チャウ・チャウ【病気になった場合、ペット保険は適用される?】
CORA / PIXTA(ピクスタ)
愛犬が病気や怪我をした時に、その治療費を補償してくれるのがペット保険ですが、どんな病気や怪我でも補償されるというわけではありません。
基本的に、
予防にあたるもの
例)狂犬病や各種感染症の予防ワクチン、フィラリア予防、マイクロチップ装着費用、健康診断費用
病気にはあたらないと判断されるもの
交配や出産関連
トリミング関連
先天性疾患またはすでに見つかっている先天性疾患、すべてまたは一部の遺伝性疾患、すでに罹っている病気
例)膝蓋骨脱臼(パテラ)、股関節形成不全、進行性網膜萎縮症
代替医療
例)アロマセラピー、ホメオパシー、理学療法
などは”補償対象外”となるのが一般的です。
また、本来は病気のくくりであっても、鼠径(そけい)ヘルニア、臍(さい)ヘルニア、眼瞼内反・外反、停留睾丸なども”補償対象外”になることが多いです。
ただし、同じ病気であっても、A社では”補償対象外”であるのに対し、B社では”補償対象”となることもあり、ペット保険会社によって違いがあります。
加えて、加入できる年齢の制限や補償条件など各社各様なので、ペット保険の加入を考える時には、愛犬の健康リスクや年齢などを踏まえ、各ペット保険会社をよく比較検討して選ぶことをおすすめします。
チャウ・チャウ【飼い方(しつけ)・散歩の仕方・注意点!】
jagodka / PIXTA(ピクスタ)
チャウ・チャウ【飼い方(しつけ)】
チャウ・チャウは他人を受け入れづらく、番犬気質があることを考えると、早くからの「社会化」に取り組みたい犬種の一つです。
生後3週齢~12週齢にかけての「社会化期」は子犬がいろいろな物事を吸収し、犬として生きていく上での基盤を築くとともに、性格を育むにももっとも大事な時期です。
それ以降は好奇心より警戒心のほうが勝ってきますが、引き続き子犬の成長には大事な時期。
子犬の良い面を引き出し、その後の良い関係を築くためにも、子犬期には人や物、音、環境などいろいろなものに慣らすようにしましょう。
また、頑固で“自分流”を通すようなところがあるチャウ・チャウでは、しつけにじっくり取り組み、結果を急がないこと。
できなかった時には一つ前の段階に戻ってやり直します。
ただし、犬が集中できるのは15分程度と言われます。
愛犬が飽きないうちに短い時間で繰り返し教えるようにしましょう。
飼い主さんが諦めれば犬はそれを見抜き、自分流を通すようになるかもしれません。
チャウ・チャウと同じく、飼い主さんも時には良い意味での頑固さが求められることもあるでしょう。
チャウ・チャウ【散歩の仕方】
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チャウ・チャウはそれほど多くの運動量を要求しませんが、心身の健康のためには、やはり適度な散歩や運動は必要です。
散歩の目安は1回30分程度を1日2回。
時々はドッグランのような場所で自由運動ができる機会を設けてあげられると理想的です。
ただし、ドッグランは意外にトラブルが起こることがあります。
チャウチャウは他の犬への攻撃性が高いことから、他の犬との相性や接し方などよく観察することを忘れてはいけません。
また、意外に力もあるので、リードの引っ張り癖をつけると散歩も苦労することになり、何より犬が苦しい思いをすることになります。
リードはたるまずとも引っ張らない程度に歩けるようしつけるといいでしょう。
チャウ・チャウ【注意点!】
Katamount / PIXTA(ピクスタ)
チャウ・チャウは暑さや湿気に弱いと言われます。
そのため熱中症になりやすいので、暑い時期の散歩にはくれぐれもご注意ください。
間違っても日中の暑い時間帯に散歩をする、車中に犬だけを残すなどしませんように。
犬が熱中症になるのは外だけとは限りません。
室内でも熱中症になることがあります。
風の流れもエアコンもない締め切った部屋は熱射地獄。
また、留守中にエアコンのスイッチが切れてしまうこともあり得ます。
万全の対策というのはなかなか難しいですが、極力熱中症にならない環境づくりを心がけましょう。
犬が熱中症になる可能性が出てくるのは「気温22℃~」「湿度60%~」と言われます。
犬はどちらかと言うと湿度に弱いので、湿度調整もお忘れなく。
また、体の水分が15~20%奪われると死に至ると言われます。
新鮮な水がいつでも飲めるようにし、食事の水分量を増やすなどして水分補給にも配慮しましょう。
galkinvladimir / PIXTA(ピクスタ)
犬の熱中症【疑われる症状】
✔ 元気がない、ぐったりしている
✔ ハァハァと呼吸が荒い。口を大きく開き、舌を出して喘ぐような呼吸
✔ 多量のよだれ
✔ 体温の上昇(口の粘膜や舌、眼の周りなどが赤い。41度以上ある場合は危険な状態なのですぐに動物病院へ)
✔ 嘔吐や下痢
↓ 症状がさらに進むと…
✔ 意識がない
✔ 痙攣(けいれん)
✔ チアノーゼ(酸素不足により、舌や歯肉が青紫になる)
✔ 血便、血尿 など
チャウ・チャウ【まとめ】
Ryhor Bruyeu / PIXTA(ピクスタ)
チャウ・チャウは古い犬種であり、風貌や後肢のつくりなどに加え、食用にも使われていたという他の犬種にはあまりない特徴と歴史をもった犬種です。
気質にも気難しいところがあるのは、その裏返しなのでしょうか。
とにもかくにも、扱いが少々難しい犬であるがゆえに、互いが認め合える関係を築くことができたならば、それこそ真の友と言えるでしょう。
※注意:犬は生き物であり、性格やサイズ、運動量、寿命など個体差があります。
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