【獣医師監修】犬も貧血になる?子犬から老犬まで、愛犬の貧血の改善に役立つ食べ物(レバー)は?

犬も貧血になるのでしょうか?貧血とはどのような状態かを理解した上で、犬の貧血の改善に役立つ食事や、犬の貧血に良くない食べ物などを知っておきたいものです。さらに、貧血の薬やサプリについても知識を得て、愛犬の日々の食事管理と健康維持に役立てましょう。

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【獣医師監修】犬も貧血になる?子犬から老犬まで、愛犬の貧血の改善に役立つ食べ物(レバー)は?
出典 : ..mon / PIXTA(ピクスタ)
先生にお聞きしました
左向 敏紀 先生
【所属】
日本獣医生命科学大学 名誉教授
一般社団法人 日本ペット栄養学会 会長
日本内分泌研究会会長
◆一般社団法人 日本動物看護系大学協会会長

【資格】
獣医師

【経歴】
日本獣医畜産大学(現:日本獣医生命科学大学)卒業後大学に残り、馬、牛,小動物の消化器・内分泌・代謝性疾患の研究を行う。
1990年小動物栄養学に関する研修のためにアメリカオハイオ州立大学に留学。
2006年より日本獣医生命科学大学 ・獣医保健看護学科で動物看護師の教育に当たる。
教育:獣医内科学、獣医内分泌学、動物栄養学、動物臨床看護学など
研究:動物の代謝・内分泌学、栄養学

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犬の貧血の【改善に役立つ食べ物(食事)】は?

犬の貧血の【改善に役立つ食べ物(食事)】は?

kaoru / PIXTA(ピクスタ)

犬も貧血になります。

まずは、「貧血」について理解しておきましょう。

貧血は、造血(赤血球・ヘモグロビンの合成)に必須な物質(鉄、ビタミンB12、葉酸、タンパク質、銅)が欠乏する状態です。

また、造血機能の低下(慢性腎臓病甲状腺機能低下症、腫瘍、骨髄の病気など)や、赤血球崩壊の亢進(タマネギ中毒、赤血球内の寄生虫が原因のバベシア症など)、外傷や臓器からの出血でも貧血は生じます。

犬の貧血の改善に役立つ食べ物は、貧血の原因となる鉄、ビタミンB12、葉酸、タンパク質、銅などを多く含むものです。

犬の貧血改善「食べ物」①【鉄分】

犬の貧血改善「食べ物」①【鉄分】

MIKO / PIXTA(ピクスタ)

鉄分の吸収率が高いヘム鉄を多く含むのは動物性食品で、レバー、赤身肉、赤身の魚、、赤貝などがその代表例です。

タンパク質と同時に摂取すると鉄分の吸収率がアップする非ヘム鉄を多く含むのは、植物性食品です。

ひじき 鉄分 非ヘム鉄

freeangle / PIXTA(ピクスタ)

代表例は、ひじき、わかめ海苔ごまきなこほうれん草などです。

なお、あさりやしじみなどの貝類は動物性食品ですが、非ヘム鉄を多く含みます。

犬の貧血改善「食べ物」②【ビタミンB12】

犬の貧血改善「食べ物」②【ビタミンB12】

チビタム / PIXTA(ピクスタ)

ビタミンB12は、赤貝や牡蠣(かき)などの貝類、さんまに多いことが知られています。

犬では、レバーからの摂取が一般的と言えるでしょう。

犬の貧血改善「食べ物」③【葉酸】

犬の貧血改善「食べ物」③【葉酸】

Rhetorica / PIXTA(ピクスタ)

葉酸は、のレバーに多く含まれるほか、海苔わかめ昆布などの海藻類にも含有率が高いことがわかっています。


犬の貧血改善「食べ物」④【タンパク質】

犬の貧血改善「食べ物」④【タンパク質】

kai / PIXTA(ピクスタ)

タンパク質は、肉類、魚類大豆・大豆製品で摂取できます。

犬の貧血改善「食べ物」⑤【銅】

犬の貧血改善「食べ物」⑤【銅】

freeangle / PIXTA(ピクスタ)

銅を多く含有する食材を犬に与えるのであれば、牛レバー、大豆・大豆製品、桜海老、ごまなどが好ましいでしょう。

ただし、レバーにはビタミンB12や葉酸や銅以外に、多くのビタミンAが含まれています。

レバーの与えすぎはビタミンAの過剰症を引き起こす恐れもあるので注意が必要です。

【参照元】文部科学省「食品成分データベース」

犬の貧血に【良くない食べ物(食事)】は?

犬の貧血に【良くない食べ物(食事)】は?

Jaromir Chalabala / PIXTA(ピクスタ)

当然のことながら、貧血を改善する栄養素の吸収を抑えてしまう食べ物は、貧血の犬に好ましくありません。

鉄の吸収を抑制する物質として、カルシウム、炭酸、食物繊維、シュウ酸、タンニンが挙げられます。

シュウ酸は、ほうれん草などの葉野菜に多く含まれていますが、十分に茹でて与えればシュウ酸は溶け出てしまうので問題ありません。

ほうれん草 不溶性繊維 鉄

kuro3 / PIXTA(ピクスタ)

鉄分と結合して、鉄の吸収を抑制したり阻害したりするのは、不溶性繊維です。

ほうれん草りんごきのこ類などは、不溶性繊維の多い食材として知られています。

愛犬 貧血 食材

galitskaya / PIXTA(ピクスタ)

愛犬の貧血を招く食材にも要注意!

犬が中毒を起こす食物として有名な、タマネギネギニンニクニラは溶血性貧血を引き起こす危険性があるので、絶対に与えないようにしてください。

【参照元】文部科学省「食品成分データベース」

犬の貧血が【重度】の場合は?

犬の貧血が【重度】の場合は?

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犬の貧血が重度になるとは、酸素が欠乏することを意味します。

飼い主さんがわかる愛犬の変化としては、運動を嫌がるようになったり、疲れやすくなったように感じるでしょう。

貧血の症状としては、元気消失ふらつき食欲不振などが見られます。

犬 貧血 口の中 歯茎

Kzenon / PIXTA(ピクスタ)

さらに、口の中の粘膜や歯茎が白くなり、重度になると失神するケースもあります。

貧血により、酸欠を補うために心臓が頑張って血液を送り出そうとするため、心臓への負荷も高まります。

貧血が進んで重症化すると、死に至る可能性も少なくありません。

愛犬の貧血が重度になる前に、飼い主さんが気付いて動物病院を受診できるように心がけたいものです。

血液検査をすれば、その数値により愛犬が貧血かどうかわかります。

貧血は赤血球を構成するヘモグロビン濃度が低下している状態なので、赤血球数、ヘモグロビン濃度が基準値より低値となると貧血があると判断されるでしょう。

【老犬や子犬】の貧血に良い食べ物(食事)は?

【老犬や子犬】の貧血に良い食べ物(食事)は?

nozomin / PIXTA(ピクスタ)

ライフステージに合っていないドッグフードを食べ続けると貧血を起こすこともあります。

子犬 成長期 栄養素 食事

Smit / PIXTA(ピクスタ)

成長期の子犬たちは、成犬の2〜3倍の栄養素が必要です。

子犬の成長期に成犬用や老犬用を与えたり、給与量が少ない場合などに、子犬が貧血になる恐れもあります。

子犬にはパピー用(子犬用、若齢期用、成長期用)のドッグフードを選んで、標準体重に見合う適正量を与えるようにしてください。

愛犬に手作りご飯を与えている場合、栄養素のアンバランスが生じ、貧血、低下症、過剰症を引き起こすケースもめずらしくありません。

成長期の愛犬への手作り食は、栄養に関する正しい知識を得て貧血を招かないレシピで作りましょう。

老犬は消化吸収能力が低下しているので、栄養素の不足が起こってしまい、貧血や貧血気味になっていることもあります。

老犬 食事 減量食 貧血

cynoclub / PIXTA(ピクスタ)

肥満でもないのに、減量食、高繊維食などを老犬に与えた場合も、貧血になる可能性があります。

子犬や老犬が貧血気味の場合は、まずは獣医師に相談を。

その上で、消化吸収の良い、高栄養素食を用いるようにしてください。

【参照元】『小動物の臨床栄養学 第5版』(マーク・モリース研究所発行、監訳:岩﨑利郎、辻本元)2014年インターズー

犬の貧血【サプリ・薬】は?

犬の貧血【サプリ・薬】は?

シルバーブレット / PIXTA(ピクスタ)

愛犬が動物病院で貧血だと診断された場合、鉄を含む治療薬を処方されることもあるでしょう。

貧血の治療薬に即効性はないため、継続して服用を続ける必要があります。

薬の服用は貧血の治療に必要ですが、鉄分の多いサプリメントに関しては注意しなければなりません。

鉄は肝臓に蓄積するので、鉄分を含むサプリメントを摂りすぎると肝臓に負担がかかる危険性があるからです。

犬の貧血にいいサプリメントはいくつか市販されていますが、それらの使用に関しても事前に獣医師に相談するようにしましょう。

犬の総合栄養食は、基本的にはそれだけを食べていれば必要な栄養素を摂取できるので、愛犬に健康上の問題がなければ、さらにサプリメントを与える必要はありません。

愛犬 ジャーキー 貧血 レバー

nozomin / PIXTA(ピクスタ)

貧血気味の愛犬には、栄養バランスを崩さないようにあげすぎに注意しながら、乾燥レバー、レバーふりかけ、レバージャーキーなど、レバーで作られたおやつを与えるなどして、鉄分や葉酸などを補う程度で十分でしょう。

愛犬の貧血の改善に役立つ食べ物【まとめ】

愛犬の貧血の改善に役立つ食べ物【まとめ】

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犬も貧血になります。

特に、食事で栄養バランスが崩れると、子犬から老犬まで、貧血を招いてしまう恐れがあるので注意しましょう。
貧血を招く恐れのある食材にも、気をつけてください。

もし愛犬に貧血が疑われた場合、早めに動物病院へ。

血液検査で貧血だと診断されたら、獣医師のアドバイスに従いながら、早期に愛犬の貧血の改善に取り組みましょう。

愛犬の健康を守ることができるのは飼い主だけです。

正しい知識を持って、毎日の愛犬の生活に役立ててくださいね。

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